実用英語技能検定

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実用英語技能検定 - (2020/07/03 (金) 22:47:15) の編集履歴(バックアップ)


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更新日:2024/04/05 Fri 18:07:08
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実用英語技能検定(じつようえいごぎのうけんてい)とは、日本で最も有名な英語の検定試験である。

概要

英検の通称で知られており、日本国内で実施されている英語のスキルを測定する検定試験としては最も知名度が高い。試験実施団体は公益財団法人日本英語検定協会。文部科学省後援。

ランクは1級準1級2級、準2級、3級、4級、5級の7段階がある。最もレベルが高いのは1級で、逆に5級が一番やさしい。
目安としては1級および準1級が大学生および社会人レベル、2級と準2級が高校生レベル、3級以下は中学生レベルとされている。
受験制限は特になく、例えば5級や4級を飛ばしていきなり3級を受けることも可能である。また、中学生で準2級以上を受けることや、高校生で準1級以上を受けること、また逆に社会人が基礎の再確認のために3級以下を受け直すことも可能である。

文部科学省後援の検定試験であることから、主に中学生や高校生が学校の英語の授業の復習や確認のために受験することが多いが、2級以上は大学生や社会人の受験者も少なくない。

国家試験(国家資格)ではなく民間検定に分類されるが、大学の推薦(AO)入試や公務員採用試験などで加点されたり、海外留学する際に必要になったり、社会人の英語力の判断基準となったり、1級合格者は全国通訳案内士試験の科目免除制度を利用できるなど、民間検定としては日商簿記検定と並び権威の高い試験である。
※ちなみに日商簿記1級に合格すると税理士試験の受験資格が得られる。

最近はTOEICの台頭で相対的に地位が低下したとも言われるが、実はTOEICには作文(ライティング)と面接(スピーキング)がないため、正確な英語の能力を測る試験としては実は英検のほうが優れている。
英検には聞き取り(リスニング)と読み取り(リーディング)だけでなく、作文(ライティング)と面接(スピーキング)もあるため、バランスがとれた総合力を測るためにはオススメである。
また、TOEICはビジネス英語に特化しているのに対し、英検は日常会話や旅行会話、政治経済、環境問題、科学技術など幅広いテーマから出題されているのが特徴である。

試験内容

どの級も試験は年3回実施される。
3級以上では一次(筆記)試験二次(面接)試験があり、両方とも合格することで合格となる。ただし科目合格制度があり、筆記は合格したけど面接は不合格だった場合、その後1年間(3回分)は筆記が免除されて面接だけ受ければ良い。
5級および4級では筆記のみで合否が決まる。一応希望者には面接試験も実施されるが、あくまでおまけであり、合否には影響しない。

一次(筆記)試験ではリスニングリーディング、そして3級以上では作文がある。
作文は昔は1級と準1級のみで課されていたが、最近では2級、準2級、3級にも作文が追加された。
リスニングとリーディングはマークシート形式で、作文のみ記述式である。
リスニングは3級以下では音声を2回読んでくれるが、準2級以上では1回しか読まれないので、聞き逃さないこと。

二次試験は面接形式のスピーキングテストである。3級以上で課される。
面接官は日本人の場合と外国人の場合がある。「面接官が外国人の男性だと採点が甘い」「日本人女性だと厳しい」などの噂があるが、正直、面接官によって採点基準が大きく変わることはない。
面接官は1級では2人、準1級以下では1人配置される。
3級、準2級、2級では面接官から問題カードが渡されるので、まずカードに書かれている文章を音読し、その後、カードに書かれた文章やイラストについて質問されるのでそれに答える。最後は日常生活の身近なことについて聞かれるので、自分自身の意見を答える。
準1級では最初に面接官と日常会話を行い、次に、面接カードに描いてある4コマ漫画について説明する。その後、カードに書かれた漫画やトピックについて質問されるのでそれに答える。最後は質問に対して自分自身の意見を述べるのだが、準1級ではやや社会性の高い話題について聞かれる。
1級の面接では面接官と日常会話をした後、いくつかのトピックが用意されるのでその中からどれか一つを選択し、それについてスピーチを行う。そしてスピーチの内容やトピックに関連した質問がされるので、それに対して答える。
1級の面接のトピックでは政治経済や時事問題、国際社会、歴史、哲学、芸術、医学、生物学など幅広い高度な話題について扱うため、普段から新聞やニュースを見ていないとまともに答えることは不可能である。
面接では発音や内容の正確さ、文法、そして態度で評価される。態度には質問が上手く聞き取れなかった場合に正しく聞き返せるか(すみません、もう一度お願いします)も含まれる。質問を聞き取れなかったのに素直に聞き返さずにゴモゴモ喋ってしまうと減点となる。

難易度

準2級以下

5級が中学1年生レベル、4級が中学2年生レベル、3級が中学3年生レベル、準2級が高校レベルとされている。
準2級までは学校の英語の授業の進み具合に合わせて問題が作られているので、居眠りせず真面目に授業を受けていればそんなに合格は難しくない。
ただし進学校ならともかく、一般的な公立中学校や偏差値があまり高くない高校の場合、学校の定期テストの英語ですらまともに点数を取れないようだと正直厳しい。

中学生なら卒業までに3級合格を目指すのが一般的な目標である。
ただし、大学附属中や中高一貫校はおろか、一般的な公立中学校の生徒でも英検3級には合格できて当たり前なので、英検3級が特別優秀というわけではない。
進学校を狙う人は大変だろうが、できれば準2級合格を目指してもらいたいところ。

商業高校や工業高校などでは、普通科進学校に比べて英語の授業コマ数が少ない場合が多いため、在学中に準2級に合格できればそこそこ優秀である。
商業高校では日商簿記やITパスポート、基本情報技術者などビジネス系の、工業高校では危険物取扱者や電気工事士などガテン系の資格取得に力を入れている場合が多いため、英語教育は普通科ほど深くはやらないことが多い。
また、工業高専でも数学や理科は大学の工学部並みに高度な勉強をさせられる反面、英語や地歴公民はかなり内容が薄くなっている場合が多い。
ただし商業高校でも国際ビジネス科など例外的な学科もある。この場合は2級以上の合格を狙ってもらいたいところ。

2級

しかし2級になると、大学入試を意識した級になり、また、大学生や社会人の英語力の判断基準に使われたりするため、一気に難易度が上がる。
2級は表向きは高校卒業レベルとなっているが、それは英語の授業コマ数が多い普通科進学校を基準とした目安であり、大学進学者が少ない商業高校や工業高校、また普通科でも偏差値があまり高くない高校なら在学中に2級に合格できたらかなり優秀である。
高校生が在学中に受験することが多い検定試験としては、簿記や情報処理などは商業高校生に有利(情報処理は工業高校でも人気)だが、英検、特に2級以上は普通科の生徒に有利と言われることが多い。
また中学生で英検2級に合格できたら、将来的には東大合格も夢じゃないと言われている。

大学入試センター試験の英語の問題は、英検2級と同じくらいのレベルと言われることが多い。しかし、英検にはセンターにない作文や面接があり、リスニングも1回しか読まれないため(センター試験のリスニングは2回読んでくれる)、英検2級のほうが難しいと感じる人もいる。
国公立大学や有名私立大学(日大以上)を狙うのであれば、最低でも英検2級に合格できるくらいの英語力はほしいところ。実は上位の大学でも数学から逃げられるところは意外と多い(特に私大文系)が、英語から逃げられる大学は国公立大学や日大レベル以上の私大にはほとんどないからである。文系はおろか理系の受験生にとっても重要教科である。

ちなみにあまり偏差値が高くない私立大学だと、英検2級に合格できない大学生が意外と多いらしい。というのも偏差値50未満の私大では入試で英語を課さないところも少なくないからである。

英検と並び有名な英語検定としてはTOEICが有名である。TOEICは英検と異なり、級が存在しないため、受験者全員が同じ問題を解くこととなる。
英検2級に合格できれば、ぜひTOEICにも挑戦してもらいたいところ。ただし逆に言えば、最低でも英検2級に合格できるくらいの実力がないと、TOEICでは半分の500点も取るのが厳しいと言われることが多い(TOEICは990点満点)。
しかし英検2級で基礎を磨いてから、本気でTOEICを対策すれば、700点近く取るのも夢じゃない。

とはいえ英語のプロやネイティブスピーカーから見たら、2級でもまだまだ簡単である。ちなみにTOEICもネイティブスピーカーから見たらやさしい。TOEICは日本人など非ネイティブを対象とした試験だからである。

準1級

準1級以上になると英語のプロを対象とした試験になるため、難易度は一気に跳ね上がる。
受験者の大部分は既に2級合格レベルに達している実力者だし、その中で合格率が20%未満なのである。
中学校の英語の先生だと英検準1級に合格できない人のほうが圧倒的に多いらしい。また高校英語教師でも準1級に合格できない人もいる。
しかし外資系企業や貿易関係、翻訳家を狙うのであれば、英検準1級が最低ラインと言われている。厳しい世界である。

ちなみに英検準1級はTOEICスコアで換算すると、700〜800点くらいと言われているが、TOEICで800点以上取れる人でも、全く対策をしなければ英検準1級に落ちてしまう可能性が高い。英検には作文と面接があるからである。

大学入試で換算するなら、最難関級の大学(東大一橋外大早稲田慶応など)の入試問題の英語が、英検準1級と同じくらいの水準と言われることも多い。

1級

日本人向けに実施されている英語の試験としては国内最難関クラスである。受験者の大部分は既に準1級合格レベルの猛者たちであり、その中での合格率が10%前後しかない。

英検1級の問題は、あの東大入試の英語よりも遥かに難しいのである。
(ただし東大入試では数学理科地歴公民なども課されるため、一概に東大入試より難しいとは断言できない。)

高校の英語教師でも英検1級に合格できる人はほとんどいない。
帰国子女でない一般の日本人から見たら、医師免許や司法試験(弁護士)、公認会計士などと並ぶ最難関級の資格試験であるとも名高い。
地方なら英検1級に合格したら地元ではちょっとした有名人になれるのは間違いない。

また、帰国子女やネイティブスピーカーから見ても日本の英検1級は難しいらしく、あのデーブ・スペクター氏でも真面目に勉強しないと受からなかったほどである。
なぜネイティブスピーカーから見ても難しいのかというと、単なる英語の試験にとどまらず、政治経済や自然科学などの教養の要素も強いからである。そのため、ネイティブスピーカーでも高卒や中卒などだと英検1級はかなり難しい試験となる。

わかりやすい例えとして、ネイティブスピーカーから見た英検1級の問題は、日本人から見たセンター試験の国語と思ってもらえるとわかりやすい。
日本人だからといって日本語を正しく使いこなせているとは限らない、というのと同じである。

ちなみに英検1級をTOEICスコアで換算すると900点以上と言われることが多いが、実際にはTOEICで900点以上取るよりも、英検1級に合格するほうが遥かに難しい。
英検1級合格はTOEICで990点満点を獲得することよりも少しだけ簡単、程度である。
ちなみに英検1級で満点を取るのは、TOEICで満点を取るよりもはるかに難関である。

評価

英検は国家試験(国家資格)ではないが、入学試験で活用されたり、就職試験や公務員採用試験で加点対象になったり、海外留学の際に必須資格になるなど、民間検定としては日商簿記と並び公的要素の強い試験である。

中学生の場合

中学生で3級以上に合格すると、進学校ならともかく、それほど偏差値が高くない高校なら入試の際、内申点に加点してもらえることも多いからである。
また中学生で準2級に合格すれば、進学校を希望する際も有利にはたらく場合がある。
高校入試の内申書(通知表)では教科ごとの成績評価だけでなく、部活動の大会出場実績や生徒会活動、資格や検定試験(英検、数学検定、漢字検定など)の合格実績なども評価対象となるため、部活や生徒会をやってなかった中学生には英検はオススメである。

一応念のため書いておくと、英検3級が通用するのはあくまで高校入試までである。
就職活動の履歴書に英検3級合格などと書いたら、大学生や社会人の転職はおろか、高校生ですらかえってマイナス評価になってしまう可能性が非常に高い。

高校生の場合

高校生の場合、大学へ進学せずに卒業と同時に就職する場合、準2級でも履歴書に書ける。高卒就職なら準2級でもそこそこ評価される。

大学受験を視野に入れるなら最低でも2級はほしいところ。大学入試センター試験の英語科目と同じくらいの問題レベルだから、センター対策にもなる。
また、高校在学中に英検2級に合格できれば、あまり偏差値の高くない大学なら推薦(AO)入試で有利になる場合もある。
さらに準1級以上に合格できれば、難関大学でも推薦入試の出願条件をクリアできる場合もある。

商業高校生や工業高校生が大学の推薦入学を狙って簿記情報処理などの資格取得を目指すのはよくある話だが、英検は逆に普通科の生徒に有利である。普通科は英語の授業コマ数が職業系の高校より多いためである。

大学生、社会人の場合

外資系企業や貿易関係を狙うのでなければ、履歴書に英検2級を書ければ十分評価される。
英検2級に合格できるレベルに達していれば、とりあえず英語を本業としない社会人ならば、十分な英語力を身に付けていると言える。
公務員採用試験でも英検2級以上合格で加点対象となることもある。

しかし外資系企業や貿易関係、出版社の翻訳家を狙うなら最低でも準1級以上がほしいところ。
英語のプロを名乗れるのは準1級以上だからである。
また、教員採用試験でも英検準1級以上に合格していると優先的に合格させてくれる場合があるので、中学校はともかく、高校の英語教師を狙う場合は大変だが準1級に合格しておきたいところ。

海外留学の際は英検2級が最低条件となる場合が多い。しかし、できれば英検準1級以上の合格か、TOEICでハイスコアを狙ったほうが有利にはなる。

最難関の1級に合格すると、国家試験の全国通訳案内士試験の外国語(英語)科目が免除される。
ちなみにTOEIC900点以上も通訳案内士試験の科目免除の対象となる。以前は840点以上で科目免除になっていたが、基準スコアが引き上げられた。

最終学歴が中学校である場合、英検準2級に合格できれば、高卒認定試験の英語科目が免除される。
しかし、中卒の人だと、準2級はおろか3級すら苦戦する場合が少なくないため、普通に高卒認定試験を受けたほうがまだ楽かもしれない。

その他の英語検定

TOEIC

正式名称は国際コミュニケーション英語能力テスト
英検と並んで有名な英語の検定試験。教育試験サービス(ETS)というアメリカの財団法人が実施している。
日本人や韓国人など、英語を母国語としない人向けに作られた試験である。

英検のように級ごとに分かれているのではなく、全員が同じ問題を解くこととなる。
英検と違って合格、不合格の概念はなく、スコアで実力が評価されるシステムとなっている。最高スコアは990点
リスニングとリーディングがあるが、英検と違って作文と面接はない。

英検では政治や医学など幅広い教養が求められるのに対し、TOEICは仕事で使う英語に特化している。そのため、大学生や社会人(ビジネスマン)の受験者が多い。
一流企業では履歴書に加えてTOEICスコアの提出を課すところも多く、また、最近は大学院入試でも文系はおろか理系でもTOEICの受験が必須であるところも多い。

TOEICに挑戦したければ、最低でも英検2級に合格できるくらいの実力を身につけてから挑戦することが望まれる。
英検2級に合格できるくらいのレベルがないと、TOEICでは半分の500点を取るのも難しい。
問題のレベル自体は英検2級に毛が生えた程度と言われるが、リスニング、リーディング共にとにかく量が多いのでスピードが要求される。

英検の級をTOEICスコアで換算するならば、2級が500〜600点レベル、準1級が700〜800点レベルと言われている。
ただし、TOEICには面接がないため、例えばTOEICで800点以上取れる人でも、面接の対策をほとんどしなかったら英検準1級に落ちるケースはある。

ちなみにTOEICで900点以上取るよりも、英検1級に合格するほうが遥かに難しいと言われている。
そもそも問題のレベル自体、英検1級のほうがずっと高いし、また、英検1級では面接で時事問題や科学技術などについて自分の意見を述べる能力が求められるためである。
また、TOEICで990点満点を取れる人でも、英検1級を受ける価値は十分にある。

TOEICは非常に人気の高い試験ではあるが、作文と面接がないため、本当の英語力を測る試験としては正直微妙であり、TOEICで高得点を取れても実際の英会話は全然ダメという人は少なくない。
本当に英語のプロを目指すのであれば、TOEICの勉強だけでなく、真の英語力を身に付ける必要がある。

国連英検

正式名称は国際連合公用語英語検定試験
国連の日本支部である、公益財団法人日本国際連合協会が実施する試験。
実用英検が文部科学省後援であるのに対し、国連英検は外務省が後援している。

主に国連職員(国際公務員)を目指す人が受験する試験で、実用英検以上に国際社会や国際政治などに関する内容が強化されている。

特A級A級B級、C級、D級、E級の6段階がある。
B級以上を受験する場合は国連や国際問題に対して強い関心を関心を持っている必要がある。
A級以上に合格すると国連職員への道が開かれると言われる。

すべての級でリーディングとリスニングが課される。作文はB級以上で、面接はA級および特A級で課される。
国連英検では面接官は必ずネイティブスピーカーか帰国子女であることという決まりがある。(実用英検では帰国子女でない日本人が面接官になることもある。)

難易度としては国連英検B級が実用英検の2級と準1級の間に、国連英検A級が実用英検の1級に相当すると言われている。
国連英検特A級は受験者の大部分が既に実用英検1級に合格している猛者たちであるため、きわめて難易度が高い。


追記、修正お願いします。

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