AD-LIVE

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AD-LIVE - (2020/01/15 (水) 16:37:34) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2019/03/24 (日曜日) 17:59:20
更新日:2022/08/19 Fri 17:43:46
所要時間:約 9 分で読めます




90分間、全てアドリブで紡ぐ、奇跡の時間







AD-LIVEとは、声優の鈴村健一が総合プロデュースを務める即興劇シリーズのことである。





概要

原型は鈴村レギュラーのネット番組『超人タイツジャイアント』のイベント『鈴村健一の超人タイツ ジャイアント 微妙にスケジュールがあいませんでした』(2008年)で突如行われた即興劇。
そこから2011年の『鈴村健一の超人タイツ ジャイアント 微妙にスケジュールがあいませんでした ~再会』・2012年の『鈴村健一の超・超人タイツ ジャイアント ~ついにスケジュールがあいました 2012・秋~』と続き、
2014年から現在の様な多数の声優が参加する独立舞台イベントとなった(正確には2015年版から)。
また2018年には超人タイツ版から数えて10周年なのを祝し、2018年版の直後に『AD-LIVE 10th Anniversary stage ~とてもスケジュールがあいました~』も上演されている。


コンセプト

そもそも「即興劇」とは、通常の芝居には必ずある「台本」や「リハーサル」を行わず、物語をその場その場のアドリブで描いていく舞台劇のことである(細分化すると多種多様だがここでは骨格だけ説明)。
「AD-LIVE」は基本2人の登場人物による会話劇として進むが、出演者は基本「最低限の設定」のみ事前に教えられ、他の出演者がどんな姿をしているかすら知らずステージに立ち、ストーリーを進め、エンディングシーンまで演じ切らなければならない。
時にそれは「定められた道筋の中で、どんな生き様を見せるか」という問いかけになり、時にそれは「自分はこの世界で、この相手との間に、どんな結末を望むのか」という挑戦にもなる。
相手や「神の手」の望みに乗るもよし、あえてそれに逆らうもよし。シリアスに突っ走るのも良し、ギャグに走るのもよし。
アニヲタ的にいうなら、クラスやスキルのないTRPGリプレイというのが近いだろうか。
だが、ストーリーを「演者の意志」だけで進めさせない(あるいは進めない時のカンフル剤とするため)ガジェットとして、「アドリブワード」という「台詞ペーパー」が存在。
人によって頻度に差はあるが、必ず数回かは引いて発言しなければならないこの「ワード」は、モノによってはその場に合う良いキーワードにも、物事をカオスにするフレーズにもなりうる。
果たして、演者と偶然が導く物語の行方は… 

また基本出演者は一公演につき「昼公演」と「夜公演」2回をこなし、2回とも異なる設定のキャラで挑まなければいけない(2011年版から)。そのため同じ顔ぶれでもキャラ等の違いにより、全く違うものになる事もままあったりする。



…まあ、ここまで真面目な方向で解説したが、そんな各種物語の進行等よりもある意味気になってしまう見どころとして、出演者の姿がある
どんな展開になってもいい様に普通の服や設定にあった服で現れる者だっているが、そんなことよりインパクトだぜ!と出オチ…いや個性的な衣装や口調で参上する猛者もまた多い。
もちろんその格好通りの設定にするのも、その格好を無視して物語を進めるのも成り行き次第なため、場合によってはカオス度がさらに上がったり。

特に2018年度は2部構成のため、衣装にも2段構えの仕込みを入れてくる連中すら登場した。
またそこまで行かなくても、実年齢と大きく異なる設定のキャラにしたり、場合によっては種族や性別すら変えてくることもあり、
2015・2018・2019年版で全公演通して出演した鈴村健一は、毎公演ごとにキャラを変えて現れた(15年版では髪型と口調のみだが、18年版では衣装段階から大きく変化させていた)。





注:以下、一部ストーリーの重大なネタバレを含みます。







各年度設定・キャスト


2008年版

『超人タイツ』発のドラマCD『CDとネタ男~69番地の朝日~』発売イベントとして、同CDの設定をベースにしており、
惑星ダーウィン衝突による人類滅亡が間近に迫る中、偶然洋館で出会った2人」の物語を描く。
ちなみにここで、後の2014・18年版でも語られるキーワード『ポジティブギブアップ』(滅亡を前に、あえて普通に日常を過ごしていく超人的思考)が登場している。
タイトルの『微妙にスケジュールがあいませんでした』は、同番組のレギュラーである鈴村・櫻井孝宏・岩田光央の内、鈴村とどちらか一人のみのスケジュールが合ったという意味(2011年版も同様)。

  • 鈴村健一の超人タイツ ジャイアント 微妙にスケジュールがあいませんでした ~SAKURAI~(出演:鈴村健一・岩田光央)
  • 鈴村健一の超人タイツ ジャイアント 微妙にスケジュールがあいませんでした ~IWATA~(出演:鈴村健一・櫻井孝宏)

2011年版

これも『超人タイツ』発のドラマCD『CDとネタ男~ザ・フロンティア~』と少し似た設定となっており、
筋立ては「前回舞台の設定から一年後、宇宙人「リチギー星人」によって人類滅亡は回避されるも、宇宙人の干渉により起こったある状況下で出会った2人」というもの。

  • 鈴村健一の超人タイツ ジャイアント 微妙にスケジュールがあいませんでした ~再会・SAKURAI~(出演:鈴村健一・岩田光央)
  • 鈴村健一の超人タイツ ジャイアント 微妙にスケジュールがあいませんでした ~再会・IWATA~(出演:鈴村健一・櫻井孝宏)

2012年版

ついに超人タイツレギュラー3人が揃っての舞台が実現したため題名が「ついにスケジュールがあいました」に。
舞台は「コンビニ」で、各上演ごとに出演者3人が「店員」・「客A」・「客B」と入れ替わり立ち代わり役をスイッチして物語を紡いでいく。
…だがそのコンビニと彼らにはある秘密が…。
またサブキャストが2人参加している。

  • 鈴村健一の超・超人タイツ ジャイアント ~ついにスケジュールがあいました 2012・秋~(計4公演 出演:鈴村健一・岩田光央・櫻井孝宏)

AD-LIVE 2014

ここから単体イベントとなり、超人タイツ組以外の声優参加が始まった。
ストーリーは2008年版のリメイクとなり、「『大切な日』なのに事故で洋館に迷い込み、出会ってしまった2人」の物語が進む中、
物語後半にて「惑星ダーウィン衝突による地球最後の日」という背景設定が明かされてしまう。
また洋館で他界していた遺体役で俳優の向山智成が出演しており、向山はこの後「AD-LIVE」サブキャストレギュラーとなる。

●東京公演
●大阪公演

AD-LIVE 2015

正式に超人タイツの題も外れ、公演も計3会場6日分となった。キーワードは「『知り合い』と『友達』の境界線は、どこにあるでしょうか?
舞台は友達が欲しい人同士を仲介する会社「トモダチファクトリー」で、登場人物達はファクトリー社員「最上(演:鈴村健一)」のナビゲートで友情を築くため「60分間アルティメットコース」に挑戦。
エンディングで出演者は「相手と友達になりましたか?」と問いかけられ、選択することとなる。

●東京公演
●埼玉公演
●大阪公演

AD-LIVE 2016

これまで鈴村のみだった演出に舞台演出家の川尻恵太と声優でもある浅沼晋太郎が加わり、リアルタイムで制作サイドも出演者に干渉可能になった。テーマは「会いたい人」。
舞台はある事情により「目が覚めない」または「心を閉ざした」人間の心が描く「精神世界」(プロジェクションで表現され、情景間移動はなんと「バス」で行う)。
その人物に「逢いたい」人が「BELLSON社」開発のシステム「マインドダイブ」で相手の心へと入り込み、相手の記憶を呼び覚ましつつ目覚めさせ現実で「会う」ため奮闘する。
…と、いうと綺麗だが、平たく言うと「設定担当(Aキャラクター、Aキャスト)」が「ノープランな人(Bキャラクター、Bキャスト)」を「(設定的には記憶改竄阻止のため)直接的説明は可能な限り避け、自らの望む展開へと導く」高難易度な舞台。
また道中唐突に設定担当すら知らない「相手の心が具現化させたキャラクター(Cキャラクター、Cキャスト)」が制作サイドの手で投入され、彼らにどう対応して行くかも求められた。
この回でもエンディングで出演者(Bキャラクター)に選択が突きつけられ、今回は「会いに来た人の元へ(相手が来てほしいかほしくないかはともかく)行きますか?」。

●東京公演
  • 鈴村健一・寺島拓篤
  • 小野賢章・森久保祥太郎
●東京公演その2
●大阪公演

AD-LIVE 2017

基本「共通の世界設定」・「進行に必須なイベント」のみ制作サイドで決めて後は出演者のフリーにしている本舞台だが、
この回では初めて、演出サイドから各上演回ごとに全く異なる「世界設定」・「キャラクター名と相手との関係性」・「固定情報」・「エンディング」が提示され、それを元に出演者達は本番へ向かう事となる。
よって共通の背景はこのバージョンには存在せず、物語を繋ぐのはテーマ「ヒミツ」(本番中にリアルタイムで追加もされる)と舞台セット「マンションの一室」のみ。
また前回の「3人目」を発展させた「アンサンブル」として「彩-LIVE」と呼ばれる俳優達が複数出演。文字通り物語に「彩」を添えた。

●千葉公演
  • 鈴村健一・てらそままさき
  • 鳥海浩輔・中村悠一
●東京公演
●大阪公演
  • 高垣彩陽・津田健次郎
  • 蒼井翔太・浅沼晋太郎

AD-LIVE 2018

公演組み合わせ数が6から8に増加し、システムも継続。テーマは「究極のアドリブ」。
舞台設定は10周年に合わせ「地球最後の日」パート3でセットは「2階建ての洋館」。「惑星ダーウィン衝突による地球滅亡の危機が判明した10年前」と「地球が滅亡寸前の10年後」の2部構成で進行する*1
各回ごとに「最後の行動を考案する出演者(Aキャラクター)」が変わり、ED担当もどうラストまでもっていくかは状況によるため、制作・出演者共にランダム行動の幅が広くなっている。


●埼玉公演
  • 寺島拓篤・中村悠一
  • 関智一・福圓美里
  • 蒼井翔太・岩田光央
  • 梶裕貴・羽多野渉
●神奈川公演
  • 石川界人・鳥海浩輔
  • 櫻井孝宏・前野智昭
●大阪公演
  • 小野賢章・下野紘
  • 浅沼晋太郎・津田健次郎

AD-LIVE 10th Anniversary stage ~とてもスケジュールがあいました~

宮城県仙台市で2018年11月17・18日に行われた10周年記念公演。
設定は2018年版と同じだが、主な違いはメイン出演者が5人なこと。
また各キャラが全員「ラスト行動」を事前に決めているのも特徴。
ストーリーテラーは17日版は鈴村だが、鈴村が出演に回る18日版では浅沼晋太郎が担当している。

  • 11月17日 出演:蒼井翔太・浅沼晋太郎・梶裕貴・下野紘・寺島拓篤(ストーリーテラー:鈴村健一)
  • 11月18日 出演:岩田光央・小野賢章・櫻井孝宏・鈴村健一・森久保祥太郎(ストーリーテラー:浅沼晋太郎)



AD-LIVE ZERO

10周年まで行った本シリーズのフォーマットを「ゼロ」に戻すというコンセプトで制作され、テーマは公演名と同じ「AD-LIVE ZERO」。
浅沼が演出から降り、代わりに森久保祥太郎が「クリエイティブプロデューサー」として参加。鈴村と共に本公演での「彩-LIVE」役を務めている*2
「事前にある程度のストーリーラインを構築しておく」「全公演通しての基本設定が無い」「セットは白い部屋」なのは2017年版と似ているが、
2年前と違い「全ての設定・ラスト行動・演出サイドの実行可能な演出を、開園2時間前の籤引きで決定する」というとんでもない無茶振り展開になっており、しかも出演者双方に「秘密の設定」が存在している。
平たく言うと3次元版シナリオクラフト。
このため公演時間はこれまでの「90分」から「60分」に短縮され、その間を埋めるように開始前に鈴村と森久保による事前公開可能設定の解説・本編終了後に出演者全員によるアフタートークが挿入されている。


●千葉公演その1
  • 梶裕貴・前野智昭
●東京公演
●千葉公演その2
  • 仲村宗悟・森久保祥太郎
  • 寺島拓篤・豊永利行
●特別公演(2020年1月18日予定)*3
  • 浅沼晋太郎・鈴村健一・森久保祥太郎



関連作品


MATSU-LIVE

初回放送:2017年1月22日(放送局:TOKYO MX・MBS・BS11等)
2015・17・18年版に出演した津田健次郎が、自身未参加な2016年版の舞台裏に密着し、制作したメイキング番組。
『ドキュメンターテイメント AD-LIVE』ソフト版のアニメイト限定特典としてDVD化された。

AD-LIVE TV

初回放送:2018年2月18日(放送局:TOKYO MX・MBS・BS11等) 出演者:鈴村健一・梶裕貴・森久保祥太郎(途中から参加)
AD-LIVEをテーマにした単発番組。
2017年度の後アニメイト本店で開催された「AD-LIVE展」会場を舞台に、鈴村と梶を新たな脅威(アドリブ劇)が襲う。

ドキュメンターテイメント AD-LIVE

公開日:2019年2月2日
監督・脚本:津田健次郎
主演:鈴村健一
津田健次郎が自ら撮影した2017年度メイキング映像を元に制作した「ドキュメンターテイメント」。
主題歌は鈴村の新曲(配信限定)『たのしいのうた』となっている。



余談

出演者の中には、回を超えて過去公演のキャラや別公演の設定を再演する人が複数いる。


出演者はアドリブワードを入れるための「アドリブバッグ」(グッズ販売されている)をどんな姿でも携帯しているが、
それについてツッコミが入ることは一切ない。




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