登録日:2012/05/06(日) 22:58:40
更新日:2025/08/13 Wed 11:41:31
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【概要】
時は15世紀から16世紀、丁度ギルガメs…じゃなく
イギリスとフランスが
百年戦争を繰り広げていたかいなかったかの時のイギリス(スコットランド)の話。
スコットランドのイースト・ロージアンに、『(アレクサンダー・)ソニー・ビーン』という男がいた。
彼の父は庭造りや廃棄物処理をし生計を立てており、ビーンも幼い頃は手伝いをしていたが、
粗暴で傲慢な性格であったビーンは歳をとるにつれて労働を放棄し始め、遂には家を飛び出してしまった。
その後、ビーンは自身の妻となる性悪な女と出会い、彼女と人目のつかないバーナン・ヘッドの海岸の洞窟に住みついた。
ビーン夫妻は二人揃って労働意欲がなかったため、働いて糧を得ようとはせず、
近くを通りかかる旅人を襲って現金・所持品を奪い、その後証拠隠滅のために殺すという卑劣で残虐な行為で生計を立てていた。
しかし、そう都合よく旅人が連日通り過ぎるなんてことはなく、やがて食うに困ったビーン夫妻は
襲った人間の肉を食料とし始めた。
生肉のままではすぐに腐ってしまうため、干し肉に加工するなどして保存食も作るようになった結果、ビーン夫妻は食には困らなくなった。
飢餓の心配がなくなると、性欲旺盛だったビーンは妻との間に男8人・女6人の14人の子供を儲け、
さらにその子供たちが成長すると
きょうだい同士でもまぐわい、これによって32人の孫も儲けたビーンは、
最終的に25年間で、自分、妻、子ども、孫を合わせて計48人という大家族を作り上げた。
ビーン家に生まれた子どもたちは当然学校などには通えず、社会から隔離された洞窟の中で、まともな教育をする気もない家族に囲まれて育ったため、
知能は普通の人よりも劣っていて言葉も辿々しかったが、その代わりに殺人・解体・加工の技術は生活の中で学び取り、人狩りのプロ集団となっていった。
幼い頃から旅人狩りに参加し、当たり前のように人の肉を口にする生活を送り、殺人にも食人にも抵抗感を持つことなく成長した結果である。
旅人が失踪する事件が相次いだことで当局も捜査に乗り出したが、
ビーン一家は町に住んでいない上に基本的に家族以外の人間で彼らに会った者は殺されていたためか、
彼らが捜査線上に上がることはなく、時代が時代だけに当局は疑わしき(無関係の)者をしょっ引いては手当たり次第に処刑していくものの、
当然解決することはなく、依然として謎の旅人の失踪事件は続いていた。
そんな状況が続いていたある日、ビーン一家はいつものように旅人の夫婦を襲った。
妻の方は
馬から引き摺り下ろして殺害したが、夫は馬に乗ったまま逃走を図り、
さしもの人狩り一家も馬の突進を防ぐことは出来ず、結果として一家は夫の方を取り逃がしてしまう。
そして、九死に一生を得た夫が市役所に駆け込み、妻が謎の集団に殺されたと必死に訴えたことで、一家の凶行はついに明るみに出ることとなる。
この報告を受けたスコットランド国王は400人の兵士を捜索隊に任命し、自らが彼らを率いて捜索に乗り出した。
テントも船も無い海岸の捜索は難航したが、捜索隊が連れていた猟犬が謎の洞窟を発見。
その洞窟こそビーン一家が生活していた洞窟であり、死臭や血の臭いが充満するその異様な空気から、捜索隊は犯人がいると見て突入した。
武装した集団には流石のビーン一家も敵わず、捕縛される。
捕縛した際はただの盗賊団と思い込んでいた捜索隊であったが、前述の夫が訴えていた妻の安否を確認するべく洞窟を改めると、
明らかに食用に加工された、その妻の無惨な遺体を発見する。
それ以外にも夥しい数の人肉や人骨が発見されたことで、自分たちが捕らえたのは身の毛もよだつ殺人・食人集団だと気付いた。
捕らえられ、エジンバラに送られたビーン一家は、その所業の悪辣さと残虐さから裁判なしに極刑が宣告され、
男は両手両足を切断後失血死するまで放置され、女はそれを見た後に少しずつ火で炙られるという、彼らの所業に負けず劣らずの残酷な死を与えられた。
こうして事件は終息。
ソニー・ビーンとその一家による、実に300人以上もの犠牲者を出した25年間の洞穴生活もこれで終了した。
しかし、捜索隊の突入によって逮捕、及びその後処刑されたビーン一家の人間は46人であった。
残る2人は捜索隊に洞窟が発見されたのを陰から見ており、危険を感じてか逃亡し、何処かへ行方を眩ませたという。
その2人が男女の組み合わせであれば、逃げ延びた先できょうだい同士でまぐわったり、
あるいは、まともな教育を受けていないことを哀れまれる等でその素性を知られないまま保護され、社会復帰したりしていれば、
その人自身には罪はないものの、ビーン一家の血を受け継ぐ子孫が今も何処かで生きているのかもしれない…。
というのが「ソニー・ビーン」とその一家の伝承だが、この事件に関する資料が非常に少ないため、多くの歴史家は彼の一家の存在と犯行を架空のものと見ている。
一方で、この噂は様々な地域で引用されて広まっており、観光産業の一部ともなっている。
【余談】
漫画『
進撃の巨人』において、
調査兵団が捕獲し、研究していた二体の巨人の名前が「ソニー」と「ビーン」である。
※ソニーが4m級、ビーンが7m級
人喰い巨人である彼らの名前の由来は恐らく本項の「ソニー・ビーン」であることは想像に難くない。
追記・修正は人喰い一族から無事に逃げ出してからお願いします
- 事実不明ってことかな? 尾ひれ背びれがついたり、都市伝説のような物みたいな? -- 名無しさん (2015-03-26 19:26:50)
- 元になる”何か”はあったろうな -- 名無しさん (2017-01-29 17:44:33)
- サーヴァントになってほしい -- 名無しさん (2017-06-08 10:01:09)
- マトモな記録には全く残ってないあたり「スコットランド人はこんな野蛮人だ」的な差別的ヨタ話が定着したってのが実情に一番近いんやろな -- 名無しさん (2017-07-10 08:58:17)
- 数十人の集団が、25年間食人中心に生活しようと思ったら300人やそこらじゃ全く足りんでしょ。ざっと5千人分は必要になるからまず作り話か、事実にしても相当な御鰭の付いた話なんだろうねえ -- 名無しさん (2017-11-10 19:25:36)
- 映画化してほしい -- 名無しさん (2018-01-03 09:06:42)
- サーヴァントにはなってないが魔法少女にならなってる -- 名無しさん (2021-04-10 16:31:02)
- ビーン一家の末路なんだが、見方を変えれば同調圧力や村社会の末路とも言えるよね。一般社会でも多かれ少なかれ数の暴力に頼る人達がいるだろうし -- 名無しさん (2021-08-17 17:56:54)
- >子供たちは学校に通えるはずもなく そもそもあの時代庶民の子供は学校通えたんだろうか -- 名無しさん (2023-04-11 10:37:41)
- 現金を奪ってどうしていたんだろう?町で買い物していたのならそこから足がつきそうなものだし、そうでないのなら現金なんて何の役にも立たないし。 -- 名無しさん (2023-04-11 10:55:25)
- 粗暴で傲慢で労働意欲がないのに干し肉に加工するガバガバ具合がとても良いと思う。(大型動物解体してちゃんと保存がきく干し肉にするのは時代を考慮しても普通に働いてその金で肉買うよりよっぽど手間) -- 名無しさん (2023-06-18 14:39:33)
- 魔法少女育成計画のソニア・ビーンの元ネタよね。ていうか設定的にはこの時の子供の1人っぽいな。 -- 名無しさん (2023-06-18 14:57:35)
- ↑8 別の資料では1500人。微妙なところ。いつも空腹かつ栄養失調ならギリって感じの。全員を健康的に生存させようとしたら当然これでも足りない。 -- 名無しさん (2023-08-10 19:41:55)
- 流石に数世紀も前だし、誇張された話なんじゃないかと思う -- 名無しさん (2023-09-18 21:41:59)
- 元になる“何か”といっても、旅人が強盗に遭った、山で獣に喰われた、人買いに拐われた、炉銀が尽きて野垂れ死んだ、辺りが原因で何人も行方不明になっているのを恐ろしい狂人の仕業だ!って大騒ぎしたってところかな -- 名無しさん (2023-12-11 23:13:29)
- ↑海岸の洞窟に住んでるってあるから、足滑らして海に落ちて行方不明とかもありそう -- 名無しさん (2024-05-08 22:27:47)
- 無実の人間を次々と処刑した当局の人間なんだが、責任とらずに己のミスを有耶無耶にして法の裁きから逃れた可能性もあるよね。ソニー・ビーンと違って「普通である立場」を盾にできるだろうし -- 名無しさん (2025-05-01 13:09:00)
- 旅人を狙った強盗・野盗の話がごちゃ混ぜになってそう。道中こんなのが出るぞみたいな、旅人への注意喚起的な意味も込めていたり -- 名無しさん (2025-08-13 09:45:58)
最終更新:2025年08月13日 11:41