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相入れぬモノたちへ

最終更新:2023年08月17日 13:42

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相入れぬモノたちへ


アルカディア帝国。魔法と魔力に満ちたこの世界でカーライル聖王国と人類社会を二分する大国家だ。
 その帝国において影で活動する公安組織、帝国軍公安第三特務部隊において……今、一人の男にある重大な任務が任されようとしていた。


「バフォメティアン……ですか」

 公安第三特務部隊の隊長、エルドレッド・ブレスの執務室。長い金髪の、騎士を思わせる凛々しい顔立ちの青年はそう呟く

「ああ、その通りだ。
 魔獣の肉を喰らい、進んで悍ましい異形と成り果てるカルト宗教だ」

 執務室の机の上で手を組んで彼を見据える、清廉潔白が制服を着たような男。彼こそがエルドレッド隊長、その人だ。

「そのような物、帝国内に入らないよう防疫課が動いてはいるが……カルトは質の悪い伝染病のようなものだ。
 ……国内のある地域でも、隠れ潜むバフォメティアンらしき存在と小規模の拠点が発見された。君の任務はその調査と──そして殲滅だ、セリエス・アークブラッド」

 青年、セリエス・アークブラッドは深々と一礼し、返答する。

「承知しました。我が身に代えてでも、その任務──果たしてご覧に入れます」

 エルドレッドは頷く。

「期待しよう、第三特務部隊の若き一員よ。
 そして……これはテストでもある。聖王国を裏切った君が、我が帝国の役に立てるかどうか。──せいぜい裏切ってくれるなよ」

 最後に言われた、冷酷な一言。その裏に隠された意味も……セリエスは理解していた。




 ────

 彼が受けた、カルト組織『バフォメティアン』の討伐。
 情報によればその存在は帝国領の一つ、ジルベール領に位置するノーアトゥンと呼ばれる町で確認されたようだ。

(……ここが、ノーアトゥンか)

 マントを羽織り、旅人のような格好に扮した姿でセリエスは町に入る。
 この町はアルカディア帝国の外れ、そして聖王国とは別の、その他複数の小国家の複合体で構成された連合国……自由都市連合と西シェラマドナ山脈を挟んで位置する、山と山を分断する渓谷の入り口に建てられた国境の町だ。
 この町の近くに、カルト組織バフォメティアンが潜んでいると言う。

(奴らの討伐。それが三特に入った私に与えられた、初めての任務だ。
 故に……失敗すれば後がない。故郷を捨て、帝国に来た私の存在が認められるために必ず果たしてみせる)



 セリエスは町に入り、自らの目で実情を確認する。
 ノーアトゥンは国境近くにある町のため、出入国する旅人や商人の出入りが多い。そのためにメインストリートなどでは外の国からの商品を扱い賑わう、活気のある町であった。……とても怪しい団体が潜んでいるとは思えないほどに。
 セリエスは町の人々に事情を確認する。

「この町か。俺も来たばかりだが、活気はあって楽しい所だと思うぜ」

「私も商人として少しノーアトゥンで留まっているのですが、あまり周りには知られてはいないのものの……最近妙な団体を見たと、そんな噂が流れているみたいです。
 詳しくは町の住民に聞いてみては?」

「……全く、あいつらと来たら、町外れの北の洞窟に勝手に住み着きやがって。俺の知り合いが様子を見に行き、怪物のような人間が何人もいたと話していた。
 町の心象が悪くなるからなるべく話さないようにはしているけどよ、早くどうにかしてもらいたいな」



旅人、商人、町の住民など複数の人間に聞き取りを行い、どうやらバフォメティアンと思われる団体は町の中ではなく外れの……洞窟に隠れているらしいと知った。

(やはりそう言う事か。今夜中にでも洞窟に向かい、必要なら指令通り討伐すればそれで済む)

 いくら町外れでも日中に決行するのは不味い。夜になるまで待つしかない。だが……。

(夜になるまで、まだ時間がかかる。適当に時間を潰すしかないが……どうするか)

 セリエスは考えながら町の通りを歩く。
 すると、そんな彼の向こう側から七才くらいの白いワンピースの少女が、両手に数十本の花を握って駆けて来る。

「──おっと!」

 少女は彼とぶつかって尻もちをつく。持っていた花も落としてしまい……それに気づいたセリエスは落とした花を拾い直して、少女に手渡す。

「ぶつかってすまない。……これは君の花、だろう?」

 少女は花をセリエスから受け取り、にこやかに笑顔を向ける。

「ありがとう、お兄ちゃん!」

「……礼を言われるほどじゃない。君に気づかずぶつかったのは、私だからね」

 セリエスも同じように笑顔をなげかけた。

「ねぇねぇ、お兄ちゃんは旅人さんでしょ?」

「それは……」

「良かったらお兄ちゃんのお話、私に聞かせて。だってこうして会えたのも、縁だって思うから」

 そんな少女からの案。考えはしたが……実際、他にすることはなく時間も余っている。
 セリエスは分かったと頷き、彼女に応える。



 ノーアトゥンの一画、その小さな公園でベンチに座りセリエスと少女は話をしていた。
 セリエス自身のこと……少女は驚きの様子を見せる。

「えっ!? お兄ちゃん、本当は聖王国の騎士さまだったの?」

「恥ずかしながら……ね」

 彼は自分の身の上の話を少女に話していた。当然自分の事など話すのは普通あり得ないことだが、彼女に強く求められ……それに相手は純粋な幼い子。かつて騎士だったセリエスにとって、断りきれなかったのだ。

「カーライル聖王国は、清廉潔白な素晴らしい国だと信じ私は忠誠を誓った。……が、それはまやかしに過ぎなかった。
 聖導教会の連中が権威を傘に国の私物化、権力を我が物のようにして私欲を満たす醜いものだった。私は……そんな国を見限り、帝国に来た」

「大変……だったんだね」

 少女からの優しい言葉。セリエスはそうだな……と呟く。

「私の考えは間違っていなかった。確かに帝国にも問題はある。だが……神の下平等などと、偽りで飾った聖王国とは違い帝国では皇帝と言うただ一人の至高の人物の下支配が行われている、それには偽りがない。
 ……ずっと願っていた、全てが平等で平和な世界を。帝国が聖王国、同盟を支配し全人類を支配すれば……全て理想通りとは行かないまでも、最も理想に近い形だ。だから私は──」

 恐らくはセリエスにとって初めて言うであろう本音。少女はそれを聞いて、優しくほほえみかける。

「私と──同じだね」

「……えっ?」

 思いもよらない言葉にセリエスは驚く。そして少女は続ける。

「私もみんなが平等に、平和でいたらいいなって心から思っているの。だって、そうすれば誰もが幸せになれるから。……その方が素敵だから」

 少女が語る純粋な思い。瞳もきらきらと輝いていて、セリエスも思わずはっとなる。

「私だけじゃないの。いっしょにいる『みんな』だって同じ願いを持っているんだ。
 だからセリエスさんの想いも、応援しているわ」

「……!」

 彼もまた何か言おうとした。しかし、少女は花を握って

「あっ……ごめんなさい。みんなを待たせているから、私は帰るね。
 この花もみんなにプレゼントするためにとって来たの。……セリエスさんにもあげる」

 そう言って、彼女はさっきまで座っていたベンチに花を一本置いて、セリエスの前から走り去った。

「彼女の名前……聞いていなかったな」

 彼はそう呟いて少女が残した、白い花を手にとり……大事そうに懐に入れる。
 自分の想いに共感してくれた。そんな相手がいてくれた事、セリエスは嬉しく思ったのだ。

(あの少女の望む、平等で平和な世界。俺が叶える力となる。その為にも──)

 途端、セリエスの表情が鋭く、厳しいものになる。

(異形のカルト……バフォメティアンを殲滅し、帝国に私の力を認めさせる)

 例え手を汚してでも……これが彼の決意だ。



────

 そして……夜。町を少し離れた岸壁に空いた洞窟。
 住民は恐れて近づきもしないこの場所には、人と怪物の交じった化け物が住むと言う。

「……あれが、バフォメティアンか」

 草陰に潜み様子を伺うセリエス。洞窟の入り口には、門番を思わせる二人の人物が守っていた。
 どちらも人型ではあるが、頭には角が生えて四肢と手足は大きく、全身に赤黒い鱗が生えた化け物のような姿。

(人でありながら魔獣に堕ちた、哀れな存在か。……介錯するのがせめてもの情けか)

 だが、セリエスはその前にあるものを取り出す。

(バフォメティアンの体液は人間に感染し、同じように化け物と化す恐れがあると。だからこそ任務を受ける際に渡された専用の装備を……身につける必要がある)

 事前に用意された黒い手袋と、そしてゴーグルと呼吸用のフィルターがついた、ガスマスクを思わせる装備。彼はそれを両手、頭に装着する。

(やはり手の感覚に違和感があるのと、視界が狭まるのが厄介だ。だが私の腕なら問題はない!)


 準備は済んだ。セリエスは異形の門番が守る洞窟の入り口に姿を見せ、剣を構える。

「……やぁ。こんな場所に客人とは珍しい。みんな私達を恐れているようで誰も訪れようとしないのですよ」

 だが、そんな彼に対して門番は親切そうな口調で声をかける。

「そんな危ないものを持って、争いなど無益ですよ。それよりも……さぁ、中に入って仲良くしましょう。仲間もきっと大喜びですよ」

 異形の姿に似合わず、平和的な態度の彼ら。もしかすると無害であるかもしれない……が。


 ザシュッ!

「──かふっ!」

 セリエスは有無を言わさず、傍にいた門番の一人を剣で貫いた。傷口から赤黒い血を流して倒れる。残ったもう一人の門番は驚愕した。

「な……何をするんですか? こんなこと、止めてください」

「私の任務はバフォメティアン、お前たちの討伐だ。
 例え人に害を及ばす気がなくとも、平和で過ごしていようと、お前たちのような魔獣に堕ちた存在をこの世界にはびこらせておくわけにはいかない。
 帝国のために……一人残らず消えてくれ」

 彼は迷うことなく自分たちを殲滅する。門番もそれを悟り、先程の友好的な態度はかき消え……鋭い爪が生えた両腕を振るい襲いかかった。
 攻撃を剣で防ぐセリエス。しかし、異形と化したその力は強力だった。

(人間を超えた……魔獣の力、か。やはり強い力だ。──だが!)

 一瞬、後ろに下がったかと思えば素早い勢いで剣を横薙ぎに繰り出す。
 かつて騎士だったセリエスの鋭い剣裁き。門番は胴に深い一撃を受け、赤黒い血を吹き出して倒れる。

「……成る程。バフォメティアン……厄介な存在だ」

 禁じた理由も分かる。この存在が帝国国内に存在する事は、いわば獅子身中の虫……人民と国を脅かす害になる。

(だから私は……全て倒す。だれ一人として残すものか!)



 ────

 洞窟に入り、セリエスは容赦なく他のバフォメティアンも、次々と始末していった。
 魔獣の肉を喰らい、変質した存在。戦うもの、逃げようとするものも関係ない。男も、女も、老人も……子供さえも。バフォメティアンと思われる人間は全て始末した。

「……これで全員か」

 辺りには血を流して倒れる数人のバフォメティアン。セリエスも返り血を浴びて服も、剣も赤黒く染まっていた。

(くそ……っ)

 いくら怪物だろうち、無抵抗な者まで手をかけた。何も感じないはずもなかった。けれど……泊まるわけにはいかない。

「私は……私の信じた道を、貫くだけだ」

 確かにバフォメティアンは殆ど始末した。……だが。

(あと一体、気配を感じる。……この場にいた誰より、魔獣の気配が強い個体だ)

 最後のバフォメティアンの気配は洞窟のさらに奥から、セリエスの方に大きな足音を響かせて近づいて来て来る。
 彼の姿を覆うほどの大きな影、現れたのは……全長四メートルを超える巨大な爬虫類の、怪物だった。

(魔獣との親和性が強い個体。……もはや完全に魔物、そのものと化したか)

 バフォメティアン……いや、魔獣は同胞を殺された怒りの目でセリエスを睨み、突進を仕掛ける。
 セリエスは横に飛び退く。が、魔獣は長い尾を振るい、彼を弾き飛ばした。

「くはっ!」

 一撃を受けて彼は呻く。巨体による力に加えて俊敏性も高い。気を抜けば確実に、やられるのはセリエスの方だ。

「……化け物め」

 剣を構えて魔獣に迫る。振るった一撃は魔獣の胴体を切り裂き、傷をつける。魔獣は鋭い叫びを上げて前脚の爪で反撃を繰り出す。 
 太い前脚で振るわれる連撃。その威力は周囲の岩壁を粉砕するほどだ。

(傷を受けて怒り狂ったか! 本当に獣そのものだ。……だがまずいな)

 思わずセリエスは退避するが、魔獣は凄まじい勢いで突進して来る。その体当たりも洞窟を崩すほどの勢いで、下手をすれば洞窟全体が崩落して彼もろともに生き埋めになりかねない。

(だが、人間としての理性のない獣なら──それなりの戦い方がある!)

 セリエスは洞窟を走り、そして……ある岩壁の前にたどり着き、迫る魔獣を待ち構える。
 彼に猛烈な勢いで突撃しようとする魔獣。このままだと壁に押し潰される……が、彼は限界近くまで待ち構える。そして──。
 寸前でセリエスは走り避けた。巨体を持つ魔獣は勢いのまま岩壁に衝突、そして衝撃で天井が崩落し……瓦礫に押し潰された。


(天井が崩れそうな場所におびき寄せ、崩落で押しつぶす。……上手く行って良かったな)

 魔獣は下半身が押し潰され、口から血をこぼして力尽きようとする。これでバフォメティアンは全てセリエスの手により始末された。彼の任務もこれで完了だ……しかし。

「……さん」

 小さく、声がした。
 見ると魔獣……いや元は人だったバフォメディアンが何か最後に呟こうとしていた。うわごとのようで上手く聞き取れないが、こう……言っていた。

「……エス、さん。……は……な。……せつに…………て、くだ……さい、ね」

 言い終わると同時に、最後のバフォメティアンは完全に力尽き、動かなくなった。
 これに、セリエスはある事を悟ったようにして……。

「……そうか、私は──」



 バフォメティアンが住んでいた、洞窟。
 そこから出たセリエスは被っていたマスクをとり、振り返って眺めた。洞窟の中からはバフォメティアンの遺体を集めて火をつけて、燃やした炎の明かり、そして煙がもくもくと空へとのぼる。

「……」

 夜は明けようとして、薄明るい空に上る煙。まるでそれは彼らの魂が天に還ろうとしているように……。
 セリエスは一瞬そう思った。が、すぐにくだらない思い込みとでも言うように首を横に振り……そして去って行った。


────

「ご苦労、セリエス。ノーアトゥンに潜んでいたバフォメティアンの殲滅を、見事に完遂したようだな」

「……はい」

 任務を完了したセリエスは第三特務部隊の隊長、エルドレッド・ブレスのもとに報告に訪れた。

「例え聖王国を裏切った身だろうと、有能な者は歓迎しよう。改めてようこそ、帝国軍公安第三特務部隊へ。
 具体的な配属先は後日連絡する。しばらくは……ゆっくりと休むといい」

 セリエスは一礼し、エルドレッドの執務室を後にする。



 部屋を出て廊下を一人歩くセリエス。……彼は一人立ち止まり、懐から何かを取り出す。
 それはノーアトゥンで少女にもらった、あの白い花だ。

「…………くっ」

 少女は、彼と同じく平等で平和な世界を望んでいた。彼女の言っていた『みんな』もまた、同じ願いを抱いていた。だが……例えセリエスと願いは同じだったとしても、そのやり方は彼とは──いや、『人間』として相容れないものであった。
 故に、当然の結末。仕方のないことは彼も分かっていた……が。

「……すまない」

 セリエスは一人つぶやき、花を再び懐に戻す。
 自らの望む、理想。それを果たすために帝国に忠誠を誓おう。彼は改めて自身に誓う。
 それがあの少女達の犠牲を……無駄にしないためと信じて。








修正その①

────

 そして……夜。町を少し離れた岸壁に空いた洞窟。
 住民は恐れて近づきもしないこの場所には、人と怪物の交じった化け物が住むと言う。

「……あれが、バフォメティアンか」

 草陰に潜み様子を伺うセリエス。洞窟の入り口には、門番を思わせる二人の人物が守っていた。
 どちらも人型ではあるが、頭には角が生えて四肢と手足は大きく、全身に赤黒い鱗が生えた化け物のような姿。

(人でありながら魔獣に堕ちた、哀れな存在か。……介錯するのがせめてもの情けか)

 だが、セリエスはその前にあるものを取り出す。

(バフォメティアンの体液は人間に感染し、同じように化け物と化す恐れがあると。だからこそ任務を受ける際に渡された専用の装備を……身につける必要がある)

 事前に用意された黒い手袋と、そしてゴーグルと呼吸用のフィルターがついた、ガスマスクを思わせる装備。彼はそれを両手、頭に装着する。

(やはり手の感覚に違和感があるのと、視界が狭まるのが厄介だ。だが私の腕なら問題はない!)


 準備は済んだ。セリエスは異形の門番が守る洞窟の入り口に姿を見せ、剣を構える。

「……やぁ。こんな場所に客人とは珍しい。みんな私達を恐れているようで誰も訪れようとしないのですよ」

 だが、そんな彼に対して門番は親切そうな口調で声をかける。

「そんな危ないものを持って、争いなど無益ですよ。それよりも……さぁ、中に入って仲良くしましょう。仲間もきっと大喜びですよ」

 異形の姿に似合わず、平和的な態度の彼ら。もしかすると無害であるかもしれない……が。


 ザシュッ!

「──かふっ!」

 セリエスは有無を言わさず、傍にいた門番の一人を剣で貫いた。傷口から赤黒い血を流して倒れる。残ったもう一人の門番は驚愕した。

「な……何をするんですか? こんなこと、止めてください」

「私の任務はバフォメティアン、お前たちの討伐だ。
 例え人に害を及ばす気がなくとも、平和で過ごしていようと、お前たちのような魔獣に堕ちた存在をこの世界にはびこらせておくわけにはいかない。
 帝国のために……一人残らず消えてくれ」

 彼は迷うことなく自分たちを殲滅する。門番もそれを悟り、先程の友好的な態度はかき消え……鋭い爪が生えた両腕を振るい襲いかかった。
 攻撃を剣で防ぐセリエス。しかし、異形と化したその力は強力だった。

(人間を超えた……魔獣の力、か。やはり強い力だ。──だが!)

 一瞬、後ろに下がったかと思えば素早い勢いで剣を横薙ぎに繰り出す。
 かつて騎士だったセリエスの鋭い剣裁き。門番は胴に深い一撃を受け、赤黒い血を吹き出して倒れる。

「……成る程。バフォメティアン……厄介な存在だ」

 禁じた理由も分かる。この存在が帝国国内に存在する事は、いわば獅子身中の虫……人民と国を脅かす害になる。

(だから私は……全て倒す。だれ一人として残すものか!)


修正その②


 ────


(天井が崩れそうな場所におびき寄せ、崩落で押しつぶす。……上手く行って良かったな)

 魔獣は下半身が押し潰され、口から血をこぼして力尽きようとする。これでバフォメティアンは全てセリエスの手により始末された。彼の任務もこれで完了だ……しかし。

「……さん」

 小さく、声がした。
 見ると魔獣……いや元は人だったバフォメディアンが何か最後に呟こうとしていた。うわごとのようで上手く聞き取れないが、こう……言っていた。

「……エス、さん。……は……な。……せつに…………て、くだ……さい、ね」

 言い終わると同時に、最後のバフォメティアンは完全に力尽き、動かなくなった。
 これに、セリエスはある事を悟ったようにして……。

「……そうか、私は──」



 バフォメティアンが住んでいた、洞窟。
 そこから出たセリエスは被っていたマスクをとり、振り返って眺めた。洞窟の中からはバフォメティアンの遺体を集めて火をつけて、燃やした炎の明かり、そして煙がもくもくと空へとのぼる。

「……」

 夜は明けようとして、薄明るい空に上る煙。まるでそれは彼らの魂が天に還ろうとしているように……。
 セリエスは一瞬そう思った。が、すぐにくだらない思い込みとでも言うように首を横に振り……そして去って行った。
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