新機動戦記ガンダムW Endless Waltz

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新機動戦記ガンダムW Endless Waltz - (2021/05/02 (日) 02:34:23) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2009/07/18(土) 11:53:40
更新日:2024/04/23 Tue 21:17:51
所要時間:約 7 分で読めます





静かなる軌道(サイレント・オービット)

「例えるなら、歴史とは終わらないワルツのようなものです」

過ぎ去りし流星(オペレーション・メテオ)

戦争平和革命という三拍子がいつまでも続く……」

永遠への回帰(リターン・トゥ・フォーエヴァー)


新機動戦記ガンダムW Endless Waltz(エンドレス ワルツ)




新機動戦記ガンダムW』のOVA・劇場版のタイトル。『Endress』でなく『Endless』。
1997年に3話のOVAが発売され、1998年に3話をまとめて追加映像を加えた劇場版が放映された
その際『機動戦士ガンダム第08MS小隊 ミラーズ・リポート』が同時上映された


主題歌は
OVA…WHITE REFLECTION
劇場版…LAST IMPRESSION
歌手は二曲共にTWO-MIX(バーローこと高山みなみ)。
どちらも名曲として名高い。
LAST IMPRESSIONの方は歌としては異例の7分32秒という長さ

ちなみにWHITE REFLECTIONの方は名探偵コナンでも登場した。
歌っているのは本人(コナンではなく、本人役で出演)。


小説版も発売。
OVAや劇場版で流れた「ヒイロの過去」や「トロワの過去」
「デュオ・マックスウェルという人物の由来」や「カトルの出生」「五飛が正義にこだわる理由」……
等が書かれている。


この作品が作られるにおいて機体のデザインも一新。
ウイングガンダムゼロは天使のような羽に
ガンダムデスサイズヘルはクロークの形が蝙蝠のように
ガンダムヘビーアームズはビーム兵器を廃しガトリング砲が両腕に
ガンダムサンドロックはヒートショーテルが大型化
アルトロンガンダムは腕の形状が変化

と簡単に挙げるだけでもこんな感じであり、武装面でもそれぞれの機体の特長を非常に強調したものとなった。
それでも機体のスペックはアニメと一緒だとか……

ちなみに名称は一昔前まで「~カスタム」と表記されていたが、最近ではそのまま表記されるか、「~(EW)」というように表記されるようになった。
これは描いた人が違うだけで、ウィングガンダムゼロやガンダムデスサイズヘルとは全くの同一機体(パラレルデザイン)だからである。
武装とか全然違うのに同一機体とか無理がある気がするがカトキデザインなので仕方ない。

尚「カスタム」と付いた経緯は、ガンプラを発売するにあたり、同一の商標ではユーザーが混乱するという配慮が元。
近年では「TV版の改良型」という誤認を廃する為、「Endless Waltz」または「EW」などと後ろに付ける事が多い。

最近のゲームなんかもほとんどこれだが、EW版はマジでTV版より性能が高かったりする。何故だ。


OVAクオリティの作画と、今までに無かった独自の展開が人気を博し、かなりの商業的成功を収めた作品。
作品のテーマも意外に深く、相変わらずの「泥臭く硬派なビジュアル系」といった作風。

特に特化したメカデザインは当時の少年達のハートを掴み、とにかくプラモが売れに売れた。
主役ガンダムやトールギスのみならず、敵量産機のサーペントさえ発売されたあたり、いかに人気だったか分かるだろう。
だがリーオートーラスは出なかった……畜生!

しかし、TV版のファンの全てが本作品を肯定している訳でもない。
多くはそのメカデザインが「突き抜けすぎ」「お聡美系か!」という理由や、TV版にはあった「ガンダムという存在の圧倒感」がないという理由。
そして何よりも、「近年はEW版ばかり優遇しすぎではないか?」という事。

ゲーム系なんかではもっぱら、

EW版>>超えられない壁>>TV版

だったり、話題にされるのもEW版だけだったり。
特にEW版が入ると高い確率でTV版がリストラされる為、TV版ファンはEW版を嫌っている事も多い。
……まあ、一部制作者の発言も原因だったりするが。
大体、TV版ガンダムWは主人公が反体制側なので、その辺りの問題が片付いているEWの方が出やすいのは当たり前である。

ちなみに、一応本作品はTV版の「パラレル的続編」らしいが、脚本家が続編小説を書いてる辺り、関係者では正史として扱ってるよう。
……ただ、隈澤氏は「自分は別に続編と言っておらず、サンライズがそう付けた」と『フローズン・ティアドロップ』のあとがきで語っているので、そこらへんは根が深そうな問題である。


2011年8月にはブルーレイでHDリマスター仕様が発売決定。
初回限定版には劇場版パンフレットや小冊子、フィルムが付くという嬉しい仕様になっている。



■ストーリー


時はAC196年、クリスマス。
地球統一軍とホワイトファングによる全面戦争「イヴウォー」の終結から一年の月日が流れ、世界は平和の道を歩き出していた。

ガンダムのパイロットたちは「平和になればガンダムは必要ない」という信念の下、自分たちのガンダムを太陽に向けて廃棄する。
一機、五飛のガンダムを除いて……

そんな折、外務次官リリーナ・ドーリアンが何者かに誘拐される。
そしてその犯人であり、トレーズ・クシュリナーダの正統な後継者を自称するマリーメイア・クシュリナーダがリーオー、そして新型MS・サーペントを主力とした武力で世界に対して宣戦を布告する。
デュオとヒイロはそれを阻止すべくマリーメイアの下に乗り込むが、その二人の前に現れたのはかつて共に戦ったトロワ、そして唯一ガンダムを廃棄しなかった五飛であった。
一方、カトルは廃棄したガンダムを取り戻すべく廃棄資源衛星へ向かう

こうして平和のための最後の戦いが始まったのであった……



■キャラクター


ヒイロ・ユイ(CV:緑川光)
「俺達はあと何人殺せばいい…?」
主人公。相変わらず人間離れした各種アクションを魅せてくれる。
相変わらず名(迷)言が多い。

リリーナ・ドーリアン(CV:矢島晶子)
「私達に必要なのは主義や主張ではなく、平和を望む心です!」
ドーリアンに戻った元女王。
攫われたりしたが、相変わらずタダで転ぶおとなしいお姫様ではない。

マリーメイア・クシュリナーダ(CV:佐久間レイ)
「私は違う。私は勝者となるのです」
ザ・エレガント閣下の忘れ形見。
ある意味今作のヒロインとも言えるロリっ娘。

デュオ・マックスウェル(CV:関俊彦)
「これでも『負け続ける戦い』は得意でね!」
相変わらず貧乏クジ担当の人気No.1男。
殴られ損なのはいつもの事か。

トロワ・バートン(CV:中原茂)
「こいつらはかつての俺達と同じだ……」

相変わらず気を遣うイイ奴。でも素直じゃない。
ノンオプションのヘビーアームズで大気圏突入した猛者。

カトル・ラバーバ・ウィナー(CV:折笠愛)
「やっぱり今度も、負ける戦いだな……!」
砂漠の王子様。
かなり活躍が多い。だがマグアナックは……

張五飛(CV:石野竜三)
「俺は貴様と戦ってみたかった…。」
ごひ。
正義バカだが、今作は敢えて『悪』であるデキムに付いた。

プリベンター・ウインド(CV:子安武人)
「平和に馴染めない男も、少しは役に立つということだ!」
ゼクスじゃないよウインドだよ。
でも誰にもウインドって言って貰えなかった。
相変わらずの超人パイロット。

ルクレツィア・ノイン(CV:横山智佐)
「さよならは言いませんよ、ゼクス!」
ゼクスの嫁。相変わらず愛が深い。
コンビネーションは健在で多数のサーペントを葬った。

レディ・アン(CV:紗ゆり)
「さて……どうなさいますか、トレーズ様?」
丸くなったレディ。
地味に活躍してる。

●マリーメイア兵士(CV:梅津秀行)
「ウイングゼロの照準は、コンマ二桁まで狂いがありません!」
名(迷)言を残した兵士。
中の人は後のシリーズでおやっさんやってたり。

●女の子(CV:宮村優子)
「お兄ちゃん、迷子?」
ヒイロのトラウマ。
地味にみやむーだったりする。
かわいい。

ドロシー・カタロニア(CV:松井菜桜子)
「あなた達は犬ではなく、犬に振られる尻尾なのよ」
劇場版のみのゲスト。地球圏最強の眉毛お嬢様。
相変わらず素晴らしい言葉責めと金色っぷりでした。




■余談



今でこそセル画成熟期の技術を注ぎ込んだハイクオリティな作品として知られる作品だが、実際にはかなり数奇な過程を経た作品である。
そもそも『W』がヒットした要因は、華美なキャラクター達の活躍によって女性支持層が非常に増えたことが大きい。
無論、その頭のおかしい予測不可能な展開やケレン味とリアリティを併せ持ったメカニック、声優陣の熱演も大きな反響を呼びはしたが、もはやサンライズとしてはその女性ファンの影響力は無視できないものだったのである。
特に当時、今で言う腐女子や夢女子、いわゆる『オタク女子』がアニメ界隈では目立ち始めた時期だった*1
その結果、『W』のOVAに求められたのは「そこそこの予算、そこそこのクオリティで、あまりMSを出さずにキャラをメインにしたOVA」だったのである。

しかし、本編を視聴した人間なら分かる事だが、明らかに『ガンダムW』は単に美少年がキャッキャウフフして華やかな雰囲気を出すだけの作品ではない。
むしろぶっ飛んだ一風変わった展開こそ多いものの、明確に製作者に骨太な「芯」がなければ作れない作品である。
その骨子となったのは、スタッフ達が当初池田監督に言われた「単に美少年が出るだけの『商品』を作るな、『作品』を作れ」という言葉だったことを青木監督は語っている。
そのマインドを受け継いで地獄のような現場を乗り切っただスタッフ達はそのプロデューサーの指示に不満を感じてはいたが、彼らも会社の言うことには従わなければならない。作品を作るのもタダではないのだ。


が、この時、ある男が行動を起こした。
誰あろう、TV版ではOZのメカニックを担当したカトキハジメ氏である。

彼は青木監督に、「ウイングゼロのデザインをちょっとリファインしてもいいですか?」と尋ね、当時どうせMSをそんなに活躍させる予定もなかった監督は承諾。
そうして出来上がったのがアレ、ウイングゼロ(EW版)である。元々TV版の時点で羽根つきガンダムの構想をしていたというカトキ氏だが、よもやあんなデザインが出てくるとは誰が予想しえただろうか……
ちょっとってなんだよ(哲学)


しかしこのデザインがスタッフに火をつけた。
カトキ氏のガンダムに大きな感銘を受けた作画スタッフが、冒頭の『EVE WAR』を超作画で仕上げてきたのである。
そしてこれが他のスタッフに飛び火し、結果的に本作は非常に作画クオリティの高い作品として完成した。
なお、1・2巻でMSがあまり活躍しないのは前述したプロデューサーからのオーダーが影響しているが、それでも節々の戦闘作画にスタッフの意地が見受けられる。
そして終盤においては周知の通り、スタッフは今までの鬱憤を晴らすかのように迫力ある戦闘シーンを世に送り出した。


もしもカトキ氏がちょっと(?)デザインをリファインしなければ、そしてスタッフに池田マインドが受け継がれていなければ本作はもしかしたら今ほどの市民権を得られなかったかもしれない。
そう考えると、まるで『ガンダムW』作中さながらの奇妙な運命である。らしいっちゃらしいかもしれないが。





Wiki籠もり……動けるか……?
……いいだろう。これが最後の追記・修正だ……!

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