インドラ
インドラ(Indra)は、
インド神話における雷と戦争の神であり、ヴェーダ時代の
バラモン教では神々の王として崇拝されました。
彼は雷、雨、戦争、そして天界を司る存在で、多くの神話や讃歌でその力強さと英雄的な性格が描かれています。
概要
インドラはヴェーダ時代から続く古代
インド神話の中心的な存在であり、その雷と戦争の象徴として多くの物語に登場します。
彼は自然界や農業に深く関わり、人間社会に重要な恩恵を与える存在でした。一方で、その享楽的な性格や
衝動的な行動が神話における人間味あふれるキャラクター性を際立たせています。現代では
ヒンドゥー教や
仏教において異なる形で信仰され続けています。
インドラの特徴
- 地位
- ヴェーダ時代では「デーヴァ(神々)の王」として最も重要な神格の一柱
- ヒンドゥー教が発展するにつれ、シヴァやヴィシュヌにその地位を譲り、現在では東方を守護する「ローカパーラ(世界守護神)」として位置づけられています
- 象徴
- 雷と雨を司り、農業や自然環境に重要な役割を果たす
- 武器は雷の棍棒「ヴァジュラ」で、これを用いて敵を討ちます
- 乗り物は白象「アイラーヴァタ」で、天界を統治する威厳を象徴しています
- 性格
- 勇敢で力強い一方、享楽的で衝動的な面も持つ
- 神酒「ソーマ」を好み、これによって力を得るとされています
インドラの神話と役割
- 最も有名な神話では、インドラは悪竜ヴリトラを討伐し、水を解放しました
- このエピソードは宇宙創造や秩序回復の象徴とされています
- ヴリトラは水源を封じ込めていましたが、インドラが雷棍ヴァジュラでこれを倒し、人々に水と豊穣をもたらしました
- 2. 天候と農業
- インドラは雨を降らせる力を持ち、農業や生活において重要な役割を果たします
- そのため、農民たちから特に信仰されました
- 3. 乳海攪拌(ちかいかくはん)
- 神々が不死の霊薬「アムリタ」を得るために行った乳海攪拌にも関与しています
- この際、インドラはヴィシュヌの助言を受けてダイティヤ(悪魔)たちと協力しましたが、最終的にはアムリタを独占し、天界への支配権を取り戻しました
- 4. 仏教への影響
- インドラは仏教にも取り入れられ、「帝釈天」(たいしゃくてん)として知られています
- 仏法守護の神として、日本や中国などでも信仰されています
- 信仰の変遷
- ヴェーダ時代には、『リグ・ヴェーダ』全1200編中約4分の1がインドラへの讃歌で占められるほど崇拝されていました
- ヒンドゥー教が成立するにつれ、その地位は低下し、シヴァやヴィシュヌなど他の神々に取って代わられました
- しかし、「ローカパーラ」として東方の守護神となり、一部地域では現在も信仰されています
関連ページ
最終更新:2025年01月03日 11:49