横浜スタジアム

登録日:2012/04/30 Mon 19:23:49
更新日:2025/08/12 Tue 05:47:07
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横浜スタジアムとは、神奈川県横浜市中区横浜公園にある野球場。通称ハマスタ
硬式野球の開催を中心とした、日本で初の多目的スタジアムである。ややこしい説明となるが、横浜公園自体は国有地で横浜市に無償で提供し、都市公園法に基づき横浜市が管理している。
横浜公園の敷地内にはかつて、1929年に開場した「横浜公園平和野球場」という野球場があったが、後にこの球場は老朽化が進んだため、1977年限りで閉鎖・解体され、その跡地に西武グループの企業である国土計画(後のコクド、西武ライオンズの旧親会社*1)が現在の横浜スタジアムを建設した。
開場した1978年から横浜大洋ホエールズが川崎球場からこの横浜スタジアムに本拠地を移転して以来、球団名が「横浜ベイスターズ」を経て「横浜DeNAベイスターズ」になっている2025年時点に至るまで一貫して本拠地として利用している。
現在は横浜市の第三セクターである株式会社横浜スタジアムが管理し、本拠地として利用している横浜DeNAベイスターズが指定管理者となっている。
近くには、関内の官庁街、横浜中華街、伊勢佐木町など繁華街に近く、JR根岸線、横浜高速鉄道みなとみらい線横浜市営地下鉄ブルーラインが通っているため、交通の便は非常にいい。


大洋がこの横浜スタジアムにフランチャイズを移転して以来、2025年までにホエールズ・ベイスターズの主催ゲーム以外の球団による主催ゲームは開場以来行われていない。(平和球場時代は、大洋の他、巨人東映ロッテ国鉄などが主催ゲームを開催した記録がある)
ちなみに東京電力と東北電力管内が東北地方太平洋沖地震の影響による電力不足により、ドーム球場の使用が自粛されたため、巨人と西武が本気で横浜での代替開催を考えたが、電力不足が一段落したため幻に終わった。

また、神奈川県の高校野球県大会の会場の一つであり、準決勝・決勝は全てここで行われる。神奈川県は高校野球の人気が凄まじく、目玉の試合はアマチュアの地方大会の試合にも関わらず満員札止めになることも。昔はプロ野球より人気とまで言われた。
さらに多目的スタジアムの名の通り野球以外にもコンサート、アメフトなど様々な興行に使用されている。

フェンスは5mと高いが両翼94m・中堅118mと非常に狭く、「日本一狭い球場」として有名。
その上海際なこともあって日によっては浜風が強く吹くことも。風に流されて外野フライがホームランになったりポップフライが風に流された結果ポテンヒットになったりということもよく起こる。
また球場の向きの都合上風は打者有利に吹きやすく、これらの総合的要素からかつては東京ドーム、神宮球場に並んでホームランが出やすい球場として有名であった。屋外球場な上に神宮などと違って外野スタンドの奥に安全ネットなどは無く(一応外周はかなり高いが)外野スタンドそのものも狭いので場外ホームランも名物だった。
それ以外にもボールが見やすいなど投手不利の環境なため殴り合いの試合もしばしば起こる

しかし、現在は下記の「ウイング席」が設置されたことで風向きが変化したためかホームランの出やすさは平均程度となっており、特大ホームランもウイング席に着弾することが増え場外まで行く例は減少した。

なお、開場時は逆に「日本一広い球場」(厳密には甲子園球場の方が広いが、当時はラッキーゾーンを設置してわざと球場を狭くしていた)だった。高いフェンスも相まってあの王貞治が「ここでホームランなんか出るのか」と言ったことも。


先にも述べたがスタンドはかなり狭い。横浜公園内に収まるように無理矢理球場を、それも当時存在したどの球場(甲子園球場を除く)よりも広い球場を作ったのが原因である。
そのためスタンドは急傾斜しており、上の方は慣れないとぶっちゃけとても怖い。また通路も狭いので試合中席を離れるのが通路側でないと厳しい昔はガラガラだったから割と自由に離席できていたが
ただそのおかげで見晴らしがよい、臨場感があるという意見もあるので賛否両論。
なお狭かった上に近くに根岸線が走っている都合外に出ると大変なことになるためジェット風船も最近まで使用できなかった。現在は専用ジェット風船を使うという形で決着している。


現在では主流になった屋内ブルペンの先駆け球場でもある。なおこうなった理由もやっぱり用地不足のため。場所の都合球場外や外野席の入り口からからブルペン内の音が丸聞こえらしい。
ブルペンを屋内に作った都合、ブルペンからマウンドまでの距離が滅茶苦茶長くなってしまい、その対応策としてリリーフカーも比較的マイナーだった時期から導入され、現在も使用されている。
ちなみにリリーフカーはオールスターゲームや日本シリーズなど固有のスポンサーが付く試合については普段と車種が変更されていたりする。
試合中にフィールドを経由せずにブルペンとベンチを行き来する方法が無いため、控えピッチャーは試合開始前からブルペンに詰める事となる。

ベイスターズの選手のホームランが出た際は港町らしい汽笛の音とともにバックスクリーン裏から花火を打ち上げている。チーム勝利時にはグラウンドから花火を打ち上げている。
また、試合中に稀に試合とは全く関係ない花火大会の花火が球場から見えることがあったりする。

2003年から約15年程度、内野スタンドの防球ネットがバックネット付近を除き取り払われていた。このためファウルボールがスタンドに直接飛び込みやすい上に、エキサイティングシートはフェンスまで狭いので選手が客席エリアに飛び込んでファウルフライをキャッチするという光景が見られた。

球場の名物はみかん氷。350円とお得なこともあって大人気で、多くの売店で購入可能。
最近は球団印のビールも売り出し中。


ハマスタ建設時のゴタゴタが問題で株式会社横浜スタジアムと球団の間には詐欺同然と言われてもおかしくない程球場側に有利な契約が結ばれていたこともあってベイズターズの赤字の主因になっていた。
DeNAの前の親会社であるTBSが球団を経営するようになってしばらくしてから球団経営への熱意をなくし、ネグレクト状態にしていたことから、横浜スタジアムも老朽化が進み、最低限の改修を除けば設備更新が遅れに遅れ、目に見えてスタンドやコンコースの劣化していたため問題となっていた。DeNAが球団を譲り受けた際にはトイレが開場以来一切改修されていなかったことが発覚するという酷い有様である。
この現状を改善すべくDeNAがハマスタの改修に同意したため、2012年シーズン終了後にバックスクリーンの交換と客席の交換、エキサイティングシートの設置など数々の改良工事を実施。現在はだいぶ綺麗になっている。


DeNAは更に球場を運営する株式会社横浜スタジアムを買収・子会社化。これにより長年の赤字問題を解消するとともに球場の改修にも着手しやすくなり、早速東京オリンピックにおける野球会場に選ばれたことを利用してスタジアムの更なる改修に着手し、2019年から段階的に「ウイング席」という新座席が設置された。これにより席数が6000席増加し、足りないとしか言えないスタジアムの収容人数が増えることでよりファンが球場に訪れやすくなった。


ちなみに、横浜駅西口AV撮影事件の際、中華街で撮影を強行したスタッフに対し、ちょうど試合の終わった横浜と阪神のファンが、激しいヤジとブーイング、さらにはメガホンまで投げ付けたのは、せっかくの旨い料理を食おうとしているときに目に毒だと言わんばかりのことだったと言う。この試合は4-2で横浜が勝っているのだが。



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最終更新:2025年08月12日 05:47

*1 この縁で国土計画は1978年の1シーズンのみ大洋球団の株式を保有していたが、そのままライオンズを買収すると野球協約(同一企業が複数球団の株を保有することを禁止している)に違反してしまうため、ライオンズを買収する同年オフに大洋の株をニッポン放送と東京放送(TBS)に売却している。