だがそれがいい

登録日:2012/06/26(火) 00:28:37
更新日:2025/01/22 Wed 22:43:26
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「だがそれがいい」とは、いわゆる褒め言葉の一種である。

概要

ネガティブに捉えられている何かしらの事柄に対して、「そんなことはない。むしろそれだからこそ価値がある」といった具合に使用される。

「だが、それがいい」「だがそれが良い」「だがそれがいい!」等とも表記されるが、下記の元ネタに準ずるならば「だがそれがいい」が正しい。
また類語に「だがそこがいい」「むしろそれがいい」等がある*1

元ネタ

元々は週刊少年ジャンプに連載されていた漫画「花の慶次 -雲のかなたに-」の主人公前田慶次が作中で発した台詞。

その初登場は「第3話 忠義の傷 の巻」である。

時は天正12年(1584年)。
前年の賤ヶ岳の合戦を経て、加賀前田家当主・前田利家は、羽柴筑前守秀吉の軍門に下っていた。
彼は甥である天下無双の傾奇者・前田慶次に頭を悩まされる日々が続いていた。
かつて自身も傾奇者であった秀吉から、慶次に会わせるよう、話を持ち掛けられていたからである。

事実上の天下人である秀吉の前で、傾奇者である慶次が勝手気ままに振る舞うことは、秀吉に対して無礼を働く事と同義。
それは即ち前田家取り潰しの口実となってしまう。
かと言ってお目見得を引き伸ばし続けるのも限度があり、慶次を改心させることはさらに難しい。

そこで利家は慶次を合法的に殺害し、お目見得そのものを回避しようとするのである。

ある日、利家は慶次に対して秀吉から拝領された今は亡き織田信長公の甲冑の目付役(警護)を言い付ける。

慶次がその任にあたっている時に、加賀忍軍棟梁の四井主馬とその配下の者を刺客に差し向けて甲冑に傷を付けさせ、
そのヘマを口実に慶次を死罪へと追いやろうとしたのだ。

しかし、慶次はそれを読み切っていた。
傾奇者にして大剛の武士でもある慶次の前に、忍者軍団はなす術もなく斬殺され、利家の計画は破綻するのだった。

翌日、慶次と共に信長公の甲冑の目付役を勤めていた老齢の前田家家臣・村井若水はつい出来心から甲冑を身につけ、
信長公になったつもりで鬨の声をあげてしまう。

だが物音を聞いた利家がその場に駆けつけ、動転した若水は後ろに倒れ込み、甲冑を破損させてしまう

利家は若水に切腹を言い渡す。

信長公の甲冑を背にした利家、他の前田家家臣たちが見守る中、
若水の切腹が始まろうとしていた。

いくさ人である若水の死に目が、切腹とは……。
同輩である家臣の多くが若水の無念さを思う中、いくさ装束となった慶次がその場に現れる。

「殿の大事な甲冑を壊した賊がいると聞いて成敗にまいった」

その言葉に平伏する若水。
しかし、慶次は利家の傍らにある信長の甲冑を指さして言った。

「はは〜〜ん、こやつですな」

「う〜〜ん、いかにもたちの悪そうなツラでござる」

「殿。ここはこの前田慶次におまかせください」

太刀を抜いた慶次は、信長公の甲冑を一刀のもと真っ二つにしてしまう。

驚愕し、声も出ない家臣団。
当然、利家はこの慶次の行動に激怒する。
「きさまぁ〜、な……何を!!」

慶次は若水を振り返り、指で指し示すようにその場にいる全ての人間に聞こえるように言った。

「見なされ若水殿のツラを!!」

「戦場で傷だらけになったきたねえツラだ」

慶次のあまりの言い様に、“いくさ”で顔に傷を負った家臣たちは憤怒の声を上げた。
いくさ人である彼らにとって、傷の一つ一つが誇りであり、まさしく漢の勲章である。
それを貶められて黙っていられる筈がない。

ところが当の慶次はというと……、

「だい」

「その傷がいい!!」

「これこそ生涯をかけ殿を守り通した忠義の甲冑ではござらんか!!」

村井若水という名の一箇のいくさ人を、主君を守る甲冑に喩えて賞賛したのである。
慶次の言葉は、その場に居合わせた者たち……かつて“槍の又左”の異名をとった利家を含む歴戦の兵たちの心に確かに響いた。

このままでは自身の面目が立たぬと知りつつも、大勢の家臣団を前にして利家は若水を許すのだった……。





「追記・修正ばかりでツギハギだらけのきたねえ項目だ」

「だい」


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最終更新:2025年01月22日 22:43

*1 単なる言い間違いとも考えられるが、いずれも高く評価しようとする気持ちは伝わるので、誤用として全否定するのも難しい。