登録日:2011/04/14 Thu 22:22:20
更新日:2025/08/08 Fri 00:33:39
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概要
弾薬(カートリッジ、ケース、実包、Ammunition、Ammo)とは現代の
銃において発砲の際に使用する、弾頭、薬莢、装薬、雷管+αを組み合わせた物。
発砲に必要なものがすべて詰まっており、銃の連射を可能にする。
閲覧の際には
銃の項目も参考に。個別の名称については
口径、ショットシェルについては
散弾銃、古式銃の弾に関しては
マスケット銃などの項目を参照。
内部構成
弾頭(弾丸、バレット)
主に鉛を銅で覆う形式が主流だが、メッキを施したり樹脂製のチップを追加したり識別用に色を塗っていたりで銅の色そのままというわけではない場合もある。以下主なパーツ。
弾芯(コア)
主に比重が近くて柔らかい鉛で構成され、命中時に被弾者にエネルギーを伝える。
LF(鉛フリー)
電子工学系なら聞くことも多いかもしれないが、近年欧州では鉛の使用を控えている。
鉛はベートーヴェンの聴力を奪ったことで有名で、重金属としての汚染力がある存外危険な金属である。
弾でも同じく、軟鉄などで代用する場合が増えている。
しかし軟鉄では金属製の的にダメージが入ったり跳弾したりで危険な場合があるので、鉛に近い特性の新たな材質が求められている。逆に鋼鉄による貫通力向上を目的として鉛フリーとする場合も。
被甲(ジャケット)
弾芯を包む。主に銅で構成され、ライフリングが鉛で汚れたり発射時の弾芯の変形や破損を防ぐために装着される。現代の高速、小口径な銃弾には必須。
弾頭には以下の機能が細工されることがある。
構造的にバッティングしなければ複数の機能を持たせる事は可能で「徹甲曳光弾(AP-T)」や「徹甲榴弾(APHE)」等、別々の効能が3つ以上あると「多目的弾」「多機能弾((主目的)-MP)」等と呼称される。
徹甲弾(armor piercing/AP)
弾芯やその最奥部に硬い金属を封入し、命中時にその金属で装甲を打ち破る方式。ボディアーマーや装甲車両に対して使用する。
曳光弾/焼夷弾(tracer/T、 incendiary/I)
弾芯底部にマグネシウムなど光る材質を用いて弾道を明示化したり、命中時に燃焼して相手を燃やす。銃弾のサイズでは専用焼夷弾は少なく、曳光弾が副次的に焼夷能力を持つ場合が多い。
榴弾(high explosive/HE)
弾芯に炸薬を詰め込み命中時や貫通時に爆発する。12.7mm以上の大口径から用意されることがある。
仮帽(cap/C)
空気抵抗に負けない程度の柔い材質を付けて弾頭をとがらせて尖頭弾の特性を示させ、命中時にはつぶれて円筒弾としての特性を示すようにする。砲弾などでは跳弾を抑える被帽もあるが割愛。
フランジブル弾
銅の粉を固めたりして作成した弾で、被弾者に対しての効果はホローポイントと同じだが、その時点で砕けて二次被害を低減する。
ソフトポイント弾/SP
被甲を柔らかい材質にして仮帽の効果と後述の拡張弾としての効果をもたらす。
形状によっても効果が変わる。
円頭弾(ラウンドノーズ)
弾頭先端が丸く成形されたもの。貫通力が劣るものの、命中時に触れる面積が大きくエネルギーを十分に伝えられるため拳銃弾など素の威力が低い弾で採用される。
尖頭弾
弾頭先端が尖るように成形されたもの。空気抵抗を減らし貫通力を向上させるのでフルサイズのライフル弾で採用される。
チューブマガジンで前の弾の先を突いてしまうためそれを採用している銃では尖頭弾は使用できない。
平頭弾(ワードカッター)
標的に綺麗に穴をあけるために先端が平べったく成形されている弾。
構造による違いは以下の形。
フルメタルジャケット(FMJ)
完全に覆われて弾芯が見えない弾。普通の弾で被弾者に命中した状態でも変形しづらく直進、貫通する。生身に対してはエネルギーを伝えきる前に貫通してしまい多少ダメージが減ってしまう。
拡張弾
ソフトポイント、フランジブル弾、そして先頭付近の鉛が露出し穴が開いているホローポイント(HP/オープンチップ)が該当する。
被弾者に命中した際に先端から変形(マッシュルーミング)、断片化(フラグメンテーション)を起こし、エネルギーを完全に伝えより深刻なダメージを与える。
起源は「ダムダム弾」。
イギリスの植民地であったカルカッタのダムダム工廠で造っていたライフル銃用ソフトポイント弾だった。
今では「必要以上に苦痛を与える」として軍隊での使用はハーグ陸戦協定で禁止されているが、戦争以外での使用は禁止していないため警察や自衛用としては現役。
近年では被甲部分の材質や弾芯の形状を工夫したホローポイント弾がブラックタロン、ゴールデンセイバー等々のブランド名で発表されているが、これらは「ハイテク・ホローポイント」と総称されることもある。
単薬室連発式の銃では、弾頭が薬室へ装填する際にフィーディングランプにこすれる。そのため複雑な形状だと引っかかることがある。
引っ掛かりの少ない形状にしたり銃側で対応したりと各社工夫している。
近い概念として着弾後の横転があり、5.56x45mm弾や5.45x39mm弾ではそれによるダメージの向上を目論んでいる。
薬莢
薬莢(ケース)
銀幕上で「キーン」といった甲高い音を出して転がり、後々踏んづけて転ぶあれ。弾頭とともには飛んでいかず、大抵は銃右側面に指ではじく程度の速度で飛ばされる。
発射時まで弾薬のすべての部品を保持/保護し、発射時には銃側の薬室やボルトとともに装薬のエネルギーを受け止める。
主に真鍮や鉄で作られている。
形状
底部の出っ張りであるリムが飛び出た構造。自動銃以前の銃で薬室から引っ張り出しやすくするための構造。単純なプレスで制作できる。
リムと薬莢の直径を同じかそれ未満の構造。弾倉にてリムがかさばりうまく装弾できない点を解決する。工程が複雑化する。
リムよりも手前にベルト状の補強を追加したもの。
薬莢中腹を絞る構造。弾を薬室から抜きやすくなり、口径に対してより多くの装薬を詰めることができるが工程が複雑化する。
特殊な薬莢
- 薬莢と発射薬の中に弾頭が埋まっている構造の弾薬を「テレスコープ弾薬(CTA)」と呼ぶ。高速連射への適性を見込まれ、対空機関砲用として研究が進められている。
- 薬莢内部に弾頭を押すシリンダーを内蔵し、外部に発射ガスからくる音を出さないようにした弾なども存在(7.62x38mm SP-3)。
- 現代の戦車砲では、車内スペースが薬莢に取られないよう、装薬を固めて作られた焼尽薬莢が使用されている。。
小銃としても研究され、G11では発射薬が剥き出しのケースレステレスコープ弾として結実。軽量かつ排莢の必要もないが、色々と問題も多く結局採用されなかった。
- 高圧に耐えるために複数の材質で構成するハイブリッド弾も存在。概ね戦車用焼尽薬莢が焼尽しないイメージ。
雷管(プライマー)
主に薬莢の尻に埋め込まれている丸い部品。この部品を叩くことで火花が発生し装薬に点火する。
銃向けのものは叩くと発火する雷汞(らいこう)とそれを囲う金属で構成される。銃ごとに大きく変化することはない。
形状
ピンが飛び出している最初期の雷管。持ち運ぶ際に当たっただけで発火して危険なため現在は使用されていない
リム内部に雷管が仕込まれている形式。製造が楽だが不発が発生しやすい。安価な弾種で採用。
薬莢底部中央にキャップ上の雷管を詰めるタイプ。安全で現代の主流。
薬莢側に叩くための突起があるタイプのセンターファイア雷管
雷管側に叩くための突起があるタイプのセンターファイア雷管
装薬(パウダー)
薬莢内に込められる火薬。雷管によって点火後ガスとして膨張、弾頭を加速させる。
火薬だがダイナマイトのような爆薬ではない。
爆薬の爆発(爆轟)が音速に達するほど高速であるのに対し、装薬は爆燃という遅めの燃焼/膨張をする。
それにより比較的時間をかけて弾頭を加速することができるため、同じエネルギー量だったとしても効率がいいという理屈である。
発射薬は粉状ではなく粒状や円柱状やマカロニ状になっている。燃焼速度を調整するためであり、粒が小さいほど早く燃焼する。
形状や材質、装薬量によって適切な燃焼速度に調節し適切な銃に使用されるようになっている。
例えば銃身が短い拳銃では速燃性発射薬が、長銃身のライフルでは遅燃性発射薬が適している。
拳銃弾
9mmパラベラム/9mmルガー/9x19mm
Si Vis Pecem Para Bellum
仕様
弾丸直径:9.02mm
弾丸全長:26.69mm
薬莢全長:19.15mm
弾頭重量:8.0g(123gr)
銃口初速:350m/s
マズルエネルギー:494J
概要
1902年にDWM(ドイツ武器弾薬工業・Deutsche Waffen und Munitionsfabriken)にてゲオルグ・ルガーが開発した拳銃弾。
現在では主に自動拳銃用弾薬として世界的に普及している。
開発の経緯と普及
7.65x21mmパラベラム弾をもとに口径を拡大する形で開発。
イギリスや
アメリカにも提供され、P08(M1902)など自動式向けの改良を加えられたのが現在の9mmパラベラム弾である。
第一次世界大戦終了後から欧州各国に広く普及し、第二次世界大戦時にはドイツの拳銃や短機関銃のみならず
FN ハイパワー(ベルギー/カナダ)やステンガン(イギリス/カナダ)などの使用弾薬としても採用。
戦後はフランスやイタリアでも自国製拳銃や短機関銃に採用し、NATOをはじめとする西側諸国の標準弾薬の一つとなった。
45口径信者のあの米軍が
M9/
M17、M18を採用するほどである。
スイスやオーストリア等の中立国も採用しており、冷戦終結後の共産圏も含め世界的にスタンダードな弾薬となりつつある。
自衛に十分な威力から、軍用だけでなく法執行機関や民間でも人気がある。
特徴
小型弾として十分な威力と扱いやすさを備えており、開発から100年以上経った現在に至るまで高い評価を得ている。
.45ACP弾と比べても遜色ない威力でかつより多くの弾を持ち運べる。
しかし拳銃弾である以上威力は拳銃相応のものであり、昨今装備されやすい
ボディアーマーへの貫通性能は低い。
2000年以降ではVBR Belgium社が開発したAP 6.3やロシア製の7N21/7N30/7N31など同規格での徹甲弾が制作されている。
7N31は9mmパラベラム仕様のPDW向けの弾という位置づけで、それを使用するPP2000はP90やMP7など専用弾仕様のPDWに比肩しうるという。
利点
- 拳銃弾として必要十分な威力を発揮できる
- 比較的反動を抑えやすい
- 弾薬形状の面で自動拳銃向き
- サイズの面でダブルカラム化が容易
- 量産性に優れている
欠点
- 発射圧が高めであり、銃側にそれに耐える機能や材質を強いられる
- 弾速が音速を超えるため、サプレッサー(減音器)との相性は良くない
.45ACP弾/11.5x22.8mm
性能
全長:32.0mm
弾頭直径:11.5mm
薬莢全長:22.8mm
弾頭重量:15g(230gr)
銃口初速:270m/s
マズルエネルギー:561J
概要
1905年に銃器設計家の
ブローニングが設計した拳銃弾。
ACPとは「Automatic Colt Pistol」の略。
.45ロングコルト弾を短縮/リムレス化したものである。
歴史
米西戦争の過程でフィリピンに乗り込んだアメリカ。当時は.38ロングコルト弾仕様のリボルバーで戦っていた米軍はある部族に衝撃を受けた。
銃弾を受けても倒れない原住民のモロ族である。
戦争という極限状態と薬物によるトランスで極度の興奮状態にあった彼らは被弾を恐れず、被弾したとしても痛みを感じずに突撃してきたのである。
この戦争を経て、米軍は威力の高い新たな弾薬を要求。
この要求に答えたコルト社とブローニングは.45ACP弾を設計。同時にM1905も試作しのちにM1911に繋がることとなる。
.38ロングコルト弾が黒色火薬時代のかなり弱い弾であるという点はこの時点ではあまり考慮されなかった。
その後
M1911やM1トンプソン短機関銃、M3短機関銃などで採用され第一次、第二次大戦を戦い抜いた。
採用以降、アメリカでは軍民共に妄執的な45信奉に憑りつかれることになる。近年の米国仕様の拳銃にはほぼほぼ.45ACP仕様が用意され、軍でも拳銃、短機関銃では.45ACPに執着するきらいがある(M9に更新し弾の供給をストップしたとしてもM1911A1の使用を継続した兵士がいたという話も)。
現在、威力をきちんと研究して製造された10mmオート、40S&W、.357SIGなどが登場しているが、長年の実績と安価に供給されていることもあり.45ACPの牙城は崩れていない。
アメリカ人の力の象徴として今後も信仰され続けると予想される。
利点
拳銃弾として現在の主流である9mmパラベラム弾より初速が遅いが、その分のエネルギーを重い弾頭で補っているので打撃力では劣らない。
上記の経緯から
ストッピングパワーが優れているとされるが、貫通力は9mmよりも多少劣る。
また、開発当時は考慮されていなかったが初速が亜音速なので減装せずともサプレッサーとの相性がいい。
欠点
必要な威力に対して多少無駄が多い。
反動が大きくコントロールしにくく、サイズが大きいので装弾数が低下しダブルカラム化もしにくい。
そして、上記の妄信の原因も実際のところ的に当たっていないなどの問題が大きい。
例としてアフガニスタンでは5.56mmNATO弾の威力不足がささやかれたが、結局はスコープの配備によって遠距離射撃の精度を上げることで解決された。
外していることを認識できず威力不足と誤認するような事例は古今東西存在する。
.44マグナム弾/10.9x32.6mm
Uh uh. I know what you’re thinking. “Did he fire six shots or only five?”
Well, to tell you the truth in all this excitement I kinda lost track myself.
But being this is a .44 Magnum, the most powerful handgun in the world and would blow your head clean off,
you’ve gotta ask yourself one question: ”Do I feel lucky?”
Well, do ya, punk?
性能
弾丸直径:10.9mm
弾丸全長:41mm
薬莢全長:32.6mm
弾頭重量:13g(200gr)
銃口初速:391m/s
マズルエネルギー:1030J
概要
.44マグナム弾とは、1955年にS&W社がM29リボルバーと共に発売した拳銃用弾薬である。
エルマー・キースなる銃器愛好家がより強力な弾を求めて.44スペシャル弾をもとに試作。S&W社とレミントン社に働きかけたのがきっかけ。
発表直後からM29の成功や狩猟用のレバーアクションライフルに転用されたりと人気が出始める。そして1971年に映画『ダーティハリー』の公開によってその人気は爆発的なものとなる。
この映画の主人公が使用していたのが.44マグナムのリボルバー拳銃であり、作中でも最強の拳銃弾として大活躍していたため、.44マグナムは世界最強の拳銃弾として認知されるようになった。
とはいえその威力に関してはかなり誇張されている側面もあり、ダーティハリー以降の作品では以下のような場面が見受けられる。
- 車のエンジンをぶち抜く
- トラックの突撃も止めてしまう
- 力の弱い女子供が使うと反動で肩を激しく痛める
- 命中した人間をドロップキックを喰らったプロレスラーの如くぶっ飛ばす
現実は怒涛の補足の通りである。
一応マズルエネルギーはAK-74の5.45x39mm弾に届くか届かないかだが、5.45x39mm弾はアサルトライフル用の弾としても弱いほう。
むしろそうした滑稽さが.44マグナム弾を人気たらしめているのである…かもしれない。
近年では.454カスール弾や.500S&Wマグナム弾、.50AE弾といったより強力な拳銃弾が登場したことで拳銃弾最強の座からは転落したものの、実用的な範囲では最強クラスの拳銃弾である。
実用的といっても、この弾を使う意義は対人ではない。狩猟や森林での居住において携行し、
熊などから身を守るために用いるのだ。
人間より遥かに頑強な骨格と強靭な皮膚と筋肉を兼ね備えた猛獣に対して、クリーンヒット一撃で無力化出来る最低限の威力がこの.44マグナムであり、想定用途は発砲音による牽制とギリギリまで引き付けて接近戦での射撃なので、発砲音の大きさは利点になり、連射性能も然程必要ではないので、反動の大きさも大きな問題ではない。
S&W M500よりも小さく一般的なホルスターに収められるサイズ感で携行できるというのは、選択肢としては十分以上なメリットである。
余談
- 上記の仕様のとおり、本銃弾の直径はは0.44インチ≒約11.2mmではなく10.9mm(.429口径)。
これは.44マグナムのもとのもと、.44ロシアン弾の頃の計測方法が現在のように薬莢の内側ではなく外側で行われていたことに起因する。
.44スペシャル弾が製造される際に命名の更新が市場に与える影響が大きいと判断され.44口径の名前を維持。そして現在に至る。
仮に本当の意味での.44口径マグナム弾が存在していた場合、.454カスール弾に匹敵すると思われる。
フィクションでの登場作品
映画
本弾薬を一躍人気にした作品。主人公・ハリー・キャラハン刑事の愛銃・S&W M29と共に登場。『4』のみ終盤で44オートマグに交代する。冒頭の台詞は『1』の劇中で2回聞くことができる。
主人公・トラヴィス・ビックルがS&W M29を密売人から購入し、弾丸をダムダム弾に改造する。
主人公・ジョン・イーストランドが使用する。こちらではより殺傷能力を高めるべく、弾丸を水銀弾に改造している。
アニメ
海坊主こと伊集院隼人が.44マグナム弾を使用する銃を所持。
戦車相手にぶっ放すシーンもあったが流石に効かない…と思いきや、2発目でキャタピラのボルトを破壊して撃退に成功している。
アニメ第2シリーズ66話、「射殺命令!!」にて敵キャラ、インターポール警部兼殺し屋のビューティーが.44口径
コルトパイソンと共に使用する。
ビューティーは条約で警察の使用が禁じられているダムダム弾で
ルパンを射殺寸前にまで追い込み、次元さえも対決を避けるなどかなりの強敵として苦しめた。
本作でのビューティーの.44マグナムの威力はかなり大袈裟で、自動車のエンジンはおろか車体や岩をも粉々に破壊するなど誇張され過ぎなシーンばかりである。
サイコガンじゃあるまいし。
なお、現実では.44口径のコルトパイソンは試作品だけで終わったそうで製品化はされていない。
ドラマ
主人公・加納錠治は.44マグナム使用のスタームルガー・ニュースーパーブラックホークをぶっ放す。
日本で。もちろん人間に。容疑者段階でも撃ち殺しまくる。
何人かのレギュラー刑事が.44マグナム対応のS&W M29を所持・発砲しているが、対応弾までそうかどうかは回によってバラツキが見られる。
一方で敵サイドで強烈なインパクトを残したのがPART-Ⅰの102話『兇銃44オート・マグ』に登場した笹井興業お抱えのヒットマンの笠松。サブタイトル通りに44オートマグをガンガンぶっ放し、終盤ではコルトローマンを持つ大門との一騎討ちにて散った。
主人公・スレッジ・ハマーはマギーと名付けたステンレス製のM29派生のM629を愛銃とする。
漫画
主人公・黒岩鉄夫が使用。
ゲーム
西部編の主人公、サンダウン・キッドが手に入れる最強武器として登場。
この武器の攻撃力は「29」と設定されており、使用しているのはS&W M29ではないかと言われている。
サガ1では最強の単体拳銃武器として登場する。
サガ2DSの説明では「一撃でほうむることができるずばぬけた威力の銃」とのこと。
ただし銃火器はグループ攻撃を重視するものであり、わざわざ単体攻撃のコレを使うプレイヤーは少ない。
塔で拾うならまだしも、買える時には上位版で防御力無視の
ビームライフルがあるので、まず使われず金策として売られる。
サガ3では空気。
シリーズ通して登場する代表的な拳銃。なのだが、毎回「拾うならまあ使ってもいいけど、買う程の武器じゃなく、拾った次の町で上位互換武器が安く買える」という不遇な扱いをされる。
しかも登場するのも大体序盤、良くて中盤。世界最強の拳銃(笑)と失笑を買っている。
度々、最強クラスの拳銃の弾として登場する。
耐久性が人と大差ない
ゾンビは確実に頭部を粉砕。ウイルスで変異した大型クリーチャーも数発で撃破できる程の威力。
特に
バリーの.44マグナムは
タイラントさえも一撃で倒すほどの超威力を発揮する。
マングースという名のリボルバー拳銃が.44マグナム弾を使用する他、.44マエダSPという毒薬弾も登場する。
- TheHunter:Call of the Wild
環境保護区の管理官である主人公が狩猟に用いる。(本作は人間NPCは通信のみの登場、マルチプレイ時の仲間には発砲行為がキャンセルされる純粋な狩猟ゲーム)
使用銃はレッドホークとマーリンM1894。
(ライセンス料の関係で実名は使われていない)
銃弾は共用可能で、想定される狩猟対象は同一。中型のノロジカから大型のクマやヘラジカまで幅広く対応する。
M1894を使うとライフルのスコアが上昇する他、対応スコープや有効射程による差別化が図られている。
過去作から再登場した攻撃オペレーター、DEIMOSが専用セカンダリとして.44 VENDETTA(M29のカスタム品?)を装備。拳銃の中では一番破壊可能壁等の破壊力が高く、本人の能力(回数等の制限付きで敵一人の位置をリアルタイムで察知する)と相まって壁越しや床越しでの攻撃に使用される(突き上げ付き下げとして本ゲームでは一般的な戦術であるが)。
ライフル弾
7.62mmNATO弾/.308ウィンチェスター/7.62x51mm
性能
弾丸直径 : 7.82mm
首径 : 8.77mm
肩径 : 11.53mm
底面径 : 11.94mm
薬莢長 : 51.18mm
全長 : 69.85mm
初速 : 840m/s
マズルエネルギー : 3325J
概要
1954年にNATO諸国で小火器の統一を図るために選定されたライフル弾。
当初は歩兵銃などでも用いられていたが、現在では
機関銃や
狙撃銃などにて使用される。
民間でも大型獣の狩猟に用いられる。
歴史
アメリカでは第一次世界大戦直後からの主力であった「.30-06弾(7.62x63mm)」の威力を維持したまま自動小銃に最適化した弾を開発していた。.276ピターゼン弾等ほかにも有力株はあったものの、結局.300サヴェージ改良弾(T65)を採用。
そして1940~50年の間に
M1ガーランドを改修(T65に対応、脱着式弾倉やショートストロークガスピストンへの移行)しT44(のちの
M14)を完成させた。
同時期のイギリスでは戦中にドイツ軍が用いたStG44と7.92x33mmクルツ弾から「必要なのはより軽量で必要十分な中間弾薬」との見解をもっていた。
そして戦中の.303ブリティッシュ弾の更新先として.280口径弾とそれを用いるEM-2小銃まで開発し採用まで進んでいた。
他国も同様、
FN FALもセトメライフルも中間弾薬を前提にして設計、試作されていた。
しかし、50年初頭に米アバディーンにて催された試験では明らかにT65有利な600ヤードで比較された。.280口径弾は精度、威力ともに劣るのは必然(でも約7MOAで弾速700m/sは流石に悪すぎた)。
アメリカ、イギリス、カナダ、フランスによる合同会議でも上記の結果からカナダ、フランスはT65を指示しイギリスも折れてしまった。(一応アメリカは中立の立場であったが、もうT65の優位は言わずとも…であったのだろう。英wikipediaからなので要出典)
こうして1954年。T65はめでたく採用され7.62mmNATO弾となった。
この時.280口径弾の性能がもう少し良かったら…
アメリカはM14を、イギリスは
カナダ/オーストラリアと共にベルギーのFN FALを採用した。
他ではドイツは
H&K G3、スペインはセトメ、スイスはSG510、日本はM14を経て64式小銃。NATO非加盟国でも融通が利くように採用された。
しかし上記の通り7.62mmNATO弾でのフルオート射撃は想定されておらず、各国いろいろと対応を強いられた。下記はその一例である。
- 2脚をつけて各個人が軽機関銃であるという運用をする
- 銃の格が大きくなるのでキャリングハンドルをつける
- フルオートを封印する(アメリカもこちらを採用した)
- 弱装弾に対応し自国内ではそちらを使う
それでもアメリカは第二次大戦を経て細分化してしまった各銃を統一できるし、自国はM1ガーランドの設備を流用できるだろうしで一人勝ちだと思い込んでいた…
時は変わって1961年。ケネディ大統領の下、自由の担い手アメリカはベトナムの
熱帯雨林に飛び込んだ。
しかしジャングルとM14では相性が悪かった。
長い射程は無駄となり、むしろ重くて長く制圧射撃も満足にできないと欠点ばかりが目立ってしまった。
弾薬としての問題もあり、携帯できる数が少なく継戦能力を増大できない。
そして北ベトナム軍のAK-47が機動力と火力で翻弄してくる…という三重苦が米軍を襲った。
これでは勝てないと急遽
AR-15をM16として採用しベトナムに送り込む。こちらは銃が軽くてストックが腐食せず、弾も小さいが威力も十分。
よって1964年にはM14は生産終了が命じられた。M14は結局M1ガーランドとの設備流用はできずじまいに終わり、供与されたりモスボールされたりした。
その後、M16の弾は紆余曲折あって1980年に5.56mmNATO弾として標準化。
再度各国でてんやわんやすることになり、その裏で7.62mmNATO弾は歩兵用の弾薬としての役目を終えた。
現在
歩兵銃としては使用されなくなったが、狙撃銃や汎用機関銃向けとしては現役である。長距離での命中精度と殺傷能力の高さは5.56mmNATO弾にはない長所である。
きちんとした連射向きの銃を用いればフルオートも問題ない。
アフガニスタンが戦場になった際には、交戦距離の面で5.56mmNATO弾では威力不足ではと考えられM14がEBR/EMRとして引っ張り出されそうになった(BHDで活躍していたドットサイト付きM14が良い?例)。
2022年にはNGSW計画を経て.277 FURY弾(6.8x51mm弾)とXM7が採用。
XM7の民間仕様(MCX Spear)では.308ウィンチェスター弾が使用できることからわかる通り、弾の格としては同じかそれ以上のパワーを持つという。
近年はSCAR-Hなどフルオート可能な7.62mmNATO弾対応銃が生まれては試されていた。米軍としてはこの格の弾こそ軍が持つべきものという認識なのかもしれない。
この弾の未来はどっちだ。
5.56mmNATO弾/SS109/5.56x45mm
性能
弾丸径:5.69mm
首径:6.43mm
肩径:9.00mm
底面径:9.58mm
薬莢長:44.70mm
全長:57.40mm
初速:905~940m/s
弾頭重量:55~77gr
マズルエネルギー:1679~1767J
概要
突撃銃向けのNATO標準弾で、色々と難があった7.62x51mm弾を置き換える形で1970年代より西側各国の軍で採用されている。
民間では犬や大型鳥類、鹿など小中型獣の狩猟・駆除(バーミントハンティング)に最適な威力とされ、AR-15やバーミントライフルで用いられる。
米軍のものはM855/グリーンチップと呼ばれる。
突撃銃、分隊支援火器(汎用機関銃やマークスマンライフル)にて使用されている。
歴史
誕生
時は
ベトナム戦争開戦時のアメリカ。空軍などで試験採用されていたM16が想像以上に現場に合致していたことから全軍で大規模に採用し旧来のM14を駆逐してしまった。
M16が使用する.223レミントン弾は「5.56x45mm弾M193」として制式採用された。
7.62mmNATO弾との比較
- フルオート射撃がしやすい
- 携帯出来る弾薬の数が増える(同等の重量で20連弾倉x6から30連x8に)
- 銃全体をコンパクト、軽量に出来る
- より小口径であるがゆえに射程は劣る(が市街地戦では必要十分)
- 命中後に体内で横転が起きやすい構造となっており、生身に対しては同等のダメージを与えることができる。
新しいNATO弾
ベトナム戦争での結果を加味してNATO加盟国が第二の小口径弾を選ぶことに合意したのは1970年代。
すでに量産し、使用実績もある自前のM193をプッシュするアメリカ。
米「おーい、俺のとこで作った弾薬使おうぜ」
しかし…
欧州一同「ふざけるな!!」
すでに米7.62x51mm弾を猛プッシュされ各国の兵器開発や兵站にいろいろと負担を強いられていた他NATO加盟国はそのままの使用を固辞。
そこで選択されたのがベルギーのFNハースタルが開発したSS109である。
寸法はM193と全く同じで一応SS109対応の銃ならば弾を入れ替えても発砲できる。しかしいくつか違う点がある。
弾頭重量が62grとより重く装薬も多いSS109は、初速で劣るものの遠距離における
弾速の維持と威力に優れる。よってM193に比べて
ボディアーマーを貫通しやすい。
同時期にボディアーマーが進化してきたことも合わさりSS109が支持されたというわけである。
現在
より高威力、高性能の同規格弾が米軍にて開発、配備されている。
M995:2001年採用の徹甲弾。
M855A1:2010年採用、通称ブラウンチップ。先端に鉄製弾芯を追加して装薬の圧力を増し、貫通力と精度の向上を実現。
Mk262:77グレインと重めで遠距離狙撃対応。
Mk318:14インチ銃身に最適化した弾で、多少の遮蔽越しでも問題なく貫通して相手を無力化することが目的。
自衛隊の20式小銃はこれまでの89式(420mm)やM4カービン(370mm)よりも短めな330mmの銃身を採用しているが、同時にJ3高威力弾も採用されている。
おそらくは上記Mk318のような短銃身に最適化された弾なのだろう…と推測できるが最新の兵器なので詳細はまだわからない。
ほかの国もNATOの定める規格の範囲で独自の改良を施している場合がある。そういった面で調べてみるのもよいだろう。
余談
- ごくまれに.22LR弾を.223レミントン弾と聞き違えてしまう場合がある。薬莢をお土産にもらう際は22口径やロングライフル弾等ときちんと言い分けよう。
- 尚マガジン側はSTANAGマガジンなどと称されることがあるが標準化自体はされていない。
現代の製造企業例
偏りが酷いのであくまで一例です。
- Nosler, Inc.(米):狩猟弾専門
- Hornady Manufacturing Company(米):XTPなど高品質の弾薬ブランドが存在
- Hodgdon Powder Company(米):リロード用の火薬などを専門としている
- Remington Ammunition(米):2020年のレミントン社破綻後に分裂した会社
- Federal Premium Ammunition(米/チェコ):ハイドラショックなどのブランドで有名
- CCi Ammunition(米/チェコ)
- Sellier & Bellot(チェコ)
- PMC ammunition(韓国):X-TACなどのブランドが存在
- ArmsCor(フィリピン):M1911周りや弾薬を販売
- AGUILA(メキシコ)
- Prvi Partizan/PPU(セルビア):マイナーな弾を多く製造数している
- Century International Arms(米):RedArmyStandardブランドとしてロシア圏(トゥーラ等)の弾を輸入し販売している
- Tula Cartridge Plant(ロシア)
- CBJ Tech(スウェーデン):Carl Bertil Johansson氏創業の徹甲弾研究メーカー。プラスチックサボ付きタングステン徹甲弾を小ロット生産している。
- Alexander Arms
- FN
- オートマグ社(旧)
その会社が専用で採用した弾は基本的にその会社か子会社が制作している
日本の弾薬メーカー。自衛隊、海上保安庁、警察への納品が主。ダイキンなども砲弾を製造している。
余談
日本で許可されていない実包を持っていると懲役刑となる。
薬莢は撃てない状態ならセーフだが、グアムやハワイ等海外の試射場で撃った後の空薬莢でも、税関で見つかれば色々面倒。
火薬類が含まれないなら大丈夫ということで、本物の弾頭と薬莢、偽物の装薬と雷管を組み合わせたダミーカートが販売されていたりする。
薬莢は使用後のものでも洗浄・再整形をすれば再利用が可能で、再利用した弾薬は「リロード弾」と呼ばれる。
新品の弾(ファクトリー弾)と比べると以下のメリットデメリットがある。
工場の設備で正確に測っているので精度も高い。
それ以外にもダブルロードなどの事故を防げる。
そもそもリロードはよほどの知識・技術・選定力がなければ大変危険。業者に任せていたらコストも新品を買うのと変わらないだろう。
同じ銃で発射するのならば、チャンバーにぴったりフィットするのでファクトリー弾より精度が高くなる説がある。
リーズナブルだし装薬の細かい調整が効く。
グアムなど大規模な観光射撃文化がある場所では採算が取れるのでリロード弾が使用されていた(専門業者もいた)が、コロナなどにより業者が撤退し2023年以降はファクトリー弾が使用されているという。
リロード弾の場合、再成型の際に削るのでその跡がつく。多少黒ずむ点でも区別できるので撃つ前と撃った後に観察してみよう(小型の銃であっても排莢直後は高熱なので触るには手袋が必須。)
使用しきれなくなった場合は材料レベルに還元してリサイクルする場合もある。使用済み雷菅と弾頭だけを取り付けた薬莢を
ストラップみたいに加工した土産なんかも存在する。
各国の軍では訓練で使用した薬莢の90%以上を回収している。
回収後の再利用もしくは金属資源として売却することによる諸費用の回収も重要ではあるが、それ以外にも「弾の横流しや不正備蓄を防ぐ」という立派な理由がある。特に、銃の所持を厳しく規制している国・地域では弾薬の流出によるリスクが図り知れないため、とびきり厳格に管理される。具体的には訓練場をカートで掃いたり、排出直後虫取り網で受けたり、銃に薬莢受けの袋を取り付けることで散らばらないようにする等がある。訓練中の自衛官や韓国軍兵士の銃にカーキ色の袋がついている情景は時たま見かけるだろう。
戦闘でも薬莢は可能な限り回収するようにしている。落ちている薬莢の量に応じて『この場所で戦闘があった、どの程度の規模の戦闘で、どのくらい弾薬を消耗した』と敵に悟られないようにするためだとか。
フィクションではFMJの頭の被甲をナイフ等で剥いて弾芯を出し、そこに十字傷を付けた物をダムダム弾と称していることがある。
無論、気を使わないと前述の通り引っかかって装弾不良につながる。マスケットの丸弾時代に行われていた技法と混同したものと思われるが、HP弾は手軽に売っているのでウォルマートで買おう。
追記・修正よろしくお願いします。
- 大好き。 -- 名無しさん (2013-09-10 16:33:59)
- 丁寧な説明の記事やな -- 名無しさん (2018-10-18 22:57:34)
- 日本のフィクションだと、たまに「弾丸」ではなく「弾薬」まるごとが発射されて飛んでいく描写がある(バトルガレッガとか)。まだまだ日本人には銃器がらみは馴染みが薄いのであった -- 名無しさん (2021-11-27 08:29:25)
- 弾頭と薬莢と雷管を組み合わせた「実包」「弾薬」の訳語は、カートリッジとアモ(アミュニション)でどう違うんだろう? -- 名無しさん (2023-07-10 00:40:15)
- メーカー周りを加筆。自分が見たことがあるものを中心としているので偏りがあります、米のほか有名メーカーや欧州ロシアのメーカーについてご存じでしたら追記いただけますと幸いです。 -- 名無しさん (2025-07-01 20:11:47)
最終更新:2025年08月08日 00:33