エルクール大公国

エルクール大公国
基本情報
公用言語 ロフィルナ語
イドゥアム語
共立英語
首都 トランシュ・ウール
最大の都市 同上
政府 公国執政院
共同元首の称号 皇帝陛下
公王陛下
共同元首の名前 トローネ・ヴィ・ユミル・イドラム
アリウス・ヴィ・レミソルト
政府代表の称号 大公殿下
政府代表の名前 ロフィーリア・ヴィ・エルクール
建国 宇宙新暦4650年
総人口 本土人口:3014万人
ソリスタルスト星系:150億7418万人

 エルクール大公国は、ユミル・イドゥアム連合帝国を構成する絶対君主制国家。過去成立の経緯(歴史を参照)から、同連合帝国の中でも特別な地位を認められて久しく、強力な自治権を持った。トランシュ・ウールを首都に定め、小規模ながら独自の正規軍を有する。共立公暦二重同君連合の体制を取って久しく、二名の国家元首が並立する体制となった。共立公暦700年にロフィルナ連邦共同体にも加わった。トローネ・ヴィ・ユミル・イドラム及びアリウス・ヴィ・レミソルトの両名はエルクールの象徴として振る舞うものであり、同国に対して如何なる政治的実権も持たない*1。エルクールの内政に関しては古くからの慣習に従ってロフィーリア・ヴィ・エルクール女大公が全ての実権*2を掌握して久しく、儀礼上、「共同元首」に次ぐ代表君主としての敬称が定着した。本土面積自体は非常に狭く、ソリスタルスト星系を除いては小さな半島部分(ヴァルーザ地域)の領有に留まる。惑星フォフトレネヒトの中でも限られた地域を主権領域*3と定め、山脈を隔てた東方にてイドラム皇帝直轄領と接する。闘争を是とする現在のロ王国とは異なり、静と美が織りなす古き良き旧暦時代(星間機構襲来以前)の文化が色濃く残った。一方で社会制度に関してはフォフトレネヒト由来の法秩序を重視し、長い時をかけて熟成させてきた歴史がある。


国名

 エルクールの名はエルク家とウール家によって成立したことを表す。

歴史

建国と皇道の志

 エルクール大公国は、宇宙新暦4650年、戦後黎明期と称される新秩序の形成過程において成立した。前大戦の記憶が生々しく残るこの頃、宇宙海賊による襲撃も頻発し、多くの臣民が帝国中央の権威に疑義を唱える中での建国であった。ことの始まりは宇宙新暦4630年代。当時、対外関係の修復に追われていたイドラム2世は民主派からなる帝国議会に内政権を委ねて久しく、これを抑えるための手段として忠義に厚いウール侯爵家の独立を認めた背景がある。新興財閥による革命の到来を避けるため、力を欲したウール侯爵(現.大公侯閣下)は、小規模ながらも高い練度の戦力を持つ亡命政府(エルク朝ロフィルナ王国正統政府)に目をつけた。その長たるロフィーリア女公王(現.大公殿下)としても、戦後ロフィルナへの帰国を諦めて久しく、帝国貴族としての帰依を検討していた矢先の出来事であった。両者の利害は皇室の御恩に報いることで一致し、改革皇派を主体とする武装組織(後のエルクール国軍)の増強に繋がった。ウール侯爵は当初、帝国国内で燻るロフィルナ人の不満を抑えるために偽りの宣伝を続け、彼らが望んで自らの統治領域に移るよう仕向けたとされる。エルクールの建国以降、新たに女大公となったロフィーリアは民主派との連携を装いつつも、かつての敵であるレミソルトの政治手法をもって数多くの政敵を葬った。

共立時代における困難

 しかし、その努力も虚しく、共立公暦5年にイドラム2世が崩御すると、事情を知らぬ皇国派から裏切り者の誹りを受け、エルクール国内においても外交政策の欺瞞を指摘される危機に直面した。共立公暦22年から、ガルロ派による自作自演のテロが頻発するようになると、ロフィーリア自身の統治能力にも疑問が付き、ウール大侯公が火消しに追われる事態へと発展した。同34年。国内世論の反発から平和維持軍に助けを求めるわけにもいかず、誰もがエルクール領域の返上を確信した、その時に救いの手が差し伸べられた。正統エルク家の怨敵にして、全ての元凶と見なされたアリウスその人の提言である。レミソルトの代弁者たるセトルラーム大使は、エルクールの崩壊を避けるために必要な包括的支援の用意がある旨を提示。代わりにロフィルナ連邦との取引を公式に深めるよう打診してきたのである。一独立国としての決意が試される中、ロフィーリア率いる時のエルクール政府にとって、それは願ってもない好機とされた。同時に正統エルク家の理想を完全に捨て去る覚悟を持たなければならない局面でもあった。

連合帝国の夜明け

 一族の悲願に責任を持つロフィーリアとしては、筆舌に尽くし難い葛藤に苛まれながらも夫であるウール大侯公の助言を聞き入れ、「女大公」としての決断を下した。旧エルク王朝の時代より苦楽をともにしてきた忠臣達の反対を押し切り、愛する親族を自裁へと追いやった、その先に得たものは当時の帝国議会の策略を凌ぐ最強の切り札とされる。エルクール・セトルラーム間における秘密裏の軍事盟約が奏功し、着々と反撃準備を整え始めたロフィーリアは、本来の目的である帝国政治の健全化を目指してガルロ派による破壊工作に耐え続けた。そして来るべき50年、事実上の虜囚となって久しいトローネ皇帝の救出(のための陽動作戦)へと動き始めたのである。この時のエルクール正規軍の越境は本土側の帝国軍を驚かせたが、同時期にカーマフォルトを奪取した近衛騎士団の命令によって大規模な戦闘を避けられる見通しとなった。後日、共立機構から三大原則違反の指摘を受け、執行の検討対象となったエルクールであるが、実権を回復させたトローネ皇帝の擁護によって事なきを得ている。この時のエピソードは両国の繋がりを象徴する偉大な歴史の一つとして語り継がれ、後の700年における共同元首制の確立へと繋がった。

共同元首制の確立

 エルクール政府は主張した。我が国はレミソルトの当主をお迎えする用意がある。ただし、正統エルクの名を分家に譲ることはできない、と。その交渉過程は決して平坦な道程ではなく、国家間においては良好な関係を持つものの、エルクールとセトルラームとで分断された両エルク家の法的地位に関する隔たりがロフィルナ連邦への加盟を遅らせた。自称革命政権によって統治されるロフィルナ王国の歴史を振り返った時、旧エルク王朝の正統家系を自認するロフィーリアにとって容易には妥協できない外交問題として燻り続けたからである。セトルラームにおけるエルク公家の当主(セレーナ・エルク)も頑として譲らず、和解のための議論は永遠に棚上げされるかのように思われた。事態に変化が生じたのは、転移者戦争を起点にロフィルナ国内で王党派の勢力が盛り返してからである。その中心たるサンリクト公国は、同ロ王国に帰属しつつ、旧エルク王朝の復権を受け入れる方針を示した。ここでアリウスはセレーナを説得し、エルクール側のエルク家を承認するよう求めたのである。

 エルクールに対して重度の警戒心を抱くセレーナはロフィーリアの妹にあたる存在で、旧暦時代、ロフィルナ革命の渦中に決別した過去を引きずっていた。苦悩に苦悩を重ねた末に彼女は両エルク家の統合を最大譲歩と定め、アリウスにそれなりの結果を持ち帰るよう強く求めた。同650年。これまでの交渉過程から、落とし所を導き出すよう求められたヴァンス・フリートン大統領は非公式の場でトローネ皇帝と接触。そこで事の計画を打ち明け、エルクール側の妥協を引き出すための協力を求めたとされる。帝国政府の打診を受けたロフィーリアは旧エルク王朝の名誉を回復させることを宿願とし、セトルラーム側のエルク家がエルクールの政治に干渉しないことを条件として受諾の意向を示した。両エルク家を巡る国家間の交渉は世論対策のための準備期間も含めて長引く様相となり、同695年、アリウス自身が旧エルク王朝との和解を表明することによって共同元首制の道が開かれたのである。連邦エルク家の当主たるセレーナは当初、姉であるロフィーリアに対して複雑な感情を抱いていたというが、そのわだかまりもアリウス、トローネ両名による仲裁努力によって緩和されていった。

ソリスタルスト星系の取得

 共立公暦700年、エルクールはロフィルナ連邦共同体への加盟を果たし、これを記念してソリスタルスト星系を帝国から購入した。この星系の取得はエルクールの歴史において画期的な出来事であり、国の繁栄と技術革新を象徴する重要なステップとなった。エルクールの外交官たちは、帝国との複雑な交渉を通じて双方に利益をもたらす条約を締結し、この広大な星系の購入を実現した。星系内の惑星、特にクリスタリオンの鉱物資源はエルクールの産業基盤を劇的に強化し、エルクール経済に新たな活力をもたらした。この資源は高品質であり、特に科学技術分野において多大な価値を持つことが判明した。ソリスタルスト星系の購入により、エルクールはその防衛戦略も大幅に強化した。新たに設立されたソリスタルスト星系軍は、星系内外の脅威に対処するための高度な戦術と装備を整え、迅速な対応を可能にした。この軍事力の強化により、エルクールはロフィルナ連邦共同体内でも一目置かれる存在となった。特に、星系内の主要惑星クリスタリオンは、その美しい景観と豊かな鉱物資源で注目を集めた。クリスタリオンの山脈は光り輝く鉱石で覆われ、その光景は観光地としても大いに人気を博した。また、この惑星にはエルクールの科学研究施設が設立され、新たな技術の開発と資源の効率的な利用が進められた。ソリスタルスト星系の取得により、エルクールは宇宙全体においても強力なプレゼンスを確立した。この成功はエルクールの技術力と戦略的思考の成果であり、国の繁栄と安全を長期にわたり支える基盤となった。また、エルクールはこの星系の豊かな文化と歴史を尊重し、その保護と継承にも努めている。このようにして、ソリスタルスト星系の取得はエルクールの歴史に新たな一章を加え、その発展と繁栄を象徴する重要な出来事として記憶されている。

臣民

 旧暦時代から移民政策によってロフィルナ人が大半を占めるものの、元々の先住民であるケルフィリア人との共存を図っており、ロフィーリア女大公の名の下に臣民としての完全な基本権が保障された。
次にテルスヴィネル族、スクルシ族も一部ではあるが定着している。以上の種族を纏めてエルクール人と総称する。

エルク系ロフィルナ人

 エルクール大公国の大半に住む。帰属意識が高く大公国の国籍を誇りに思っている。陽気な性格の人が多い。

北エルクール人

 タストーラに住むエルク人達、厳しい山岳地帯に暮らす為筋肉が発達している。

文化

 古き時代のロフィルナ文化を色濃く残しており、ズェルカ様式による独自の都市景観を形成した。町中のあらゆる建造物の屋上には庭園が存在し、彩り豊かな独自の生態系を育んでいる。そこから下の人工河川に向けて水のカーテンとも称される水流が解き放たれ、多くの水生生物を繁殖させる壮大な循環体制を成立させた。自然と科学の調和を重んじるエルクール社会においては相当な広さを誇る幹線道路が整備されて久しく、その中心軸に憩いの場となる公園を設けるなど、観光産業を補強するための様々な発展的施策を講じている。古典古代由来の幻想アートを始め、優美でエレガントな曲調の音楽をこよなく愛する風潮から、多くの著名な創作者を排出した。

映像娯楽の発展

 静けさを是とするエルクールにおいて、刺激を得られる数少ない娯楽の一つがメディア事業と目される。文化振興のために自ら女優を務めるロフィーリア女大公の指揮のもとで広く発展した。メディア統制が厳しい帝国本土と異なり、かなりの範囲で表現の自由を認めることから、多くの名作を生み出す原動力となって久しい。多様な価値観を認める民主主義国家の広報力に対抗するため、国が一丸となって物語の制作を支援している。その結果、役者を志望する多くの者がエルクールに集結し、世界に名だたる巨大なビジネスモデルを確立させた。首都トランシュ・ウールで制作された映画やドラマは時に帝国本土の検閲に引っかかることも珍しくはないが、基本的には国内、または提携関係を持つ第三国での公開をもって工夫することから政治的な影響は殆どないものと見られる。また、敵国に対しても思慮深く、それでいて先進的なエルクール・メディアの表現法が多くの視聴者を魅了し、ロフィーリア自身の知名度の高さも相まって対外的な宣伝戦略の奏功へと繋がった。

政治

 ロフィーリア女大公による絶対君主制で、皇帝直轄領と共通の政治体制を採った。最高の意思決定機関である公国執政院を頂点として、別途委任された中央貴族の中から構成される公国中央評議会が平時における内閣としての統治を担っている。中央評議会の中には分野毎に性質の異なる中央省庁が設置されており、必要に応じて公国執政院との調整を続ける構造となった。有事の際には、ロフィーリア女大公自らがエルクール軍の指揮を取って戦う。その他、地方貴族と呼ばれる小領主に各地の自治を委ねているが、これも国体に反しないことを前提として法制化された。

二大公家の協力

 ウール大公家はロフィーリア女大公を長とするエルク家とともにエルクール総家を構成し、国内の統治にあたる。
政治的権能に関してはロフィーリアの地位が優越するものの、宗教的序列に関しては儀礼上、ウール大侯公との間に如何なる上下関係も存在しないことを確約した。
諸侯間の調整に主導的な役割を担うウール家が一定の主導権を握っており、最終的にロフィーリアの承認を得るという構造が建国以降の長きにわたる伝統として定着している。
両家の関係は時に厳しく良好なもので、この相互抑制のプロセスが今日の安定的なエルクール社会を築くに至った。

連邦エルク家との関係

 連邦エルク家とは、セトルラーム共立連邦において、レミソルトインフリー家を構成する同国三大公家の一つとされる。エルクール国内における法的な立ち位置としては、エルク公家の一部として認められるものの、過去のロフィルナ革命における分断からロフィーリア及びセレーナ・エルクの双頭体制となっている現状があり、双方ともに互いの国家の内政には干渉しない方針を保っている。また、エルクール総家を構成するエルク公家及びウール公家の合意に基づいて連邦エルク家との親善交流を強化。公国エルクと連邦エルクの融和協定に基づいて「統合エルク家」(要するに現エルク公家)のカテゴリーを設けている。このように相当複雑怪奇な相関図を描いて久しいが、共立公暦700年における再統合を果たして以降はエルク公家内部の共同当主間(ロフィーリア及びセレーナ・エルク)の関係も徐々に改善される流れを辿った。

 上述の双頭体制における両者の合意により、統合エルク家の代表となる人物の選出制を採用する。この代表の法的地位については、あくまでも共同当主の意向を踏まえた上での事務的象徴に過ぎず、『エルクール総家』としての行事に協賛する構成員の一人として定められた。一方、ロフィルナ王国を治める現コックス政権は、アリウス公王に配慮し、表面上、この枠組みを黙認してきた経緯があるものの、998年、イドルナートの大火*4に端を発する関係悪化に伴って、ついにエルクール総家全員に対する指名手配措置を講じたという。トローネ皇帝も拘束または殺害対象となっており、アリウス公王からすると突き抜けた暴挙として武断的に諌めるインセンティブが生じてしまった。

統治領域

エルクール本土における主な都市

首都トランシュ・ウール
 トランシュ・ウールは、エルクールの首都であり、政治、経済、文化の中心地としてその重要性を誇る都市である。この都市は陸軍憲兵隊の厳格な治安管理により、世界的に見ても安全で穏やかな場所として知られており、市民が安心して日常生活を送ることができる。都市の中心部には大公宮殿があり、ここでエルクールの重要な政治的決定が行われている。宮殿周辺には政府機関のオフィスや大使館が立ち並び、政治の中枢が集中している。トランシュ・ウールはまた、エルクールの経済の中心地でもある。金融街には多くの銀行や企業の本社が位置しており、国際的なビジネスの拠点として機能している。商業地区には高級百貨店やレストラン、カフェが軒を連ね、ショッピングや食事を楽しむ人々で賑わっている。特に、ズェルカ様式による美しい建築物が立ち並ぶ景観は、多くの観光客を魅了している。

 文化面でもトランシュ・ウールは豊かである。多くの歴史的建造物や博物館、美術館があり、エルクールの文化と歴史を体験することができる。特に有名なのは、エルクール国立博物館であり、ここでは古代から現代に至るまでの様々な歴史的遺物や芸術作品が展示されている。また、オペラハウスや劇場も多く存在し、音楽や演劇の公演が頻繁に開催されている。教育機関も充実しており、エルクール大学は国内外から多くの学生を受け入れている。大学は多岐にわたる学部と研究機関を持ち、特に政治学や経済学、芸術分野で高い評価を受けている。大学の周辺には学生向けのカフェや書店が多く、学術的な雰囲気が漂っている。市民の生活環境も整っており、広々とした公園や緑地が点在している。特に、中央公園は市民の憩いの場として人気があり、週末にはピクニックやスポーツを楽しむ家族連れの姿が見られる。また、自転車道や歩行者専用道路が整備されており、環境に優しい都市づくりが進められている。トランシュ・ウールはその安全性、美しい景観、豊かな文化と教育環境により、エルクール国内外から高い評価を受けている。市民は誇りを持って生活しており、この都市の発展に寄与している。

山岳都市タストーラ
 タストーラは、険しい山岳地帯に築かれた都市であり、その高低差と厳しい気候が特徴である。この地域に暮らす北エルクール人たちは、雪山装備が基本となっており、極寒の気候に対応した独自の生活様式を築いている。都市内の交通手段は主に航空機か大型生物による移動が一般的で、険しい地形と雪深い冬季により道路はほとんど使用されない。タストーラはまた、登山やスキー、スノーボードなどの冬季スポーツのメッカとしても知られており、多くの観光客が訪れる。また、地域の文化は独特で、山岳地帯ならではの工芸品や伝統音楽が受け継がれている。タストーラの住民は自然との共生を大切にしており、自然環境を保護するための取り組みも盛んである。

海洋都市デリル・グリスデーン島
 デリル・グリスデーン島は、エルクール領の南端に位置する小さな島で、比較的後期に開発された都市である。元々は山岳都市開発後に海洋資源を取得するための拠点として海洋プラントが建設されたことが始まりである。島内はほとんど木々がなく、背の低い草類しか生えていないため、島民たちの主食は主に海鮮である。沿岸部には海洋資源を保管する倉庫やエルクール大公国海軍の支部が存在し、戦略的にも重要な場所となっている。また、島には大戦期フォフトレネヒトに上陸してくると予想された対連合国兵器として建設された巨大な要塞砲跡や軍用鉄道跡があり、これらの遺跡は観光名所としても人気が高い。デリル・グリスデーン島は、歴史的な遺産と現代の海洋産業が融合した独特の雰囲気を持つ都市である。

ソリスタルスト星系

 ソリスタルスト星系(Solistarst System)は、多様性と美しさで知られる恒星系であり、複数の特徴的な惑星と天体が存在する。この星系の中心にある恒星は、ソリス(Solis)と呼ばれ、星系全体を照らす強力な光源である。ソリスは中規模の恒星であり、その適度な熱量とエネルギーが周囲の惑星に生命をもたらしている。ソリスタルスト星系は、多様な惑星、豊富な資源、高度な文明を特徴としており、各惑星には独自の資源が存在し、例えばクリスタリオンのクリスタルや、アクアリアの海洋資源などが豊富である。知的生命体が高度な文明を築いており、各惑星で独自の文化と技術が発展している。ソリスタルスト星系は、その多様性と美しさから、多くの探検家や研究者にとって魅力的な場所となっている。また、この星系は観光地としても人気があり、各惑星の独特な景観と文化を楽しむことができる。

第4惑星クリスタリオン転移者入植地)
 クリスタリオンはソリスタルスト星系の第4惑星であり、その美しい景観で知られる惑星である。惑星の表面は光を反射する鉱物で覆われており、これが太陽光を反射して夜空を虹色に彩る。地形は山脈、平原、渓谷など多様で、鉱物の光がそれぞれ異なる色彩を放つ。気候は穏やかで、昼夜の温度差が小さいため、居住に適している。主要都市であるアストラリア(Astralia)は、鉱物の建物が立ち並び、夜には幻想的な光景が広がる。アストラリアは商業と職人の中心地で、鉱物を用いた工芸品や宝飾品が生産されている。クリスタリオンの経済は主に鉱山業によって支えられており、特に高品質な鉱石は宝飾品として高値で取引されている。また、観光地としても人気があり、美しい景観を楽しむために多くの観光客が訪れる。文化は鉱物と深く結びついており、鉱物を用いた芸術や音楽が発展している。毎年開催される音楽イベントでは、鉱物から生まれる澄んだ音色が広がり、多くの人々を魅了している。住民は鉱物を愛し、その美しさを守ることに誇りを持ち、環境保護にも力を入れている。鉱石の採掘が環境に与える影響を最小限に抑える技術が開発されており、住民は互いに協力し合い、平和で調和の取れた社会を築いている。高度な教育システムが整備されており、特に鉱物の研究と技術開発が盛んである。クリスタリオン大学は、鉱物に関する専門的な知識を提供することで知られ、世界中から優秀な学生が集まっている。観光客はアストラリアの美しい景観を楽しむことができ、鉱物洞窟探検やサファリなどのアクティビティも人気である。夜景は特に美しく、多くのカメラマンやアーティストが訪れる。

治安

 通常、治安が悪いことで知られるロフィルナ圏だが、二大公家による共立体制の奏功から飛躍的な安定化を遂げて久しい。
塵一つ落ちていないエルクールの公道は、旧暦時代において失われた静と美の復活の象徴として評価された。
このため、当国においてはエルク家こそがロフィルナにおける真の統治者として認識する風潮も根強く、現在の母王国とは全く異なる世界観を形成した。
エルクールにおける都市計画は全て観光立国たる地位を得るために実行しており、それが今日の成功に繋がっている。

エルクール本土の軍事

 陸海宙の三軍を独自に有した。治安維持を担う公国陸軍の装備はL.S.R.社仕様の支援火器の他、対地遊撃機、ルーリアス重工製の特殊車両等で固めている。海軍は、セトルラーム国軍仕様の新式防護巡洋艦20隻を主力として、高速タンカーを40隻保有。自国軍や国営企業が使用する燃料等の輸送に特化している。公国宙軍においては、8km級重戦艦1隻を改良し、大型装甲宮殿艦として用いた。その他、アラグ代艦級巡洋戦艦を1隻、400m級護衛駆逐艦の3隻を擁する。さらに1km級宙域高速輸送艦を1隻保有。ロフィーリア女大公が重要行事に赴く際の運用を想定した。宙軍の護衛駆逐艦は闘争競技の総合軍事演習に帝国側としての参加経験がある。現状の予算措置としては、維持費のかかるkm級に稼働制限をかけているのが実態で、洋上施設に係留された。それらの整備については帝国本土に委ねている現状がある*5。一方の陸上戦力に関してはチャルチルフ事変(998年)を教訓に大幅な増強を遂げつつあり、セトルラーム製の第4世代戦闘機を50機導入*6。海軍艦艇についても更に拡充する方針が示された。係る内訳としては職業軍人が約3万人程度で、将来的には12万人規模の運用を想定しているという。現状3万のうち、約2万7000人が急遽統合された武装憲兵からなる。計画を成し遂げるまでの繋ぎとして、セトルラーム陸軍所属の精鋭5万人をエルクール軍属として借り受けた。さらに50万を超える数の予備役(軽装民兵)を徴集。これに対する供給と訓練を別働隊のセトルラーム駐留軍に委ねた。国境の守りに関しては帝国本土による侵略を想定しておらず、一部の要所を除いて、これまで通りの警備体制を取った。

ソリスタルスト星系軍

ソリスタルスト陸軍

 ソリスタルスト陸軍は、地上戦闘に特化した部隊であり、多様な地形と気候に対応するための訓練を受けている。標準部隊は最新鋭のアーマードビークルや多目的戦闘車両を装備しており、高い機動力を誇る。これにより、陸軍は迅速な展開と対応が可能であり、敵の進行を即座に阻止することができる。また、これらの車両は高い防御力と攻撃力を兼ね備えており、陸軍の戦力を大幅に強化している。山岳部隊や都市戦闘部隊といった特殊部隊も存在し、彼らは厳しい環境での作戦遂行能力を有している。山岳部隊は、高地や難所での戦闘を専門としており、特殊な登攀技術や極限環境でのサバイバル技術を駆使して任務を遂行する。都市戦闘部隊は、都市部での戦闘を専門としており、ビル内戦闘や密集地帯での作戦に対応するための高度な戦術を持っている。彼らは、建物の内部や地下通路を利用した隠密行動が得意であり、市街戦での優れた戦闘能力を発揮する。陸軍の兵士は高度な戦闘訓練を受けており、近接戦闘から戦略的攻撃まで多岐にわたる任務を遂行する。これには射撃訓練や格闘技、戦術的な移動訓練が含まれ、兵士たちは個々のスキルを最大限に発揮することが求められる。また、陸軍は先進的な兵器と装備を使用し、地上での脅威に迅速に対応する。例えば、ドローンや無人地上車両(UGV)などの最新技術を活用し、偵察や攻撃、支援など多様な役割を果たしている。さらに、ソリスタルスト陸軍は、国際的な平和維持活動や人道支援活動にも積極的に参加している。これにより、陸軍の兵士たちは異なる文化や環境での任務遂行経験を積み、グローバルな視点を持った戦力として成長する。また、陸軍は地域社会との連携を重視しており、災害時の救援活動や防災訓練などにも協力している。これにより、地域住民からの信頼と支持を得ている。

ソリスタルスト海軍

 ソリスタルスト海軍は、海洋や宇宙空間での防衛を担う部隊である。最新鋭の艦船と潜水艦を保有しており、海洋資源の保護や海上交通の安全を確保する役割を果たしている。海軍には巡洋艦、駆逐艦、潜水艦、航空母艦など多様な艦船が含まれており、これらの艦船は先進的な武装システムと防御システムを搭載している。第4惑星クリスタリオンに主要な基地を構え、海軍はここから星系全体の防衛任務を遂行する。海軍の巡洋艦は、長距離航行と強力な攻撃力を兼ね備えており、星系内外の防衛任務において重要な役割を果たしている。これらの艦船はミサイルやレーザー兵器を搭載し、高度な電子戦装備を持ち、敵の攻撃を効果的に無力化することができる。駆逐艦は、迅速な機動力と高い攻撃力を持ち、巡洋艦と連携して敵艦隊に対する防御や攻撃を行う。駆逐艦には対潜水艦装備も搭載されており、潜水艦の脅威に対しても対処可能である。潜水艦は、隠密行動と長期間の作戦遂行能力を持ち、敵の裏をかいて攻撃を行う。これらの潜水艦は、魚雷やミサイルを搭載し、敵艦や沿岸施設への攻撃を行う。

 また、ソリスタルスト海軍の航空母艦は、艦載機の運用を通じて広範な作戦地域をカバーすることができる。航空母艦には、戦闘機、爆撃機、偵察機、輸送機などが搭載されており、多様な任務を遂行する。さらに、海軍は宇宙戦闘にも対応できる艦船を保有しており、これにより宇宙空間での戦闘能力も備えている。宇宙艦船は、対艦ミサイルやレーザー兵器を搭載し、敵艦船や宇宙ステーションに対する攻撃を行う。宇宙空間での防衛任務において、これらの艦船は重要な役割を果たし、ソリスタルスト星系の安全を確保している。また、海軍は無人探査機や宇宙ドローンも運用しており、偵察や攻撃、情報収集など多様な役割を果たしている。海軍の訓練は厳格であり、兵士たちは高度な戦術と技術を習得する。海洋戦闘、潜水艦作戦、航空作戦、宇宙戦闘など、多岐にわたる分野での専門知識が求められる。また、海軍は国際的な軍事演習や合同訓練にも積極的に参加しており、他国の軍隊との連携強化を図っている。ソリスタルスト海軍は、その高度な技術と戦闘力を駆使し、星系全体の平和と安全を守るために重要な役割を果たしている。彼らの努力と献身は、ソリスタルスト星系の安定と繁栄に大きく貢献している。

ソリスタルスト航空宇宙軍

 ソリスタルスト航空宇宙軍は、高度な航空機と宇宙船を運用し、空中および宇宙空間での防衛を担当する。主要基地はタストーラにあり、ここで訓練や整備が行われている。空軍は全天候型の戦闘機や爆撃機を駆使して空域の支配権を維持する。戦闘機には最新のステルス技術が導入されており、高い隠密性と攻撃力を持つ。これにより、敵のレーダーに捕捉されることなく作戦を遂行することが可能である。爆撃機は長距離飛行能力と強力な爆撃装置を備えており、地上目標や敵艦船に対する精密攻撃を行うことができる。ソリスタルスト航空宇宙軍は、総人口150億7418万人の星系全体を守るため、多岐にわたる戦力を備えている。戦闘機部隊は2,2200機の戦闘機を有し、対空戦闘や地上攻撃、偵察任務を遂行している。これらの戦闘機は主要基地タストーラ及び前線基地に配備され、迅速な対応が可能である。爆撃機部隊は3000機の爆撃機を擁し、戦略爆撃や精密爆撃、長距離攻撃に対応する。これらの爆撃機は主要基地タストーラ及び特定の前線基地に配備されている。無人航空機部隊には5000機の偵察ドローンと4000機の攻撃ドローンがあり、偵察、監視、ターゲティング、精密攻撃に使用される。

 これらのドローンは各前線基地および主要監視拠点に配備され、戦場の情報収集と迅速な対応を可能にしている。宇宙艦隊は50隻の宇宙戦艦、100隻の巡洋艦、200隻の駆逐艦で構成され、宇宙防衛、対艦戦、宇宙ステーション防御を担当している。これらの艦船は主要宇宙基地および軌道上ステーションに配備され、星系の安全を確保している。支援部隊は250機の輸送機、150機の空中給油機、200機の救助ヘリコプターを持ち、部隊輸送、物資供給、空中給油、救助活動を行う。これらの支援機は主要基地および特定の支援拠点に配備され、作戦支援を担当している。空軍の訓練プログラムは非常に厳格であり、パイロットたちは高度な技術と戦術を習得する。飛行訓練、シミュレーション演習、実戦訓練などを通じて、パイロットは多様な戦闘シナリオに対応できる能力を身につける。また、空軍は国際的な軍事演習にも積極的に参加しており、他国の軍隊との連携を強化することで、共同作戦能力を向上させている。ソリスタルスト航空宇宙軍は、その高度な技術と戦闘力を駆使し、星系全体の平和と安全を守るために重要な役割を果たしている。彼らの努力と献身は、ソリスタルスト星系の安定と繁栄に大きく貢献している。

高まる国防意識

 チャルチルフ事変における戦いで首都圏(公都トランシュ・ウール)を含む全ての主要都市が占領され、残る憲兵部隊は十分な装備もなく山岳部での籠城を強いられた。帝国全体の武力に全てを依存し、国軍不要論を唱えたウール派貴族の一定数が敵側(ガルロ派)へと寝返り、公にエルクール情報局の無能が知れ渡ったのである。渦中のロフィーリア女大公としても、危機管理を疎かにすることのリスクを軽んじているわけでは決してなかった。しかし、チャルチルフ戦前の情勢では自国の戦力強化について本土側の理解を得られず、慎重な姿勢を貫いたのが裏目に出てしまった。要塞に立てこもり、抵抗の指揮を取ったウール大侯公も自分の浅はかさを恥じて軍拡の需要に同意した。以上の経緯から、エルクール政府は、これまでに禁忌とされた連邦共同体への支援要請を発布。帝国政府に一定の理解を求めつつ、セトルラームの派兵を正式に受け入れる方向で合意したのだという。

外国の駐留戦力

 戦後、エルクール国内に進駐した帝国軍が約3000人と、セトルラーム駐留軍の約10万人(1個軍団)による復興支援が継続している。
この支援内容には増強過程にあるエルクール国軍への供給を始め、軍事訓練、建設、敷設、その他の運用投資も含まれた。

連合帝国直轄組織・支援部隊の内訳

 戦後エルクールに対する支援部隊*7として内務省から技術者が約1600人、帝国宙船保有の貨物船が15隻、自動建設機が15機、陸軍から工兵が約410人、宙軍から工作艦が1隻、輸送艦が3隻、皇室から自動建設機が3機(運用は陸軍工兵)、皇帝から自動建設機が5機(運用は陸軍工兵)派遣された。また、エルクールに近衛騎士団の派遣が出来ない理由について、連合帝国政府は次の通りの見解を示している。騎士団内の技術者は宮殿や庭園など巨大施設を数十年かけて手作業で建設する技術はあるが、平民階級の家屋を建設する技術が無かった。それらを請け負っていたのは内務省の技術者団体となる。騎士団は皇帝個人の備品扱いであり、戦地に向かう場合は騎士団を護衛する国軍を追加で編成しなくてはならず、騎士団が損害を受けると責任問題に発展し、両国関係に支障をきたす可能性がある事を帝国政府は懸念している。近衛騎士団が強い武力を有する理由は、想定外の突発的な戦闘(テロや災害)に見舞われた際に皇帝の身を守ることが第一とされる。また、皇帝不在時における直轄領内の秩序を維持しなければならない事情も強調された。

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最終更新:2025年02月11日 21:23

*1 皇帝個人ではなく、連合帝国全体の方針には従わなければならない決まりとなっており、必要に応じてロフィルナ連邦側との調整を続けている。

*2 実態としては、ともにエルクール総家を構成するウール大公家の承認をもって勅命を下す体制となった。

*3 国際通念上は帝国直轄本土の属国と見なされて久しく、他の加盟国と同様に共立機構代表総議会における投票権を剥奪された。

*4 イドルナートの大火は、998年、セトルラーム国内における『セ連・ティラスト宗派ディルムバルク強襲テロ事件』、『第715次ヴァンス・フリートン大統領暗殺未遂事件』、『共立連邦内務省・特別憲兵総隊軍事クーデター未遂事件』などから定着した総称とされる。普通に宣戦布告の条件を満たすことから、共立機構による一定の承認のもと、間もなく戦端が開かれる見通しとなった。エルクール政府の見解は次の通りである。『さようなら革命政権。私達は貴方達の滅びゆく様を静かに見守ります。』残当()

*5 当面の支援措置として大型艦船に係る維持費の半分を帝国政府が負担することで合意。エルクール側の財政基盤が整った時点で切り上げる方針が示された。

*6 守られる加盟国から頼れる同盟国へ。ここにロフィーリア女大公の勅意が示され、将来的に5000機体制となる計画を始動させた。

*7 支援部隊であって、武装した戦力ではない。