概要
スメリア森の戦いとは、
遺産戦争の終盤にあたる
ガーマス7974年9月に勃発した、反王国連合軍による王都襲撃、通称
ブレイアスの乱で行われた戦いの中の一つである。
戦闘に至るまでの背景
▲7974年9月における勢力図
ブレイアスは何かあった時はアルブレッド渓谷に再集結する様に伝達されていたため、敗残軍はそこに集結、そこに
朱焔国軍も合流し、なんとか部隊として再編できた
ブレイアスは、
豊穣なる聖杯世代の平民組が実質的な指揮を受け継いだ。
両軍の戦力
戦闘経緯
この戦いは、不思議な戦いと言われている。
シエル率いる王国軍は、この時すでに
ルードルフが反乱を起こしたことを知り、一つの思惑を巡らせていた。
国の将来のことを考えて、民の怨嗟の原因である現在の王族を
ルードルフに排除してもらい、落ち着いたところで王都に戻り、その時彼が民衆にどれだけ支持されているかによって、協力するなり、排除するなり決めよう、というものであった。
よって、追撃部隊は本気で戦うつもりはなく、
ブレイアス軍は、帰る場所もなく自暴自棄になって浅はかな突撃を仕掛けてきたと判断、これをあしらいながら、
ルードルフの戦いが終わるまで時間を稼ごうとしていた。
同時に、王族の中で唯一の良信派である
セシルは将来の旗頭になると、王都に残留していた
ヴィーデ、
月代さくらに密かに庇護を依頼した。
こうして、時間稼ぎ前提で動いていた
シエルたちであったが、
ブレイアス軍は、
アステリアの立てた作戦で、本気で勝つつもりでいた。
アステリアは魔導研究においては後世に名を残す人物ではあるが、決して軍師ではない、彼女のたてた作戦は「森林地帯で奇襲を仕掛けて敵を混乱状態にして、
ラ・ヴァルドを使用できない状態にして奇襲部隊で奪取、その後脅しとして一発発射し、敵軍の戦意をくじく」というものであったが、自分たちに都合のいい状況が前提にされている箇所がいくつもあり、平時であれば失敗するか、あるいは作戦を読まれていた可能性が高い。
だが、追討軍にも上記の思惑があり、知らないうちに
アステリアが望む状況を自分たちから作り出していた。
結果的に
アステリアと
ルードルフが、互いのことを知らないまま共闘したと言われるが、これを「運命」ととるか、「皮肉」ととるか後世の評価は真っ二つに割れている。
作戦通り複数の部隊に別れて森に身を隠していた部隊が一斉に強襲を仕掛ける。
しかし、これらはすべて
センティースに読まれていた為、敵軍を混乱させると言う目的は果たせず、乱戦に持ち込まれる。
アグラスの笛を預かった
高風かりんの魔物による突撃攻撃も、既に
センティースが銛のついた防護柵を各部隊に配備して対策をうっていたため、
カミュア部隊に足止めを受ける。
こうして、当初の予定通りに戦局は進まず、各部隊は焦りだけを積もらせていくが、追撃部隊としては「敵襲を追い払って、再び追撃することで時間を稼ぐ」という思惑があったため、相手を壊滅させようとするほどの攻撃を仕掛けてはこなかった。
ラ・ヴァルドは、
アステリアの読み通り、周囲を見下ろせる高台に配備されていたが、守備する兵は思ったより少なく、
アステリア達奇襲部隊は
ラ・ヴァルドの占拠に成功する。
しかし、当然のように充填されているだろうと思われていた魔力はまったく存在しなかった。
シエルは虐殺兵器である
ラ・ヴァルドを自国の兵に使うことができず、最初から魔力を入れずに放置していた、守備兵が少ないのもその為であったが、
ブレイアスに
ラ・ヴァルドを奪うほどの余力がないと侮っていた一面もある。
また、魔力を入れていない兵器を高台に設置したのも、彼女自身は
ラ・ヴァルドにそこまで関心がなく、普段運用していた兵士たちが最も効率的な場所に配備したいという進言をそのまま了承しただけであり、これもまた
ブレイアスにとっては幸運であった。
しかし、この時
アステリアを中心に、
豊穣なる聖杯世代という優れた術者が多く居た事から、
ゴルドラドの遺産である魔力増強の魔導具
イルコアを使って、急速に魔力を充填、威力は最低限でいいので一撃放てるまでの魔力を注ぐと、両軍が戦っている頭上スレスレの位置に撃ち込む。
突然の
ラ・ヴァルド発射に王国軍の兵士の動きが止まる、もし
ラ・ヴァルドの破壊力を自分の目で見た事のない別部隊の兵士たちだったら、まだ命令に従って戦闘を継続していたかもしれないが、これまで
レミリアル国との戦いでその破壊力を嫌と言うほど見てきた兵士達だったこともあり、彼らはたじろいだ。
更に、打ち合わせ通り各部隊で
ブレイアスは「ラ・ヴァルドは奪取した、いつでもお前たちに撃てる」と脅しを仕掛けると、兵士たちは恐怖にかられて四散していった。
兵を失っては
銀鷲組にもどうすることもできず、本国に撤退するしかなかった。
戦いの結末
シエルが国境から呼び戻した部隊は崩壊したが、あくまでも戦意を失って四散しただけで、壊滅したわけではなかった。
しかし、反王国連合軍と
ルードルフが同時に王都に迫ると、もともと兵士の多くが徴兵で連れてこられていた現在の王族に不満をもつ平民であることから、彼らが再び軍勢として再結集することはなかった。
王都を守る部隊は事実上存在しなくなり、
銀鷲組も自分たちの領地に戻り、この先の行く末を見守るしかなかった。
最終更新:2026年05月17日 14:15