沿革

フィレーンは、魔動機文明の成立と共に建国されたリーフォンツヴァイ王国の国土の中で、特例的な措置として旧文明の魔術師たちが集められた町です。
魔術師たちはこの町の中でのみ自由な生活を許されていました。
町の外に出るには許可が必要であり、魔動機文明という技術からある程度隔離された生活を送りました。
また、隔離されていると同時に、魔法王国時代の文化や技術を継承することを許され、国家から保護された生活を送りました。
こうした措置が取られていたのは、フィレーンには大陸最大の魔剣の迷宮「メガタワー」が存在したからです。
この巨大迷宮を攻略するためには、いたるところに設置された魔法の扉や、強大な魔力をぶつけて中和する魔法障壁などの突破が必須で、
そうした魔法の関門はマギスフィアをマナの媒介とする魔動機術では反応せず、
また魔法についての深い知識を問われるリドルは魔法文明時代の事柄に関するものばかりで、新時代の技術とは無関係な専門用語が並ぶものでした。
そのために魔術師たちの技術や文化がそのまま保存される必要があったのです。

フィレーンの魔術師たちは新たな文明の中で生存を続けるために、人々から忌避される「穢れ」に関係する魔法を捨て去り、
操霊魔法の多くを真語魔法と同時に学ぶ「古代語魔法」という形に改めました。これをハイ・ソーサラー技能と呼び、ウィザードとは似て異なる存在です。

蛮族との戦争が始まると、魔動機文明の人々もフィレーンの魔術師たちを隔離した存在としておく余裕が無くなりました。
フィレーンの魔術師たちも、長らく祖先から継承されてきた力を示すのは今だとばかりに積極的に戦争に尽力し、
蛮族戦争を通して魔動機師と魔術師の交流はおおいに深まっていきました。

現在ではリルヴァンの領土の中で独立した統治権を維持しており、魔術師たちが町の外に出るための許可も特に必要無くなっています。
メガタワーという攻略目標があるので辺境の地に出て行く事もなく、「町が独立した統治権を有する」という事以外には領土問題で他国と争う事もなく、
フィレーンの住民は町の中だけで満足した生活を送っています。

地図

地図の1マスは5km四方で、一般的なキャラクターは徒歩で1時間に1マス移動できるものとします。
(徒歩で時速5km。移動速度14=通常移動60分で5040m。より詳しくは基本ルール-巡行移動を参照してください)
騎獣や乗り物で移動する場合、1時間に、馬車で3マス(馬車の護衛を徒歩でしているのなら1マス)、馬で6マス、魔動バイクで10マス進めます。

位置は騎士の国リルヴァンの地図で示されているのと同じ場所です。
フィレーン以外の町についてはリルヴァンのページを参照して下さい。

A.魔法使いの町フィレーン

都市の規模は「大きな都市」にあたります。

魔法文明時代の魔術師たちの末裔が多く暮らしている町で、中には魔法王エルドリックの血を受け継ぐとする家系も存在します。*1
魔法文明の文化を色濃く残した町並みが特徴ですが、魔動機文明の便利な道具も取り入れられた、折衷的な装いを見せています。
町の住民が使用する言語は「魔法文明語」で、この難解な言語を日常的に使いこなすことは古来から受け継いできたフィレーンの人たちにしかできず、
他の町の人には不可能と言われています。
他の町の人と会話するために魔動機文明語を覚える*2住民もいますが、その発音は一転して非常にぎこちなく「機械よりも機械的なしゃべり方」とさえ言われます。

町を統治するのは国王ではなく「評議会」という略称で呼ばれる組織*3を動かす数名の高位魔術師たちですが、
彼らはそれぞれ自分の魔法実験や魔剣の作成、迷宮探索に没頭しており、
責任者が一人ではなく複数の評議員で運営されているのも「自分以外の誰かがなんとかするだろう」と全員が考えているからです。
(そして、たいていの問題はそのうちの一人が動けば解決してしまいます)
評議員たちは議会の場にはテレポートで現れ、おおむね5分以内で終わる議題を終えるとすぐにテレポートで去って行きます。*4

町自体がメガタワー攻略のために存在するため、魔術師たちは研究するだけでなく実戦の機会を重んじます。
魔術師が迷宮を攻略するためにはファイターやスカウトやプリーストの協力や連携が不可欠になるという事もよく把握しており、
魔法学園と隣接・提携する形で冒険者養成学校が存在するほどです。*5
この冒険者養成学校では様々な技能を個別に習得するだけでなく、魔法戦士のような複合的な技能の使い方や、
実際にパーティーを組んで町の外まで演習に行ったり魔剣の迷宮の浅い階層に挑むという訓練を行っており、*6
個人技だけでなくパーティーとしての戦い方を学ぶことができます。*7

蛮族戦争が人族の勝利で終わった後、戦功を望む戦士や騎士たち、冒険者たちの向かうところは辺境の地か、もしくはフィレーンのメガタワーに集中するようになりました。
そのため様々な国から人が集まるようになり、魔法文明と魔動機文明の交流も盛んになっています。*8
多くの騎士たちや冒険者たちが集まる割には、町を襲ってくる勢力が近くにあるわけでもなく、町の住民は非常にのんびりとした性質で暮らしています。
他の町から来た冒険者たちはもちろん、町に住んでいる魔術師たちも騒動の種を作りながら日々を送っていますが、あまりに騒ぎが多いために少々の事では動じなくなっており、
本当に大事件が起きたときの底力は、町に住む魔術師全員の自信と誇りが担っているのです──我らは神王エルドリックの末裔なり、と。

A.メガタワー

メガタワーは魔法文明時代に神となった魔法王エルドリックが建設したと言われ、
ひとつの大きな魔剣の迷宮である塔の上に、二重にも三重にも新たな階層が積み重ねられ、塔の横にも別棟が増えていき、
いつのまにか地下の階層まで確認されるようになったという構造を持っています。
最初からひとつの建築物として造られていたわけでは無いことは確かで、そのために内部の構造は複雑極まりなく、常識的な建築方法をされていません。
そもそも内部構造が自然な物理法則をねじまげて魔法的な繋がりで連結しているらしく、ある区画を探索していたら途中から全く別の特徴を持つ区画に出たり、
階層の上下が無茶苦茶に繋がっていたり、塔を外から見ると120階建てに見えるのですが170階以上続いていることが判明しています。
メガタワーに挑戦した魔術師の一人が、厳密に正確な地図を作ってみたら、「現在地点が明らかに塔の範囲外の空中に位置している事が分かった」という逸話もあります。
フィレーンの町自体が巨大迷宮メガタワーの一部であるという説もあり、「朝起きたら自宅が迷宮になっていた」という事件が年に2~3度は起きています。

このメガタワーから発見される魔剣はとてつもない数に渡っており、どれだけ発見すれば採り尽くすことができるのか想像もできません。
すでに調査・発掘済みであるとされる場所から別の魔剣が現れる事もあり、この地で神となった英雄たちが様々な魔剣を創り出しては
メガタワーの中に放っているのではないかとも言われています。
そんなメガタワーの最深部にあると噂される、「エルドリックが最初にメガタワーを建造した時の魔剣」がいったい何であるのかは分かっていません。
一説にはエルドリックが神になった時に用いた魔剣であるとも、神が用いるための超魔剣であるとも、始まりの剣のひとつであるとも、様々な推測が為されています。
また、実は最終到達点となる魔剣は存在せず、メガタワーは魔術師たちの修行のための迷宮であり、魔術師たちの成長そのものが迷宮の存在意義なのだという説や、
メガタワーは神となったエルドリックが魔剣創造を行っている研究所であり、最深部に辿り着けば神と出会うことができるという説もあります。

B.アクアドラゴン湖

フィレーンの町の北に位置する巨大な湖で、水龍が住まうという伝説を持っています。
その伝説を確かめるため多くの魔術師たちが湖を訪れ、エルフの魔術師が実際に湖の中まで潜って探索を続けていますが、
湖が広大すぎて容易に真相は明らかになりません。
しかし探そうとしても見つかりませんが、「偶然ドラゴンに会った」という報告事例はいくつもされています。
その中には虚偽であると判断されたもの、ドラゴンから渡されたという非常に強力な魔剣を持ち帰ってきたもの、以前の報告例とは違うドラゴンに会ったというもの、
様々な内容があるために伝説の解明はいまだに成し遂げられてはいないのです。

町から徒歩約1時間と適度な距離にあるため、冒険者養成学校の実習に用いられています。
生徒たちの慣例として、度胸試しに龍の湖に潜ることになっています。そこで奇跡的な体験をする生徒が現れるかもしれません。




最終更新:2015年01月29日 20:50
添付ファイル

*1 嫡流だけでなく、傍系や親戚も多数存在しており、それぞれ優秀な魔術師たちを輩出しています。

*2 リアクレイス大陸には交易共通語は存在しません。人間の共通言語は魔動機文明語であり、エルフやドワーフやグラスランナーはそれぞれの言語が日常語になります。

*3 名前は「フィレーン町評議会」であったり「賢者の学園」であったり「フィレーン魔法学園」であったりと一定しません。その時々で適当な名が付けられることもあり、「評議会」のまま実行されることさえあります。

*4 つまり、全員が13レベル以上のハイ・ソーサラー技能を持っています。15レベルの人物はおらず、最高でも14レベルです。

*5 他の町には冒険者養成学校は存在しません。普通の国は、「国営の戦闘員訓練機関」は、軍隊であるためです。フィレーンには軍隊を持つ権限が与えられなかったため、犯罪抑止や治安維持のために自警団的な組織が発達しました。

*6 このため、「新しい迷宮を作る」という魔術師の需要が発生し、ダンジョンマスターを目指す魔術師たちが日々研究を重ねています。

*7 ゲーム上では、この冒険者養成学校の日々をセッションとして用いることができるでしょう。また、卒業生という設定のキャラクターは、経験点3000+2000点や、3000+4000点で作成することができます。

*8 他の町から訪れる騎士や冒険者は、メガタワーで得られる財貨や魔法の品々をそれぞれの本国に持ち帰り、フィレーンの魔術師たちの研究成果を盗み取ることも目的としていますが、魔術師たちは鷹揚に迎えています。実力で持ち帰ることができるなら彼らの正当な取り分であること、門戸を開くことで友好が保てること、そして自分たちの魔術は簡単に真似できるものではないという自負があるためです。