AVP2 エイリアンズVS.プレデター

登録日:2012/01/04(水) 11:01:41
更新日:2025/01/18 Sat 15:08:02
所要時間:約 5 分で読めます




『AVP2 エイリアンズVS.プレデター(原題:AVPR ALIENS VS PREDATOR:REQUIEM)』は2007年に公開されたアメリカ映画。
2004年に公開された『エイリアンVSプレデター』の続編である。

監督は後に『スカイライン』シリーズに関わるストラウス兄弟。

前作がどちらかと言えばアクション重視の内容だったのに対し、本作はホラータッチな内容になっている。監督曰く「ALIENシリーズに近づけた」とのこと。
だったが……(詳しくは後述)


◇あらすじ

成人の儀式が終了したことで、プレデター達の宇宙船は地球から去っていった。その中の一部のクルーは、新しい儀式の場を設置するために小型宇宙船で地球へと引き返していた。
しかし、小型宇宙船には前作のラストで誕生した、エイリアンとプレデターの血を受け継ぐ新種プレデリアンが侵入していた。プレデリアンはクルーを殺戮し、コントロールを失った小型宇宙船は、アメリカはコロラド州の田舎町ガニソンの森に墜落する。
プレデリアン、そして内部の標本用のフェイスハガーが外界へと解き放たれ、そして追い討ちをかけるかのように、エイリアン駆逐を生業とするプレデター・ザ・クリーナーが派遣される。

ちなみに、「宇宙船の中と地球で時間の流れが違う」という設定のため、エイリアンとプレデターの視点では前作の直後だが、人間視点では前作の数年後ということになっている。



◇登場キャラクター

〇人類サイド

  • ダラス・ハワード
    演:スティーブン・パスカル/CV:咲野俊介
刑期(おそらく傷害罪)を終えて帰ってきた主人公その1。成り行きでリーダーポジションに。
エイリアン』にもダラスという名前の人物がいるが、無関係。あちらはファミリーネームなのに対し、こちらはファーストネームだし。

  • ケリー・オブライエン
    演:レイコ・エイルスワース/CV:湯屋敦子
女性兵士で二年ぶりにガニソンに帰還した主人公その2。
参謀兼リプリーポジション。

  • エディ・モラレス
    演:ジョン・オーティス/CV:小山力也
ガニソンの保安官。ダラスとは顔なじみ。
加速度的に悪くなっていく状況の中でも一般市民を守るために奮闘する。

  • リッキー・ハワード
    演:ジョニー・ルイス/CV:野島健児
ダラスの弟。ピザ屋でアルバイトをしている。
序盤からとにかくついてない。

  • モリー・オブライエン
    演:アリエル・ゲイド/CV:松久保いほ
ケリーの娘で七歳の幼女。
エイリアン2』でいうニュートポジションだと思われるが、彼女とは異なり終盤はやや空気気味。

  • ジェシー・サリンジャー
    演:クリステン・ヘイガー/CV:園崎未恵
リッキーが思いを寄せる同級生。しかし彼女はデイルという人物と付き合っている。
流れ弾ならぬ流れレイザー・ディスク注意。


プレデターサイド

  • プレデター・ザ・クリーナー
今作における主人公プレデター。
その通称通り、自分たち種族の痕跡を完全に消し去る始末屋にして掃除人。成人後に特殊な戦闘経験を積んでいるとのことで対エイリアン用の装備も多数用意しているほか、単純な戦闘能力も高い。
素顔を晒す時間は短いが、左目が白濁していたり顎の一部が欠落していたりするのがわかる。
それまでのプレデターとは違い、狩りではなく証拠隠滅を目的としているためか非武装の人間相手にも情け容赦がない。
ただし作中における活躍はかなり不遇。本来の目的を果たせず、次第にイライラしていく様が視聴者目線でもわかる。
ラストでは最早目的達成は不可能と判断し、プレデリアンを「狩りがいのある獲物」と見なしてマスクを捨て対峙する。が……

  • 執務クルー
ストーリー冒頭で登場したプレデター。合計三体いた。
次回の儀式の準備の為に母船から切り離した小型艇で地球に戻ったが、急成長したプレデリアンに襲われ、結果的に全員死亡した。
かろうじて救難信号をクリーナーに送ることはできたが、そもそも船内でプラズマキャノンをぶっ放すんじゃないよ。


エイリアンサイド

  • プレデリアン
エイリアンとプレデターの遺伝子を受け継いだ驚異の化け物。
出自の突然変異性から残忍かつ狡猾で、ザ・クリーナーを何度も出し抜きつつ、配下たるヌーヴェル・ウォーリアーを増やし、殺戮の限りを尽くす。
繁殖方法はおぞましいの一言。

  • エイリアン・ウォーリアー
  • ヌーヴェル・ウォーリアー
今作における雑兵エイリアン。前者は逃げ出したフェイスハガーから成長したエイリアンで、後者はプレデリアンが生み出したエイリアンだがはっきりとした違いはない。
形状としては頭部のフード部分が無く、『エイリアン2』に登場した個体群と似ている。
それまで閑静な田舎町だったガニソンを恐怖のどん底へ叩き落す。


◇余談

SF映画の人気二大クリーチャーの対決、その続編であることから期待を集めたが、日本ではあまり話題にはならず、やや微妙に終わってしまった。
以下、主な理由。

◆見づらい

最大の問題点。とにかく画面が暗い。後半になればなるほど何も見えなくなり、誰が何をやっているかわからなくなる。*1
おそらくホラー色の強い「ALIENシリーズに近づけた」と言うストラウス兄弟が恐怖を醸し出すためにやったことだろうが、完全に逆効果だった。
それぞれの1作目なら「見えにくい」もどんな敵が襲ってくるか分からない恐怖の演出になっているが、今作の観客はエイリアンとプレデターのガチバトルを目的で見に来ている人がほとんどなので、ニーズに応えているとも言い難い。そのため地上波放送版は特別編集して見えやすいものとなっているバージョンもある。

◆ザ・クリーナーの矛盾

ザ・クリーナーはエイリアン及びそれが関わったもの全ての痕跡を消すのが仕事であるが、エイリアンや自分を目撃した人物を殺さなかったり、地下からコンクリートをアッパーで殴り付け道路を破壊し下水道から脱出する、発電所でプラズマキャノンをぶっぱなすなど、隠密する気があるのかと疑いたくなる行動を取る。*2

フォローを入れれば、ザ・クリーナーの仕事は地球に逃げたプレデリアンと数匹のフェイスハガー(から成長したエイリアン)の始末程度だったが、プレデリアンや、ヌーヴェル・ウォーリアーの異常繁殖によって完全に想定外の事態になっていた。当初は比較的隠密行動をとっていたが、状況が悪化するにつれザ・クリーナーは事態を密かに収拾することを諦め、完全になりふり構っていられない状態に追い込まれていた。端的に言えば、ブチ切れていたのだ。
まぁ「結局はプラズマ爆弾で処理するつもりだった」と言ってしまえばそれまでだが。

◆強酸の血の扱い

エイリアンの血液は鉄さえも溶かす酸性を持つが、本作ではなんと雨で中和される*3ザ・クリーナーに至っては室内で思いっきり返り血浴びてるのにまったく溶けない*4。反対に冒頭に登場した民間人は、フェイスハガーの血を腕に浴び腕が溶け落ちている。
人間やプレデターの遺伝子がエイリアンの血液に何らかの作用をもたらした……と考察*5もあるが違和感はぬぐえない。

……そもそも中和は酸性とアルカリ性とが互いの性質を打ち消し合う化学反応である。そして雨水は弱酸性が基本なので中和させようがない。
仮に中和させることができる程の強アルカリ性雨が降っていたとするなら、それだけで人体は皮膚を解かされ、ただれた挙句化学火傷を負ってしまう。エイリアン関係無しに大惨事である。
また、エイリアンの強酸血液は死後中和する、体積以上の量を溶かすといった点から酸ではなく腐食性の細菌が体液中に存在しているのではないかと考察する向きもあり、この場合は細菌と雨水が相性が悪かった(?)と見なすこともできるが、それでもあれだけ色んな物を溶かしてきた血液が「雨水をかけるだけでおk」じゃあんまりだし、上にも書いてある通り室内で思いっきり返り血浴びてるザ・クリーナーもいるわけで……。

◆プレデリアンの繁殖方法

その方法とは、妊婦に口移しで自身の生殖器官を挿入、卵(あるいは幼体)を流し込み、胎児を複数のチェストバスターへと変移させる、というなんともえげつないもの。妊婦はその後プレデリアンの分泌液によって身体を拘束され、胎内に宿した子供が得体のしれない化け物に変えられる(あるいは食い荒らされる)のを知覚し続けた挙げ句、産まれるチェストバスターに腹部を食い破られ絶望と苦痛のままに死亡する。
これに関しては「それでこそエイリアン」、「さすがにやりすぎ」と本国ですら賛否両論
この生態のためにプレデリアンは産卵をする必要が無く、ヌーヴェル・ウォーリアーも寄生ホストを捕獲する必要が無い。

上記のプレデリアンの繁殖方法以外にも、本作ではエイリアンが
  • プレデリアンが殺したプレデターの生皮を剥いで逆さ釣りにする(小説版での記述。映画でもやる予定だったが没になった)。
  • フェイスハガーが子供を襲う(実は直接的な描写は今回が初である)
  • 死体をいたぶる(捕食行為?)
など、より残忍な性格にされており、本作は前作以上に規制が厳しい作品になった。

地上波での放送は難しいと思われていたが、2012年に日曜洋画劇場で前作と本作をくっつけ再編集したものが放送された。
当然ながら、問題のシーンは軒並みカットされていた。





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最終更新:2025年01月18日 15:08

*1 さらにカメラワークも近いわ揺れるわで何が起きているのかわかりにくい。

*2 発電所にエイリアンが向かったのは電力遮断を狙っていたのかもしれないが、いずれにしてもプラズマキャノンぶっぱで停電が確定した。

*3 小説版にて明記。

*4 これに関してはクリーナーの装備が対エイリアン用に特化しているからだが、装備の隙間にも血を浴びているのでやはりおかしい。

*5 擁護すると、エイリアン4でエイリアンと一緒にクローンとして復活したリプリーは酸の血液を持つものの、それほど溶けた描写がない。ニューボーンも同様