ムカデ人間(映画)

登録日:2012/05/14(月) 03:38:35
更新日:2024/02/22 Thu 20:04:04
所要時間:約 6 分で読めます




「私はヨーゼフ・ハイター↑博士……シャ-ム双生児の分離手術の権威として知ぃられている……(巻き舌)」





つ・な・げ・て・み・た・い





◆ムカデ人間◆

『ムカデ人間(The Human Centipede:First Sequence)は2011年に公開された外国映画(※09年に製作、米公開は10年)。
日本ではトランスフォーマー*1が配給を担当した。
一応のジャンルはホラーだが、非常に悪趣味、かつシュールなシチュエーションの異常な世界観の作品であり、
生理的に受け付けない人間はトコトン駄目だが、軽く流せる人間ならば最高にワロケルと、両極端な評価を受けている(人間賛歌を見出すファンすらいる……らしい)。
監督・脚本はトム・シックス。

映画を見た人間からは「クッソ下らない内容の物語を良くも糞真面目に作った」と言われているが、言い得て妙で、
トム・シックスの歪んだ情熱こそが、この映画の全てであると言っても間違いでは無いであろう。

案の定の低予算映画でもあり、しばらく振りのカルト大作との評価も受けている……やったね!


■監督:トム・シックス
■脚本:トム・シックス
■製作:トム・シックス
※※※:イローナ・シックス
■音楽:パトリック・サベージ
※※※:オレグ・スピーズ
■撮影:グーフ・デ・コニング
■編集:トム・シックス

■製作会社:シックス・エンターテインメント
■配給:トランスフォーマー

※イローナ・シックスはトム・シックスの姉ちゃんらしいっすよ……なんだこの姉弟。





※注意!!※
以降の記事には、映画の核心部分のネタバレの他、グロやスカトロに関連した内容を含みますので耐性の無い方は閲覧に御注意下さい。





【物語】

……ドイツ。
物語は、ある一人の男が、自らの狂気にも似た願望を遂に叶えようとする場面から始まる。
車中で、思い出の写真を眺めながら妄想に耽る男……。
写真の中の三匹の犬は、何故か繋がって見えた

……偶然にも、近くに停車したトラックから慌てて運転手が降りて来ると、男が見ているとも知らずに、草むらで用を足し始めた。
男は、運転手に向かい静かに銃を構えた。


……別の夜。
アメリカから旅行にやって来た二人の若い女が、レンタカーをパンクさせてしまい森の中で立ち往生をしていた。
言い合いの中、我慢出来なくなった二人は人家を探して外に出るが道に迷ってしまう……。

言葉も通じない異国……やっとの思いで、森の中に見つけた家で彼女達を出迎えたのは、
あの狂気に捉われた天才外科医……ヨーゼフ・ハイター博士だった。


【登場人物】

◆ヨーゼフ・ハイター博士
演:ディーター・ラーザー/吹替:若本規夫
ドイツ人医師。
本人曰わく、シャム双生児の分離手術の権威との事だが、極度の人間嫌いを自称し森の中に住んでいる。
外科医としての技術を活かし、今度は逆に人間を繋げてみたいという欲望が抑え切れなくなっていた。
非常に傲慢な人物で、他者の命を何とも思っていないが、自身の創造物にのみには愛情を注いでいる。
行動の一つ一つがいちいち気持ち悪い。


◆リンジー
演:アシュリー・C・ウィリアムズ/吹替:辰巳知里
アメリカ人旅行者。
頭の悪そうな若い娘だが友情には篤い。
中盤で、博士の狂気から逃れるべく逃走するが、親友を助けようとした事が仇となり、最も苦痛を伴う真ん中に据えられる。
『2』にも本人役で出演しているらしい

◆ジェニー
演:アシュリン・イェニー/吹替:戸田亜紀子
アメリカ人旅行者。
ビッチ臭い若い娘でリンジーの友人。
ハイター博士の異常さに気付くも、リンジーと共に捕らえられ、抗議も出来ないままに異常な実験に巻き込まれてしまう……。
最後尾に据えられ、最終的には衰弱死してしまう。


◆カツロー
演:北村昭博/吹替:三宅健太
日本人のヤクザ。
何処をどうして選ばれたのか、リンジーとジェニーと組織的に適合する検体としてハイター博士に拉致されて来た。
英語と独語でさえ隔たりがあるのに、日本語を喋る彼の存在は画面から浮きまくりであり、それこそが演出の意図なのだとも言える。
最低限の意思の疎通以外を欲しなかった博士により先頭に据えられ、リーダーと呼ばれる。
博士に反抗しては虐待を受けていたが、終盤での生への執着や最期の場面は漢。
物語の裏の主人公とも言える。

◆クランツ刑事
演:アンドリュー・レオポルド/吹替:石川和之
◆フェラー刑事
演:ピーター・ブランケンシュタイン/吹替:平川大輔
失踪人を探す刑事。
目撃情報からハイター博士の家を訪問。
博士の異様な態度から彼を疑う事を契機に一気に物語は崩壊する。
博士の邸宅での異常さに対するリアクション等、麻痺した物語に普通の感覚を思い出させてくれる。






※グロ注意。

































【ムカデ人間】


ハイター博士の長年の夢であった、三人の人間の口と肛門を直結させて作り上げた新しい生命体
一人分の養分で三人分の生命を賄う……と説明している割には、二人目以降は一人目のウ○コしか喰えないのだから、
根本から間違ってる気がするが気にするな。

犬での実験を経て、まんまとやって来たリンジーとジェニー、カツローを検体として遂に完成されてしまう。

縛り付けた三人を前に淡々と手術内容を説明するシーンや、庭に連れ出したムカデ人間にお馬さんゴッコを強いる場面は、
非常にシュール……かつ静かな狂気が伝わって来る。

膝の皿の周囲の筋肉を除去されている為に四つん這いでしか歩けない様になっている上に、結合する肛門と口は大部分が切除され、
組織部分その物が癒着されている等、見た目のユーモラスさとは裏腹に聞いているだけで吐き気がする状態にされている。





【余談】

※ハイター博士の吹替を担当した若本氏は予告編でのナレーションのインパクトが好評を呼び本編も担当する事になったらしい。
原語では人物同士の言葉が通じない事が持ち味となっているのだが、若本氏の名演を堪能するのもまた良し。


※カツローは原語でも日本語を喋っているが、演じた北村氏の希望で吹替が用意された(確かに原語では聞き取り難い)。


※極めて低俗な映画と呼ばれる一方、カツローのラストの哲学的な独白や深い人物描写を評価する声も少なくない。


※人間同士の口と肛門を繋げるというアイデアは、監督が友人とニュースを見ていた際の「犯罪者同士のケツと口をつなぎ合わせたらいい刑罰になりそうだ。」という友人の発言から思いついたらしい。


※原題の『(First Sequence)』から解る様に本作は三部作の一作目である。
本作以上に下劣で、グロい為に劇場公開が危ぶまれる『2』は十二人。
集大成となる『3』では五百人が繋がる事が予告されている。





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最終更新:2024年02月22日 20:04

*1 当然、タカラトミーから発売されている変形玩具シリーズとは無関係。