登録日：2009/09/21 Mon 17:51:29
更新日：2025/04/24 Thu 13:54:03
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―黄色と、黒と、白と、赤。
―毒々しい班の情景を織り成しに、絹の様な女が人界に住まう。
―女は何尺も延びる爪を持っている。
―女は男女を狂わす妖しの術を持っている。
女は
―冷たいコンクリートが嫌いではない。
―硝子の板を嫌いではない。
―ひとの手になるものの冷たさは、土の温もりよりも己に相応しいと微笑った。
夜が来て
―真円の月の明かりが廊下をほの白く浸す。
―黒々とした山からくる風がグラウンドの砂利を吹き均す。
―その光景を、その音を、人は知らない。
―繰り返される夜はすべて女のもの。
―女は人知れずまやかしの糸を紡ぎ続ける。
女が紡ぐ物語の名は。
原画 おにぎりくん（ONIX）
シナリオ ふみゃ
音楽 Shade
『
アトラク＝ナクア』とは、1997年12月18日に
アリスソフトから発売された「アリスの館4・5・6」にオマケとして収録された18禁ノベルアドベンチャーゲームの事である。
タイトルは
クトゥルフ神話から来ているが直接的な関連性はない。発想元は高橋葉介の『夢幻紳士』怪奇篇の「蜘蛛」。2000年には廉価版が発売された。
当時は
Leaf三部作として有名な一連の
ビジュアルノベルシリーズが発売され、
一般作として発売された「
かまいたちの夜」等と併せ
ゲームの新しいジャンルとして注目を集め始めていた頃。
老舗ゲームメーカーであるアリスソフトが産み出した作品ということで注目を集め、その期待に違わぬ出来から現在でも名作に挙げられる一本である。
また、2025年現在にいたるまで、アリスソフトにおける唯一の純粋なビジュアルノベル作品である。
（ウィンドウ方式のADVならば複数作品ある）
◆ストーリー
宿敵である銀（シロガネ）との戦いで傷を負っていた、女郎蜘蛛である比良坂初音は、
傷を癒し、銀と再戦をする為に八重坂高校に巣を張り、女生徒の一人として潜伏する事にした。
そこで初音は不良達に輪姦されている少女、深山奏子を見つける。そこで気に入らなかった不良達を惨殺、気まぐれで彼女を助けてしまう所から物語が始まる。
◆登場キャラクター
戦いで傷付いた体を癒す為に八重坂高校に身を潜める女郎蜘蛛で物語の主人公兼ヒロイン。
長い黒髪に切り揃えた前髪、紅い瞳かつ垂れ目、白い肌に身をつつむのは黒い
セーラー服と古風なお嬢様キャラであるが、
初音独特の古風な言葉使いや穏やかなのに残忍、丁寧な物腰なかに妖艶な魔性を放ち、凛々しいが儚げといった相反する印象を与え、
プレイヤーから非常に人気があり『初音姉様』と呼ばれ祟拝されている。
創作方面にも多大な影響を与え、あの
超有名ラヴコメにもオマージュされたキャラが登場する。
八重坂高校の一年生で資産家の娘で物語の
メインヒロイン。
不良達に輪姦され脅されており、さらに性格が災いし誰にも相談出来ず世の中に絶望していた。
しかし、初音の気まぐれにより不良達は惨殺され助かり以降は初音の正体を知りながら「姉様」と呼び慕っている。
初音と同じクラスの二年生。体が弱く、人が良い性格で転校生の初音にも優しく接する。美少女なので初音に目を付けられる最初の被害者。渡辺鷹弘とは幼馴染みで恋人。
物語のエロ担当。最初の被害者にせず見逃すことも可能。その後出番が無くなるが、無い方が幸せである。
沙千保の恋人で二年生。物静かで真面目な性格、剣道部主将で生徒会長とハイスペックな御方。彼の関係者である沙千保とつぐみに手を出さなければ平和。
奏子のクラスメイトで一年生、水泳部所属。渡辺鷹弘の妹で元気で人懐っこい性格でブラコン。
姉様には特殊なプレイをさせられる。
事情により大阪からの転校して来た二年生。不真面目であまり授業には出ないが明るくノリの良い性格。
奏子と出会って『みゃーちゃん』と呼び、からかい付き纏う。
八神神社の巫女さんで弓道部所属の三年生。頭は良い様だが、どこか抜けている。多少霊感があり、学園に不浄を感じ清めの儀式をしている。
初音達に1番振り回される可哀相なコ。
剣道部所属の二年生。鷹弘に惹かれており、沙千保を嫉んでいる。しかし、その心の隙をつかれ、初音の操り人形になる。
体育教師。身の程を知らない豚。始末した方が平和な結末。情けをかけると…Hな展開は増えます。
初音を上回る強力な力を持つ宿敵で、僧の姿をしている。
昔初音との戦いで負傷させられたが傷も癒えかけており、初音を捜し徘徊している。初音が八重坂高校に張り巡らせた結界により彼女を見付ける事ができず、また結界内にも入れないので他の人間に頼ることになる。
ゲームの特徴として、重厚で引き込まれるようなシナリオと作品にマッチした和風かつ退廃的な
BGMが挙げられる。
また、糧である人間に対して、強力な力を持ちながら直接的に使用せずに巧妙に罠を張り巡らせ心理的に追い詰め、自らの奴隷としてしまう。
主人公で在りながら冷酷非道で残虐な完全に悪としての立場で在りながらプレイヤー達を魅了していく比良坂初音のキャラクター性も必見である。
選択肢が数か所存在し、選び方によっては本当の悪人しか始末しないかなり健全な初音さまを見ることも可能。
エロシーンも一枚絵だが作品の淫靡で妖艶な雰囲気により、他のゲームでは得る事が出来ない性的興奮を味わえる。
また、「アリスの館4・5・6」のオフィシャルガイドに後日談が収録されており、
本編から13歳に成長した「初音」の物語であるが結構救いの無い話なので手を出さない方がいいと良く囁かれる。
2001年発売のノベライズ版も存在するが、本編のストーリーを小説として描くのではなく前日譚…というよりも初音の過去編といえる内容となっている。
でも表紙ではどう見ても奏子が主人公。あと燐が犠牲になっている
◆外部出演
アリスソフトが定期的に発表する強制スクロール型シミュレーションRPG『にょ』シリーズに初音がレギュラー出演している。
いずれの場合もアタッカーとしてそれなりに活躍できるが、敢えて言うならカウンター系のパラメータに恵まれている。
しかし性能なんて些細なこと。初音姉さまの気怠げでありながら気品ある台詞に酔いしれるのがファンの心意気というものだろう。
2024年には『超昂大戦エスカレーションヒロインズ』とコラボイベントが行われた。
追記・修正お願いします
- 「這いよれ！ニャル子さん」にこの作品からのモチーフキャラが登場する。 -- 名無しさん (2014-01-16 15:28:42)
- BGMが凄く良いんだよこれがまた -- 名無しさん (2014-03-04 22:24:20)
- ↑↑そなの？普通にクトゥルー神話モチーフだと思ったが -- 名無しさん (2014-07-01 01:03:58)
- ↑名前からして銀アト子ですし -- 名無しさん (2014-07-11 01:07:57)
- もともとアリスにはこれ系の系譜として、アンビバレンツ、夢幻泡影、デアボリカがある。まあ当時のノベルゲーに対するアリスなりの回答でもある -- 名無しさん (2015-01-19 18:12:24)
- 退廃的な雰囲気で人を選ぶ面はあるが、紛れもなく名作 -- 名無しさん (2020-01-16 15:51:15)
- これを単体ではなくアリスの館の一部として出したあたりに「その気になりゃ作れるよ」というアリスの自信を感じた。震えたよ -- 名無しさん (2020-01-16 16:28:27)
- いわゆる純粋なビジュアルノベルってアリスの歴史の中でこれ一本しかないんだっけ -- 名無しさん (2020-02-28 00:20:59)
- 超昂大戦の最新ストーリーで別ルートというかIF感覚のアトラクナクアが繰り広げられる -- 名無しさん (2021-10-31 02:23:46)
- ↑2 アリスは当時のビジュアルノベル流行に乗っかる気がなかったから。その気になればこれくらいは作るよ、みたいなデモンストレーションだったんだろう。ちなみに完全無料おまけとして「蒼海に落ちて」もある -- 名無しさん (2021-10-31 02:37:48)
- ↑最近のふみゃさんの説明によれば、人手不足でゲームメイキングまで手が回らなかったってのもあるらしいけどね。元々は蜘蛛として罠を仕掛けながらヒロインを嵌めていくシミュレーション要素も盛り込む予定だったらしい -- 名無しさん (2024-12-02 08:29:36)
- 痕や雫が流行してこれからはノベルゲーの時代だぜ！あれアリスは作れないの？って煽られてた時代でもあったが、そんな声を真正面から叩き潰した名作 -- 名無しさん (2024-12-21 02:00:05)
- リメイクしてくれ -- 名無しさん (2025-04-24 13:54:03)
最終更新：2025年04月24日 13:54
