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ライオン・キング

原題:The Lion King
公開:1994年6月24日
時間:87分
監督:ロジャー・アラーズ*ロブ・ミンコフ*



  • 目次

ストーリー

動物たちの王国プライド・ランド*の王であるライオンのムファサと妻サラビの間にシンバという王子が誕生する。シンバは、幼馴染のナラと遊び呆けており、執事のサイチョウ、ザズーの手を焼かせていた。ムファサの弟スカーはムファサの次の王がシンバになることを知り、親子を殺そうと画策する。スカーはシェンジバンザイエドをはじめとするハイエナと手を組み、親子の殺害を実行する。ムファサを殺されたシンバは、スカーに「お前のせいでムファサは死んだ」と言われ、王国を追放される。シンバはハイエナに殺されそうになるが、逃げ切り、故郷を後にする。

シンバはミーアキャットとイボイノシシのコンビ、ティモンプンバァと出会い、彼らのモットー「ハクナ・マタタ」(くよくよするな)に準拠した楽しい暮らしを始める。大人になったシンバは、助けを求めてやってきたナラと偶然に再会し、プライド・ランドがスカーによって荒らされているという現実を知る。ナラ、王国の呪術師ラフィキ、ムファサの幻に説得され、シンバは故郷を守るために戻る。

シンバ、ナラ、ティモン、プンバァはハイエナたちの気をそらしながら、スカーの元へ向かう。シンバとスカーの一騎打ちが始まり、勝ち誇ったスカーから「俺がムファサを殺した」と告げられる。怒ったシンバはスカーとの激闘を制し、プライド・ランドの王となる。王国には平和が戻り、シンバとナラの間には娘が誕生した。こうして、生命はめぐってゆく(サークル・オブ・ライフ)。

概要

ディズニーの長編アニメーション映画第32作。シェークスピアの『ハムレット』を題材にした作品。また、擬人化されていない動物だけが出演する長編アニメーションであり、『バンビ』(1942年)以来、52年ぶりである。

エルトン・ジョンによって楽曲が提供されており、後にミュージカル化もされた、音楽性の優れた作品である。

ライオン・キング2 シンバズ・プライド』(1998年)、『ライオン・キング3 ハクナ・マタタ』(2004年)が続編としてビデオ発売されている。

2019年には実写さながらのリアルな映像をCGで作り上げた超実写版『ライオン・キング』が公開された。

歴史

1988年、ジェフリー・カッツェンバーグ*ロイ・E・ディズニー*ピーター・シュナイダー*は『オリバー ニューヨーク子猫ものがたり』(1988年)のプロモーションでヨーロッパ*へ向かっていた。その機内でカッツェンバーグがアフリカ*を舞台にした物語を思いついた。アイディアを膨らませたのは長編アニメーションの副責任者チャーリー・フィンク*

カッツェンバーグは自分の人生経験を物語に盛り込み、11月に『ブレイブ・リトル・トースター*』のトーマス・ディッシュ*が『King of the Kalahari』というプロットを書いた。リンダ・ウールヴァートン*が一年かけて草稿を仕上げ、タイトルも『King of the Beasts』や『King of the Jungle』に変わった。当時のあらすじはライオンとヒヒの戦争に重点が置かれており、スカーはヒヒのリーダー、ラフィキはチーター、ティモンプンバァシンバの幼なじみであった。『ビアンカの大冒険 ゴールデン・イーグルを救え!』(1990年)を完成させたプロデューサーのトーマス・シューマッカー*は「ライオンがクールだから」という理由でこのプロジェクトに立候補した。

当初、『オリバー』のジョージ・スクリブナー*が監督の任についており、1991年10月に『美女と野獣』(1991年)のストーリー担当のロジャー・アラーズ*が共同監督に就いた。スクリブナー、アラーズ、ドン・ハーン*はストーリー担当のブレンダ・チャップマンとプロダクション・デザイナーのクリス・サンダースと共にケニア*のヘルズ・ゲート国立公園を訪れた。

やがてミュージカルではなくドキュメンタリー風にすべきだというスクリブナーがアラーズと対立してプロジェクトを去ると、6ヶ月後にロブ・ミンコフ*が監督に加わった。アラーズ、ミンコフ、チャップマンは『美女と野獣』の監督を終えたばかりのゲイリー・トゥルースデイル*カーク・ワイズ*に相談し、二週間のストーリー会議を開いた。

タイトルは『King of the Jungle』から『The Lion King』に変更され、舞台もジャングルからサバンナになった。スカーはムファサの弟ライオンになり、一族の中に脅威がいるという面白い展開になった。

『ライオン・キング』は原作が存在しない初のオリジナルストーリーとなった。物語は旧約聖書のヨセフとモーセの人生やウィリアム・シェイクスピア*の『ハムレット』に影響を受けたという。1992年の夏、脚本にアイリーン・メッシ*ジョナサン・ロバーツ*が加わった。二人はキャラクターの感情表現と、ティモン、プンバァ、ハイエナなどのコメディ面を強化した。

劇中歌は物語と密接に繋がっていたため、作詞家のティム・ライスは月に一度はカリフォルニア州*に飛び、打ち合わせをした。

一度完成したシーンも描き直してアニメーションを作り直す部分もあったという。

キャスティング

ムファサ役にはライオンのような力強い声を持つジェームズ・アール・ジョーンズが選ばれた。ネイサン・レインアーニー・サベラはそれぞれザズー役とハイエナ役のオーディションを受けていたが、二人でハイエナ役の録音をするように頼まれた。監督は二人のパフォーマンスに大笑いし、ティモンとプンバァ役を任せることとなった。

一方、ハイエナの声優としてコメディアン・デュオのチーチ&チョンにオファーした。チーチ・マリンバンザイ役を引き受けたが、トミー・チョンが断ったため、代わりにウーピー・ゴールドバーグが演じる雌のハイエナに変更された。

シンバ役のマシュー・ブロデリックは制作初期にキャスティングされた。3年間の収録のうち他の人と一緒に録音したのは一度のみで、ヒロイン役の女優を知ったのもプレミアの時だったという。

スカー役にはイギリス*の俳優ティム・カリーマルコム・マクダウェルが考案されていたが、カリーは『ホーム・アローン2』(1992年)のためにオファーを断った。ジェレミー・アイアンズも最初は断ったが、最終的に素晴らしい演技を披露した。

アニメーション

本作の作業は『ポカホンタス』と同時期に行われ、より勝算のあったポカホンタスのほうに人員が割かれた。脚本家のチャップマンやバーニー・マティンソン*もあまり乗り気ではなかったという。アニメーターはまずキャラクターを練ることから始めた。ディズニーMGMスタジオ(現ディズニー・ハリウッド・スタジオ)は「王様になるのが待ちきれない」など全体の4分の1を担当した。映画公開の数週間前、ノースリッジ地震によってスタジオは閉鎖され、スタッフは在宅勤務をする必要があった。

アニメーターは、スタジオへ連れてきた本物の動物をスケッチする『バンビ』(1942年)の頃からの伝統的な手法を使った。また、動物の専門家ロン・マギルの案内でズー・マイアミを回って動物の動きを研究することもあった。アニメーターたちは四足歩行の擬人化されていない動物を描くことに苦労した。

前半のクライマックスにあたるヌーの暴走のシーンでは、CGが使用された。CGモデルでヌーを数体作成し、数百に増やして山腹をランダムに走らせて予想できない群れの動きをシミュレートした。特別な訓練を受けた5名のアニメーターと技術者が約2年間かけてこの2分半のシーンを作り上げたという。群れの動きのプログラムには、同時期に制作されていた『ファンタジア2000』(1999年)の『交響詩 ローマの松』のクジラの群れにも同じものが使用されている。また、ピクサー・アニメーション・スタジオがディズニーのために開発したCAPS*はカメラの動きをシミュレートする上で力を発揮し、色付けや照明などにも活用された。

キャスト

シンバ マシュー・ブロデリック(大人:台詞)
ジョセフ・ウィリアムズ(大人:歌)
宮本充
ジョナサン・テイラー・トーマス(子供:台詞)
ジェイソン・ウィーバー(子供:歌)
エヴァン・ソーシード(子供 / 追加部分のみ)
中崎達也
市川聡一(追加収録)
スカー ジェレミー・アイアンズ
ジム・カミングス(歌 / 一部のみ)
壤晴彦
ナラ モイラ・ケリー(大人:台詞)
サリー・ドウォルスキー(大人:歌)
華村りこ
ニケータ・カラム(子供:台詞)
ローラ・ウィリアムズ(子供:歌)
山本純子
ザズー ローワン・アトキンソン
ジェフ・ベネット(追加部分のみ)
梅津秀行
ティモン ネイサン・レイン 三ツ矢雄二
プンバァ アーニー・サベラ 小林アトム
ラフィキ ロバート・ギローム 槐柳二
シェンジ ウーピー・ゴールドバーグ 片岡富枝
バンザイ チーチ・マリン 樋浦勉
エド ジム・カミングス -
サラフィナ ゾーイ・リーダー 竹村叔子
サラビ マッジ・シンクレア 北浜晴子
ムファサ ジェームズ・アール・ジョーンズ 大和田伸也
キアラ -(カメオ出演) -
雌ライオン キャシー・キャバディーニ
カルメン・トゥイリー 宮園ゆかり
レボ・M
クリストル・エドワーズ 山下由紀子
エルトン・ジョン

※IMAX版(スペシャル・エディション)の追加部分を担当した声優


スタッフ

情報集計中…

楽曲


※IMAX版(スペシャル・エディション)で追加された楽曲

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長編映画
最終更新:2024年09月08日 21:47