CZE CZ75

登録日:2011/02/25 Fri 16:03:29
更新日:2025/07/30 Wed 22:42:17
所要時間:約 4 分で読めます




性能

全長:206mm
銃身長:120mm
重量:1000g
使用弾:9mmパラベラム弾
装弾数:15+1
作動方式:ティルトバレル式ショートリコイル



概要

1975年にチェコスロバキア国営だったチェスカー・ゾブロヨフカ(Ceska Zbrojovka)社が開発した自動拳銃。外貨獲得用の輸出拳銃として設計された。
9mm大型拳銃としてのスペックは並みだが、スライドをフレームが包むような構造*1となっており命中精度が高め。
人間工学を考慮したグリップは現代のポリマー製拳銃と比較しても握りやすい。
ジェフクーパー*2をして「(もしこれが.45 ACPであったなら)世界最高のコンバットオートだ」と言わしめた。
コック&ロックを前提としておりダブルアクションなのにデコッカーを装備していない、スライドストップの軸でスライドを受け止めるのでその部分がよく破損するなど特異な部分も多いが、各部品はデザイン性も高く高級感と実戦性能を両立している。
チェコの民間企業となった後でも依然生産されている。



バリエーション

販売開始当時は冷戦により、輸入関税が高く西側諸国、特にアメリカでは非常に入手しづらい品物であり、個人レベルでの持ち込みか間接的な輸入でしか手に入らなかった。
冷戦終結とチェコスロバキア分裂に伴い輸入関税が撤廃され、様々なバリエーションが製造販売された。

公式のバリエーションとしては以下の通り
  • 前期型(1st)
 スチール削り出しの高級路線。スライドのレールが短め。
  • 後期型(2nd)
 ロストワックスによる鋳造に変更した生産性向上モデル。スライドのレールが長め
  • CZ75B(3rd現行バージョン)
 AFPBの追加、マガジンの改良による装弾数1発増加が行われている。
 装弾数10+1発の.40S&W弾にも公式対応していた。 *3
  • CZ75Bステンレス
 ステンレスモデル
  • CZ75BD
 デコッキング機能追加モデル
  • CZB5B
 アンピ化モデル
  • CZB5B オメガコンバーチブル
 トリガーシステムの一新により各操作系を変更可能になったモデル
  • CZ75Bコンパクト
 3.8インチ銃身と14発マガジンの短縮モデル
  • CZ75Bシャドウ
 AFPBのキャンセルと装弾数の増加(18発)を行った競技モデル

  • カデット*4
 .22LR弾10+1発のトレーニング用モデル。通常のCz75や派生モデルに組み込むものも存在。

  • CZ97B/CZ97BD
 .45ACP弾10+1発モデル
  • CZ2075 RAMI
 3インチ銃身10/14+1発のサブコンパクトモデル。.40S&W弾対応モデルでは7/9+1発。
  • CZ2075 RAMI BD
 デコッキング機能追加モデル
  • CZ2075 RAMI P

  • CZ75 SP-01
 レール追加モデル。
 先端に装着して接射に対応するスパイクや銃剣のオプションが存在。
  • CZ75 SP-01 Tactical
 アンビのデコッキング機能対応モデル
  • CZ75 SP-01 Phantom
 ポリマーフレーム+デコッキング機能対応モデル
  • CZ75 SP-01 Shadow/Shadow2
 競技用カスタム
  • CZ TS/TS2
 競技用によりカスタマイズされたモデル

  • CZ75 P-01
 SP-01のコンパクト/アルミフレーム軽量化モデル
  • CZ75 P-06
 .40S&W弾装弾数10+1発モデル
  • CZ75 P-01 オメガコンバーチブル
  • CZ75 P-07
 P-01 オメガコンバーチブルのポリマーフレームモデル
  • CZ75 P-09
 P-07のフルサイズモデル
  • CZ75フルオート
 法執行機関向けのマシンピストル

現在ではP-10という完全新規の後継モデルが出ているが、Cz75の系譜もいまだに製造販売されている。


チェコスロバキア軍での採用が検討されていた*5都合、トリガー機構など4点の特許が国内でしか取得されていなかった。そのため海外ではコピー製品が生産されてしまっている。
以下一例。コルト社(Z40)など正式に契約を結んだパターンもある。
  • タンフォリオTA90(イタリア)
  • NZ75(中国)
  • ジェリコ941(イスラエル:通称ベビーイーグルだがデザートイーグルとは全く関係性がない)
  • 白頭山拳銃(北朝鮮)
  • ブレンテン(アメリカ:ジェフクーパーの理想を実現したもの)



フィクション

  • SAS英国特殊部隊(映画)
  • 007カジノ・ロワイヤル(大使館に潜入したボンドが使用)
  • GUNSLINGER GIRL(リコが後期型を使用)
  • ヴァンドレッド(バーネッドが使用)
  • バトルロワイヤル(小説版、中川有香の支給品)
  • バイオハザードガンサバイバー
  • MELTY BLOOD(シオンの使うバレルレプリカのデザインはこの銃がベース)
  • リボーン(家庭教師ヒットマンREBORN!
  • ガンスミスキャッツ(「東欧が生んだ最高傑作」と主人公のラリー・ビンセント(女性)が拘って使っており、薬莢がまっすぐ横に飛ぶほどの精度を頼みにした「薬莢目潰し」なる荒業まで行う。)
  • Rainbow Six Siege(オーストラリアのオペレーターがKriss社のクローンモデルであるSDPコンパクトを使用)
  • ドールズフロントライン(CZ75と特殊な紐付けをされた戦術人形。ただしサブウエポンとして持つの方が目立っている

冷戦時の古い銃という認識を持たれることもあるが、ポリマーフレーム化など割と改修が盛んな現役の拳銃であり、現代戦FPSなどでもそこそこ出てくる。
「威力こそ並みだが取り回しがよく精度の高い拳銃」という位置付けになる場合が多いか。



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最終更新:2025年07月30日 22:42

*1 SIG P210等に準ずる

*2 近代の拳銃両手構えを普及させた人

*3 .40S&W弾はブレンテンの.40オート弾を短縮したもの

*4 Kadet 士官候補生のこと?

*5 結局はトカレフ拳銃と同じ弾を扱うCz52が維持され、マカロフ拳銃と同じ弾を扱うCz82に置き換えられるまでそのままだった