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Mの憂い@-2nd.Stage★Perplexed hide-and-seek
Chapter1:困惑から迷走へ

Suzusima Meteor HOTELの最上階、その豪奢なつくりから一目で分かるオーナー室では煙草の煙が漂っていた。
涼島瞳海は普段ほとんど煙草を吸わない。
いや、涼島財閥二代目としての立場上煙草を吸うのはやめようと心に決め、ヘビースモーカーだった彼は見事禁煙を成し遂げてからもう5年も経過していた。

しかし、彼の体内に充満する苛立ちを抑えるにはもう煙草にでも頼る以外他になかった。
もちろん、煙草を吸ったからといって彼の目の前に矢継ぎ早に現れた問題を解決するに至るはずもないのだが。。。

「ゆかり・・・俺はお前を愛していたのだ・・・本当に、本当に。
 周囲からは愛人と指摘されるだけだったが、半年前出会ったときからずっと・・
 男好きという噂がその情熱的な性格からくる周囲の誤解であることもよく理解している。 
 父親が誰なのかを語ろうともせずに剣斗を連れているのも含め俺は全てを愛そうとした。
 だが、、、
 だが、あの男が、、あの男が剣斗の父親だったなんて、、
 すまん、ゆかり、、、、しかしあの男だけは許せないのだ!
 あの男が父親と分かった以上こうする以外の道が俺にあったというのか!!」

涼島は怒りに震える唇を抑えつけるように煙草を押しつけ、一つ深いまどろんだ煙を吐き出した。

「そう、こうするしかなかった・・・はずだ・・・」

「しかし・・・なぜここまで事件が続発するのだ・・・
 こんなことは知らされてはいなかった・・・
 これも全てあの呪いだというのか・・・?
 いや、まさかヤツがハートの・・・全ては意味があるというのか?」

吸い込んだ煙が吐き出されず肺の中で嫌な圧迫感を生み出していた。


涼島は大財閥の二代目として生まれ、多種多様の業種に手を伸ばし数々の成功を収めてきた。
そんな彼が1年前に小さな南の島にリゾートホテルを建設し、そのオーナーを兼任すると会議で告げたとき重役達は軒並み驚きの表情を並べた。
仕事の疲れによるリゾート地での休養生活なのか、かねて噂されていた愛人にのめり込みすぎたのか、それとも新事業への先行投資なのか、社内ではいくつもの噂が流れていた。
しかし、真実はそのどれもが違っていた。
いや、それまでの地位と権力を守るため他人を蹴落とす、そのような世界からの逃避の願望や、そんな自分に訪れた奇跡と言ってもいい純粋な愛、ゆかりとの静かな暮らしを楽しみたいという気持ちがなかったわけではない。
それでも、そのくらいのことではやはり彼の今まで築き上げ、その身に纏ってきた権力・地位という名のコートを脱ぎ捨てるようにこの島にやってくることなどできるはずもなかった。

そう、全ては1年前ある人物からの手紙を受け取ったときから始まった。
差出人の名前すら書いてない涼島瞳海宛てのその不思議な手紙の内容はとても信じるに値するものではなかった。
しかしその手紙の中に書かれた様々な不可解な文章群の中に、光る石についての詳細が記されている部分があった。
涼島はその光る石の話を読んだ時点でその手紙に書かれていること全体を信じるしかないことを悟った。
涼島財閥の創始者である父から今際の際に不思議な話を聞かされるとともに、涼島はJと記された鈍くしかし覗き込む者を取り込むほどに魅惑的に光る石を託されていたのだ。

彼は手紙に書かれている通り1年前に南の島にHOTELを建設し、着々と準備を進めてきた。
そしてこの夏、この島に、兼ねてから調べ上げリストアップした者たちを招待したのであった。。 


最終更新:2005年12月23日 12:18