沿革
リルヴァンは100年以上に渡って対蛮族戦争の最前線であり続け、最も多くの被害を受け、最も多くの手柄を得た国です。
このため、人族の国家の中では最も蛮族に対して強硬的な軍事国家です。
人族の国家の中では最強の軍事力を持ち、その力を背景にして他国に高圧的な態度で迫ることも珍しくなく、
10年前の大戦の勝利にからその傾向はさらに強まっています。
豊かで平和な隣国
アルテルとは国境問題で揉めており、領内にある独立都市
フィレーンの魔法使い達には魔術の奥義を供出するように求め、
蛮族戦争に協力的でない遠国
クレプサイドには援兵を義務化するように要求し、
戦争をするだけの国力を持たない
ナルドールは存在しないかのように振る舞っています。
こうした態度での外交政策のため、他国からは快く思われていません。
他の国はどこもリルヴァンの軍事力に依存しきっており、蛮族の侵攻から身を守るためにはリルヴァンの存在が不可欠なのだとは理解しているため
面と向かって反対する国はありませんが、「最も危険な事は全てリルヴァンだけにさせる」という形で国家間の連携が成り立っています。
そのような外交情勢について、「人族全体が戦わねばならないのに、リルヴァンだけに戦いを押しつけて遊び暮らしている隣国たちが非協力的なため、
リルヴァンは不当な犠牲を被っている」と認識しており、
宮廷の中では「人族全体の戦力集中と蛮族戦争への意思統一のため、蛮族と戦うよりも先に人族の国家を統一すべき」という意見すら存在します。
反対に、「他国との友好関係を重視すべき」という意見を持つ貴族や大臣も存在しますが、
それは「諸外国がリルヴァンの意見を最優先にして国政を行うようにするべく、外交努力をすべき」という意味です。
しかし、ただ横暴なだけではなく、軍事に長けているだけに、戦訓を分析して彼我の力を冷静に計算するだけの知恵も備えており、
現在の国力では大規模な軍事行動を起こしても戦果は得られないと認識しています。
そのために富国強兵に励んでおり、冒険者の中で十分な強さと実戦の経験を持つ者は兵士として登用される事もあります。
さらには
名誉点が高ければ貴族の爵位を得る事も不可能ではなく、戦いと冒険の果てに実力で貴族の地位を得るという形で冒険の旅を終えることもあるでしょう。
そして、それは安穏な生活が待っているのではなく、十数年後には新たな戦争の一翼を担う武将の中に加わることを意味しています。
有能であれば来歴を問われずに抜擢される代わりに、貴族や騎士であろうと強さを持ち得なければ爵位を維持することが許されず、
宮廷内の発言力も地位の高さではなく個人的資質が重視される気風を備えています。
貴族の師弟が身分を隠して(あるいは、公然と名乗って)冒険者として活動する事もあり、見事に蛮族を討ち取って名を挙げる者もあれば、
「高名な冒険者を配下として抱えていること」を自己の力量の証とする貴族もいます。
冒険者たちは、こうした貴族達の私兵となって放浪生活を終えたり、自らを鍛え上げようとする志ある貴族の子弟の保護を依頼されたりする事があります。
あるいは、PCが勇敢な貴族の少年であるかもしれません。
「穢れ」を持つ者に対しての取り締まりは厳しく、普通なら人族の国家の中で暮らしていけるとされるコボルドたちですら国内への立ち入りは禁止されています。
人族の中で生まれるナイトメアに至っては、生まれたら殺すよう法令で定められています。
これは、国内のいたるところに配置されている穢れに反応する魔法の警報装置の防衛網を阻害しないための措置であり、異を唱えることは同罪(=死刑)を意味します。
蛮族たちの間にもこの措置は知られており、「降伏を申し出るのならリルヴァン以外に」と言われています。
剣の貴族
リルヴァンの王族や貴族たちは皆、それぞれの家門に伝わる優秀な魔剣を所持しています。
それは、平和な時代に血筋や政略によって選ばれていた権力者達は蛮族との戦争によって皆死に絶えるか、能力の無さが浮き彫りになり、
代わって国家運営の実務を担うことになったのが、実戦を経て発言力を増した騎士階級出身の者や、
戦場で功績を挙げて国政の場に列席することを許された者たちであったからです。
150年前の蛮族戦争から時代は流れ、大規模な戦争を戦い抜いた者たちの世代から、その子へ、孫へと爵位は受け継がれていくものの、
家門と爵位を継承するための条件は「血筋を引くこと」や「長男であること」は重視されません。
彼らの家門を貴族の地位へと押し上げた魔剣の継承者となる事こそが貴族の地位の証であり、その習わしを誇りとして「剣の貴族」と呼ばれるのです。
そのため、地位の高い貴族はより優れた魔剣を持ち、その魔剣に認められた英傑ばかりが揃っています。
その家柄に生まれた子は、受け継がれてきた魔剣を継承するべく修行に励み、戦場に立って戦います。
貴族でありながら市井の冒険者の中に混ざって実戦の体験を積むことも珍しくありません。
貴族位を継承するために兄弟で競い合う場合も、競争相手を追い落とすのではなく、自らの力量を向上させる事が正攻法として好まれます。
他の候補を暗殺したとしても、「他に継承候補が居ないために自動的に継承が決定した」という事にはならず、本人が魔剣に認められなければ家門が断絶してしまうからです。
卑劣な振る舞いをする者が魔剣に認められる真の貴族と言えるはずもなく、愚かな後継者候補によって使い手と認められる者がいなくなってしまい、
名誉ある貴族の家門は断絶、魔剣は地に潜り新たな使い手を求める事になる──といった悲劇も実際に起きてしまうのです。
そして、その魔剣に認められた新たな勇者が現れれば、断絶した大貴族と同じ地位に就任する事になるのです。
それは王家と言えども例外ではなく、かつて蛮族の襲撃から多くの人々を救い、国内で最強とされる魔剣が代々伝えられており、
魔剣を継ぐ者こそが国家を継ぎ、蛮族から人々を守る者として国民から慕われ、信頼される統率者の資格と見なされています。
このような気風を持つ国家であるため、冒険者たちが固有の魔剣を発見し、活躍ぶりが世間の評判となれば、貴族の地位を認められることも有り得ます。
リルヴァンとしても、有能な戦士たち、優秀な魔剣が国家の戦力として計算できる存在になってくれるのは大いに望むところです。
そして、強大な蛮族の支配者や、第二の魔剣の神と渡り合って勝利するような
超英雄が現れた時には、
人々の祝福のもとに王女と娶され、国王から王位を譲り渡される──そんな夢物語のような事が実際に起こる可能性があるのです。
地図
地図の1マスは5km四方で、一般的なキャラクターは徒歩で1時間に1マス移動できるものとします。
(徒歩で時速5km。移動速度14=通常移動60分で5040m。より詳しくは
基本ルール-巡行移動を参照してください)
騎獣や乗り物で移動する場合、1時間に、馬車で3マス(馬車の護衛を徒歩でしているのなら1マス)、馬で6マス、
魔動バイクで10マス進めます。
A.王都リルヴァン
南方をクロケット山脈で守られた軍事的な要衝で、100年以上に渡って人族の最終防衛ラインであり続けました。
政治・軍事の機能のほとんど全てが集められた中央集権的な体制で、他の町の富はことごとく最前線に集められており、
他の町は「リルヴァン王都に税を納めるために存在する、安全な後方生産都市」としか考えられていません。
国力を集中させている都市だけに防衛体制や都市整備は行き届いており、衛兵の警備や巡回も厳しいものになっています。
12歳以上の男子には兵役の義務が課せられており、戦時において市民が混乱をきたさないよう、
集団で統率が取れた行動が取れる規律、蛮族などに対する簡単な知識、剣や槍を用いた戦闘訓練などが行われています。
そのため、民間人であっても15歳以上の成人男性は
ライトファイター技能1レベル以上を有しており、
兵役を終えた成人男性は平時であってもショートソードの携行が許されています。
10年前の大戦の勝利と
辺境伯領の設置により、この都市は最前線ではなくなりました。
そのため、厳格であった士気や気風に緩みが生じがちで、将軍たちから懸念の声が上がっています。
B.ドールの町
大陸の東西を繋ぐヴァン街道、南北を結ぶクロン街道が交わる流通の重要拠点であり、大陸で最大の規模を持つ商業都市です。
東からの農産物、北からの海産物、西からの武具や銃弾や魔法の品、南からの蛮族領から得た戦利品など、
あらゆる品がこの町に集まり、あらゆる品がここから出荷されます。
この豊かな町の帰属を巡り、隣国
アルテルと激しく睨み合った事があり、今でも対立の根は深く残っています。
リルヴァン国にとっては、この町の経済力を失っては国家が維持できないので失うわけには行かないのですが、
ドールの町の住民たちは「最前線の国」であるよりも「平和で豊かな商業都市」の実情に合わせて
アルテルに組み入れてもらった方がより産業の発展を見込めると考えています。
また、産業・物流で上げた利益の多くは租税として首都に吸い上げられる体制や、
すぐ東にあるアルテル領
メイプルフォードの町で盛んなコボルド料理が禁じられていることについて、常に不満を抱いています。
C.ミロンの町
都市の規模は「
小さな町」にあたります。
クロケット山脈の東の果て、川沿いという防衛拠点に作られた、軍事要塞としての意味と
川を利用したアルテルからの物流を担う意味の両方を持った町です。
川の東側にある
ヴァウスの町は100年以上に渡って「蛮族の住むところ」であり、東側に見える人影は全て敵なのだという時代が長く続いたため、
東側が人族の領域となった今でも「東側に住んでいる者たち」への心理的な不安感は消えていません。
さらに、もう最前線ではなくなったという事で首都リルヴァンからの扱いが悪くなり、
アルテルから川を下って交易する商人たちも新領土開拓のために東側のヴァウスの町に向かうことが多くなり、
かつての軍事・物流面で重要な都市であったミロンの町は急速に寂れています。
こうした現状への不満が、首都に向けられたり、いまや味方陣営が占めている「川の東側の住人」に対する敵視に繋がっています。
D.ポイゴーニュの町
ドールの町の北方にある漁港で、クロン街道を通ってドールの町へ、また川を下ってアルテル領へと豊富な海産物をもたらしています。
蛮族が出没する事も無い平和な町で、それだけに対蛮族戦争のためと重い税金をかける国家に対しては良く思っていません。
住民はドールの町ともどもアルテルに帰属したいと考えています。
首都からは「大陸の端にある安全な生産都市。徴税官だけ置いておき、何事も起きなければそれでいい」としか考えられていません。
首都から派遣される徴税官の取り立ては厳しく、警備隊は蛮族への備えよりも住民の不満を力で押さえつけるのが仕事になっています。
E.アルフの町
「騎士の国」の騎士団を支える馬産地で、「戦士や将軍は他からでも得られるが、騎馬はアルフの町を失っては得られない」という重要拠点です。
大陸で最大のライダーギルドがあり、ライダーギルドを中心に存在する町と言っても過言ではありません。
ただし、騎馬隊を支えるために多くの馬が飼育されているというだけで、ワイバーンやドラゴネットが生息している地域ではありません。
良い馬は軍隊に優先的に回されていくため、冒険者から見れば他のライダーギルドとの違いはありません。
険しい山脈と砂漠に守られた安全な場所にあり、馬を守るため、また騎馬隊の訓練のために兵士が常駐しているため安全が守られている町ですが、
その反面、住民の生活は軽んじられる傾向にあります。「人よりも馬を大切にしている」という不満の声は絶えません。
F.カルデロンの町
ドールの町からヴァン街道を通って大陸西部に至る町で、危険なゾルド峠を越える前の休息の町、また峠を越えてきた隊商が休息を取る町でもあります。
交易地を繋いでいるために宿泊施設が豊富に揃っていますが、ここで大きな商売が行われることはほとんどなく、中継地点としてのみ存在する町です。
物産や交易が活発で無く、首都から遠く離れて監視の目が行き続かないため、この町は娯楽やカジノで町の興隆を図っています。
また、西方の
退廃の町ナルドールからもたらされるご禁制の品々や、東にある
魔法使いの町フィレーンから流出した危険な魔法の品々が密かに取引される事もあり、
闇取引の品を狙ったゾルド峠の山賊達が襲撃してくることもあり、最前線から離れた場所でありながら治安は良くありません。
しかし、リルヴァン王都は最前線のことしか注視しておらず、この町の治安は放置されてしまっています。
G.アルカネックの町
リルヴァン領土の町の中では最も王都から離れた場所に存在し、むしろ海路で西に向かえばすぐに
エルフの国クレプサイドに辿り着きます。
町の住民もエルフが多く、土地柄や文化の面ではクレプサイドに帰属していた方が合っているほどです。
この町がリルヴァン領となっているのは、「山脈から東はリルヴァン領」という国境線の取り決めの結果に過ぎません。
一方、陸路で南からもたらされるものは治安や風紀の乱れに繋がるものが多く、最前線から遠く離れて平和に暮らしていたい住民は
首都に対して良い感情を抱いていません。
H.魔法使いの町フィレーン
リルヴァン領土の中に存在する独立都市で、魔動機文明の発達とともに、一カ所に集められた魔法使いたちが暮らしている町です。
大陸最大の魔剣の迷宮「メガタワー」が存在し、魔法使い達はこの研究と攻略に携わっています。
蛮族戦争以前から独立が許されていた町で、住民は伝統を守って独立都市としての立場を堅持していますが、
リルヴァンはこの町も領土に組み入れ、文物・技術・人材などを強制的に首都に移転させ、対蛮族戦争に用いたいと考えています。
特に、メガタワーから発見される魔法文明時代の貴重な魔剣や魔法の品々は垂涎の的となっていますが、
フィレーンの魔法使い達はそうした視線を涼しい顔で受け流しています。
地図外.フォルコ辺境伯領
リルヴァンから送り込まれた貴族、フォルコ辺境伯が治める領土が王都リルヴァンの南に存在します。
詳しくは
辺境伯領のページを参照。
地図外.シムスン辺境伯領
ナルドールから送り込まれた貴族、シムスン辺境伯が治める領土がアルフの町の南に存在します。(地図上の、山脈と砂漠の向こうにある城アイコンです)
詳しくは
辺境伯領のページを参照。
最終更新:2015年07月15日 13:09