音受器(ラジオ)
音声受信魔導器を略して、『音受器』と呼ぶ。
これはいわゆるラジオの事で、一般での通称もまたラジオと呼ばれている。
雷魔法を応用して電波を送受し、放送局から発信された音声を番組として受け取るこの魔導器が開発されたのは、驚くべき事に魔導映写盤(マギ・テレビジョン/テレビ)の普及よりも後の事になる。
これはいわゆるラジオの事で、一般での通称もまたラジオと呼ばれている。
雷魔法を応用して電波を送受し、放送局から発信された音声を番組として受け取るこの魔導器が開発されたのは、驚くべき事に魔導映写盤(マギ・テレビジョン/テレビ)の普及よりも後の事になる。
聖華暦700年代中期に魔導映写盤が開発され、娯楽として記録映像を見る為の魔導器として世に広まる。
当初のこれは、あくまで大掛かりな記録装置に記録されて配給された映像を、ただ単に再生するためだけの道具であった。
だが後に通信放送の技術が熟するに従って、放送局から各魔導映写盤への一方通行の映像放送が可能になる。
まあ雷魔法の応用で電波を飛ばす技術は難易度が高く、例えば首都の放送局であれば周辺都市が精一杯であったが。
当初のこれは、あくまで大掛かりな記録装置に記録されて配給された映像を、ただ単に再生するためだけの道具であった。
だが後に通信放送の技術が熟するに従って、放送局から各魔導映写盤への一方通行の映像放送が可能になる。
まあ雷魔法の応用で電波を飛ばす技術は難易度が高く、例えば首都の放送局であれば周辺都市が精一杯であったが。
ここで問題となったのは、音声であった。
音声を放送する事は、映像を放送する事よりも難易度は低いとは言え、その仕組み的には大きく異なる物であったのだ。
魔導映写盤の技師たちは、微妙に畑違いの研究に四苦八苦する事になる。
音声を放送する事は、映像を放送する事よりも難易度は低いとは言え、その仕組み的には大きく異なる物であったのだ。
魔導映写盤の技師たちは、微妙に畑違いの研究に四苦八苦する事になる。
しかしこの時、聖華暦796年において、音録魔導器の記録装置部分がカセット式のカートリッジに変更されるという出来事が起きる。
このカセットは、音声における空気の波を風魔法で分析し、雷魔法を応用して磁気データに変換して記録する物だった。
このカセットは、音声における空気の波を風魔法で分析し、雷魔法を応用して磁気データに変換して記録する物だった。
この音声を磁気データに変換し、更には磁気データから音声を再生するシステムを応用する事で、磁気データではなく電波に変換したりその電波を音声に変換する機構があっさりと完成する。
そして聖華暦800年代初頭には、放送局のある都市とその周辺都市限定ではあっても音声付きの映像放送が、当たり前の様に見られる事となった。
そして聖華暦800年代初頭には、放送局のある都市とその周辺都市限定ではあっても音声付きの映像放送が、当たり前の様に見られる事となった。
話を聖華暦797年まで戻す。
この時ある技師が、『映像を乗せた電波信号よりも、音声のみを乗せた電波信号の方が、減衰せずに遠くまで届く』と言う事に気付く。
それはそうだろう、どんな信号でも複雑な波形を持っていればノイズが混ざりやすく、ちょっとでも減衰すれば信号の復号は難しくなるのだ。
この時ある技師が、『映像を乗せた電波信号よりも、音声のみを乗せた電波信号の方が、減衰せずに遠くまで届く』と言う事に気付く。
それはそうだろう、どんな信号でも複雑な波形を持っていればノイズが混ざりやすく、ちょっとでも減衰すれば信号の復号は難しくなるのだ。
しかし単純な信号であれば、ある程度ノイズが混じっていても、ノイズを除去した結果の減衰は最低限に抑えられると言う物だ。
つまり音声のみの放送であれば、放送局のある都市の周辺都市だけでなく、更に遠くにも放送を届ける事ができるのだ。
そしてこの技師は友人と語らい出資者を募り、音声『のみ』の放送局を立ち上げた。
つまり音声のみの放送であれば、放送局のある都市の周辺都市だけでなく、更に遠くにも放送を届ける事ができるのだ。
そしてこの技師は友人と語らい出資者を募り、音声『のみ』の放送局を立ち上げた。
聖華世界における、ラジオ局の始まりである。
このラジオ放送は、放送設備も映像放送よりずっと手軽にできる。
その上、受信機である音受器も非常に安価に簡単に小型に造る事が可能で、しかも持ち主の魔力で駆動してもほとんど疲労せず、あげくにかなり広いエリアまで電波が届くのだ。
まあ、流石に隣の国まで届くほどではないが。
その上、受信機である音受器も非常に安価に簡単に小型に造る事が可能で、しかも持ち主の魔力で駆動してもほとんど疲労せず、あげくにかなり広いエリアまで電波が届くのだ。
まあ、流石に隣の国まで届くほどではないが。
そんなわけで、音受器はあっと言う間に広まった。
蒸気車両の運転手など、運転席に音受器を持ち込んで音楽放送を聞いている事も珍しくない。
特に、都市から遠くの辺地にて働く必要のある者たちにとっては、貴重な娯楽となっている。
蒸気車両の運転手など、運転席に音受器を持ち込んで音楽放送を聞いている事も珍しくない。
特に、都市から遠くの辺地にて働く必要のある者たちにとっては、貴重な娯楽となっている。