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Mの憂い@-4th.Stage★Come back from Long journey
Chapter7:始まりは・・。

********ICUで眠る男。
誰もが死んだと思った彼は生きていた。
今度は、映像は逆回しで早回しに進んでいった。
親子に発見され病院に搬送される風景、彼を抱き起こす男、ナイフを振り回す男の後ろ姿、
そして、レストランで誰かと話す様子、ふふん桟橋に着いた船から二人の男が下りる場面。
映像はそこで止まった。そこからは普通に再生された。

「よし、じゃあ君は先にホテルの部屋に帰っていてくれ。俺はちょっと。」
男がそういうと二人は一旦そこで別れた。
「ちぇっ、結局何も教えてくれねぇんだよな。つまんねぇ、地図でも見て洞窟でも捜してみっかな、ふふん」若い男は踵を返し北の方へと進んでいった。

男は涼島ホテルの所有の水上レストランへと向かった。
ウェイターが運んできた、良く冷えたトロピカルドリンクを飲みながら時計を見た。
店内では割恰幅のいい男と、細面の男と気の強そうな女のカップルが食事をしていた。
女が突然寄ってきて突飛な質問をした。
「ねぇ、あんた有名な学者さんでしょ。シッタカの財宝って本当にあるのかしら?何処にあるのか教えてくれないかなぁ。」意外に魅力的な肢体を男に摺り寄せて話し掛けてきた。
一瞬、その谷間に目が行ったのだが、ウェイターの咳払いで我に返った男は、女の顔を一瞥してその後黙り込だ。
携帯が鳴ったらしく、男は「はい、ん・・・ん・・・、わかった。」と言い、そそくさと店を出ていった。
席に戻った女に、細面の男がニヤリと笑った。
「作戦成功?、うふふ」
男はレストランを出で海岸線を急ぎ足で西に向かっていった。
「ど、どういうことだ、、」ハートフルパークの岩陰で男は困惑していた。
「あんたは邪魔なんだよ、さっさと、、」
男とも女とも知れぬその若者は、鋭いサバイバルナイフを振り回し男を襲ってきた。
肩や腕や太股から血が流れ、よろめいた時若者は最後のトドメと言わんばかりにナイフを腹に突き刺した。
「何してる!」遠くから人の声がした。
男の身が崩れ落ちたのを見届け、若者は岩陰を縫うように逃げていった。
男は、ありったけの力を振り絞って海岸の方へとはいでていった。
青年は息も絶え絶えの男を抱きかかえ声を掛けた。
「大丈夫ですか?今、救急車を呼びますから頑張ってください。今・・・」
だが、男の首にぶら下がっているロケットを見た途端、携帯を取り出した彼の手は止まった。それどころか、その青年もその場を去っていってしまった。
ハートフルパークの木陰からそれを見ている四つの目があった。
しばらくして、親子連れがやってきて虫の息の状態で発見された。

(ぁ、とうちゃんだ。ぁ・・)「とうちゃんちだ。」
星人の意味不明な発言をした。
「生きてたのね、よかったっわ。」ゆかりが安心したという感じで呟いた。
「畜生、何であいつだけ助かるんだ。いつも、あいつだけが・・・」
鉄柵を強く握り締める瞳海の手が、どうにも遣り切れない想いで震えていた。

「なぜあんたは救急車を呼ぶのを止めたんだ?」
蟹派が瞳海の顔を覗き込むように聞いた。
苦悩の表情を浮かべながら、やっとのことで答え始めた。
「ロケットを見たからさ、ロケットにはユニークなマークがついてるんだ。
それは、俺にとって憎むべき対象の何者でもなかったっんだ・・・。」
*28年前・・
瞳海の父は仕事に夢中になっていた。どこにでもある話しで、置き去りにされた妻はつい不倫に走ってしまっていた。さらに悲しいことに涼島はそれを知りながら見て見ぬふりをしていた。その方が都合が良かったからだ。
不倫相手の男は次第に、堂々と家にまで迎えに来るようになっていた。
瞳海は子供心に母親を取られるようで、その男が来ると必ず駄々っ子になった。
ある日、ちょうどお手伝いさんも休みで、瞳海を一人家においていく訳にもいかず、3人で山に紅葉を観に出かける事になった。
いつものように面白くない瞳海は始終事ある毎に駄々をこねていた。
日も沈み始めた帰りの山道で、瞳海はどうしても、ジュースが飲みたいと騒ぎ出した。店どころか自販機さえも見当たらない山道だった。
もう少しだからと、言い含めようとする母親に、ますます意地になって騒いだ。
ハンドルを握る男もいい加減、我慢の限界が来ていた。
その時、悲劇は起きた。
急な坂を曲がり損ねた車はガードレールをに弾き飛ばされ1回転して山側の斜面に突っ込んで止まった。
後続車の通報によって助けが呼ばれた。
瞳海が病院のベッドで目覚めた時は母の姿は何処にも無かった。
記憶の中に遠くに走り去る男の姿が、ぼんやりと残っていた。
その男こそが、後藤だった。顔はハッキリ覚えていなかったが、いつも男の首からぶら下がっていた特徴的なロケットは記憶の中に鮮明に残っていた。
***
「あの時、あの男は逃げたんだ。
俺の母親を散々弄んで、あの事故の時一人逃げていったんだ。母を見殺しにしたんだ。
だから、あの時・・・あのロケットを見た時・・・・通報を躊躇したんだ・・。」

「そうだったんだ、あんたが刺したんじゃなかったんだ。」少し驚いたように夏生がいった。
公園にいた若い男女が誰かの大きな声に驚き、ビーチを覗き見た時は、瞳海が血まみれの男を自分から突き放し、逃げ去ろうとしていた時だった。
「脅迫の電話を掛けてきたのは君だったんだな。」
「へへ、ばれちゃった。そうさ、おかげで借金はキレイサッパリ返し終わったよ。」
夏生はあっけらかんと言い放った。、
「別に構わないよ、あんな端金、それで黙っててくれたなら。」
「ちえっ、あんとき思い切って首でも絞めててくれてればもっと金取れたのにさ。」
つい、口を滑らしてしまった梨生がいた。「あ・・」慌てて口をつぐんだが遅かった。
「でも、あたしは、電話もしてないし、関係ないわ。」と言い訳をしてみるも、
「いいえ、二人とも同罪よ。だって、あなたは恐喝された金と知りながら、それでその指輪とかネックレス買ったんじゃない?」華子の鋭いつっこみに返す言葉はなかった。

「でもさー、あんたにとってそりゃ端金かもしれないけど、違うといえば、それでよかったじゃないの?」黒田が素朴な疑問を口にした。
「それは・・・」

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最終更新:2005年12月31日 22:00