ギリシャ神話

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ギリシャ神話 - (2022/12/30 (金) 20:39:17) の編集履歴(バックアップ)


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更新日:2024/03/23 Sat 18:45:15
所要時間:約 15 分で読めます




ギリシャ神話は古代ギリシャ人が語り伝えていた神話。
当初は詩人や神官達によって口頭で語り継がれるものだったが、紀元前八世紀頃から文章に纏められた事で後世へと伝承された。
また古代ローマ帝国は文化面で古代ギリシャから多大な影響を受けており、自分たちの神々とギリシャの神々を合体させてしまったため、ギリシャ人の神話とローマ人の神話が融合してしまうという事態が起こる。
その為、ギリシャ神話は時にギリシャ・ローマ神話と呼ばれることもある。


ギリシャ神話の代表的な作品

  • 『イリアス』
トロイア戦争を舞台にした英雄物語。
世界最古の吟遊詩人とされるホメロスが生み出した叙事詩。
吟遊詩人によって歌い継がれていたものが前六世紀頃に文章に纏められたとされている。
  • 『オデッセイア』
トロイア戦争の英雄の一人であるオデッセウスを主人公とする冒険譚。
作者は『イリアス』と同じくホメロスとされている。
  • 神統記(テオゴニア)
地方ごとにバラバラだった神々の家系図や神話世界の歴史を一つに纏めた作品。
  • 『変身物語』
紀元前一世紀頃から紀元前三世紀頃にかけて当時の劇作家などがギリシャ神話を題材に生み出した作品を纏めたもの。
ラノベ風に言うと『神統記(テオゴニア)』が本編でこちらはギャグ多めの短編集といったところか。
神々の恋愛譚やギリシャ星座の物語は、この作品から採られたものが多い。

ギリシャ神話の神々

最高神ゼウスに従う神々でギリシャ中部にある「オリュンポス山」の山頂に住むとされていた。
中でも最上位の十二人の神々はオリュンポス十二神と呼ばれ特に敬われていた。

通常、十二神は
  • ゼウス
  • ヘラ
  • アテナ
  • アポロン
  • アフロディーテ
  • アレス
  • アルテミス
  • デメテル
  • ヘパイストス
  • ヘルメス
  • ポセイドン
  • ヘスティア

であるが、ヘスティアの代わりにデュオニソスが入る事もある。
また、十二神と同格の神としてハデスとペルセポネが居り、稀に含まれる事がある。
基本的にオリュンポスに常駐している神でティターンに含まれない神だけが挙げられており、冥界で働いているハデスやペルセポネ、ヘカテーや地上に常駐しているディケー、ティターンの一角であるレアやテミスは強大な力と神格を有しているにも拘らず除外される。

神々には不死性でランキングが有り

  • 神々⇒負傷で障害を負ったり*1一時的に弱体化して動きが取れなくなったりすることは有っても、不死身で同格以上の神の渾身の攻撃でも殺す事は出来ない
  • ニンフ⇒不老だが、致命的な傷を負ったり宿っている樹木や泉を破壊されると死ぬ
  • 半神⇒人間より老化は遅く生命力も強いが、殺す事が出来るし老衰死もする
  • 人間⇒死ぬ代わりに繁殖力は強い
と言うのが原則である。
神々やそれと同等の魔獣は「殺せないので封印する」のが原則である。
また、ゴルゴン三姉妹の様に、「末っ子だけが不死身ではない」と神々の中でも突然変異的に不死性を有していない個体が生まれる事も有る。

尤も、不治の毒に苦しんだケイロンが不死性を自ら捨てたり、天を支えるアトラスが自ら石化を受け入れてアトラス山脈になったり、自分の子供達の不幸な最期を見続けた事で憔悴したハルモニアが夫共々に蛇になって死んでしまったように、本人が死を心から望んだ場合は神々でも死ぬ。
ヘラの母乳や神酒ネクタル、デメテルの秘儀、ステュクスの水のように半神や人間の身体を普通の方法では殺されない肉体に強化する手段も存在している。
死んだ人間や半神はヘラクレスやアイネイアースのように神々の一員として迎え入れられてオリュンポスに転生する例やラダマンテュスのように冥界の神としてスカウトされる例も有るが、極めて稀であり、冥界の王ハデスと王妃ペルセポネの裁きを受けた上で死者の王国に加わる。
善行を積んだ人間はクロノスが封印されているエリュシオンで穏やかに過ごす事が出来るが、親殺しや子殺しをした悪人は厳しい罰を受ける事になる。
死者の蘇生はハデスの特別な認可を受けた例でのみワンチャンスで可能であるが、その場合も「後ろを振り返らずに一心不乱に冥界の出口に向かう」「地上側で肉体を組み立て直して高位の女神であるレアの祝福を受ける」等、手順を厳格に守る必要が有る。

また、神の行った事は不可逆、他の神の行った行為を取り消す事は出来ない、と言うルールも存在する。
例えば、ハデスが特別に蘇生を許可したペロプスは左肩部分をデメテルが完食していた為に、ハデスとレアもそのままでは復活させる事が出来ず、デメテルが新しい左肩を作り直し、ポセイドンが不具合を起こさないよう後見する事で漸く復活し、ゼウスとヘラの夫婦喧嘩に巻き込まれた挙句、ヘラを怒らせて視力を奪われたテイレシアスの視力を回復させる事はゼウスにも出来ず、代わりに予言の力と長寿を与える事で代償としている。

正式な神罰の執行はゼウスとテミスの次女であるディケーの役割であるが、生真面目で優しい性格であり、神器<正義の天秤>で対象の罪を計る⇒天秤で計った罪の重さをゼウスとテミスに報告して処罰の度合いを相談する⇒三人の合議の結果に従ってもう一つの神器<正義の剣>を振う・・・と神罰の執行に慎重である上に、地上に常駐して神罰が執行されるような事態にならない様に人間を諭しているので、基本的にオリュンポスには居ない。
神々が正式な神罰を下すにはゼウスとテミスに地上に常駐しているディケーの召喚を要請して、ディケーが罪の重さを計って、ゼウス、テミス、ディケーの三者が相談して・・・とかなり手間が掛かる上に、罪の重さによっては神罰を要請した神が望んだ物より軽い処罰になる事も有り得る。
何よりも、ゼウスに都合が悪い事案の処罰、例えば「浮気旦那(ゼウス)の愛人をお仕置きしてくれ(Fromヘラ)」「ゼウスの息子がうちの娘の弁明も聞かずに冤罪で惨殺した(Fromアレス)」等は拒否権を発動される可能性が有る。流石に自身がセッティングした息子嫁が義弟と不倫を働いた際にはポセイドンに後始末を押し付けてゼウスが逃げたよ・・・。
その為、物語の中で神々はゼウスを直接突き上げて正規の手順に従った<正義の剣>ではなく<雷霆>での処罰を要請したり*2、ゼウスも含めて勝手に私刑(リンチ)を行ったりしている場合が多い。


オリュンポス十二神

ゼウスの雷霆」と呼ばれる雷の槍を持つ、浮気が趣味の天空神にして最高神。
父クロノスに飲み込まれそうになったが、母レアの機転で救われる。
成人して兄弟達を助け出し、クロノス率いるティタン神族を倒し、タルタロスに幽閉し、くじ引きで天界の主となる。
ゼウス主体の新しい秩序を構築後、それが気に食わなかったガイアお婆ちゃんの刺客を神々総出で返り討ちにする快挙を達成。

神の王として祀られる一方で浮気常習犯で有名。
嫉妬で有名なヘラを正妻に持ちながら神、人間問わずに出会った女性を動物に変身してまで追い回した上、孕ませるという行為を繰り返している。
しかも反省してない。
ぶっちゃけ性別♀なら何でもよく、牛や馬すら平然と犯すとんでもない性癖の持ち主。
というか、顔がよければ♀でなくてもよく、美少年を拉致って侍らせたりもするトチ狂った性癖の持ち主。
聖☆おにいさんでは天上の星座の一部を「ゼウスさんの浮気の言い訳シリーズ」と表現されたりしている。
メタい事を言うと、各ポリスの王族が「わが祖先は神王ゼウス」という主張を纏めちゃった結果、好き勝手にでっち上げられた逸話がどれもこれも併存してしまい、とんでもない節操無しの色狂いになってしまったのである。


ゼウスの姉であり妻である神々の女王。結婚・母性・貞節を司る神。
結婚してからは貞節を守り、ゼウス以外とは関係を持たなかった。ゼウスは見習えや。

彼女と言えばその凄まじいまでの嫉妬心が有名で、権力の全てをゼウスの愛人やその間に生まれた子供に対しての嫌がらせに使う。
彼女のせいでヘラクレスを始め多くの英雄が難儀している。
やり口が兎に角陰湿で、特に有名な被害者はリビアの王女ラミア
彼女はゼウスに愛されたせいでヘラに恨まれ、ラミアの子供を皆殺しにされた上に下半身を蛇へと変えられてしまう。
それでも気が済まなかったヘラはラミアから睡眠は奪い、眠りによる逃避・休息すら許さず子供を失った悲しみを延々と味合わせる責め苦を与える。
最終的にラミアの精神は崩壊し、子を持つ母を羨んでその子を食べる化け物へと変じてしまった。

一方でヘラクレスの母アレクメネの様に極稀に癇癪から逃れられる事も無い事もない*3
ただ息子のヘラクレスが苦労する羽目になったが。
正直やってる事が今で言うヤンデレを超えたヤンデルのレベルなので取り繕いにしか見えない。
ちなみに、ゼウスに直接文句を言った時は逆にDVでお仕置きされている。
浮気した挙句、文句言った妻をDVするとかパッと見だと悪いのは完全にゼウスなのだが妻も相当アレなので仕方ないね。

実は腕っぷしも強く、トロイア戦争ではアルテミスを素手で叩きのめした。
陰湿なだけじゃなく剛毅な辺りたちが悪い。
人間の腹黒さを体現した神である。

これもメタなことを言うと、ゼウスをルーツとするため各地で作られた逸話の中で、ゼウスに孕まされた女や子供が受難する原因として最も手っ取り早い存在だった事が原因のようだ。


ゼウスの兄で海洋と大地を支配する神。
よく勘違いされるが海だけではなく海と大地(ただし地下はハデスの管轄)の神であり、
その気になれば大地震と大津波で全てを水没させることが可能と、
ゼウスの兄だけあってその実力はかなりとんでもない。
能力を見れば分かるように人間の住む世界全てに影響を与え、その実力は名実ともにゼウスに次ぐとされる。
ゼウス・エナリオス(海のゼウス)の二つ名は伊達ではない。

妻は海神・ネレウスの娘「アンピトリテ」 子供は海のトリトン。
元カノはあの有名なメデューサ
ちなみにエウリュアレという妻もいるがメデューサの姉であるエウリュアレとは別人。こちらは後にアルテミスと恋に落ちることになるオリオンの母である。

RPGの代表的な槍『トライデント』の持ち主で、キレると大嵐や地震を起こす。かつてアテネの守護神の座をアテナと争いをしたが負けた。
動物になると馬に変身するので馬の神とも言われている。というか馬の姿で交配した事が…
弟程では無いが、こちらも女癖は悪い。
ただ割と人情家なところもあり、更に身内には甘い性分だったりする。
まぁ身内に甘いのは逆に割と性質が悪い場合も多いのだが。

大地と豊穣の神でガイア>レアの後継であり女神の中でも最高位の大女神と言われる。
ヘスティアの妹でゼウスやポセイドンの姉で、子供はペルセポネ。
神々の中でも優しいが、キレると世界を飢饉に晒すおっかない神様。
代表的なのはペルセポネ略奪の際に行った豊穣神としての仕事のストライキ。
結果的にペルセポネは取り戻すが、1年の3分の1だけ地上に居ない時期は仕事を放棄しており、これが四季の始まりとされる。
他にもテッサリアと呼ばれる国の王が聖地の森の木を伐採してしまい、王様に対しやんわり諭すが、
何度言っても聞かない王様を「食べても満腹にならない体」にしてしまった。
王はあらゆる食料を食いつくし、財産も全て食料に変え、最終的には自分を食べてしまった。おっかねぇ
でもデメテルは食べ物の為に売り飛ばされた王様の娘を助け、恩恵を施した。やっぱ優しい

また男運が切ないほど無く、姉の色香に狂ったゼウスに犯され、ポセイドンにも迫られ馬に変身して逃げるもののお互いに馬のまま犯され散々…。
その上、本来の愛しい恋人は嫉妬に狂ったゼウスの雷に撃たれ死んでしまうと良い事がない。
最高神シスコン過ぎるだろ…。
ちなみにこれらの伝承は古代ギリシアの勢力争いに基づいた土着信仰の争いのせいでもある。
毎度ロクでもない目に合うもののその都度ブチ切れて神々を怖れさせるのは、古代ギリシャにおける異民族との力関係の暗示だとかなんとか。

第一世代の神々の長女。炎と竈の女神。自分勝手だったり、アクの強い神々の中でも良心的な常識神。
良い娘だけどなんか地味。
話によっては十二神に入れずに泣いているディオニュソスをかわいそうに思って十二神の座を明け渡したりしている。
ちなみに彼女の窯で作った食事は絶品と言われる。
アテナ、アルテミスに並ぶ処女神であるが、割りと恋愛エピソードのある二人と違って、ポセイドンやアポロンから迫られるのが嫌で、兄だか弟だかのゼウスに永遠に処女を守ることを誓うほどの筋金入りの独身主義者。
結婚をしていないのに家庭の守護神で、全ての孤児の母とも呼ばれる。

ゼウスと知恵の神メティスの子供。知恵・工芸・戦略を司る戦女神。
戦いの女神とされるが厳密には侵攻ではなく、ポリス防衛の守護女神とされる。

「メティスの子は親より強くなるよ」と言う予言を聞いて、ゼウスはメティスが孕んだ途端に飲み込む。
しかし母体を飲み込んでも成長し、頭痛に悩むゼウスにヘパイストスが「頭カチ割ったら直るんじゃね?」と言って、有言実行した結果、鎧兜をフル装備して誕生した。
戦いの神の名に恥じず、軍神アレスを一発KOしたり、
ガイアお婆ちゃんの産み出した巨人族の中でも最強のエンケラドスを倒し、現イタリアのシチリア島をぶん投げて圧殺した。随分やんちゃ娘なことで・・・
そんな彼女だが、武器の発注に訪れた際に、嫁を寝盗られて欲求不満だったヘパイストス(血縁関係はないようだがアテナの兄にあたる)に迫られ、逃げ回った末に追いつかれ、足元に謎の白い液体をぶっかけられた。

ちなみにアルテミス同様に処女神である。
その割に男に惚れ易く更にかなり嫉妬深い面があり、有名なトロイア戦争の引き金となった一神でもある。
またメデューサの髪の美しさに嫉妬し呪いをかけたり、アルケニーと手芸勝負をして負けた腹いせに蜘蛛女に変えるなど割ととんでもない女。
一応、前者は諸説の一つ(ただどの説でもアテナの独善が目立つ)であり、
後者はアルケニーの手芸の内容がゼウスと美女の情事の絵柄だった事にキレたからではあるが。
後者に関してはゼウスの行動を考えたら完全に八つ当たりみたいなもんである。
姐さんとしか言い様がない女神。

なお、処女神ではあるが、実はエレクトニウスという息子がいる。
ヘパイストスに白いのをぶっかけられた時、羊皮でそれを拭いてその辺に捨てると、そこから男の子が生まれたのである。
ヘパイストスの男汁で大地がにんっしんっしたのだとか。
アテナにとっては何の義理もないはずだったが、引き取って育てるという母性を見せる。
この息子は長じてアテネの王となっている。氏より育ちだね。
もっとも、アテナが処女神であると言い訳するためにヘパイストスがむりやり××したのをボカしているのではないかという説もある。

ちなみに有名なアイギス(イージス)の盾は元々ゼウスの肩当てを借り受けたものであり、それをそのまま自分のものにしている。


ゼウスとレトの息子でアルテミスの双子の兄。医学、音楽(竪琴)、予言の神。
女運はとても悪い。しかもバイ。そしてシスコン。
疫病を蔓延させる神でもあるという迷惑極まりない物。母親を馬鹿にされて妹と2人でそいつの一族を皆殺しにしたり、
自分が惚れたトロイア王国の王女・カサンドラに別れを告げられて、
「お前の予言は当たるけど誰も信じないようにしてやる!」
と嫌がらせをした上、トロイア戦争でトロイア王国を滅亡させた。コイツ害与えてばっかじゃん…
ちなみにトロイア戦争を起こしたのは異母兄妹のアテナ。


アポロンの双子の妹。狩猟、純潔を司る女神。
かなり気が強く勘気に触れて悲惨な目にあった人間は数知れず・・・かなり性質が悪い。
ゼウスに永遠の処女を誓い、付き人にもそれを徹底させる一昔前のアイドルグループみたいな神様。
ちなみに破ると殺される。
そんな彼女の有名な逸話と言えば「狩人オリオン」である。後にオリオン座になる狩人オリオンといい雰囲気になるが、兄貴の作戦で破局してしまう。

こんな感じ

兄「アルテミスだったら、あの水面に矢を射てるよなー(水面にオリオンが拘束されていた)」
妹「馬鹿にしないでよね!」
矢「スパーン!」
オリオン「えっ?」チーン
兄「計画通り・・・」

お兄ちゃん見苦しいぞ

ちなみにこいつもトロイア戦争の発端の一神。


ゼウスとヘラのがっかりな息子。戦争を司る神。
アテナと違いこちらはいわゆる侵攻などを司っている。
愛人にアフロディーテ、子供にフォボス、デイモス、ハルモニアが居る。男神の中では1、2を争うイケメンでガタイのいい「イイ男」。
戦争を司り、軍神とも言われるが、このアレス

メチャクチャ弱い

アテナと戦った時にごり押し戦法で負け、更には人間のディオメデスに槍を突き立てられて大声で泣き叫びながら敗走、
あげくの果てには巨人の兄弟に青銅の壺に一年以上閉じ込められると言うザマ。弱っ・・・

こんな神の屑でもツラだけはいいため、美の女神アフロディーテと浮名を流したりしているが、
浮気の現場をブチ切れた旦那(ヘパイストス)に抑えられ、全裸合体状態のまま緊縛され神々の晒し者にされた挙句、アフロディーテに惚れていたヘルメスに「アフロちゃんとヤるのは羨ましいけどアレスほどチ◯コ立派じゃないんで(意訳)」と言われ神々に爆笑されるという醜態をさらしている。
この後に開放されると全裸のまま逃げ出したものの賠償金払わされるわ謹慎させられるわと、もはや神と思えないほどボロクソな目にあっている。

本業でも私生活でもダメダメ。
なんかもうアレスと言うよりヘタレスである。
なお、繰り返すがコイツはゼウスとヘラの息子である。最高神とその正室の息子である。
嫡男、嗣子、皇太子、跡継ぎ、若旦那…要するに最も由緒正しい血筋のエリートである。だから余計に無様。

というのも、同じ戦争の神でも、アテナが勝利・英雄・名誉といった戦争の華やかな面を司るのに対し、
アレスは敗北・負傷・混乱・恐怖といった負の側面を担当しているからである。
元々渡来の神であり、ギリシア人に戦争の負の一面ばかり押し付けられた可哀想な神で、イケメンとはいえ既に地元でアイドル人気絶頂にあったアテナに今更敵うはずもなく…。
結局古代ギリシア人から人気を得られず、その煽りで情けない逸話を溢れさせられてしまったある意味世界最古レベルの風評被害の犠牲者。
ただ、始祖カドモスと守護神となる契約をして娘のハルモニアを降嫁させたテーバイはギリシャ諸国の中でも繁栄しており、国の守護神としては其れなりに優秀と思われる
ちなみにローマ神話に移植されマルスとされた時はかなり地位が向上してちゃんと戦神している。


ゼウスとヘラの息子。火山と鍛冶の神。
ただし、前妻の娘アテナがゼウスより産まれたことに嫉妬したヘラが頑張って1人で産んだとも言われている。どんな体してんだ。
ただし無茶した影響なのか足が不自由でブサイクだったらしい。
神々の武器屋さんで、ゼウスの武器である雷霆の製作者。双子の矢とかアイギスの楯とか作ったのも彼。すごいぜ!

色々頑張ってるのに醜いからってヘラに捨てられた、若しくは両親の夫婦喧嘩を止めようとしてゼウスに天空から叩き落された、嫁に来たアフロディーテには相手にもされなかった挙句アレスに寝取られるという不遇な神様。
どちらもお手製のトラップを仕掛けてきっちり落とし前をつけているのだが、だからといって気分が晴れたかは別問題。
上述のNTR暴露騒動もあって相当溜まっていたらしく、武具を発注しに来たアテナに欲情して追っかけまわした挙句、処女神の足に白くベタつく何かをぶっかけ零れ落ちた先の大地を孕ませるという凶行に走った。

つくづくギリシャの神々は本能に忠実過ぎである。

ちなみにヘラに捨てられた、若しくはゼウスに天空から叩き落された後は、海の女神テティス(後のアキレウスの母)に拾われて育てられており、成長してオリュンポスへ帰る際、彼女に礼として自作の宝石をプレゼントしている。

ヘタレだけどイケメンなアレスと併せて、※ただしイケメンに限るを擬人化したような神様。
ブサメンでも一芸を身に付ければ偉くなれるよ!という希望の星であり、
偉くなっても女にはモテないよ!という絶望を突きつける存在でもある。


ゼウスとマイアの息子。伝令、旅人、商売、錬金術の神。そして泥棒と詐欺の神。
アポロンが芸術や医学といった高潔な知性を象徴するのに対し、こちらは世俗的な知恵や狡猾さを司る。
ヘラの母乳を飲んで育った為、唯一迫害されなかった。
ゼウスの忠実な部下でどこぞの戦いの神(笑)よりよっぽど優秀。相当な知能でゼウスに気に入られたという。
生き物を眠らせる杖やどこへでも行くことのできるサンダルを持つ。知識もあり、人類に様々なものを教えたりした。
実力も高く、百眼の巨人アルゴスを1人で殺している。
神々の中では珍しく地上、天界、冥界の三界を行き来する。
そのためよく他の神にパシらされたりもする。
泥棒や詐欺などの金銭的犯罪も象徴する神だが、おそらくオリュンポス十二神の中ではヘスティアやハデス、デメテルに次ぐ人格者。
ちなみにアフロディーテのことも好きらしい。
この2神の間に生まれたのが、ニンフのサルマキスとむりやり融合させられ両性具有となった「ヘルマフロディトス」である。


愛と美の女神。実はゼウスの子供ではなく、ウラノスの去勢された物から泡が吹いて誕生した。
キュプロス島にいたところ、その美しさにオリンポスの神々が総出で引っ掛かりゼウスの養女となった。
なので実はゼウスの叔母にあたり一番年上。
ホメロス説ではゼウスとティターンの天空の女神ディオネーの娘で、息子の盾になった結果人間相手に大流血に追い込まれて荒れ狂う処を母に窘められている。

ちなみに愛と言ってもヘラのような夫婦愛・家族愛のような物ではなく男女の性愛である。
また彼女の魔法の宝帯は愛・欲望・憧れといった感情を秘めており、それにより女の魅力を増し神や人の心を征服する。
ただし処女神のアルテミス、ヘスティア、アテナはこの呪力の効果は及ばない。

最美の女神が極上の肢体と魔法で男を誘惑…そりゃ男も引っかかるわ…。
男を選ぶ基準は顔のみ。
ちなみに結婚・愛人関係を結んだ男は多数…さすがである。
ヘパイストスの一件で全裸合体中に緊縛され晒し者にされた時も、恥ずかしさに耐えられず逃走したアレスを尻目に一人微笑んでいたというからとんでもない度胸の持ち主だったようだ。
色気命なので武勇伝は特に無いが*4、魚座の元ネタである。
またこいつもトロイア戦争の発端の原因の一神。
ギリシア神話の女神の多分に漏れずやっぱり強気で傲岸で他の女神との仲も険悪な感じが多い。
…というかこの神話、女神同士の仲悪すぎである。


ゼウスと人間セメレの息子。酒と狂乱の神。
葡萄の蔓が巻きついた杖と酒杯を携えて描かれる。
ディオニュソスが生まれる前に母親はヘラのせいで死に、臨月までゼウスの太股で育ち、生まれた。
人間である叔母の手で育てられ、叔母の死後は各地を放浪するうちに神としての力を示していく。
最終的に死んだ母セメレーを冥界から救い出すことで神の一員としてみとめられ、オリュンポスで暮らすようになる。
本来は十二神では無いが、ヘスティアの情けで十二神入りする事がある。
トラウマを持ち、性格が色々歪んでいる。

その他の神々

正確にはハーデースだが日本語読みではさっくりとハデスと呼ばれる。
ゼウス、ポセイドンの兄で地下と冥府の支配者かつタルタロス(奈落)の管理者。
妻はペルセポネ。ペットは三首の犬ケルベロス。
ティタン神族との戦いで姿を消してクロノスの武器を奪い取ると言う功績を挙げたのに、くじ引きで「冥界」を引いたばっかりに地の底へ追いやられる。
更に神々からも敬遠されたうえ、仕事が忙しくて宴にも出かけることができない不運すぎる神。
その役割のせいでオリンポス十二神の枠組みからハブられることも少なくない。

色情狂揃いの一族ではかなり女性に奥手な方(それでも何度か浮気未遂はしている)で、他の神とは違い女性の扱いに悩む事が多い。
ゼウスとデメテルの娘・ペルセポネに一目惚れして、嫌がる彼女を拉致して妻に迎える。
しかも、誘拐を提案し共犯となったのはペルセポネの父でハデスの兄ゼウス。お前最高神だろ!?
しかし、デメテルが娘を取られ激怒し、豊穣神としての仕事をボイコットして引きこもってしまう。
「これは不味いな?」と思ったかどうかは知らんがゼウスは自分が提案したことを棚に上げて帰すように言うが、
ペルセポネに「地上に帰れる」と騙して冥界の果実・ザクロを食べさせ、冥界から出られなくした。
しかし、日本神話のイザナミと違い「1年の3分の1」だけ冥界に居るだけで許された。
まぁ、こんな真似しているが、3兄弟の中では一番まとも。
なんやかんやでペルセポネとの夫婦仲は良い。


  • ディケー
ゼウスとテミスの娘で「季節・時間」と「正義」を司る。別名:星乙女アストライアー。
ローマ名ユースティティアが英語風に訛ったものが英語で正義を現すJusticeである。
神々の検事総長兼処刑担当者であり、処罰対象になった神を瞬時に打ちのめし、国の一つや二つ、簡単に滅ぼせる程の強大な女神だが、
伯父のハデスや妹ペルセポネ同様にオリュンポスに居ない事が多いので十二神からは省かれている。
神器<正義の剣>の使い手で正式な神罰の執行担当者の役割を割り当てられているのだが、普段は地上に常駐して正義を説いて神罰が執行されるような事態にならない様に人間達を諭し、神罰を下す際ももう一つの神器<正義の天秤>で罪を計って証拠を掴んだ後に、ゼウスとテミスと相談の上で動くという生真面目で優しい性格。
地上に常駐して働いていた最後の女神だが、妹(実は受精は此方が先)の軍神アテナや弟の戦神アレスが戦争を煽り、人心の荒廃が激しくなったので、半ば仕事を放棄して隠遁し、自分の元を訪れる正義感の強い善人に教えを説くだけになり、人間がを戦争と殺戮に使うようになると遂に天に昇って乙女座になってしまった。
裁判所には「正義の女神」として剣と天秤を持った彼女の像が良く置かれており、十二神外の神としては一般に目にする機会が比較的多い。


世界の始まりに生まれたとされる原初神の一柱。
大地の母神であり息子である天空神ウラヌスと交わりティターン神族やキュプロス、ヘカトンケイルといった怪物を産み出した。

天空神であり最初に世界の支配者となった神。
ガイアとの間にティターン神族やキュプロス、ヘカトンケイルといった怪物を産み出したが息子であるクロノスに男根を切り落とされ世界の支配権を奪われた。

ゼウス以前に世界を支配していたティターン十二神の長で植物を司る農耕神。
天空神ウラヌスと大地母神ガイアの息子でゼウス達の親世代に当たり父神であるウラヌスの男根を切り落としウラヌスから世界の支配権を奪い取った。
しかし、ウラヌスから「いずれお前も自分の子供に覇権を奪われる」と予言されたことで、恐れを抱き生まれた子供たちを次々と呑み込んだとされる。
この行いが反感を買い「ティタノマキア」にてクロノスの手を逃れたゼウスに世界の覇権を奪われた。
クロノスはよく時の神と間違えられるが、これはほぼ同一名称(ぶっちゃけギリシア人も発音で勘違いする)の別の神で、クロノス本人は農耕神である。
ただし農耕が全ての天候に関わり更に時間と密接な関係にある事から何らかの関係があるのではという説もある。

  • レア
クロノスの妻にして姉で、植物を加護するクロノスに対して動物を庇護する大地母神。
次々と子供が出来る行為をしては子供を呑み込むクロノスに不満を抱き、3男のゼウスを隠して父への反乱を起こさせた。
ゼウスが覇権を握った時代には動物の庇護神と言う役割を孫のアルテミスに渡して第一線を引いているが*5怒り狂って手が付けられなくなったヘラやデメテルを押え付ける事が出来るほぼ唯一の存在であり、長男であるハデスと協力すればシチューに調理された遺体すら蘇生させる事が出来るので、ゼウスが自身の不誠実やヘマで事態が手に負えなくなった時には泣きついてくる。

  • テミス
レアの姉妹、クロノスの姉で、掟を司る。
ティタノマキアではレア共々ゼウスに味方したので、ティターン十二神の中では例外的に権力を握り続けた。
神々の法律全書兼裁判長補佐の役を担っており、ゼウスとの娘であるディケーが<正義の天秤>で分析した結果を基に適切な処罰を弾き出す。
ギリシャ神話の神々は理不尽な罰を下す場面が多いが、正規の神罰の発動はテミスの認可とディケーの善悪分析が必須、即ち真っ当な天罰や正規の手順に沿った神罰に関しては全てテミスの認可が下りているのである。


人の寿命や運命を決定する女神たち。
長女「ラケシス」次女「クロト」三女「アトポロシス」の三姉妹で、それぞれが「過去」「現在」「未来」を司っているとされる。

  • イリス
虹の女神。
絵画では背中から黄金の翼を生やし、手に杖を持った姿で描かれている。
天空に架かる虹は彼女の航跡とされており、あらゆる神々の中でも最も早く空を飛ぶことが出来るとされている。
ギリシャ神話ではこの特徴を生かしてオリュンポスの神々の伝令役として活躍している。

  • ヘリオス
太陽神。
「月の女神セレネ」と「暁の女神エオス」は彼の妹。
本来は彼が「太陽神」なのだが、後にアポロンと習合され役割をアポロンに奪われた。

  • エオス
暁の女神。
「太陽神ヘリオス」と「月の女神セレネ」とは兄弟。
彼女の役割は毎朝、2頭引きの馬車に乗り兄であるヘリオスの到来を人々に知らせること。
その後は兄と共に空を駆け、翌朝になると再び東の空に現れる。

  • セレネ
月の女神。
「太陽神ヘリオス」と「暁の女神エオス」の妹。
本来は彼女が「月の女神」なのだが、後にアルテミスと習合され役割をアルテミスに奪われた。
彼女の神話で特に有名なのが、エンデュミオンとの恋物語だ。
天空からエンデュミオンを見初めたセレネはエンデュミオンと恋仲になるが、神と違い人はいずれ老いて死ぬ。
それを憂いたセレネはゼウスにエンデュミオンを不老不死にするように願い「永遠に眠り続ける」ことを条件に許可された。
こうして夜毎エンデュミオンの元を訪れ、そばに寄り添っているという。

冥界の女神にして月の女神。
魔術を司る女神でもあり、ギリシャ神話に登場する魔女はヘカテーの信者が多い。
中世ヨーロッパでは魔女たちの守護神として恐れられた。

  • ハルモニア
アレスとアフロディーテの娘で「調和」を司る。
アレスの竜を自分の身を守る為に殺したテーバイ初代王カドモスがアレスと和解する際に、降嫁した。
本人は人間相手にも優しく、国民から敬愛を集めた良い王妃だったのだが、
アフロディーテの元夫で伯父でもあるヘパイストスから婚礼祝いに「呪いの首飾り」を贈られており、子供達が本人に直接落ち度がない例も多々含むにも拘らず次々と悲惨な最期を遂げる。
遂に、自分が呪われていると勘違いし、夫カドモスと共にテーバイの国を出た後、
蛇に変身したまま自らの意思で不死性を捨てて死んだ。
カドモスとハルモニアは父であるアレスがハデスに頼み込んでエリュシオンのクロノスの下に送られたが、呪いの首飾りはそのままテーバイに遺された。

  • テュケ
幸運の女神。
頭に冠をかぶり、無数の作物を詰めた牛の角や運命の輪と共に描かれている。
「幸運の神様には前髪しかない」という諺に出てくる女神とは彼女の事で、気まぐれに人に幸運を齎し不運を与える。
ローマでは「フェルトゥナ」と呼ばれていた。

  • テティス
海の女神。
その美しさから主神ゼウスや海神ポセイドンからも求婚されていたが「テティスが産む子は父親よりも強くなる」と予言されたためゼウスとポセイドンは求婚を撤回した。
その後、テティスはプティーアの王であるぺレウスと結婚。彼との間にアキレウスを儲けた。
テティスは生まれたばかりのアキレウスを冥界に流れる「ステュクス河」の水に浸けてアキレウスを不死身にしたが、テティスが掴んでいた踵だけは水がかからず、この部分が弱点として残った。
アポロンに扇動されたヘラ、ポセイドン、アテナがゼウスを縛り上げた際にはヘカトンケイルの長男ブリアレオスと共にゼウスを救出し、3対4の団体戦とは言え女神の中でも最強クラスの腕っ節を誇るヘラやアテナに勝利してクーデターを鎮圧しているので、意外と強いし作戦立案能力も高い。

ギリシャ神話の登場人物

ギリシャ神話最大の英雄。
ヒュドラ退治に代表される十二の試練を成し遂げ、巨人達との大戦である「ギガントマキア」では神々と協力して不死の巨人達を滅ぼした。

  • ペルセウス
ヘラクレスと同じく最高神ゼウスの息子でゴルゴン三姉妹の末娘メドゥーサを退治した。

  • アスクレピオス
太陽神アポロンの息子。
優れた医者であり、死者すらも蘇らせる事が出来たとされる。
しかし、その結果冥界の支配者であるハデスに危険視され、ハデスの要請でゼウスに雷で殺害された。
死後、その功績を称え、星界へと上げられ、「へびつかい座」となった。


ギリシャ神話の怪物


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