キング・ブラッドレイ

登録日:2009/09/12 Sat 21:34:23
更新日:2024/04/18 Thu 22:11:30NEW!
所要時間:約 7 分で読めます







スイカは嫌いかね?

キング・ブラッドレイとは、漫画鋼の錬金術師』の登場人物。
CV:柴田秀勝(アニメ版)
演:舘ひろし(実写映画版)

概要

アメストリス軍の最高責任者。

左目に眼帯、立派な体格にオールバックの髪型、それと口髭を蓄えた初老の男性。
エドワード・エルリックに槍を向けられても動じず、逆に「世界の広さを知らぬ」と槍をバラバラに切り刻むなど、凄まじい実力を持つ。
60歳。

戦場で数々の武功をたて、44歳で大総統に就任以降は、中央集権的な編成などにより独裁軍事国家化。
国家錬金術師制度を導入するなどアメストリス国政の実質的な決定権を持つ国家元首となった。
そんな完全なリアリストでありながら、好々爺然とした紳士という面もあるという二面性を持つ。

仕事から抜け出して一人でこっそり見舞いに行ったり、
護衛一人だけでアロハシャツでダブリスに行き、そこでエドの研究査定に見もせずに合格判を押すなど、
特に物語序盤は、仮にも最高権力者とは思えぬ軽い言動が多く見られた。

ちなみに女性を口説くのは下手らしく、今の妻には結婚前(本人曰く25歳の頃)に二度も平手打ちをくらった。
二度目のビンタは外見を褒めようとした際に、あろう事か尻の事を褒めたためだという。


以下ネタバレ














君に最強の盾があるように

私には最強の眼があるのだよ




その正体は「」の意に沿って国の舵を取るラース(憤怒)の名を持つホムンクルス。
年齢を感じさせない筋骨隆々の体格をしているが、人間ベースのため、他とは違って老化し、若干の身体能力に衰えがある。

元はホムンクルス達の計画のために幼少時よりエリートとして養成された大総統候補生*1であり、
人間ベースのホムンクルスを作るため、体に注入された賢者の石との壮絶な拒絶反応に打ち克った12番目の実験体*2

「キング・ブラッドレイ」はこの時に付けられた偽名で、自分の本名は知らない*3

ホムンクルスであることに誇りを持ち、人間に対して軽蔑の念を持つが、
「父」に用意されたシナリオの中で生きていることに何らかの考えを持っているようで、
度々語られる人生観・宗教観などの思想信条を持ち、予想外の事態を楽しんでいる。

ホークアイ中尉「妻だけは自分で選んだ」と述べた通り、夫人とは普通に恋愛結婚らしく結婚に踏み切った理由が例の平手打ち。
最強の眼を持つ彼が二回もビンタ食らわされた見切れなかったこのビンタが決め手になったとかなんとかで、
彼女への接し方について他のホムンクルスたちに真剣に相談した事もあったとか。ラストからは「女心がわかってない」と説教されたらしい。

戦闘力の高さや人を見抜く目は確かであり、イシュヴァール殲滅戦時からマスタングに着目。

ラストがマスタングに倒されてからは「父」に自分を担当にするように進言し、圧力を強めていくが、
「約束の日」の手前でグラマンの二重の罠にはまり、乗っていた列車ごと谷底に落とされ行方不明になる。


+ 「ただいま諸君」

実は列車が落下する最中に崩落する瓦礫に次々と飛び移るという離れ業で脱出に成功しており、そのまま徒歩でセントラルへ帰還した。
中央司令部に到達し、バッカニア、フー、グリード(リン)三人がかりでも終始優勢と、まさに無双状態
バッカニアに致命傷を与え、リンが戦った時の戦闘経験を反復させたグリードと互角に戦い、
戦車を一人で破壊、腹マイトによる自爆を仕掛けて来たフーに対しても、トドメを刺しつつ信管だけ斬り飛ばすという神業で一蹴した。
しかし、フーの身体によって生まれた正面の死角を利用してフーごと剣を突き刺してきたバッカニアの攻撃をまともに受け致命傷を負い、
リン(グリードによる硬化状態)の一撃でホムンクルスの紋章が記された左目を潰され、ブリッグズ兵に右肩を撃ち抜かれて自分だけ水中に落下した。
深手を負い堀に突き落とされたものの地下水路から大総統府の地下通路に移動。
道中、回収した賢者の石(液状化しており、小瓶に入っていた)をポケットに仕舞いこむ。

そして、「余り者」の持っていた剣を拾い上げて装備し、プライドと共にマスタングに強引に「扉」を開かせ、人柱として「お父様」のもとへ送った後、
「最強の眼」は右のみ、右脇腹と右肩からは大量出血という満身創痍の状態ながら「傷の男(スカー)」を圧倒。
彼が兄の研究資料から受け継いだ両腕による錬金術を使い始めた後も優勢を保っていたが、日食が終わり始め顔を出した太陽の光の下にたまたま出てしまう。

強い光を見たため一時目が眩み*4、その隙を衝かれて両腕を吹き飛ばされながらも、
宙を舞う剣を口で確保、倒れこみながら「傷の男」に反撃するという執念を見せたが、それが最後の反撃となった。

最期はフーの復仇のために後を追って来たランファンと問答を交わすが、そこで「時間切れ」となり、
彼女に「仇を討ち損ねたな」と嘯いた後に急速に老化し、満足した表情のまま死んでいった。
嘗て太陽信仰の民を滅ぼした男が、他ならぬ太陽によって身を滅ぼすという因果応報の最期であった。

他のホムンクルスは死ぬ時に遺体が残らなかったのに対して、
人間ベースのブラッドレイは遺体が残っており、「最期は人間として死んでいった」との解釈もされる。
独裁者でありながらも国民には慕われていた為、彼の死は国土錬成陣の実験を企てた勢力との戦いで殉職した事にされた。



なお、「憤怒」の名を持ちながら作中本当に「怒った」のは、再構築の錬成陣を解禁した「傷の男」に対して、「信ずる神を捨てたのか」と激昂した時のみ。


戦闘能力

年相応の衰えがある身体であるが、戦場や過酷な戦闘訓練、ホムンクルス化で増幅された超人的な身体能力を生かし、二刀流の剣術で敵をなぎ倒す。
自らが戦線に立つ時には五振りの刀*5を特製の鞘に挿しているが、これは折られたり刃こぼれしたり、相手に突き刺したりしたときの予備*6
例え手持ちの武器がなくてもその場で使える物を瞬時に見極めて代用し、必要とあらば相手の武器を奪い取るので乱戦でも障害は発生しない。

作中では銃弾の軌道をも見切る「最強の眼」(動体視力)を使い、サーベル1本と手榴弾1つで中央司令部を占拠していたブリックス兵を蹂躙、
更に戦車の履帯を切断しつつ操縦士を殺害、索敵及び反撃のため顔を出した車長を殺害、操縦代行で手が離せない状態の砲手を戦車内に手榴弾を放り込んで爆殺、という悪夢を作り出して見せた*7

「この眼と身体能力は人間を超越した」と語っているが、賢者の石との内在闘争の過程で石に宿る魂が1つだけ*8なので、
他のホムンクルスのような爆発的な再生能力を持たず、ホムンクルス特有の気配も持たない。

グリードが新たに誕生するまで末弟だったので、内心ラストのようなボインが欲しかったそうな。





【アニメ2003年版】

基本的に立ち回りやキャラは原作と一緒。
だがホムンクルスとしての名はラース(憤怒)ではなくプライド(傲慢)であり、ホムンクルス達のリーダー格。
創造主のダンテからも「傑作」と称されている。
原作とは違って純粋なホムンクルスであり、老年の姿は外見を少しずつ変化させ、周囲に歳を取っているように見せかけているため。
ホムンクルス特有の再生能力もこちらでは持っている他、空気の流れまで読むことが出来る。
結局披露はしなかったが、本来の姿は原作に登場した青年ブラッドレイであると思われる。

ベースとなった人物は不明だが、劇中の忠誠心から考えても、恐らくはダンテに密接に関係した人物(元愛人?)と思われる。
さしずめ、反逆しなかったグリードと言ったところか。
ちなみに、こちらに於いても妻には尻に敷かれているらしく、ダンテに毒たっぷりに突っ込まれていた。

普段は柔和な笑みを絶やさない老紳士を装っているが、本性は冷酷非道であり、ダンテの最も忠実な部下として軍を動かし、
彼女が望む賢者の石を人間に作らせるため、事前に賢者の石の情報を伝説として広めたうえで周囲の国に戦争を仕掛け、
この戦争によって絶望に追い込まれた人間が賢者の石を求める環境を作り続けていた。
そのため、人間性に問題があり戦火を挙げる為なら手段を選ばないアーチャーや、
敵味方問わず爆殺するキンブリーのような危険人物にも好待遇を与えて利用していた。

しかし、軍のもたらした様々な悲劇の元凶という立場であるにもかかわらず、ホムンクルスの正体が判明するのが物語後半とかなり遅く、
それまではダンテの指示で大総統秘書官という名義で軍に潜り込ませたスロウスが軍を動かすのを代行したり、
当人が出てきたと思ったらエンヴィーの変身した姿だったりと、イマイチ出番に恵まれず、
原作での見せ場であるダブリス訪問やデビルズネスト殲滅も本作ではアーチャーにとられてしまっているため、どうにも印象が薄くなっている。
その為、正体が発覚するまではアーチャーが03版のプライドなのではないかと言われた程であった。

終盤、大総統宅でマスタングと戦闘に入り、前述の空気の流れを読む能力で彼の密閉空間を用いた作戦もあっさりと見破り、
火達磨にされてもホムンクルスの外見的特徴である基盤模様が身体に浮き出た姿で再生してマスタングを追い詰める*9
しかし、そこに養子のセリムが事情を知らないままに「お父様」ことブラッドレイの大切なモノ、
つまりホムンクルス・プライドの弱点である「遺骨」を持ってきてしまったことで身動きが取れなくなってしまい、
ブラッドレイは憤怒のままに、人間の愚かさを罵りながらセリムを縊り殺し、その遺体を放り捨てるが、
その間にマスタングに遺骨を回収されて抵抗を封じられ、原作のラストの最期よろしく、再生能力の限界まで燃やされ続けて死亡した。
なお、原作者曰く、この時の『発火布が破れたマスタングが、手に血で錬成陣を描いて錬金術を使う』ネタは使おうと思っていたがアニメに先を越されたらしい。

ちなみにこの時、ブラッドレイに殺されたセリムを救えなかったことが、マスタングの心に決定的な影を落とすことになった。

『裏鋼』では一度だけ登場。国家錬金術師達は自分の好みの容姿を持つ人物を優先して選んでいることをカミングアウトした。
ロイもそうらしい。



【アニメ第二期(FA版)】

戦闘描写に定評のあるFA版だが、スタッフが気に入っているのか大総統が戦うシーンは他のもの以上に気合いが入っている。
まあ牛さんが「おっさんと筋肉の作画だけは手を抜かないでほしい」と指示してあったのもあるかもしれないが。
OP2、中央司令部突入、vs.グリード、vs.スカー戦は必見。
特にスカー戦は柴田秀勝氏の鬼気迫る演技も相俟って迫力が凄まじい。






名言集

「君に最強の盾があるように、私には最強の眼があるのだよ」

「強欲!!ますますもって下らん!!」

「ふ…この眼帯に感謝するのは生涯で初めてだな。上手く閃光を防いでくれたわ。
 真の王…と言ったな小僧。なんと青臭い唾棄すべき理想論か。
 真の王などこの世のどこにも在らぬ!

「神は人間によって創りあげられた。人の手によるものにすぎん。
 ならば、我々に鉄槌を下しに来るのは神ではなく、あくまで“人間”だろうな」

「家族ごっこ…たしかにそうだ。あれは上に与えられた息子だ。
 息子だけではない。大総統の座も部下も力も全て与えられた。いわば権力者ごっこだ。
 だが、妻だけは自分で選んだ

「ただいま諸君」

「正面だ。私の城に入るのに、裏口から入らねばならぬ理由があるのかね?」

「名無し同士殺し合うのも面白かろう」

「こうして死に直面するというのはいいものだな。純粋に死ぬまで闘い抜いてやろうという気持ちしか湧いてこん。
 地位も、経歴も、出自も、人種も、性別も、名も、何も要らん。
 何にも縛られず、誰のためでもなくただ闘う。なんと心地良い…
 ああ…やっと辿りついた……」

「どうした! それが貴様の本気か! 足りん! 全くもって足りんぞ!
 私を壊してみせろ! 名も無き人間よ!

イシュヴァール人よ!! 錬金術は……物質の構築は、万物の創造主たるイシュヴァラへの冒涜ではなかったのか!? 神を捨てたのか!? 貴様らにとって『神』とは所詮その程度の存在か!?
否!! イシュヴァールの内乱で絶望を知った貴様は、心のどこかで分かっていたはずだ!! 神などこの世界のどこにもおらぬと!!!

「愛だの悲しみだのと、くだらぬ言葉を垂れ流すな小娘…
 なめるなよ“あれ”は私が選んだ女だ」

「用意されたレールの上の人生だったが… おまえ達人間のおかげで、まあ、最後の方は、多少…
 やりごたえのある 良い人生であったよ




中の人的にはデギンだが……






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最終更新:2024年04月18日 22:11

*1 若い頃の容姿はマスタングによく似ている。マスタング自身の出生もはっきりした部分がない事から、一部ファンの間ではブラッドレイとマスタングには(実の親子ではないにせよ)血縁があるのではないかという憶測も流れた

*2 因みに実験に使われなかった『余り者』たちは戦闘訓練を積まされ続け、ホムンクルスに組する勢力の私兵として利用されていた。こちらも常人離れした強さで集団戦法に特化させている

*3 ホムンクルスになる前は大総統候補○○号と呼ばれていた

*4 『FA』版ではスカーとの対峙の最中、地上から貫通していた穴の真下で倒れたスカーにサーベルを構えた直後に日食から顔を出した太陽の光が顔の真横にあった刀身に反射、目が眩んだという経緯となっている

*5 「両耳とケツに刺して五刀流」という公式ネタがある

*6 但し原作でこの装備を見せたのはデビルズネスト殲滅の時のみ

*7 『FA』版ではこの最中に一騎当千揃いのブリックス兵を通りすがりに瞬殺、戦車の機銃をサーベルでいなす、発射された主砲弾頭を両断、飛び散るガラスの破片を目視で避ける、背後に着弾した主砲の爆風に乗って全速後退中の戦車に追い付き取り付く等の手管を眼帯を装着したままやってのけている

*8 人間時代の記憶はあるが、今の人格が元々自分の肉体に宿っていた魂のものなのか、賢者の石に内包されていた数多の魂のどれかなのか、お父様の魂からから切り離されたラースの魂のものなのかは、もはや自分でも分からないのだそう

*9 憤怒ではなく傲慢のホムンクルスである為か「最強の目」を活用した回避行動は殆どとっておらず、マスタングを煽りつつ嬲るように少しずつ切り刻んでいる