北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ

登録日:2010/04/02(金) 02:02:18
更新日:2025/03/02 Sun 08:15:20
所要時間:約 6 分で読めます





北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ』(The Hokkaido Serial Murder Case: The Okhotsk Disappearance)とは、アスキーより1984年に発売されたPC用推理アドベンチャーゲーム。

【概要】

ポートピア連続殺人事件』に続く「堀井ミステリー3部作」の2作目にあたる作品。
1984年にパソコンゲームとしてPC-6001版とPC-8801版が発売され、後に数多くのPCにも移植される。
1987年にファミリーコンピュータ用にリメイクされ、さらには携帯アプリにも移植。
1992年にはファミコン版をベースに再度パソコンに移植された『オホーツクに消ゆ98』が発売。
2024年にはファミコン版をベースに追加シナリオを加えたリメイク作『北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ〜追憶の流氷・涙のニポポ人形〜』がNintendo SwitchとSTEAMで発売された。

特筆すべきは日本で初めてのコマンド選択式アドベンチャーゲームということ。
というのも今作が出るまでのパソコンのアドベンチャーゲームは軒並みコマンド入力式*1であり、事件を推理する以上に言葉を推理する必要があったのである。
これは推理アドベンチャーとしての面白さがブレていると感じたスタッフが作り出したのが今作なのである。

しかし、コマンド選択式アドベンチャーには総当たりすれば解けてしまうという問題点もこの時点から制作陣は認識しており、そのためパソコン版にはゲームを簡単にクリアできないようダミーのアイテムを取るとハマってしまう仕掛けが意図的に入れられている
ファミコン版ではこのハマりは削除された。

ゲームとして特異性だけでなく、北海道の実際の名所を再現したグラフィック、二時間サスペンスを思わせる謎が謎呼ぶ怒涛の展開、最初で出てきた何気ない情報が事件に繋がる緻密に組まれた伏線など高い評価を得ており、1980年代のミステリーゲームの中でも傑作と呼ばれている。

PC版ではゲーム内のイラストは当時の限界としてかなり簡易なのだが、同梱のマニュアルには末弥純氏によるハードで写実的なイラストが掲載されている。
一方、ファミコン版では荒井清和(ファミ通のレビュアーのイラストを描いてる人)がパッケージからゲーム内グラ含めてキャラデザを担当したため、コミック風になっている。

また、ファミコン版ではリメイクに伴いテキストやストーリーが若干変わっており、犯人や登場人物の設定も異なっている。ブラックジャックで遊んで勝つとヒントがもらえるユニークなシステムも。
2024年版には追加シナリオとして2024年での新たな事件が追加されている。


【あらすじ】

東京湾、晴海埠頭で男の死体が発見される。
主人公は部下の黒木と共に被害者の身元を調査し、事件に北海道が関係している事を知る。
北海道に渡った主人公は、釧路署の刑事である猿渡俊介と共に捜査を始めるが、第二、第三の殺人事件が次々に起きてしまう……。


【主な登場人物】

※特筆しない限りアプリ版準拠
※声優は2024年リメイク版でのもの

  • 新田哲二
主人公の刑事。
劇中では常にボスであり、名前は出てこない。ファミコン版と2024年版ではプレイヤーが4文字以内の名前を設定可能。
前作のボスに比べると温厚だが、ストッキングやネグリジェに興味を示す変態。
当時のパソコン版発売前後の雑誌にイラストが載っているが、丹波哲郎似の渋いおっちゃんである。

  • 黒木吾郎
CV:浜田賢二
主人公の部下の刑事。
東京編でしか出番がない上に、ラストギリギリでようやく顔を見せる空気。

  • 増田文吉
最初の被害者。
東京湾から銃殺体で発見される。
釧路市在住であることからボスは北海道へ飛ぶことに。
パソコン版ではゲンさんの双子の兄弟という設定であったが、ファミコン版以降はただのそっくりさんに。

  • 明美
CV:宮村優子
キャバレー「ルブラン」のホステス。
警察嫌いで警察手帳を見せると態度がキツくなる。

  • ルナ
CV:氷上恭子
ルブランのホステス。
増田が言い寄っていたらしい。

  • 猿渡俊介
CV:後藤ヒロキ
北海道でボスのサポートをする、北海道警釧路署の若手刑事。事実上の主人公で通称「シュン」。
純朴なお坊ちゃん風のイケメン
真面目な好青年だが、ボスに付き合ってブラックジャックをしたり(勝つとヒントを教えてくれる)、芸者遊びに楽しんだりする一面もある。
真紀子に一目惚れしたらしく、彼女の前や部屋では気持ち悪くなる。
優男風だが実は結構腕っぷしも立つ。

  • 飯島幸男
2人目の被害者。網走市北浜の名士。
北浜の海岸で撲殺体で発見される。
なぜか増田文吉に金を渡していたとのこと。
戦後間もなくは新聞記者だったらしい。

  • 白木雄九郎
3人目の被害者。東京のスーパーの社長。
網走港で絞殺体で発見される。
元々は北海道の出身らしい。

  • 坂口達男
CV:江川大輔
東京から駆けつけたヒゲが特徴の白木の秘書。
社長の死にショックを受けており、何かと「しゃ、社長ー!」と叫ぶ。
ああうぜえ……なんでオホーツクには叩くコマンドがないんだ。

  • ゲンさん
CV:てらそままさき
すすき野の炉端屋「コロポックリ」で働いている増田にそっくりな男。
がさつな性格で捜査にはあまり協力してくれない。
結構有名人らしくいろいろな町に知り合いがいる。
本名「野村源次」。真犯人ではあるが、その動機は復讐以上に娘を守るためであった。
パソコン版では増田の兄弟にして同レベルのクズであり、犯人にしてあの娘の父はのむらてつじという別人であった。

  • 野村真紀子
CV:Lynn
ヒロイン。
摩周湖で出会った北海道札幌市手稲*2在住の若い女性。
スキーのインストラクターやスポーツ用品店で働いている。
おとなしく慎ましい性格だが、どこか影がある。

  • 中山めぐみ
CV:中川翔子
真紀子の幼なじみ
東京の大学に通っているが、失恋旅行で北海道に観光旅行に来ている。
実はファミコン版の追加キャラでパッケージに意味深に描かれてるくせに捜査には全く役に立たないが、和琴温泉で裏技でプレイヤーにサービスしてくれる。2024年版では追加ストーリーの2024年でも…?

  • 謎の男
4人目の被害者。
知床五湖で絞殺体で発見される。
このあたりをカップルで観光旅行していたらしい。

  • 老婆
紋別の町にいるババア。
若い頃の飯島に憧れてたらしく、彼の話をすると「あー、はずかスー」と照れるこのゲーム一の萌えキャラ。
女としてまだ枯れてない。

  • 奥村紀助
被害者たちの知り合いだったり、和琴温泉で拾ったメモに書かれていたりと事件に関係あるらしい男。
しかし捜査中に夜釣りに行って行方不明になっている。
ちなみにファミコン版では彼の家で流れるBGMが非常に不気味でプレイヤーを怖がらせた。

  • 阿久津秀夫
網走市より出馬した国会議員。
和琴温泉で拾ったメモに書かれていた。

  • 蒲田甚五郎
殺人の罪で網走刑務所に無期懲役で入っている老人。
ニポポ人形を掘っているが、なぜか事件があった翌日に涙を掘られたニポポ人形を混ぜる。
彼がなぜ殺人をしたのかという謎は2024年版で明かされることとなった。

  • 猿渡まりな
CV:瀬戸麻沙美
2024年版追加キャラ。
シュンの娘でかつて父と捜査したボスこと主人公とともに父が襲われその際に奪われたニポポ人形の謎を追う操作に出向く。
何かとノリの良かった父と比べると現代っ子ぽい淡白な口調が特徴。

  • 苫米地彩(とまべちあや)
CV:ファイルーズあい
2024年版追加キャラ。
土産物屋でアルバイトしている女性。
東京に憧れ、コスメショップを開くのが夢で休みの日はバエを求めてりとこっちはこっちで別のベクトルの現代っ子。

  • 犬養健太
CV:河西健吾
2024年版追加キャラ。
24年におけるシュンの部下でシュンの娘であるまりなのことをとても心配している。

【主な実在する舞台】


  • 東京
晴海埠頭
高田馬場栄通り

釧路市街
北浜駅
北浜の浜辺
網走市街
網走港
網走刑務所
札幌すすき野(エロいお店には行けない)
摩周湖(パソコン版ではカムイッシュの島にもいける)
知床五湖
阿寒湖
屈斜路湖
ウトロの町
紋別の町
野付半島
函館市
札幌駅

【余談】

コマンド選択式システムは『ポートピア連続殺人事件』のファミコン版移植の際にも使われた。

堀井雄二氏と親交のあったさくまあきら氏によるとコマンド選択式はパソコンで字を打てないさくま氏のアイディアとのこと。

パソコン版では最後の乱闘シーンで「おまえはもうしんでいる」など北斗の拳のパロディなセリフがあったが、ファミコン版以降では「かいしんのいちげき」に差し替えられた。

初期のバージョンでは刑期を終えたヤスが登場するという噂があるが、真相は不明。

当時としては珍しく実際に北海道に行って現地のことを調べる所謂取材旅行を行っている。
堀井氏は後にこのことを冗談めかして「会社の金でカニが食べたかった」とぶっちゃけている。

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最終更新:2025年03月02日 08:15

*1 例えば、だれかと話す場合も「はなす」と手打ちしなければならなかった。

*2 なお発売当時は手稲は西区だったが現在は手稲区になっている