大長編補正(ドラえもん)

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大長編補正(ドラえもん) - (2021/10/05 (火) 21:42:46) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2010/10/11(月) 12:16:53
更新日:2024/05/04 Sat 14:50:37
所要時間:約 12 分で読めます




●目次

【概要】

ドラえもん」において、大長編になるとメインキャラ達の性格や性質が変わる現象。

いわゆる、

のび太は映画になるとカッコ良くなる
ジャイアンは映画になると良い奴になる
ドラえもんはドジになる
という、アレのこと。

しかし、これらの補整はなにものび太やジャイアンに限って起きているものではない。
メインキャラ全員にそれぞれの補整が与えられているのである。


【メインキャラクターの場合】

ジャイアンの場合

言わずと知れた"良い奴"化。稀にになる。
しかしこれはジャイアン本来の性質であり、TV編ではそれを披露する機会に恵まれないだけで、別に大長編の時だけキャラを作っているわけではない。
「ドラえもんに休日を!!」*1り「強いイシ」*2のエピソードなど、短編でも漢らしさを見せる話もある。

ビッグ・コロタン「ドラえもん大事典」(いそほゆうすけ・作画)でのジャイアンのコメントでは、「それは巨大な敵と戦うには、みんなで力を合わせないと、勝てないからだ。大切なのは勇気と友情のパワーだな。」とチームワークの大切さと彼の男気がうかがえる発言をしている。

また、身体能力にも補整は加わっている。
元々、彼はあの体型ながら運動神経はメインキャラの中ではトップクラスである。大長編では主に腕力とバットによる打ち分け能力が強化される。
「宇宙開拓史」「ブリキの迷宮」「恐竜2006」では、バットを用いて石ころを打ち出して空の敵を撃墜したり(ノーミス)、
飛んで来る粘着弾丸を打ち返したりしていた。のび太も凄いがジャイアンも凄いのである。
「ブリキの迷宮」では、手元にバットが無かったので、その辺のヤシの木を引き抜き、先端を手で折って即席のバットとしている。
更に「竜の騎士」では、ひみつ道具の「どこでもホール」が壊れて地底の大空洞に作った秘密の遊び場へ置いた荷物が取りに行けなくなってしまう。
それを伝えに来たドラえもんを怒りのままに追いかけ、手にしたバットの一振りで電柱を叩き折ってしまった。
一瞬の出来事ではあるが、とても小学生とは思えない怪力である。ちなみに原作漫画版「竜の騎士」には、ここまで露骨な怪力描写は無い。

また、妹が絡むと途端に良い兄貴になるのも彼の特徴。
がんばれ!ジャイアン!!」で、不器用ながらも妹ジャイ子の為に奮闘する姿はまさに兄貴で漢。

のび太の場合

普段は情けない少年として描かれているためか、最も強く補整されており、まさに面目躍如である。

また、ジャイアンが良い奴になるのも、のび太がきっかけであることがほとんど。
大長編での魅せ場が一番多く、その漢っぷりは感動もの。

身体能力、思考能力、運がとにかく強化される。
  • ボロボロになりながらもドラえもんの為にジャイアンをソロ撃破する(帰ってきたドラえもん、STAND BY ME ドラえもん)。
  • 宇宙規模で有名な殺し屋と一騎打ちの撃ち合いで勝利(原作宇宙開拓史、新・宇宙開拓史)。
  • 銀のダーツを空中で空気砲に装填し、デマオンの心臓をそのまま狙撃(コミカライズ版新・魔界)。
  • ニュータイプばりの勘で遥か宇宙の彼方にいる友人や、過去に置き去りにされた静香のピンチを察知(宇宙開拓史、ドラビアンナイト)。
  • 極限状態の中で牛魔王を引き付けて如意棒巨大化で一突き(パラレル西遊記)。
  • 動物のアンプルを混合し、ペガサス、ドラゴン、グリフォンを精製(日本誕生、新・日本誕生)。
  • 惑星と数千万人の移民を乗せた巨大宇宙船が衝突する危機を前に、フエルミラーでビッグライトを量産し、
    同時発射でヒラリマントを超巨大化し、宇宙船の軌道を変える対策案を一瞬で思い付く(宇宙漂流記)。

などなど。
その漢ぶりは年々増しており、「緑の巨人伝」での活躍は……あれ……? 目から汗が……。
これが、後にドラえもんが故障した際の生存フラグになる。

そしてのび太といえば、なんといっても「銀河超特急」を忘れてはいけない。
この映画、まさにのび太の為に作られたような作品である。
のび太の3つの特技の内で最も実用的な"射撃"が活かされ、シリーズ中でのび太が大活躍する映画の一つである。

未来人から「昔モン」と馬鹿にされているあたりからある意味フラグは立っていた。

  • 真っ直ぐ飛ばない信号弾で宇宙海賊を撃墜。(この襲撃自体が遊園地のショーの一つであったのだが)
  • 空中を舞う1個の空き缶に全弾命中。
  • 4人の悪党達を0,8秒で全員倒す。(ドラえもんを囮にはしたが)
  • まさかの頭脳プレーでラスボスを一人で倒す

などなど天才・漢。
のび太ディスってる奴には一度これ観ろと言いたい。

また南海大冒険では非常に珍しく、ドラえもんですら呆然とする程にマジギレした姿も見られる。

大長編で起こる騒動の始まりは彼の行動が原因であると言われることもあるが、のび太が本当に事態の元凶となってしまったのはドラビアンナイト、夢幻三剣士、創世日記位であり(パラレル西遊記は公式曰くドラえもんが元凶だが、その切っ掛けを作ったのはのび太のワガママを起こした為、やはり事態の元凶)、それ以外の大半の事件は全く無関係な所で進められていた悪事や陰謀にドラえもんやのび太達が偶然首を突っ込んだか巻き込まれたことによる物である。

よく挙げられる「ドラえもん達の歴史の介入にタイムパトロールは関わらないのか」という疑問も、
実はドラえもん達は歴史における最重要人物だと考えると合点がいく……かもしれない(同作者のT・Pぼんなど)。
実際、下記の様にドラえもん達がいなければ人類滅亡など、とんでもない事になっていたことが大半である。

  • 地球侵略、滅亡、戦争突入など
海底鬼岩城、鉄人兵団、新・鉄人兵団、宇宙漂流記、ふしぎ風使い、新魔界大冒険、人魚大海戦、ひみつ道具博物館(といっても完全な事故だが)

  • 歴史改変
恐竜、恐竜2006、竜の騎士、日本誕生、新・日本誕生、南海大冒険

  • 人類侵略
大魔境、新・大魔境、竜の騎士、雲の王国、銀河超特急、ワンニャン時空伝、緑の巨人伝

逆に言えば、のび太とジャイ子が結婚した(ドラえもんが来ていない)世界だと非常にマズイ事になっている可能性もある。

わさドラ以降のオリジナル映画に言えることだが、『緑の巨人伝』『人魚大海戦』『ひみつ道具博物館』『宇宙英雄記』などの漫画版*3は、
映画版と大きく異なり映画では描かれなかった部分にもクローズアップされているため、読んでみると面白いかもしれない。

のび太が冒頭で言い出した妄言(「一般的に伝説とされているものは本当にいる!」という類)が真実であったという例もしばしば。
  • 恐竜はまだ地球のどこかに生き残っている!(いました) (竜の騎士)
  • 雲の上に人々が暮らす世界(天国)は本当にある!(ありました) (雲の王国)
  • 鳥人は本当にいる!(いました) (翼の勇者たち)

ちなみに大山ドラえもん版の映画版では、『宇宙開拓史』及び『大魔境』の監督を西牧秀夫が務めたが、
作者藤子・F・不二雄氏が『大魔境』公開後に「作品の出来はいい」としたものの、
「私の世界を理解していない。監督を変えてほしい」とシンエイ動画の楠部三吉郎に指示し、『海底鬼岩城』より監督が芝山努に変更された。

藤子氏の真意は不明だが、映画版『宇宙開拓史』及び『大魔境』の共通として、
「ギラーミンとのび太が決闘せず、ロップルがギラーミンにとどめを刺す」「サベール隊長と一騎打ちするのがのび太ではなくペコ(クンタック王子)」など、
原作にあったのび太の活躍シーンがゲストキャラのものに変更され、のび太の活躍が減らされてしまっていたことが挙げられる。
キャラクターの因縁の表現としてはある種妥当とは言える変更だが、あくまで普通の小学生が各々大活躍しゲストキャラクターたちを助けるというのがが大長編の世界であるため、
のび太の活躍シーンを見たがったのは他ならぬ藤子先生だったのかもしれない。

マイナス補正と言えるかは微妙だが、タケコプターを集団で使って長時間移動していると、ほとんどの場合真っ先に調子が悪くなる。

ドラえもんの場合

まさかのマイナス補正である。
主に判断力が低下。時として致命的なミスを犯す。

  • 出したい道具が中々出せない。
  • やっと出せたと思った瞬間に落とす。
  • 肝心な時に"故障中"。
  • 大事な道具が破損した時、復元光線やタイムふろしきなどの修理に利用できる道具があることを忘れている(恐竜、竜の騎士)
  • どこでもドアをしまい忘れ空き地に放置したため、ドアを燃やされる(原作大魔境)、解体されドアノブのみになる(新・大魔境)。しかもこの時武器類は全て空き地の土管の中。
  • 空気砲などの数少ない武器類をまとめて時空間に落とす(ロボット王国)。
  • 究極の修理道具である"タイムふろしき"を宇宙で落とす(宇宙漂流記)。
  • 四次元ポケットごと落とす、ポケットが燃える、ポケットを奪われる(南海大冒険、ドラビアンナイト、夢幻三剣士、太陽王伝説、南極カチコチ大冒険)。
  • 命に関わる重要な説明を怠る(原作海底鬼岩城)。
  • 最悪、自身がぶっ壊れる、壊される(雲の王国、ブリキの迷宮)。
  • 上記のような時に限って「とりよせバッグ」などのアイテムで回収しない。

などなど。
安易に道具に頼ることで緊張感がなくなってしまうため、ひみつ道具の万能性に制限をかける必要があるからだろう。(実際、ブリキの迷宮ではドラえもんが復活した途端に事態が好転した)。
また、原作以上にのび太に出番を取られることが多い。

ただ、一時的にひみつ道具が使えない・限定されるとはいえ活躍が全く無いのかと言われればそういう訳でもなく

  • 恐竜ハンターに捕らわれていた恐竜達を四次元ポケットにしまい込み、自身は空気がない海中でも平気という特性を活かし、ピー助と共にのび太達や恐竜達を地上まで送り届ける(恐竜2006)。
  • しずかが人質となっているポセイドンの元にただ1人辿り着く(海底鬼岩城)。
  • 迫り来る敵に対抗する作戦を考え、のび太達の指揮を務める(鉄人兵団、新・鉄人兵団、アニマル惑星、雲の王国)。
  • 偶然とはいえ恐竜人達の先祖である恐竜を救うきっかけを作り、恐竜人達と和解する(竜の騎士)。
  • ドラゾンビとしてヒカリ族を助け(日本誕生、新・日本誕生)、ギガゾンビとの決戦にひみつ道具ではなく古代の力をもって勝利する(新・日本誕生)。
  • 自らが犠牲となりガスタンクに特攻し、天上人達を救う(雲の王国)。
  • のび太達だけではどうしようもなかった様々な問題を、ひみつ道具で全て解決し、ナポギストラーにとどめを刺す(ブリキの迷宮)。
  • コングファイターとの対決に数少ないひみつ道具を巧みに駆使して勝利。終盤、石頭を利用してデスターのいる場所まで辿り着く(ロボット王国)。
  • ビッグライトで巨大化し、空気砲でマフーガを迎え撃つ(ふしぎ風使い)。
  • ネコジャラと直接対決し、途中で名刀電光丸の電池が切れるも、見事勝利する(ワンニャン時空伝)。
  • のび太やロップル達が乗っている宇宙船に迫る敵の巨大な宇宙船をひらりマントで吹き飛ばす(新・宇宙開拓史)。
  • 人魚の剣を名刀電光丸で弾き返す(人魚大海戦)。
  • 限られたひみつ道具を最大限活用し、敵に捕らわれているスネ夫達を救出する(奇跡の島)。
  • 怪盗ドラックスとなり、暴走するガードロボを食い止める(ひみつ道具博物館)。
  • 遺跡内で敵に捕らわれるも自力で脱出し、ピンチに陥るのび太達を間一髪で救う(南極カチコチ大冒険)。

……など、のび太やジャイアンの活躍に目が行きがちだが、彼は彼でこのように限られたひみつ道具や自身の石頭、根性などでピンチを切り抜ける大長編らしい活躍を要所要所でしている。
特に22世紀のロボットなだけあって高い知識を有しており、一行のリーダー格として貢献することも多い。

ドジが多い上に弱体化している印象を持たれがちだが、
(のひみつ道具)の存在無くしてはストーリーが成り立たず、のび太らは彼のお陰で敵と互角に戦える事も忘れないでほしい。

静香の場合

ヒロイン属性が増す。
メインキャラ随一の常識人故に、物語の核心を突いた発言や、画期的な対策案を出すことが多いが、
頻繁に攫われたり逸れたりすることによって補整し、物語を面白くしてくれる。
また、女の子だけあって争いごとを嫌う優しい性格のため、平和的解決の姿勢を重視する傾向が強くなる他、
ゲストキャラと敵味方関係なく心を通わせる描写も多い。

また、小学5年生にしては発育が良く、「宇宙小戦争」ではその裸体を惜しみ無く晒された。おまけに入浴中にさらわれた。
他にも「魔界大冒険」「新魔界大冒険」ではのび太による魔法で何度もスカートをめくられる。タケコプターで飛行中も惜し気もなくパンモロ。
「ドラビアンナイト」では奴隷となり鞭で打たれる。青少年保護育成条例引っ掛かりまくりである。

テレビ放映の際、「ひみつ道具博物館」ではとうとう静香の裸に規制が入ってしまう、『新・大魔境』では入浴シーンそのものがカットされるなど、
時勢は彼女の裸に対してどんどん厳しくなっていっている。
近年は遂に水着着用に踏み切りやがった。(これは誤解であったが)

ちなみに「アニマル惑星」ではウサミミ、「ワンニャン時空伝」ではネコミミを披露している。
大きいお友達も大満足。

なお、本人が元々性格の良い優等生なのでキャラとしては変化は少なく、補正は弱い部類と言える。

スネ夫の場合

ヘタレる。とにかくヘタレる。『ママァーー!!』はもはや代名詞。かつ強かであり、その性質が大長編では良くも悪くも作用する。ヘタレ面もずる賢さも普段からこんな感じなので補正自体は最も小さい、裏を返せば最も一般人の感覚に近い状態で大長編に出演するキャラでもある。

普通に考えて通常の小学生ならば、こうなってもしょうがない。某トーーク番組では「彼の取り乱し具合が、今置かれている事態の深刻さを物語っている」と評されている。
自分達の現状を一行(と観客)に伝え、物語に凄みを出す」のが、スネ夫の役割といえる。

実際、「新・鉄人兵団」では彼が吐いた弱音がきっかけとなり、ドラ達は現状を再確認した上で改めて戦う覚悟を決めている(無論、スネ夫もきちんと戦いに参加している)。
「ひみつ道具さえあれば大丈夫!(テヘヘペロッ☆」という、ともすれば(特に観客が)抱きがちな甘ったれを、事実上叩き潰す役目もあるのかも知れない。

冒険の初期では毎回参加を躊躇うが、その度に仲間達に強制されたり、「じゃあ来なくて良いよ」とアウェーにされかけることで渋々承諾する。
特に「人魚大海戦」での叩かれっぷりは異常。"紛争中の地に出向く"という危険な冒険を当然の如く躊躇っただけで他のメインキャラ全員に非難された。
そのため輪から離れ、そんな時に限って何かを目撃するが、誰にも信じてもらえないため更にアウェーになったり、敵に身体を乗っ取られたりする(銀河超特急、ふしぎ風使い)。

「宇宙小戦争」ではパピを助ける為に真っ先に自身のラジコンを進んで改造。一行の中で大貢献している。
戦闘にも参加したが敵の大軍勢を前に戦意喪失、再びヘタレ化。(敵勢力に対し指先程度の大きさの宇宙人と侮っていたことも大きい)
しかしながら、単身出撃した静香の身を案じて恐る恐るながらも彼女の後を追い、無人戦闘艇の特攻から彼女を庇うなどして活躍。
普段はヘタレているが、いざという時は勇気を振り絞って前に進めるスネ夫らしさが出ていた。

他にも「ブリキの迷宮」「南海大冒険」「ロボット王国」「緑の巨人伝」「新・鉄人兵団」「宇宙英雄記」「結婚前夜」では、
パイロットスキルやメカニックスキルを活かしている。(乗り物のパイロットに指名されたり、自ら買って出たりする)
「太陽王伝説」ではラジコンの操作技術を活かして、魔女レディナの手下の薬使い・ケツアルを倒したり、レディナとの決戦でも逆転劇のきっかけを作ったりした。
「ひみつ道具博物館」では故障したビッグライトの配線を繋ぎ直して修理し、自分とジャイアンを元の大きさに戻す活躍を見せている。ドラえもん程ではないものの多趣味故の博学さを持っており、一行の中では持ち前の器用さと現実的な思考力でドラえもん不在時の知恵袋的役割を果たすことも多い。

銀河超特急では珍しく、「のび太って映画になると急にかっこいいこと言うんだから!」
などとメタ発言をしたこともあった。

ちなみにいつもの5人の中で唯一、大きな見せ場となる短編映画*4を持たず、2002年大晦日で放映された特番で実際にネタにされた。
これはスネ夫が主役級でかつ、カッコいい見せ場のあるエピソードが皆無だったからだと思われる。

出木杉の場合

「万能過ぎる」
それだけの理由で一度も冒険に連れて行ってもらえていない。
「恐竜」の映画シナリオ初稿では、冒険に同行することとなっていたが、戦略面を彼一人で補えてしまうほどのチートキャラ過ぎたせいでリストラされたという。
(逆に言えば、シナリオを調整して出木杉自身を含めて彼らを程よく活躍させるが出来れば、彼もレギュラーに入れた可能性も高い)

考えてみると、出木杉がいると本来ドラえもんやのび太達が遭遇してしまうトラブルなどを未然に防ぐことが可能な冷静沈着さと頭脳を持ち合わせており、
「恐竜」でジャイアンが敵に見せつけたバッティング以上の能力を持つレベルの万能な運動神経。
五人の頭脳・ひらめき・身体能力を1人で補えるキャラであるため致し方無い。

映画冒頭に出てくることはあるが、あくまで難解事項の解説役に留まっている(「大魔境」のヘビースモーカーズフォレスト、「魔界大冒険」の魔女狩り*5、「アニマル惑星」の新種植物、「翼の勇者たち」の鳥人伝説など)。
しかしその解説の分かりやすさときたら、読者にもしっかりと分かりやすく伏線を張りつつ解説している。
その「魔女狩り」の話などをきちんと理解できるのび太の頭脳もさり気なくすごいことになっている。あるいは出木杉の解説が分かりやすかったか。

「大魔境」のヘビースモーカーズフォレストなど実在しない事項も、まるで実在しているかの様な解説っぷり。まさにF氏のレベルの高さが投影されている。
子供のころ、ヘビースモーカーズフォレストを実在すると思った人も多いのではないだろうか。

とはいえ、彼にも弱点はある。
一つ目は、喧騒。
周りが喧しいと勉強も頭に入らないと発言している(ドラえもんプラス4巻「ドラえもんとドラミちゃん」より)。「真夜中の電話魔」では実際にそれが原因で成績が落ち込んでいた。
しかし野球もサッカーも大音量の声援がありながらも活躍しているのでスポーツなど運動関連には影響を及ぼさないと思われ、
勉強やテストなどはそもそも音量を出している側に問題があるので苦手な事が起きる事態はほとんど無い。隙ではあるが隙にならないのである。

二つ目は、突発的なアクシデント。
根が常識人かつメインの5人ほど冒険やSF(すこしふしぎ)な出来事に慣れていないため、突発的なアクシデントに対応し切れない事もある。
彼自身はファンタジーに憧れている反面、ひみつ道具に触れる機会が少ないのも一因だろう。(存在を把握していないわけではなく、イタ電についてはドラえもんとのび太に真っ先に相談していた)
「人魚大海戦」では架空海水まきぞえガスを浴びたことで、のび太の町にやって来てしまったサメと、ゲストヒロインのソフィアを目撃し、気絶してしまった。
「へやこうかんスイッチ」では自室とのび太の部屋が入れ替わったことに対して、パニックを起こしている。
不意打ちにも弱く、わさドラオリジナル回「のび泥棒をタイホせよ」では、泥棒になりすましていた警察役の静香に泥棒役の出木杉が捕まり*6彼は苦しい顔をしていた。(その後は勝敗の行方をのび太に託していた)

わさドラ版では「誠実であるが故に人の気持ちを理解しきれず(相手が本当に求めている答えを読み取りきれず)、直球で返してしまう」事があった。
「奇跡の島」では、のび太が虫相撲に持ち出したカブトムシを「勝ち目がない」と言ってしまったり、「めんくいカメラ」ではドラえもんとのび太がカメラについて愚痴を言っていた時に「美しさは人の価値観によって変わるものだ」と言ってドラえもんとのび太をムッとさせている。
また、「かがみのない世界」では、女の子に似顔絵を頼まれた際に本人そっくりに描いて(似顔絵の表情は優しい笑顔である)顰蹙を買ってしまっている。

実際のところは出木杉の手の届かない部分はそれなりに存在し、ひみつ道具に扱い慣れているドラえもん・打たれ強い精神力ののび太・ヒロインならではの活躍ができる静香・力や義理人情の厚いジャイアン*7・趣味の広さや要領の良いスネ夫と言った部分はそれぞれ彼らのほうが優れている。
上記の欠点の通り、決して完璧とは言えない部分も存在している。


ガリ勉によくあるロマン・超能力・ファンタジーを否定するような底の浅い唯物論者でもなく、
上記のように様々な過去の伝承への理解も深く、本人の夢も「火星に行くこと」というロマンチスト。
ジャイアンには笑われたが、なんと大人になった時には成し遂げている
「魔女狩り」の話をお互いスムーズに進めたり、アニメオリジナルではあるが「ジュラ紀でドラミが大ピンチ」をはじめ、静香がらみ以外ではのび太は出木杉と馬が合う様子を見せており、これはお互いそういったロマンへの理解があるためであろう。

ちなみに未来における描写には恵まれており、「結婚前夜」ではメインキャラに選ばれ「しずちゃんをとりもどせ」では大人になったのび太と出木杉は家族ぐるみで交流がある親友となっている。
上記の描写も含め、のび太との相性の良さはドラえもんや静香に引けを取らないのも分かる。

ひたすらマジメというわけでは無く、冗談など気の利いた発言もでき、マンガやゲームにも興じる事ができ、すべてを得意とする。純粋に年相応の無邪気さを振る舞うことさえある。

例えるならバランスタイプという事だろう。
なのでコレを逆手に取った大長編での補正はかけ辛い。恐ろしや出木杉英才。


「いいぜ、俺は。追記・編集しても。俺のタケコプターの電池が切れたとき、お前、手を離さなかったもんな。」

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