登録日:2011/06/21(火) 00:56:53
更新日:2025/04/02 Wed 10:01:37
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『それゆけ!宇宙戦艦ヤマモト・ヨーコ』は、庄司卓によるライトノベル。
レーベル:富士見ファンタジア文庫
刊行期間:1993年~2001年
巻数:長編既刊全12巻、短編集全10巻
その他:最終刊は刊行されず。
富士見ファンタジア文庫最盛期の作品で、ジャンルはライト調なスペースオペラ+時間SF。
ゲーマーが主人公のためか、様々なゲーム・アニメ系のネタがちょいちょい登場し、「彼女達の現在と繋がらない未来」と異世界転移を足して二で割ったような作風、と設定が深かったりする。
アニメ化・二度の漫画化されているが、作者の意向からあえてメディア間でキャラデザのコンセプトが異なり、完全版時にも絵師の絵柄変化が起こった。
ちなみに、本作のテレビアニメは近年有名な
新房昭之の監督作品として知られる。
あらすじ
時は30世紀。銀河に広がった人類は二つの勢力に別れ、領土や利権を巡って争う時代……。そんな
未来の並行世界に呼び出された女子高生、山本洋子とその仲間達は生死を賭けた宇宙戦争、そしてその奥にある古代文明の遺産を巡る戦いにその身を投じていく。
技術の進歩によって一人で繰艦し、絶対的安全性をも確保した結果、半ばプロスポーツ化した選手として古代文明の謎に首を突っ込むゲーマー洋子ら愉快な女子高生達の物語。
登場人物~
●エスタナトレーヒチーム
チーム名は母艦「パドック艦」の名前から。
唯我独尊を地で行く、猫のような印象の帰国子女(祖母がベルギー系アメリカ人のクォーター)。まあ全力投球出来る趣味を見つけた
某SOS団団長だと思えばだいたいあってる。
…話が進むにつれオールドタイマーの遺産との接触時遺産が「司書」なる人格とちび洋子姿で洋子と対話し、時を超え洋子そっくりの謎の存在(通称「テミスのヨーコ」)と度々邂逅する等事態の鍵に成り出したため、ある意味某団長より先を行っていたり。
格ゲーマーかつSTGをこよなく愛するシューターであり、
メガドライブ時代に原作が始まっただけあって大のセガフリーク。なので
バーチャロンではシューター力も活かせる
バル・シリーズ派。
なお作品開始時的には令和のセガ好き異世界帰り主人公が小学生くらいの頃の話だったり。
逆に
京都の花札屋とRPGが大嫌いで、偶然知人が買って持ってきたRPGをゲーム機ごと学校の窓から投げ捨てる程。ドラクエIで最初の城にすら辿り着けなかったらしい……
セガ製RPGにはどう対応するのだろう
(今のゲハ戦争に当てはめないように、色々とややこしくなります)
とても長いミドルネームを持ち、アメリカでのフルネームは「ヨーコ・ドロレス・アサミ・ダールトン・ヤマモト」
ドロレスを愛称で呼ぶのは辞めよう、絶対
乗艦は高出力の主砲「エヴァブラック砲」を搭載し、上からの許可が必要な最終兵器として「統一場粒子兵器ザッパー」・「相転移兵器ブラスター」をも装備する打撃戦艦、TA-29ヤマモト・ヨーコ。
デコが眩しい元体操選手、かつ同人誌サークルの一員でもある女オタ。作者から絶対に洋子に勝てないと明記される可哀想な子。
決してジャージ部でもなく、某淫獣と契約して魔法少女になったりはしない。シールドは原作でATフィールド扱いされたが
また未来での戦いの中、フーリガーの友人件右腕メオ・キャケルのバーニナーにほのかな想いを寄せていくように。
乗艦は無類の防御力を誇るチートバリア『ヴェイパーシールド』を装備した高速戦艦、TA-25ミドー・マドカ。
古流合気術白鳳院流の達人。とはいえ本人は小柄で大人しい天然ぎみのお嬢様である。やけに露出が激しいサービス要員。
乗艦は重力発生装置、重力アンカーで相手を掴み白鳳院流の技術を再現できる(物理)格闘戦艦、TA-27ハクホーイン・アヤノエリザベス。
- 松明屋紅葉(声:新山志保(OVA)、雪乃五月(TV))
田舎劇団の座長の一人娘。母親からは次期座長として期待されているが、本人はアクション映画監督を目指し現在仲違い中。長身ポニテゆえ、まどか曰く「
セーラージュピター」。
乗艦は多数の無人機を搭載した強襲空母、TA-23カガリヤ・モミジ。
名前からして便利そうな技術者の青年。製作したタイムマシン(っぽいもの。ざっくり言うと「相対過去・相対未来」なる並行世界への移動機に近いもの)がたまたま繋がった日本で見つけた洋子達をスカウトした張本人。
技術者としては天才であり、TA-2系の戦艦も彼の手による。
洋子とフラグが立つ人の1。
その他主要人物
今は没落したNESSの名門、メオ氏族トロル家のエースパイロット。つまり、分かりやすいライバルキャラ。
公式で「洋子に並び立つパイロット」認定されているが、弱小氏族ゆえに周囲の思惑に翻弄され、後半ではゼンガーの策で軟禁された上彼の戦力として動く事を余儀なくされる。
使用機体はスキップジャック(初期機体)→スティングレイ→一時的に使用を余儀なくされたTA-21ハンマーヘッドと変化し、完全版11・12巻ではオットー謹製のプロジェクトR最終機体「ネプチューン」を駆る事に。
洋子とフラグが立つ人の2。
SM女王様風でフーリガーラブな打撃戦艦(完全版名:レッドスナッパー・プリモ/富士見版名:レッドスナッパーズスペリオール)を駆るルージュ(声:玉川紗己子)
おバカ系だが知恵の回る戦術指揮戦艦チェリースナッパー使いロート(声:
かないみか)
パンクロッカー風で探査・攪乱に長けた支援戦艦クリムゾンスナッパーに乗るルブルム(声:野上ゆかな(現・
ゆかな))
弱気な和風美少女だが気弱過ぎて本編初期までバーサーカー気質も抱え込んでいた突撃戦艦ルビースナッパー乗りエリュトロン(声:鈴木真仁)
という、欠片も似てないメオ氏族ニス家の4姉妹。ちなみに4機とも既存戦艦「ドラーダ級」のカスタム機で、姉妹で一番まともなのはルブルム。
NESS陣営側のライバルチームだが、なんやかんやで洋子達の仲間っぽいポジションに落ち着いている。
余談だが、全員名前が
赤を意味している。
やたらプライドが高く傲慢で短気という、小者臭溢れる上かなり面倒な性格の兄ちゃん。洋子によるとM・シューマッハ似らしい。
初対面でぶん投げられて以来、ことある事に綾乃とフラグが立ち続けている。
謎の球体を手にして以来行動が先鋭化してきた祖父ゼンガーに捨て駒にされた末、現在はnoyssに所属。祖父の真意を知ろうとし、完全版終盤でついに捕捉するが…。
原作、コミック(角井版)、アニメと見た目に大きな差がある。
腕はともかく性格に難のある、猫のような印象のTERRAのアイドルプレイヤー。人気を洋子達に奪われた末、試作艦だったTA-21ハンマーヘッドを奪ってNESSへ亡命。
後にテンツァーを助け(ついでにフーリガー用の新型機スティングレイに乗って)彼と共にnoyssへ。……ちょっとは大人しくしてろよと言いたい。
家族関係に色々難があり、自分の眼の前で死んだ母の記憶を(トラウマ防止のため)父に消された過去から父を恨んでいる。
ただテンツァーと逃げて以降はある意味自分並みに面倒くさい彼との付き合いからか、父と縁がある人物と知りつつもマーカスの誘いに乗る等少し落ち着きを取り戻している新機が「アノマロカリス」だったのにはむっとしたが。
スキンヘッドに丸サングラスのマッドエンジニア。NESS版ローソン(腹黒仕様)とでも言った所か。
ローソンへの対抗心は凄まじく、フィッシュシリーズは対エスタナトレーヒチームに過剰に特化させている。
また最強の戦艦製造計画「プロジェクトR」完成のためTA-21から得たローソン側の技術も含めた開発を進め、推進のためならnoyssへの戦力提供やゼンガーへの協力をも厭わない。
ただ終盤ではゼンガーとの協力関係においてあえてフェイズ2チームを遠ざけており、助手から彼なりに彼女達への情が生まれた事を察せられている。
想像した人もいるだろうが、そのまんまの容姿から作中で「サンプラザ中野のパチモン」扱いされることも。
- フィッシュチーム/フェイズ2チーム(完全版の人物紹介より)
オットーが現代の日本で集めた、洋子達と因縁のある少女達で構成された新たなNESS陣営チーム。「フェイズ2」は使用機体の開発計画「プロジェクトR」のシーズン名から。
綾乃の白鳳院流と雌雄を決しようとするする紅鵬院流の使い手、巨大爪装備の格闘戦艦クロウフィッシュを振るう紅鵬院翼、
まどかの後輩で彼女を体操選手として復帰させようとする、針鼠の如くヴェイパーシールドコーティング槍を纏う装甲戦艦バタフライフィッシュに乗る雉波田光、
紅葉を劇団に連れ戻そうとする従姉妹の忍者小学生、攻撃空母サンフィッシュ使いの鷲尾木葉、
洋子に初代バーチャロンで負けたゲーマーのブラコン妹にして弓道家のお嬢、狙撃戦艦アーチャーフィッシュを駆る高取集、
のチーム。一人変なのが混じってるが気にしない。そいつがリーダー格です。
派手に出てきたのだが、ちょうど登場した頃からクライマックス展開に突入したせいか少々咬ませ気味。
ゼネラル・コスミック・サービスなる企業の社長にして、影で暗躍してnoyssを設立した謎の多い仮面のナイスミドル。
「木の葉を隠すために森をでっち上げる」と評される、派手かつ非常識な手段で真の目的を隠す手法が得意技。
自分を「父」と慕う青年プレイヤーアロイス・フィンレイを従えている。
+
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実は… |
レッドスナッパーズの実父で、アロイスは死んだ義姉の再婚相手の連れ子(平たく言うと養子的存在)。
完全版11巻ではnoyss立ち上げの理由の一つとして「娘達と共にいられる居場所を作る」があると明かし、ルージュを勧誘するもはねのけられた。
なお、その後マーカスの正体とアロイスとの関係性が(ロートの勘づきにより)ルージュから他の姉妹に説明された際、アロイスに想いを寄せているエリュトロンはほっとしていた。
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NESS保守派の権力者であり、テンツァーの祖父でもある老人。
元々冷徹な策士だったが、ある時謎の「黄金の玉」を手に入れてから野望が肥大化。玉に憑かれる様に独自の行動を始め、洋子が「テミスのヨーコ」に選ばれた(そしてそれがもたらす「超越」よりも日常を選んだ)事にも嫉妬。
完全版終盤ではフーリガー・オットーら一部戦力以外の全勢力を敵に回し、ある場所へ向かう事で
独りで
超越存在「
究極観測者」になろうとするが…。
ちなみに最終巻では目的地へ行くためのパドック艦に、NESSの始原の夢と自分の理想を載せて「パンサラッサ」と命名したが、まさか2022年に海を越えた馬の名前として有名になるとは思わなかっただろう。
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そして… |
目的地についた後は独り狙いを果たすため、フーリガーがネプチューンで戦闘に巻き込まれているのを観察。そして、放置され彼の願いを推測したオットーが外に情報と居場所を連絡し洋子達を呼んだ。
馬のパンサラッサのように先頭を切らずフーリガーや後から追跡してきた洋子達が周囲に現れた邪魔な敵を蹴散らしたのを見計らって、悠々と目的の地へ至ろうと待ちの追い込み戦法に走るも、
単独で祖父を捕縛しようとしたテンツァーから全力で逃げた事と目標の予想外の状況で移動が間に合わず、洋子が目標を破壊するために放った最終砲撃を許してしまい…
なおテンツァーはシルヴィーによって無事救出されるも、助けられる際も意地を張ったためこじらせた逸れ者仲間の彼女に説教され、彼がゼンガーの妨害に貢献したとは本人含め知るよしもないため洋子達からはそのアレな様子に呆れられていた。
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本作が三人称視点で綴られる時掉尾に置かれる謎の名前。由来は「システムオペレーター」か。
基本神の目線から(時々ツッコミを入れつつも)淡々と解説する存在だが、完全版エピローグでは一言だけ「ある登場人物」の言葉へと返答を贈った。
~登場勢力~
地球を首都とする勢力。2014年に誕生した、地球統一国家が銀河系に版図を広げた姿である。戦艦はF1カーそっくりで、艦名は搭乗者の氏名。
25世紀に発生した大戦の際に音信不通となった植民船団の末裔。母星を持たず、宇宙船団を拠点としている。
血縁に重きを置いており、名前の前に氏族名と家名を付ける習慣がある。
戦艦は魚介類風で、艦名は家名+数字とシンプル。
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長らく保守派氏族と革新派氏族の間で権力闘争が絶えず、所属戦力がよく振り回されているが… |
終盤ではNESS創始者の末裔「平地人」の王女と摂政が一時TERRAに亡命し(その過程で洋子らとも行動を共にしている)、
完全版11巻にて摂政はNESSに戻る条件として「NESSを常態に戻す」…かつて創始者が願うも周囲によって阻まれ情報を消された銀河系外への大規模移民計画「フラスニティ計画」推進を暗に希望。
結果革新派なフーリガーの兄フィッシャーと「平地人」勢力が手を組む事でNESSの改革が始まることになる。「自分の夢が叶えば創始者の夢にも繋がる(意訳)」と豪語するゼンガーはそれでも止まらなかったけど。
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両勢力の協定により生まれた戦時監視委員会。要するに審判兼運営組織である。
…が、その裏では「オールドタイマーとの将来的な接触」を視野に入れ、各勢力の武力増強を管理・推進する面も存在する。
物語途中で誕生した新興勢力。様々な思惑の元、TERRAとNESS双方から集まった人々からなる。
そして完全版最終巻では片思いに全力な御曹司にレトロ水上軍艦オタクの老艦長と、洋子達が短編で遭遇した変人2人をスカウトしていたため、洋子から呆れられていた。
遥か昔に銀河を征した謎の古代文明。30世紀においてもオーバーテクノロジーと呼べる超技術を持っていたらしく、遺跡を巡って各勢力が争うことも多い。
その他
……とまあ、ここまで色々書いたが、最後に冒頭の刊行履歴を思い出して欲しい。
その他:最終刊は刊行されず。
と思ってたら、アサヒノベルズから2巻ずつ程度を纏めて書き下ろしも足した“パーフェクトエデイション”が刊行され、2013年に遂に完結した。おめでとうというかお疲れ様というかなんというか……
こちらは本編全12巻(11・12が新規)+書下ろし番外編全1巻。
洋子の好きなセガと1巻でプレイしていた『ぷよぷよ』に例えるなら、メガドライブで『ぷよぷよ』をする時代に始まり、ドリームキャストのセガ発売『ぷよぷよ』を経て、セガ謹製『ぷよぷよ』を京都の花札屋のハードで遊ぶ時代に終わったことになる。
そのせいで完結編部分ではポケベル時代スタートなのにスマホや2012年稼働開始のSTGが登場してしまったが、エンディングではそれに対してかなりざっくりだが洋子の違和感とちょっとした理屈も入れていた
追記修正は灰色の弁当箱を踏みつけながらお願いします。
- 「灰色の弁当箱」って、「バトルマニア」(MD)の裏技か・・・ -- 名無しさん (2014-10-21 07:20:38)
- 今頃だったら洋子は「BORDER BREAK」「Steel Chronicle」、まどかはプリ○ュアやら黒バスやらにハマってるんだろうな -- 名無しさん (2014-11-03 19:56:56)
- wikiで主人公は京都の花札屋とRPGが大嫌いで他人の買ってきた新品ゲームを二階から投げ捨てたことがあるって記述があったけど 今現在そういうのが現実にいるから笑える -- 名無しさん (2016-07-19 12:16:51)
- ゲームを二階から捨てるシーンが陰湿すぎたから読むの止めたなぁ。ゲハとかそう言う以前の問題。キャラ付けにしても流石に酷かった -- 名無しさん (2017-03-02 17:20:11)
- ドラクエIって城の中から始まらなかったっけ? -- 名無しさん (2018-06-27 13:30:49)
- 名前入力もできなかったんだろ… -- 名無しさん (2022-02-22 03:09:01)
- 完結してたんか。いつまでも最終巻が出なくて嫌になって古本屋に売っちまったよ… -- 名無しさん (2022-06-29 00:16:03)
- 同じ富士見の『召喚教師リアルバウトハイスクール』が結果的に対かなと思う。異世界で戦いつつ日常を過ごす主人公ってのとジャンルはズレるが終盤での時空要素が。 -- 名無しさん (2022-09-28 09:51:38)
- もしスパロボ参戦したらバーチャロン勢とのコラボで、ヨーコがバーチャロンに乗り込む展開もありそう。 -- 名無しさん (2023-01-23 23:32:35)
- 偶然なんだけど、ゼンガーの敗因って「パンサラッサ乗りなのに真っ先に逃げずに追い込み戦法に行ったら妨害されたから」になってしまうのが凄いなと(笑)。 -- 名無しさん (2023-08-16 08:40:45)
- 当時のF士見は、アニメ化作品やアニメ化直前作品なども、編集者トラブルで作品と作者を闇に葬る事例が多くてね。そういう編集者に限って出世して偉くなってる○川の闇ェ -- 名無しさん (2024-05-25 11:04:55)
最終更新:2025年04月02日 10:01