傷の男(鋼の錬金術師)

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傷の男(鋼の錬金術師) - (2018/05/12 (土) 15:54:56) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2009/12/31(木) 20:17:40
更新日:2023/10/07 Sat 13:09:17
所要時間:約 8 分で読めます







神に祈る間をやろう




漫画『鋼の錬金術師』の登場人物。
CV:置鮎龍太郎(一期)、三宅健太(二期)


◆概要

イシュヴァール人特有の外見(褐色の肌赤い瞳)に加え、十字の傷がある額と錬成陣の刺青が彫られた右腕を持つ強面の男。
普段はサングラスを着用し、瞳を隠している。


イシュヴァール殲滅戦で兄や同胞を殺され、目覚めた時に自分一人だけが生き残ったと思い、その恨みから国家錬金術師を殺害して回っていた。復讐心の囚われているので獰猛だが義理堅く熱い性格でもあり、卑怯といえる手段をとることはない。また錬金術を非道な手段に使ったタッカーに激昂したこともある。

傷の男(スカー)という名前は軍部が付けた通称で、本名は不明。
本人は復讐の為に名を捨ててきたと発言している。
単行本の巻末おまけコーナーにて、読者から「スカーの本名はなんだ」と問われた際、それに対する作者の回答は「きめてあるけど秘密」。
曰く本名をださないことに意味があるとのこと。
と、同時に「それは追い追い本編で語られる」とも書かれていたが、連載が終了し物語が完結しても、いよいよ彼の本名が語られる事は無かった。


「単身でアメストリス兵十人分の戦力に匹敵する」イシュヴァラ教の元武僧で、並外れた体術を持つ。
右腕には錬成陣が刻まれており、錬金術の工程「分解」を行うことが可能。
これらを利用した破壊攻撃を得意とし、作中屈指の強さを誇る。
なお、使用の際は(発動条件なのか、彼自身の癖なのかは不明だが)必ず指を「ゴキン」と鳴らしている。
ただし「分解」するには分解する物質の成分を把握しておかねばならず、成分を把握してないと「分解」できないという弱点があり、扱いづらい錬金術でもある。
エンヴィーなどの敵と違い狡猾という印象は薄いが、このような錬金術を使いこなしていることから頭もそれなりにいいと思われる。
エドと交戦した際、エドの機械鎧である右手に対して「人体だと思って」破壊を仕掛けたために失敗し一度撃退されているが、二度目は機械鎧だと分かって仕掛けたためにエドは右腕を破壊されてしまった。
なお、彼の腕に刻まれた錬成陣は正確には錬丹術に属しており、「お父さま」によって錬金術を封じられた際も錬成可能だった。

イシュヴァラの教義から錬金術を嫌っており、錬金術を研究する兄には反抗的だった。
イシュヴァール殲滅戦で親族と共にキンブリーの攻撃を受けた際に兄が盾となった為、即死せずに済むが、右腕を失い、意識を失ってしまう。
その間に兄は弟の命を救う為、「分解」の錬成陣が彫られた自らの右腕を弟に移植する。
その後、ロックベル夫妻の診療所に運ばれ治療を受けたが、意識が戻った瞬間、目に入ったのが兄の右腕だったことに一時安堵するも、その腕が自身に移植されていることを理解した途端、現状を受け止めきれずパニックに陥り、怒りと錯乱から目の前にいた2人を殺してしまう。
*1


◆劇中の活躍

エルリック兄弟とはタッカー殺害の後にエドを狙ったところから関係が始まる。

当初は国家錬金術師と復讐を図るイシュヴァール人という関係でしかなかったが、
後にウィンリィの両親を殺害した犯人であると判明してからは、兄弟の方も積極的に関わり出す。

そして中央で両者が対面した際、兄弟を案じて戦場にやってきたウィンリィとも対面を果たす。
しかし、その際ウィンリィに対して謝罪はせず、彼女が落ちていた銃を拾い、銃口を向けると

「お前には己れを撃つ権利がある」

「ただし撃てばその瞬間に敵とみなす」

と、開き直って彼女を殺そうとするという自身が忌み嫌っていた筈の国家錬金術師と変わらぬ逆ギレ同然の行為をしてしまうが、ウィンリィをかばったエドの姿にキンブリーから自分を庇った兄の姿が重なり、手を止める。
この時のウィンリィの姿に「復讐者としての自分」を見せつけられることとなり、己を顧みたのか、暴走じみた言動は控えめになっていった。

その悩みを抱えた中、ブリッグズ行きの列車の中で、直接の敵であったキンブリーと再会。
互いに一歩も譲らぬ激闘を繰り広げるも、キンブリーは取り逃し、自身も重傷を負う痛み分けとなる。
そして皮肉にも、この二人がこれ以降対峙することは結局なかった。

その後、エドたちと再戦したが、キンブリー戦での怪我が響いていた事や、エドが「分解の錬金術」対策をしっかりしていた事、そして何より彼自身の心境の変化もあり、完敗。
そして再びウィンリィと対面した際、

「何を言っても言い訳にしかならない」

と前回の無礼を詫び、無抵抗の状態でその去就を彼女の手に委ねるが、傷を負った腕を止血され「父さんと母さんが生かした命だからきっと何かある」と言われたことで、

「己れを許すのか」

と問うと

「理不尽は許していない」

と返答されたことで、師の「理不尽には怒らねばならないが、憎悪には耐え、いずれどこかで断たねばならない」という言葉が脳裏をよぎる。
そしてウィンリィがホムンクルスに狙われている身である事を知ると、
自身が誘拐した事にすることで、一時的に離れる事になったエドに代わりウィンリィを護衛した。

一連のウィンリィとの出会いや再会した師に復讐の無意味さを説かれたことから、当初の復讐こそが絶対で、己れの全てという考えは改め始めている。

その後は、ホムンクルスに対抗するためエド達と一時的に協力関係を築いた。



見かけによらず可愛いもの好きで、メイが連れている子パンダのシャオメイを見たときはその可愛さに衝撃を受けていた。
ちなみに猫派。アルが開設した猫ブログに田代砲を打ち込んでランキングトップにしようとするぐらいの猫好き。



某動画の「ガチホモが選ぶ恋人にしたいアニメキャラクターランキング」にて、2回ほど1位に輝いた。



※以下ネタバレ















ブリッグズのスラムでアルフォンス達と別れた後、マルコーと共に各地のイシュヴァール人に協力を求め、最終決戦に臨む。

エンヴィーと相対した際にはヒューズの復讐に捕らわれ、自分を見失いそうになっていたマスタングを諭し、元は敵であったホークアイに礼を言われ困惑していた。

マスタングの強制人体錬成発動後、左腕の再構築の錬成陣を解禁してブラッドレイとの死闘を繰り広げる。
相手の疲労・バッカニア達が与えていた致命傷・日蝕の光と、各々が重なり辛くも勝利したが、捨て身の一撃でスカー自身も腹に深い傷を負う。

イシュヴァール人達がセントラル各地に配置した錬成陣を用い、制限無しに地殻のエネルギーを使えるようにする“逆転の錬成陣”を発動させ、エドワード達の危機を救う。
アメストリスの成り立ちと錬金術のカラクリをランファンに説明し、オリヴィエ達が合流したところで意識を失った。


決戦後はオリヴィエによって密かに助け出され、マスタングのイシュヴァール政策に尽力するよう、マイルズから説得を受ける。


「生かされている…意味…もう少し生きて探せという事か…兄者…」
「…己れは二度死んだ。この世にはいない人間だ」

そう言い残し、「名無し」としてマイルズと共にイシュヴァール復興へと向かった。



2003年アニメ版

微妙に設定が違い、名前がないのは復讐のために捨てたのではなく、イシュヴァラの神に背いて錬金術を使う自分には名乗る資格がないという理由(第一期ではイシュヴァールの民の名は神に与えられるものであるため)。

また特徴的な額の十字傷も、キンブリーの攻撃で出来たものである。
右腕の錬成陣は、亡兄が研究していた未完成の「賢者の石」。弟という共通点からアルにシンパシーを持たれていた。

リオールでアルと共にキンブリーと対決した際には左腕を爆弾に錬成されるが、即座に自ら分解して難を逃れ、動揺したキンブリーに致命傷を与える。
そして、死に際の悪あがきで爆弾に錬成されたアルを救うべく、リオール全域に敷かれた錬成陣を使用し、両腕を失った自分自身と突入してきた7000人の国軍兵士を代価に、アルの全身を賢者の石へと再錬成して消滅、死亡した。

今作ではエドのライバルキャラとして設定された為、原作より年齢が若く、やたらイケメンになっていた。

実は年上の女性が好みらしく、兄の恋人に淡い思いを寄せていた他、リオールでも兄の恋人に似たラストを両腕のない状態で庇って致命傷を受けてしまう。
そしてゲーム「ドリームカーニバル」ではヒューズ中佐の見せたグレイシアの写真にも食いついていた。
この時のヒューズの嫁バカ親バカな勢いにタジタジなスカーの姿は必見である。

◆名言集


「もう後戻りはできぬのです」

「戻れぬ道なら、神より賜りし物全て…捨て行く!」

「家族も仲間も神の地も…守るものなどなにひとつ無くなった…
 ……だが、この歩みを進める力はなんだ?……復讐だ!!
 この身ひとつ、ただ復讐のために…生き延びてやる!」

「左脇腹…だったな」

「自分に何ができるかをずっと考えていた。そして“これ”に辿り着いた。
 我が兄の研究所から得た 再構築の錬成陣だ!」

「兄者…正直己れの中の憎しみの感情は消えていない。なのにその憎しみの相手を…アメストリスを助けようとしている。
 兄者は正の流れ負の流れと言ったが、
 矛盾したそれらを両方抱えている己れは…どこへ流れて行くのだろうか…」

「兄じゃ?…にゃんぢゃきょれは〜!!」

「名前はない 好きに呼べ」







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