風神拳(鉄拳)

登録日:2012/01/28(土) 10:35:15
更新日:2025/02/17 Mon 18:46:29
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風神拳(ふうじんけん)とは、『鉄拳』シリーズに登場する技。

●概要

姿勢を下げて鋭く踏み込み、立ちあがりながら右手でアッパーカットを繰り出す。『鉄拳』シリーズを代表する浮かせ技。

技の設定的には“三島流喧嘩空手の奥義”であり、一八平八といった三島家が主に使用する。使うキャラによっては細かい違いがある場合もある。
仁も初登場の『3』と『TT』では使っていたが、『4』以降の作品では基本的に使用しない。理由については風間仁の項を参照。
ラースは三島の血を引いているが、格闘スタイルが「三島流喧嘩空手」ではないので使用しない。
『8』では麗奈もこの技を持ち、久しぶりに使い手が増えた…けど平八がお亡くなりになったため、プレイアブルキャラの数ではプラマイゼロ
また『8』のクマも熊風神拳という技を持つが技の仕様は大きく異なる。

確定反撃で的確に最風をぶち込んでくる人を「最風ボタン持ち」と呼ぶことがあるなど、『鉄拳』の中でもかなり有名な技なので気になった人は近くのゲーセンに行ってライブモニターで見てみよう。

●歴史

  • 鉄拳・鉄拳2
しゃがみガード無効の中段判定の確定浮かし技という、豪快なバランス設定の3D格ゲー黎明期とはいえ、あまりにもあんまりな超性能だった。
同一コマンド(風神ステップ)から出せる下段判定の奈落払いとの二択を相手に強要できるという鬼畜仕様であり猛威を振るった。

  • 鉄拳3
『2』までの風神拳は流石に強すぎるとして、ゲーム性が現行にまで通じる位に細やかになった『3』にて、風間仁の風神拳として「上段判定で確定浮かせ技ではない*1」バージョンが初登場。
しゃがみで回避可能となった代わり(?)なのか、ここから最速風神拳も初実装された。こちらはノーマルと違い、カウンターヒットでも浮き方が変わらない。
ただし、この頃は今ほどにテクニックとして重要視されておらず出せれば便利位の扱い。

因みに、同作での平八の風神拳は中ボスキャラクターであったことや前作からのプレイヤーのことも考慮されたのか、威力は抑えられたものの中段の浮かせ技で据え置きだった。

  • 鉄拳TT
……しかし、やっぱり強すぎるということで次の『TT』では、復活した一八と平八の風神拳が特殊中段判定*2に変更された。仁もチェンジボタンを仕込むと特殊中段になる。
しゃがみガード可能となったが、それでもスカが無いのは強かった。

  • 鉄拳4
一八と平八の風神拳が上段判定に変更され、全体的に弱体化。
シリーズでは一番不遇で、カウンターでないとコンボすら出来なくなった。その分だけ最速風神拳が重要視されるようになる。
一八の最風はノーマルヒットだと浮かないが追撃は可能、カウンターヒットだと浮いてコンボ可能。
平八の最風は通常と同じくカウンターでないとコンボできない。溜め可能で溜めるとノーマルでも浮くという特殊仕様があったが、出が遅くなるので使われることはあまりなかった。

  • 鉄拳5・6
『4』の賛否両論のゲーム性自体も含めて色々と改められて、現在の『鉄拳』シリーズの基礎が完成した『5』。
風神拳もその例に漏れず、現行シリーズに繋がる「上段判定の確定浮かし技」という“風神拳”の基本仕様が完成したのであった。

  • 鉄拳7
基本は変わっていないのだが、デビル化した一八のみ風神拳が中段になり、実に20年ぶりに風神拳と奈落の2択が帰ってきた。
ただし、流石にガード硬直は短くなる。
この作品から正式名として「最速風神拳」という技名がコマンド表に明記されている。

  • 鉄拳8
中段風神拳は案の定強すぎるということでデビル一八の風神拳も上段判定に戻った。
風神拳使い全般に「ヒート中の風神拳は最速入力でなくともヒートゲージ微消費で最速版になる」という仕様が追加され、慣れていなくても出しやすくなった。
また、風間仁が久しぶりに風神拳を使う。ヒート中限定かつ前動作が必要だが、特殊中段判定となっている。


ちなみに“最速風神拳”が正式な仕様として実装されたのは『鉄拳3』の仁だが、テクニックとしての“最速風神拳”なら以前のナンバリングや『鉄拳TT』での一八と平八にも存在しているという腕利きプレイヤーの言葉もある。


●コマンド

以下、コマンド表記は下のように表します。
7 8 9
4 N 6
1 2 3

LP=左パンチ
RP=右パンチ
LK=左キック
RK=右キック

コマンドは『6N23RP』。
所謂昇龍コマンドに近いが実際の仕様は結構違う。
一番大きな点がN(ニュートラル)が入っているところで、6後に必ずニュートラルを経由する必要がある。また6N23以外の入力を挟むのもNGで正確に入力する必要がある。*3
先行入力が出来ず、323や636のような簡易入力も無いため、2D格ゲーの昇龍コマンドの感覚で入力すると上手く出ないと言われることもしばしば。練習あるのみ。

●風神ステップ

風神拳の前段階として『6N23』の時点で姿勢を低くして前進する『風神ステップ(風ステ)』*4が出る。
麗奈は6N23以外にも3LKの簡易入力や他技からの派生でこれを出せる。

この『風神ステップ』から『風神拳』以外の技も出せる。
例えばRPではなくLPだと『雷神拳』という技になり、RKでは『奈落払い』、一八の場合なら6N23RKLPで下段→中段のコンビネーション『奈落旋風』が出る。

この『風神ステップ』を利用した駆け引きも三島家を使う上で、重要な要素。

●最速風神拳

『3』の仁で初めて実装され、以降のシリーズでは『風神拳』持ちのキャラ全員に実装されたテクニック。略称は『最風』『EWGF*5』。

コマンド『6N23RP』の3とRPを1フレームの誤差なく同時入力するとボイスが変化し、右腕に稲妻がかかる。ヒットすると画面がブレる演出が出る。当てるとかなり気持ちいい。

ガードさせても有利で尚且つ、通常の風神拳よりも発生が早く、威力も高い。
発見された当時は出せるだけでステータスとされていたが、現在ではその強さと重要さ故に「三島を使うなら出せて当たり前」と言われてしまうくらいにハードルが爆上がりした。これの上手さが強さに直結するので、三島を使うならいずれマスターする必要がある。
さらに上のテクニックとして四回連続で最速を当てるコンボ『四風』、一八の『忌怨拳』をカウンターヒットさせ、霧足+最風で浮かせてコンボに入る『忌怨風』といったテクニックも発見されている。
一八は6Nで出せる特殊ステップ「霧足」、麗奈も6Nの「風足」から風神ステップからの派生技を出せる。
その際のコマンドは6N3○○となり、↑の忌怨風においては6N3+RPで最風を出す必要がある。
『8』の途中からデビル仁も6N3RP対応になった。

なお、『5DR』の仁八はただの3RPというめちゃめちゃ簡単なコマンドで最速版の風神拳が出せる。
『TAG2』では技名こそ風神拳だが、他キャラの右アッパーと同じような浮かせ技に落ち着いた。

『7』家庭用のメインストーリーモードはアシスト操作があり、この操作の一八はアシスト入力で最風が出る。

『8』の一八、デビル仁、麗奈はヒート中の間だけ最速入力でなくともヒートゲージ微消費で最速風神拳が出るようになる。
特に麗奈はヒート中なら通常は最速で出せない簡易入力や派生風神ステップからの風神拳も最速化する。
また、『8』は初心者向けに1ボタン(+連打)で浮かせ・トルネード誘発・コンボの締め技を繰り出せる「スペシャルスタイル」があり、一八、デビル仁、麗奈は浮かせ技に風神拳が設定されているのだが、なんと上述の仁八同様にノーコストで最速版となっている。
実質ソロプレイ用だった『7』のアシスト最風と異なりこちらは対人戦含めた全モードで使用可能であり、初心者でも簡単に最風が使えるようになった。

一八がゲスト出演したスマブラSPでも実装されている。コマンドが昇竜拳と同じ623+Aで多少スティック入力がズレてもOK、先行入力ができる、最風の入力猶予が1フレーム伸びている*6ことから少し出しやすい。

●最遅風神拳

風神ステップの終わり際に風神拳を出すことで出る。通常の風神拳より威力も低く、当てても相手を空中に上げることができないから。イタチの最後っ屁ならぬ風神の最後っ屁と言ったところか。
デビル仁のみ正式にコマンド表に登録され、威力は普通の風神拳同等、浮かない代わりにガード-4で確反なしのヒット+12fで、蛇毒気掌→起き攻めまでセットにできるので、出てしまってもカバー可能。

●ステステ

前述の『風神ステップ』を連続で出すテクニック。かなり気持ち悪い動きで小刻みに移動する。「シャッ」というSEが入る麗奈でやるとものすごくうるさい。
風神ステップ(6N23)をステップイン(6N6)でキャンセルし、それをさらに風神ステップでキャンセル。このときステップインの最後の6入力は風神ステップのコマンドに組み込むことができる。
なので出し方は6N236N6N236N6N23...の連続。

このテクニック自体に攻撃性能はないが、最速風神拳をちらつかせることで相手にプレッシャーを与えられる。
ステップインから出せるコンボ始動の中段技「左踵落とし」との二択をかける際に必須のテクニックなため、少なくとも数ループは続けられるようにしておきたい。

●関連技

●右回し突き

風間仁が風神拳を捨てた代わりに習得した、同じコマンドの技。風神拳と同じく最速版がある。
初登場の『4』ではコンボ始動できなかったが、『5』ではごく限られた条件下でのみ浮かせ技になり、『6』ではカウンターヒット時限定の専用ダウンモーションが作られコンボ可能となった。
『7』では、先述の専用ダウンモーションが「スクリューやられ」として全キャラ共通のコンボシステムとなり、右回し突きは地上ヒットで「スクリューやられ」を起こす技に設定されることになった。
通常版だと前作同様カウンターヒット時限定のコンボ始動技だが、最速版はノーマルヒットでもコンボ始動できるように変更されている。

『8』でも「トルネードやられ」を起こす技に設定されているが、ついに通常版でもノーマルヒットでコンボ可能になり扱いの難易度が大きく緩和された。
さらに風神拳と同じくヒート中はゲージを消費して最速版が出るほか、派生で出した風神ステップ*7から使うときはノーコストで最速版になる。

●左突き上げ

同じく風間仁の技で、『5』以降で登場。コマンドは6N23LP。
風神拳の左手バージョンのような見た目だが、発生が少し遅い代わりにリーチが長めの中段浮かせ技となっており、性能としてはほぼ別物。
最速版もあるが、効果がダメージ上昇(と削りダメージ追加)だけなので出せてもそこまで旨味はない。

●雷神拳

平八のみ、6N3LP(3とLP同時押し)で青い閃光を腕に纏った特殊な雷神拳を出せる。
ダメージが大きく上がるほか、通常版と違い空中コンボ可能。ガード硬直も増えるので重い確定反撃は受けなくなる。

エフェクトから「青雷神拳」と言われていたが、『8』にて「最速雷神拳」という正式名称が付き、また6N23LP(3とLP同時押し)でも出せるようになった。風神拳と同じくヒート中は自動で最速版になる。
『8』の平八は他にも「秘伝雷神拳」「秘伝風神拳」という技を会得しているが、性能は「雷神拳」「風神拳」とはそこそこ違う。

●ライジングブレード

三島家以外で風神ステップが使えるキャラの一人、ファランの技。コマンドは6N23RK(3は入れっぱなしで、6N23NRKだと踵落としに化ける)。
低姿勢から右脚で蹴り上げる技で、風神拳と違い中段判定でこちらは発生が少し遅いものの浮きの高さはこちらが上…と言うより、全技中トップクラス。一発のダメージも高め。
ただしガードされると-18Fと大幅な不利フレームを抱えるため、主に浮かせ技で確定反撃を取られてしまう。

6N3RKと入力してかつ最後の3とRKを同時押しすると、青いエフェクトを纏ったライジングブレード(通称青ライ)になる。
右構えからだとジャストでないor入力が623でも青ライになる。
青ライはガードされても-8Fで確反がなく、それ以外は通常と同じ。使いこなせるとコンボも高火力でカッコイイ。ムズいけど。

『8』にて風ステに「シャークステップ」、青ライに「リーサル・ライジングブレード」という固有の名称が付けられた。
風神拳と異なりヒート中でも自動で青にはならない。

●武神脚

麗奈版ライジングブレード。
コマンドは風神ステップ中に3LK。6N23から出す場合は3いれっぱにしないといけない点はファランと同じ。
通常状態では6N23LKに限り最速化が可能で、こちらも稲妻を纏いつつ性能が強化される。
ヒート中は風神拳と同じく最速入力でなくとも最速版が出るようになる。

●熊風神拳

クマが『8』で遂に取得したクマ版風神拳。
ヒート中のみ使用可能、上段ではなく特殊中段判定、発生15Fで(最速)風神拳より遅い、溜め可能など様々な点で異なる性能を持つ。溜め可能なのは鉄拳4の平八仕様風神拳のリスペクトとも。
ちなみにクマ専用の技であり、コンパチキャラのパンダでは使えない。

●ポッ拳での風神拳


鉄拳スタッフが開発に携わったポッ拳にはピカチュウの使用技として登場。
カッコいいピカチュウを目指して製作していく中でポケモン製作側から提案され、この他にも『奈落払い』や『雷神拳』といった平八の技モーションや立ちポーズが採用された。
2Dバトルのデュエルフェイズに切り替わった時に使用可能となり、コマンドは6とYボタン同時入力と鉄拳よりも簡単に出す事が可能。
鉄拳同様に誤差なく同時入力すると雷のエフェクトが黄色から青色に変化し、性能が強化*8される。共鳴バースト中は同時押しでなくても最速版になる。
リザードンスイクンといった巨体相手でもコンパクトな右アッパーで上空へ吹っ飛ばすピカチュウの姿は圧巻である。
ちなみに中段判定である。ポッ拳ではガードは1種類のみなので2択に使えるわけではないが、しゃがみ等の上段無敵でスカされない。

余談

PXZ2の仁&一八の必殺技「因縁の交錯」の初動にも一八の風神拳×5が採用されており、当てる毎に少しずつ敵の浮きが低くなっていく等、細かい部分まで再現されている。



画像出典:ポッ拳 POKKÉN TOURNAMENT 公式サイト
開発及び販売元:株式会社ポケモン 株式会社バンダイナムコエンターテイメント
発売日:2016年3月16日


追記・修正は最風の練習で爪が割れてからお願いします。

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最終更新:2025年02月17日 18:46

*1 カウンターヒットだと遠くに吹き飛ばしてしまいコンボが入らない

*2 しゃがみガード可能な中段判定技のこと。上段判定と異なりしゃがみでスカせない。

*3 厳密には、Nは2に化けていても認識する

*4 元々は通称だったが『ストリートファイター×鉄拳』で公式化。ナンバリングでは『8』から技表に載るようになった

*5 Electric Wind God Fistの略。英語圏で主に使われる。風神拳(Wind God Fist)が最速時に稲妻エフェクトを纏うことに由来

*6 3に対しAが1フレームだけ早くても最速版になる

*7 技名は「踏み込み」

*8 ダメージがアップ、フェイズチェンジ値が軽減、ガード硬直が増加