実用英語技能検定

登録日:2020/07/03 Fri 22:47:15
更新日:2020/08/09 Sun 12:25:20
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実用英語技能検定(じつようえいごぎのうけんてい、以下「英検」という)とは、日本で最も有名な英語の検定試験である。
なお、この項目では英検以外の英語テストや英語以外の資格試験についても比較のために触れることとする。

概要

英検の通称で知られ、日本国内で実施されている英語のスキルを測定する検定試験としては最も知名度が高い。
試験を実施する団体は公益財団法人日本英語検定協会。文部科学省後援。

ランクは1級準1級2級、準2級、3級、4級、5級の7段階がある。最もレベルが高いのは1級で、逆に5級が一番易しい。
目安としては1級・準1級が大学生~社会人レベル、2級・準2級が高校生レベル、3級以下は中学生レベルとされている。
年齢や学歴などの受験条件は特になく、強いて言えば受験料さえ納めればオッケー。
どの級から受けても構わないので、例えば5級や4級を飛ばしていきなり3級を受けることもできる。極端な話、 小学生がいきなり1級を受験したってかまわない。
また、受けたい級の難易度の目安と受験者の実年齢や学年が一致していなくてもよい。このため、中学生で準2級以上を受けたり、また逆に社会人が基礎の再確認のために3級以下を受け直したりすることもできる。
とはいえ3級以下は小学生の受験者ばかりなので、大人が混じると正直かなり居心地が悪いのは覚悟の上で…ロリコンショタコンだったら逆にご褒美とか言うなよ

文部科学省後援の検定試験であることから、主に中学生や高校生が学校の英語の授業の復習や確認のために受験することが多い。生徒全員が指定の級を受験させられる学校もある。貴重な日曜日がこれで潰れたという人もいるのでは?
一方、2級以上は大学生や社会人の受験者も少なくない。

国家試験(国家資格)ではなく民間検定に分類されるが、大学の推薦(AO)入試や公務員採用試験などで加点要素となったり、海外留学する際に必要になったり、社会人の英語力の判断基準となったり、1級合格者は全国通訳案内士試験の科目免除制度を利用できたりする…など、民間検定としては日商簿記検定と並んで汎用性が高い試験の一つといえる。
※ちなみに日商簿記1級に合格すると税理士試験の受験資格が得られる。

最近はTOEIC(後述)の台頭で相対的に地位が低下したとも言われる。
だが、実は総合的な英語力を測る試験としては英検のほうが優れている。
何故なら、そもそもTOEICには3種類のテストがあり、リスニング・リーディング、スピーキング・ライティング、スピーキング単独とそれぞれ独立している。だからその分、よく言えば英語コミュニケーションのうち特定の能力については十分な実力を示すことができるが、悪く言えば偏りが生じてしまうことになる。
例えば、「聞く」「読む」だけなら得意、でも他は…という人がいたとして、TOEICでは得意なリスニング・リーディングのテストだけ受けて高いスコアを狙い、でも苦手なスピーキングテストはそもそも受けない、ということもできてしまう。
だがその点、英検対策をするならリスニング、リーディング、ライティング、スピーキング全てをクリアしなくてはならない。
これが結果として総合的な英語力が上がることに繋がるし、合格を果たせばそれらの能力を一定以上のレベルでバランスよく習得したことを証明できるからだ。


試験内容

どの級も試験は年3回実施される。
3級以上では一次(筆記)試験二次(面接)試験があり、両方とも合格することで合格となる。ただし科目合格制度があり、筆記は合格したけど面接は不合格だった場合、その後1年間(3回分)は筆記が免除されて面接だけ受ければ良い。
5級および4級では筆記のみで合否が決まる。一応希望者には面接試験も実施されるが、あくまでおまけであり、合否には影響しない。

一次(筆記)試験ではリスニングリーディング、そして3級以上では作文がある。
作文は昔は1級と準1級のみで課されていたが、最近では2級、準2級、3級にも作文が追加された。
リスニングとリーディングはマークシート形式で、作文のみ記述式である。
リスニングは3級以下では音声を2回読んでくれるが、準2級以上では1回しか読まれないので、聞き逃さないこと。

二次試験は面接形式のスピーキングテストで、3級以上から課される。
面接官は日本人の場合と外国人の場合があるが、いざ試験室に入ってみないことにはわからない。
「面接官が外国人の男性だと採点が甘い」「日本人女性だと厳しい」などの噂があるが、正直都市伝説の類。面接官によって採点基準が大きく変わることはない。
面接官は1級では2人、準1級以下では1人配置される。
3級~2級では、まず面接官から問題カードが渡されるので、それに書かれている文章を音読する。その後、カードに書かれた文章やイラストについて質問されるのでそれに答える。最後は日常生活の身近なことについて聞かれるので、自分自身の意見を述べよう。
準1級では、最初に面接官と日常会話を行い、次に、面接カードに描いてある4コマ漫画について説明する。その後、カードに書かれた漫画やトピックについて質問されるのでそれに答える。最後は質問に対して自分自身の意見を述べるのだが、準1級ではやや社会性の高い話題について訊かれる。
1級の面接では面接官と日常会話をした後、いくつかのトピックが用意されるのでその中からどれか一つを選択し、それについてスピーチを行う。そしてスピーチの内容やトピックに関連した質問がされるので、それに対して答える。
1級の面接のトピックでは政治経済や時事問題、国際社会、歴史、哲学、芸術、医学、生物学など幅広い高度な話題について扱うため、普段から新聞やニュースを見ていないとまともに答えられないだろう。その関心度合いも見られるのだ。

面接では発音や内容の正確さ、文法、そして何より態度で評価される。態度には質問が上手く聞き取れなかった場合に正しく聞き返せるか(「すみません、もう一度お願いします」と言うなど)も含まれる。聞き取れなかったのに素直に聞き返さず、誤魔化そうともごもご喋ったり的外れな返答をしてしまうと減点となる。就職の面接と違い純粋にコミュニケーションをはかる為の意味合いが強いので、分からなければちゃんと質問したりする事。

難易度

準2級以下

5級が中学1年生レベル、4級が中学2年生レベル、3級が中学3年生レベル、準2級が高校レベルとされている。
準2級までは学校の英語の授業の進み具合に合わせて問題が作られているので、居眠りせず真面目に授業を受けていればそんなに合格は難しくない。
ただし進学校ならともかく、一般的な公立中学校や偏差値があまり高くない高校の場合、学校の定期テストの英語ですらまともに点数を取れないようだと正直厳しい。

中学生なら卒業までに3級合格を目指すのが一般的な目標である。
ただし、大学附属中や中高一貫校はおろか、一般的な公立中学校の生徒でも英検3級には合格できて当たり前なので、英検3級が特別優秀というわけではない。
進学校を狙う人は大変だろうが、できれば準2級合格を目指してもらいたいところ。

習い事で英語教室に通っているような小学生の場合、中学校入学前に英検5級に合格するように勧められることも多い。確かに小学生のうちに英検5級を取っておけば、中学以降の英語の授業も比較的スムーズに行くはず。
また、小学生で英検3級に合格できたらかなりすごい。

商業高校や工業高校などでは、普通科進学校に比べて英語の授業コマ数が少ない場合が多いため、在学中に準2級に合格できればそこそこ優秀といえる。
商業高校では日商簿記ITパスポート基本情報技術者などビジネス系の、工業高校では危険物取扱者や電気工事士などいわゆるガテン系の資格取得に力を入れている場合が多いため、英語教育は普通科ほど力を入れないことが多い。
また、工業高専でも数学や理科は大学の工学部並みに高度な勉強をさせられる反面、英語や地歴公民はかなり内容が薄くなっている場合が多い。
ただし商業高校でも国際ビジネス科など例外的な学科もある。この場合は2級以上の合格を狙ってもらいたいところ。

2級

2級になると、大学入試を意識した級になることに加え、大学生や社会人の英語力の判断基準に使われるため、一気に難易度が上がる。
表向きは高校卒業レベルとなっているが、それは英語の授業コマ数が多い普通科進学校を基準とした目安。大学進学者が少ない商業高校や工業高校、また普通科でも偏差値があまり高くない高校なら在学中に2級に合格できたらかなり優秀。
高校生が在学中に受験することが多い検定試験としては、簿記や情報処理などは商業高校生に有利(情報処理は工業高校でも人気)だが、英検、特に2級以上は普通科の生徒に有利と言われることが多い。
また中学生で英検2級に合格できたら、将来的には東大合格も夢じゃないと言われている。

大学入試センター試験の英語の問題は、英検2級と同じくらいのレベルとされることが多い。しかし、英検にはセンターにない作文や面接があり、リスニングも1回しか読まれないため(センター試験のリスニングは2回読んでくれる)、英検2級のほうが難しいと感じる人もいるようだ。
国公立大学や有名私立大学(日大以上)を狙うのであれば、最低でも英検2級に合格できるくらいの英語力はほしいところ。
実は上位の大学でも数学から逃げられるところは意外と多い(特に私大文系)が、英語から逃げられる大学は国公立大学や日大レベル以上の私大にはほとんどないからだ。文系理系関係なく、ほとんどすべての受験生にとり重要教科なのだ。

ちなみにあまり偏差値が高くない私立大学だと、英検2級に合格できない大学生が意外と多いらしい。というのも、偏差値50未満の私大では入試で英語を課さないところも少なくないからである。

世間一般では英検2級を難関資格とみなす意見は少ないが、そもそも英語学習が中学校、高校の6年間の積み重ねと考えると、実は勉強量はとても多いのである。
そして英語は主要教科のなかでは数学に次いで、苦手意識を持つ人が多い教科でもある。理系文系関係なく、英語が苦手という人は少なくない。理科地歴公民はともかく、数学や英語などは所謂芋づる式の教科であるため基礎の積み重ねが大切だからである。

英検2級に合格できれば、ぜひTOEICにも挑戦してもらいたいところ。英検2級で基礎を磨いてから、本気でTOEICを対策すれば、700点近く取るのも夢じゃない。

とはいえ英語のプロやネイティブスピーカーから見たら、2級でもまだまだ簡単だとか。ちなみにTOEICもネイティブスピーカーから見たら易しい。TOEICは日本人など非ネイティブを対象とした試験だからである。

準1級

準1級以上になると英語のプロを対象とした試験になるため、難易度は一気に跳ね上がる。
受験者の大部分は既に2級合格レベルに達している実力者だし、その中で合格率が20%未満なのである。
公立中学校の英語の先生だと、英検準1級に合格できない人のほうが圧倒的に多いらしい。また高校の英語の先生でも準1級に合格できない人もいる。
しかし外資系企業や貿易関係、翻訳家を狙うのであれば、英検準1級が最低ラインと言われている。厳しい世界だ…。
趣味や教養で英語をやる人の到達点ともいえ、これより上はガチで英語をマスターしたい人の領域だろう。

ちなみに英検準1級はTOEICスコアで換算すると、700〜800点くらいと言われているが、TOEICで800点以上取れる人でも、全く対策をしなければ英検準1級に落ちてしまう可能性が高い。英検には先に述べたように作文と面接があるからである。

大学入試で換算するなら、最難関級の大学(東大一橋外大早稲田慶応など)の入試問題の英語が、英検準1級と同じくらいの水準と言われることも多い。

1級

日本人向けに実施されている英語の試験としては国内最難関クラスである。受験者の大部分は既に準1級合格レベルの猛者たちであり、その中での合格率が10%前後しかない。

英検1級の問題は、あの東大入試の英語よりも遥かに難しいのである。
ただし東大入試では数学理科地歴公民なども課されるため、一概に『東大入試そのもの』より難しいとは断言できないが。

高校の英語の先生でも英検1級に合格できる人はほとんどいない。
帰国子女でない一般の日本人から見たら、医師免許や司法試験(弁護士)、公認会計士などと並ぶ最難関級の資格試験であるとも名高い。
地方なら英検1級に合格したら地元ではちょっとした有名人になれるのは間違いない。もしかしたらやたらと外人さんに道を尋ねられるようになるかもしれない…?

また、帰国子女やネイティブスピーカーから見ても日本の英検1級は難しいらしく、あのデーブ・スペクター氏でも真面目に勉強しないと受からなかったほど。
なぜかというと、単なる英語の試験にとどまらず、政治経済や自然科学などの教養の要素も強いから。面接試験では2分間の特定の分野に関するスピーチをした上でそれに対する質問に的確に答えなければならず、コミュ力や適切な返答を選ぶ語彙力も求められる。そのため、ネイティブスピーカーでも高卒以下の学歴だとかなり難しい試験となる。
わかりやすい例えとして、ネイティブスピーカーから見た英検1級の問題は、日本人から見たセンター試験の国語と思ってもらえるとわかりやすい。
日本人だからといって日本語を正しく使いこなせているとは限らない、というのと同じ。

ちなみに英検1級をTOEICスコアで換算すると900点以上と言われることが多いが、実際にはTOEICで900点以上取るよりも、英検1級に合格するほうが遥かに難しい。
英検1級合格はTOEICで990点満点を獲得することよりも少しだけ簡単、程度である。
ちなみに英検1級で満点を取るのは、TOEICで満点を取るよりもはるかに難関。

日商簿記1級が税理士や公認会計士など超難関国家資格への登竜門という位置付けなのに対し、英検1級は英語学習の最終目標とする人も多い。

評価

「その時点で何級に合格しているか」によって、評価のされ方もまた異なってくる。

小学生の場合

近年は試験科目に英語を取り入れる私立中学が増えているが、英検に既に合格している志願者には優遇措置が取られることも。何級からどのような優遇をするかは学校次第だが、小学生のうちに中卒レベルの3級に合格できればクラスで一目置かれ、中学受験においてもかなり注目してもらえるだろう。

中学生の場合

中学生で3級以上に合格すると、進学校ならともかく、それほど偏差値が高くない高校なら入試の際、内申点に加点してもらえることも多い。
また中学生で準2級に合格すれば、進学校を希望する際も有利になる場合がある。英語に重きを置く学科などを受験する場合は高校受験時でも準2級以上は欲しい。
高校入試の内申書(通知表)では教科ごとの成績評価だけでなく、部活動の大会出場実績や生徒会活動、資格や検定試験(英検のほか数学検定、漢字検定など)の合格実績なども評価対象となるため、部活や生徒会をやっていなかった中学生にはオススメ。

ただし一応念のため書いておくと、英検3級が通用するのはあくまで高校入試まで。
高校に入りたてのバイトでならまだしも、大学受験や就職活動の履歴書などに英検3級合格などと書いたら、呆れられてかえってマイナス評価になったり、変に突っ込まれて余計な圧迫面接をされ不利になってしまったりする可能性が非常に高い。

同じ3級でも日商簿記3級は社会人(プロ)向けの経理の試験なので3級でも意外と評価される(ただしそれでも大きなメリットを得る・大手の経理を狙うのであれば2級以上がほしいところ)が、英検の3級以下は完全に学生向け、それも義務教育(一般常識)レベルである。あなたが採用担当だったとして、高校生以上の人間に「私は義務教育卒業レベルの英語が出来ます!」なんて言われて喜んで頷けるだろうか?そういう事である。
※ちなみに日商簿記初級(昔の4級)は経理担当者を対象としていないアマチュア向けの試験であるため、ほぼ評価対象にはならない。問題のレベルも一般常識に毛が何本か生えた程度であり、評価も英検3級とほぼ同じくらい。

高校生の場合

高校生の場合、大学へ進学せずに卒業と同時に就職する場合、準2級でも履歴書に書ける。高卒就職なら準2級でも英語力を必要としない職種ならそこそこ評価される。

大学受験を視野に入れるなら最低でも2級はほしいところ。大学入試センター試験の英語科目と同じくらいの問題レベルだから、センター対策にもなる。
また、高校在学中に英検2級に合格できれば、あまり偏差値の高くない大学なら推薦(AO)入試で有利になる場合もある。
さらに準1級以上に合格できれば、難関大学でも推薦入試の出願条件をクリアできる場合もある。

商業高校生や工業高校生が大学の推薦入学を狙って簿記情報処理などの資格取得を目指すのはよくある話だが、英検は英語の授業コマ数が職業系の高校より多いため逆に普通科の生徒に有利。

大学生、社会人の場合

外資系企業や貿易・通関関係を狙うのでなければ、英検2級で十分評価される。
これに合格できるレベルに達していれば、とりあえず英語を本業としない社会人ならば、日常生活の範囲内で不自由しない英語力を身に付けていると認められる。
公務員採用試験でも英検2級以上合格で加点対象となることもある。

しかし外資系企業(特に営業など)や貿易関係、出版社の翻訳家を狙うなら最低でも準1級以上がほしいところ。英語のプロを名乗れるのは準1級以上なのである。2級では少々パンチが足りない。
また、教員採用試験でも英検準1級以上に合格していると優先的に合格させてくれる場合があるので、中学校はともかく、高校の英語の先生になりたい場合は大変だが準1級に合格しておきたいところ。

海外留学の際は英検2級が最低条件となる場合が多い。しかし、できれば英検準1級以上の合格か、TOEICでハイスコアを狙ったほうが有利にはなる。

最難関の1級に合格すると、国家試験の全国通訳案内士試験の外国語(英語)科目が免除される。
ちなみにTOEIC900点以上も通訳案内士試験の科目免除の対象となる。以前は840点以上で科目免除になっていたが、基準スコアが引き上げられた。

最終学歴が中学校である場合、英検準2級に合格できれば、高卒認定試験の英語科目が免除される。
しかし、中卒の人だと、準2級はおろか3級すら苦戦する場合が少なくないと思われるので、普通に高卒認定試験を受けたほうがまだ楽かもしれない。

その他の英語検定

TOEIC

Test Of English for International Communicationの略で、正式名称は国際コミュニケーション英語能力テスト

英検やTOEFL(後述)と並んで有名な英語の検定試験。教育試験サービス(ETS)というアメリカの財団法人が実施している。
日本人や韓国人などのノンネイティブスピーカー向けに作られた。

英検のように難易度別の級ごとに分かれておらず、全員が共通の問題を解く。
また冒頭でも少し触れたが、リスニングとリーディングだけの試験、ライティングとスピーキングだけの試験、スピーキング単独の試験の三種類がある。

英検と違って合格、不合格の概念はなく、5点刻みのスコアで実力が評価されるシステムで、990点満点。
なお一部で「TOEICのスコアの有効期限は2年」との話が聞かれるが、これは全くの誤り。TOEICのスコアに有効期限はない。
正確には「TOEICのスコアシート自体の再発行の有効期限が2年」なのだが、それがスコア自体の有効期限と勘違いされて広まったと思われる。
また、TOEFLについてはスコアの有効期限が2年のため、TOEICとTOEFLの名前が似ていることから混同された可能性もある。

同じ英語関連の試験とはいえ、英検では政治や医学など幅広い事柄についての教養が求められるのに対し、TOEICは仕事で使う英語に特化している。そのため、大学生や社会人(ビジネスマン)の受験者が多い。
高校生以下にも解けなくはないはずだが、難易度別に分かれていないことやビジネス英語が中心になる性質上、年長の受験者と比べるとどうしても社会経験に乏しいという覆せないハンデがある分なかなかピンと来ず苦戦する、ということはあるかもしれない。
一流企業では履歴書に加えてTOEICスコアの提出を課すところも多く、また、最近は大学院入試でも文系理系問わずTOEICの受験が必須の場合が多い。

TOEICに挑戦したければ、最低でも英検2級に合格できるくらいの実力を身につけてから挑戦することが望ましい。
英検2級に合格できるくらいのレベルがないと、TOEICでは半分の500点を取るのも難しい。
問題のレベル自体は英検2級に毛が生えた程度と言われるが、リスニング、リーディング共にとにかく量が多いのでスピードが勝負。

英検の級をTOEICスコア(リーディング・リスニング)で換算するならば、2級が500〜600点レベル、準1級が700〜800点レベルと言われている。
特に満点の8割に当たる730点以上を獲得できれば、一定レベルの英語力は身につけていると見なされ、海外留学などの条件をクリアできることが多い。この点数がTOEICにおける目標の一つとなるだろう。
ただし、TOEICには面接がないため、例えばTOEICで800点以上取れる人でも、余裕だと思い込んで面接の対策をほとんどしなかったら英検準1級に落ちるケースはある。
TOEICで990点満点を取れる人でも、英検1級を受ける価値は十分にある。
ちなみにTOEICで900点以上取るよりも、英検1級に合格するほうが遥かに難しいと言われている。
そもそも問題のレベル自体、英検1級のほうがずっと高いし、また、英検1級ではハイレベルな文法・読解問題を解くのはもちろん、面接で時事問題や科学技術などについて自分の意見を述べる能力が求められるため。

TOEICは非常に人気の高い試験ではあるが、リスニングとリーディングの試験で高得点を取れても、実際のオーラルコミュニケーションは全然ダメという人は少なくない。
本当に英語のプロを目指すのであれば、TOEICの勉強だけでなく、スピーキングやライティングも含めて真の英語力を身に付ける必要がある。

余談だが、TOEIC受験者の間では度々「TOEICの設問に出てくる会社ってよくよく考えたら結構ホワイト企業ではないか?」ということが話題になる。
確かに業績や人間関係は常に好調・良好だし、異動に関しての話題は昇進や海外駐在といったエリートコース一直線のものばかりで、左遷や解雇のようなネガティブな話はまず出ない。
飛行機の遅延や配送の手違いなどのミスも起こるものの、お客さんに対しては真摯な対応と手厚い補償を行うのが常。
ある雑誌によれば、これは実際に問題作成サイドも「仕事で辛い思いをした人が受験するかもしれない」などの可能性を考えて、そうした要素を排除した内容になるよう心掛けているからだそうだ。
また、何度も受験してより高いスコアを獲得することを目指したり、設問について仲間のトーイッカーと熱く語り合ったりするというTOEICガチ勢、人呼んで「トーイッカー」なる人々もいる…らしい。

TOEFL

正式名称はTest Of English as a Foreign Language。日本語に直すと「外国語としての英語の試験」。
TOEIC同様、ETSが実施している。

アメリカやカナダなど英語圏の大学、大学院に留学する際に必要となる。
TOEICと異なり作文と面接もある。満点は120点*1

TOEICがビジネス英語や日常会話に重点を置いているのに対し、TOEFLでは生物学や化学など学術的な要素が強い。
一般的にはTOEFLのほうがTOEICよりも全体的な問題難易度は高いとされる。
就職活動のための資格はTOEIC、留学のための資格はTOEFLと使い分けるのがよい。

英検の級をTOEFLスコアで換算するならば、2級が61〜70点くらい、準1級が80〜89点くらい、そして1級は100点以上と言われている。
ちなみにTOEFLで120点満点を獲得するのは、TOEICで990点満点を取ることよりも遥かに難しいらしい。

留学で必要なTOEFLスコアの最低ラインは61点以上であるが、名門大学を狙うのであれば70〜80点以上がほしいところ。

IELTS

正式名称はInternational English Language Testing System。
イギリスのケンブリッジ大学が実施している検定試験。

主に英語圏の大学への進学を希望する人が受けるアカデミック・モジュールと、主に仕事などで英語圏への移住をを希望する人が受けるジェネラル・トレーニング・モジュールがある。
前者はETSでいえばTOEFLに、後者はTOEICに近い。

イギリスへの留学や移住を希望する場合は、IELTSしか通用しないので注意が必要。昔はETSの試験(TOEIC、TOEFL)も使えたのだが、大人の事情で現在は使えない。
また、イギリスの旧植民地(オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ共和国、インド、シンガポール、香港など)でもTOEICやTOEFLよりもIELTSのほうが主流と言われている。

IELTSではTOEFL同様、リスニング、リーディング、作文、面接の4技能が測定される。
IELTSの満点は9.0点
全問マークシートのTOEICと異なり、IELTSでは記述式の問題が多いため注意が必要。

また、試験実施団体がイギリスの大学であるため、イギリス英語が出題される。
日本人が学校で勉強するのはアメリカ英語だし、英検やTOEIC、 TOEFLでもアメリカ英語が出題されるので、違和感を感じるだろう。

英検の級をIELTSスコアで換算するならば、2級が5.0点くらい、準1級が6.0点くらい、そして1級は7.0点以上と言われている。
ちなみにIELTSで9.0点満点を獲得するのは、TOEIC満点はおろか、 TOEFL満点よりも難しい、とのこと。

国連英検

正式名称は国際連合公用語英語検定試験
国連の日本支部である、公益財団法人日本国際連合協会が実施する試験。
実用英検が文部科学省後援であるのに対し、国連英検は外務省が後援している。

主に国連職員(国際公務員)を目指す人が受験する試験で、実用英検以上に国際社会や国際政治などに関する内容が強化されている。

特A級A級B級、C級、D級、E級の6段階がある。
B級以上を受験する場合は国連や国際問題に対して強い関心を関心を持っている必要がある。
A級以上に合格すると国連職員への道が開かれると言われる。

すべての級でリーディングとリスニングが課される。作文はB級以上で、面接はA級および特A級で課される。
国連英検では面接官は必ずネイティブスピーカーか帰国子女であることという決まりがある。(実用英検では帰国子女でない日本人が面接官になることもある。)

難易度としては国連英検B級が実用英検の2級と準1級の間に、国連英検A級が実用英検の1級に相当すると言われている。
国連英検特A級は受験者の大部分が既に実用英検1級に合格している猛者たちであるため、きわめて難易度が高い。

ちなみに国連の公用語には英語だけでなく、フランス語、スペイン語、ロシア語、アラビア語、中国語も含まれる。

工業英検

正式名称は工業英語能力検定
実用英検やTOEICなどと異なり、理系の学生(大学院生、大学工学部生、高専生、工業高校生)やエンジニア、研究者などを対象としている。

科学技術に関する英語に特化した試験で、マニュアルや仕様書を正しく読む能力や、論文を英語で書く能力も要求される。
一般的な英語検定以上に、回りくどい表現を避け、事実を簡潔かつ正確に伝えることが重要となる。

1級2級、準2級、3級、4級の5つのランクがある。
工業英検1級は実用英検1級よりも科学技術に関する内容が強化されているため、実用英検1級よりも難しいという意見が多い。
また、最低ランクの4級でも、工業高校生や高専の低学年くらいの水準はあるため、実用英検3級よりは難しい。

2020年(令和2年)より名称が技術英語能力検定(技術英検)に変更されている。
ランクもプロフェッショナル準プロフェッショナル、1級、2級、3級に変更された。
ちなみに技術英検のプロフェッショナルが工業英検の1級に、技術英検1級が工業英検準2級に相当するとされる。

ビジネス英語検定

通称日商英検
簿記検定で有名な日本商工会議所(日商)が主催している英語検定。
主に貿易や海外取引に関係している人を対象としている。
受験者の大部分は社会人であり、学生の受験者はきわめて少ない。

日商はPC検定など他のビジネス系試験も実施している団体であるため、日商英検では、実用英検やTOEICなどに比べて、文書作成(ライティング)やプレゼンテーションに重点を置いている。
実用英検と異なり面接はない。

実用英検やTOEICのような紙媒体の筆記試験ではなく、同じ日商のPC検定や簿記初級、国家試験のITパスポート試験のような、会場に設置されたパソコンを使って受験するタイプの試験である(Computer Based Testing)。
1級は年2回のみの実施だが、2級と3級は毎月実施されている。

ランクは1級2級、3級の3段階がある。
1級では契約書や規約を英文で作成する能力や、高度なビジネス知識が求められるため、かなり難易度が高い。実用英検で言えば準1級相当である。
2級は1級ほど高度ではないものの、貿易に関する知識が必要。実用英検2級よりはやや難しいかも?
3級は高校で真面目に英語を勉強している人なら、ビジネス用語を少し勉強すれば十分合格を狙えるはずだ。ただし、やはり社会人向けの試験なので、実用英検の3級よりはだいぶ難易度が高い。

就職活動では、基礎レベルの3級でも履歴書に書けなくはないのだが、貿易商社を狙うのであれば実務レベルの2級以上がほしいところ。

全国通訳案内士

外国語に関する資格としては数少ない国家資格(というかこれ以外だと教員免許しかない)。国土交通省の認定資格。昔は単に通訳案内士と呼んでいた。
外国人旅行客に付き添い、日本の文化や歴史、地理などについて案内する、所謂通訳ガイドの資格。
単に語学に関するスペシャリストというだけでなく、観光業に関するスペシャリスト資格でもある。

試験は筆記と面接があり、両方とも合格することで全国通訳案内士の資格が得られる。
筆記試験は外国語、日本歴史、日本地理、一般常識、実務の5科目がある。
外国語は英語の他、フランス語、スペイン語、ドイツ語、イタリア語、ポルトガル語、ロシア語、中国語、韓国語、タイ語もある。
日本歴史および日本地理は高校の地歴よりもレベルが高い。
一般常識は観光に関する時事問題や政治経済などの知識が問われる。
実務は通訳案内業に関する法規などが中心。

面接は筆記で選択した外国語と同じ言語で約10分間行われる。通訳ガイドとして現場で必要な能力を有しているかが問われる。
面接は筆記5科目すべて合格しなければ受験できない。

筆記試験の英語に関しては、実用英検1級合格者またはTOEICで900点以上獲得した人は免除される。
以前はTOEIC840点以上で免除対象となっていたが、「実用英検1級に比べてハードルが低い」と批判を受けたことから、基準が引き上げられた。が、それでも実用英検1級よりはまだTOEICで免除を狙ったほうが楽。

筆記試験に関しては他にも科目免除制度がある。主なものは以下の通り。
  • 歴史能力検定の日本史2級または日本史1級に合格すると、「日本歴史」が免除になる。
  • 大学入試センター試験の日本史Bで60点以上獲得し、かつ、5年以内に通訳案内士試験を受験する場合、「日本歴史」が免除になる。
  • 旅行業務取扱管理者(観光業に関する国家資格)の有資格者は、「日本地理」が免除になる。
  • 大学入試センター試験の現代社会で80点以上獲得し、かつ、5年以内に通訳案内士試験を受験する場合、「一般常識」が免除になる。
  • 筆記試験の一部の科目に合格し、他の科目が不合格だった場合、次の年に再受験する場合に限り、合格した科目が免除される。
    • 例えば、外国語、日本地理、一般常識の3科目に合格し、他の科目が不合格だった場合、次の年では残りの日本歴史、実務、面接のみ受験すれば良い。ただし、ここで全科目合格できなければ、外国語、日本地理、一般常識を含めてやり直しになってしまう。
  • 筆記試験全科目に合格したが面接で不合格だった場合、次の年のみ筆記が免除になる。
    • ただしこの場合も次の年に面接に合格できなければ、筆記全科目やり直しになってしまう。
  • 既に特定言語の通訳案内士資格を持っていて、別の言語を受験する場合は、外国語以外の筆記全科目が免除される。
    • 例えば既に英語の通訳案内士資格を持っていて、フランス語の通訳案内士試験を受験する場合、日本地理、一般常識、実務は免除になるので、筆記の外国語(フランス語)と面接だけ受験すれば良い。

外国語、日本歴史、日本地理のいずれも高度な知識が要求されるため、超が付くほどの難関国家資格である。

…とは言うものの、この資格を持っていても実際に通訳ガイドとして働く人は実はほとんどいない…。
それはなぜか?大手の広告代理店とのコネが必要だからである。一応フリーランスとして働くことも可能ではあるが、高収入を得るのはきわめて困難。

そのため、通訳案内士の資格は、取るのに苦労する割には、大して稼げないことから、足の裏の米粒(取っても食えない)と揶揄されることも…。ちなみにこういう国家資格って意外と多いのよね…。

「国家資格だから当然、民間検定の実用英検1級より格上だよね?」とは限らないのである。

ちなみに通訳案内士は医療資格や工業系の資格のような業務独占資格ではなく、あくまで名称独占資格なので、通訳ガイドの仕事自体は通訳案内士の資格がなくてもできる。
なので極論を言ってしまうと、フリーの通訳案内士よりは、無資格でも大手旅行代理店とのコネがある通訳ガイドのほうが高収入につながりやすい。
もちろん大手旅行代理店とコネがあって、なおかつ通訳案内士の資格を持っている通訳ガイドが一番良い。
また、声優の佐々木望はこの資格を持っている。すごい。


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最終更新:2020年08月09日 12:25