シルフェイド幻想譚

登録日:2011/05/20(金) 20:42:51
更新日:2025/05/18 Sun 16:52:09
所要時間:約 8 分で読めます




災厄の時まで あと十五日
私たちの冒険が今 始まる


シルフェイド幻想譚とは、Smoking WOLF氏に2005年に公開されたRPGフリーゲーム
2021年には14年ぶりのアップデート、翌年にはゲームアツマールで公開されスマホでのプレイも可能になるなど現在まで末永く活動が続いている。


ストーリー

それはシルフェイドと呼ばれる世界の、遠い遠い昔のお話。
人々は空に浮かぶ島で、『理力』と呼ばれる力と共に、森に住む魔物を恐れつつも、なかば平和な日々を送っておりました。
そんな中、この天空島を見守っていた一人の人間――リクレールはある時、
15日後のこの島に大きな『災い』が起こるということを予知しました。
それは島の多くの生命を巻き込む、とても大きな『災い』のようでした。
「このまま私が何も干渉しなければ、きっと『災い』が島を襲ってしまう……」
そう思ったリクレールはこの天空島を守るためにその不思議な力で、ある一つの生命を生み出しました。

……そう、『あなた』のことです。

リクレールは、我々の住む場所とは別の次元にある『意識の海』から『あなた』を引き上げて『身体』を与え、そして『あなた』にお願いをします。
「15日後に起こるであろう『災い』の正体を確かめ、そしてそれを阻止して欲しいのです――」
――たった15日間の『あなた』の冒険は、ここから始まります。(公式サイトより)


登場人物


  • ゴンベエ(男)、ナナシ(女)
意識の海より引き上げられた、あなた自身。
特に名前がないので自分でつける方式であるが、何も名前を付けずに"完了"するとリクレールにゴンベエかナナシの二択を迫られる。
あといい加減な名前や下品な名前にすると呆れられたりする。
また宿したトーテムによってステータスの成長傾向が変わる。
ドラクエ主人公のように基本しゃべらず、また扱うプレイヤーによって善人にも悪人にもなれる。

  • リクレール
「意識の海に漂うそこのあなた……私の声が聞こえますか………?」
シルフェイド世界における神のような力を持った存在で、見た目は額に一角獣のようなツノが生えた少女。
500年前の魔王出現に際して天から降臨し、人々を導いて戦ったとされる。伝説の武具やトーテムも彼女がもたらしたもの。
主人公にトーテム(守り神的な存在)を授け、初期装備である旅人のマントを夜なべして作ってくれるいい人。
だが、夜なべの影響で手引きの書(マニュアル)に誤字があったり、主人公に指摘されて鼻毛を直したりするなど、結構抜けている。

  • クロウ
狼(犬?)の姿をしたトーテム。真面目な性格。そして、作中一のツッコミ力を持つ。
筋力や生命が伸びやすく理力方面はからっきしのいわゆる戦士タイプ
戦闘面では大いに活躍し、筋力の高さから持ち歩けるアイテム量も多い初心者向けのトーテム。
理力も意志が無くてもLIFEを全快にするものがあるため極端な話、理力はLIFE回復用だと思えば
薬類でアイテム欄を圧迫する事もないのでそう言った意味でも初心者向けである。

  • フェザー
鳥の姿をしたトーテム。軽い性格で女好き。
スキル「高速移動」によりフィールド移動時の時間経過が少なく済む。
ただし持ち歩ける重量はもっとも少なくなりやすい。
敏捷が伸びやすく、そのほかの能力も平均的に上がる器用貧乏バランス型で中級者向けのトーテム。
火力面では筋力か意志どちらかに偏った方が有利な上、
ある武器の存在が理由で最終的にスケイルの方が通常攻撃でも
大抵の場合でフェザーより上になるため実は戦闘方面に関しては一番難易度が高い。
筋力を最大値にしても持ち歩ける重量が魔法系のはずのスケイルより少ないのと
このトーテムの長所を活かす場合は力押しではなくトリッキーな戦法を用いる必要があるが
敏捷の高さを活かす事で先手を取りやすいはずなので戦法次第では完封も可能。
周回を重ねて慣れてるプレイヤーほどこっちの方が余程上級者向けな性能をしてる事が分かるだろう。

  • スケイル
水龍のトーテム。好奇心が強く、人の住む世界にあこがれている。
スキル「水中移動」により水を渡ることができ、移動の自由度は随一。
ただし、極一部の例外を除いて仲間を連れていると水を渡る事ができないので注意。
男の写真集をみて頬を染めたり、主人公(男)の裸体を見て興奮するあたり男好きなのかもしれない。
理力を扱うための知力・意思が伸びやすい魔法使いタイプで上級者向け。(RPG的な意味で)
…がこれは初見という意味で本当に一周目の場合の話。
二度目以降のプレイである武器の存在と埋まってる場所を知ってた場合は話が変わる。
その武器は作中唯一の意志依存武器であるため性質上、
クロウだとまず不要、フェザーでも微妙性能になりがちなのだがスケイルだとまず最強武器と化す。
それを手に入れればクロウと同じ感覚で通常攻撃だけでバシバシ雑魚を葬れるようになる万能キャラと化する。フェザーは泣いていい。
しかも、場所さえ知っていれば序盤でも『調べるだけで』入手できる上*1
おまけに伝説の武器と違って修理可能なので常用可能。
なお、このトーテムでのみ入れるダンジョンが存在しており、
そこからの一連のイベントや仲間になるキャラは実質グッドエンドの条件緩和になってる上、*2
後の作品でも正史扱いになっているので色んな意味で二周目向きなトーテム。


サーショの街

スタート地点すぐ近くにある街。
伝説の武具を鍛えた鍛冶師の子孫が営む鍛冶屋「ガラン堂」があるほか、近くには王の住むバーン城がある。

  • エージス
「なあ、なんで男って風呂で屁こいたらアワが前に来るんだ?邪魔なモンがついてんのによ」
兵士詰め所の隊長だがトカゲ人の砦で捕らえられている。
おやじであるためか、下ネタ成分多めの中年。
パンチ一発で竜人を屠れたりする意外と強い人、だが扱いづらい。

  • オーバ
「雪景色には、ぴちぴちにひきしまったあたしの美貌が生えるねぇ」
占い屋を営む人物で、トーテム能力者の老婆。
理力の扱いにたけた人物で、彼女の持つ邪眼はラスボスをも眠らせる。
首から下は目がつぶれるほど美しい(自称)。

  • シン/シズナ
「…その葉っぱ、ステキですね……」
町に住む少年&村娘。
男主人公ならばシンが、女主人公ならシズナが病に臥せっており、健康な片方が森に薬草を取りに行っている。
エンディングで明らかになるが、実はオーバの孫。

  • 遊んでる兵士
「わーいわーい。」「待て待て~」
街の東でぐるぐる回って遊んでる兵士。中心に立つと高速回転しだす。
「フォォォォー!!!」「ははは、俺の動きが見えるかな!?」

リーリルの町

順当に進めると2番目の街。理力の研究が盛んで、様々なフォースを購入できる。

  • イシュテナ
「うちの旦那、ああ見えて全然たよりないのよ……まあ、別に誰でもよかったんだけど」
町の薬屋の人妻でトーテム能力者。
ドライな性格の持ち主で、夫クラートとは愛に欠ける夫婦関係を営んでいる。
賢者サリムの孫であり、行方不明になった彼を探している。

  • 物資を援助してくれる老人
「この家にある物を全部おぬしにくれてやるぞ!さあ、持ってけ持ってけ!」
トカゲ人の砦を攻略した後に宝箱やタンスに入っているものをくれる老人。
なお、重量に余裕があれば言葉通りに従って部屋にあるテーブルやタンスを持って行く事も可能。
ただの家具の癖して伝説の武具より何故か性能が高い。
「オーウ、ノォォォー!!」

ムーの村

3番目の村。世界の危機に救世主が現れるという遺跡「時の扉」が名物。

  • アルバート
「…気が付いたら消えてたなんてまっぴらだぞ、俺は」
時の扉を通って別の世界からやってきた元傭兵。
というのも彼は作者の別作品、「シルフェイド見聞録」からのゲストキャラクター。
この世界では言葉が通じないのでアーサーについて旅をするようになるが、とある方法で仲間になる。
なお、この世界に来た直後に仲間できた場合はアーサーと一緒に旅をせずにムーの村に滞在するようになる。

シイルの街

世界をほぼ一周した場所にある町。伝説の武具の一つ「大地の鎧」やかつての魔王との戦いの資料が保管されている。
普通に進めるとたどり着いた時には廃墟になっているが、急いで進むかスケイルの能力で川を渡ることで滅ぶ前に到達できる。

  • ウリユ
お、お母さ〜ん……。
シイルの町に住む、盲目の少女。
生まれつき目が見えないらしく、世界を自分の目で見たいと思っている。
代わりに未来を見通す能力をもつが、それを危険視した竜人に狙われることになる。
妹キャラの影響かその道のお兄さんに人気が高かったようだ。

  • ユーミス
ウリユの母で雑貨屋を営む女性。
理力の水など回復アイテムを売っている。

不定


  • アーサー
世界一周を夢見る旅人。
一日ごとにマップ上で居場所が変わるため、旅を続けていくうちに何度も目にするだろう。
初めてのプレイでは彼のテントを追うようにするとほどよいペースで探索できる。
途中からアルバートと旅をするようになる。
正体はバーン城の王子である。父である王がおかしくなったことに気付き、なんとか治そうと世界一周がてら手がかりを探している……という設定があった。


  • セタ
「……おまえは、不思議なやつだ。」
トカゲ人の砦の副隊長で、竜人の戦士。
正々堂々とした武人の魂を持ち、無意味な殺生を嫌う。
(選択肢によっては)主人公と対峙する中で竜人と人間の対立関係に疑問を抱くようになる。
ちなみに女性である。


  • メアリー
エージスの娘で、城で給仕の仕事をしている。要はメイド。エージスが仲間になった後に死亡すると、仲間になる予定だったらしいが、企画段階で没になったらしい。
ちなみにスペックは大ダメージを与えられる全体攻撃フォースが使える上に「初期Lvは低いが、成長率が主人公並み」という強力なお助けキャラ(RPG)の予定だった。

そのほかにも様々な登場人物が物語を彩っていく。
彼らと出会うか出会わないかは、主人公の旅路次第。


用語


  • トーテム
「トーテム」とは、シルフェイドの世界で精霊や守り神のような存在。
それを宿すことで、普通の人間とは比べ物にならない大きな力を得ることができる。
また、この世界のトーテムは極めて原始的なもののようで、話す力、姿を持つトーテムはリクレールに作られた三匹のみである。

  • 理力(フォース)
簡単に言えば魔法のようなものであるが、どちらかといえば超能力に近い(作者談)。
たとえば、のフォースならば相手をじーっと見つめていると、相手が発火する、といった感じである。
戦闘では必要数の"集中"をしてから発動する必要があり、多く集中すると効果が増大する。

  • 竜人
トカゲ人と呼ばれている亜人の正式名称。催眠のフォースに弱い。
500年前、魔王と共に突然現れて以来人間とは敵対しているが、彼らにも仲間や親子の情があり争いを好まないものもいる。


システム

  • 有限コンティニュー
主人公は開始時にリクレールから「生命の結晶」というアイテムを15個与えられる。
全滅するとこれを消費して設定した地点で復活できる。
この際時間が巻き戻ったりはしないので、同じ敵と再戦すると驚く反応があったりも。
生命の結晶を全て使い切った状態で死亡するとゲームオーバーとなる。

  • 仲間
仲間は上記のうち一人しか連れて歩けず、一部の仲間を連れていると主人公の移動用スキル(水中移動など)が制限される場合がある。
一方で仲間を連れていると荷物が多く持てるようになり、戦闘面でも共闘してくれる等、メリットは多い。
また、戦闘中に全滅してしまうと、一部のキャラを除き二度と生き返らない。
逆に言えば戦闘中何度力尽きようと回復さえできればOK。

仲間になるキャラクターは内部ID順に
「アルバート」「イシュテナ」「ウリユ」「エージス」「オーバ」「スケイル」「セタ」と設定されている。
最初5人のイニシャルが、アイウエオ順になっているのは狙ったものである。
加入時期も1日目から人化が可能なスケイルを除くと、アルバートが一番早い。

  • 時間
マップ上、ダンジョン内では歩くたびに時間が経過するようになっており、時間経過につれて各所で様々なイベントが起こる。
つまり、ただマップをぶらぶらしているだけで時間は進行し、身の回りの状況は刻一刻と変化するため、初回では見逃すイベントも多いだろう。
街では時間経過がないので安心しよう。
『災い』が起きるまでの15日間、どう過ごすかはすべてあなたの自由だ。

  • 重さ
ローグライクでよくあるように装備品や消費アイテムに重さが設定されていて、持ち歩ける量には上限がある。
この上限はステータスの筋力とトーテムの適正で変化する。
キーアイテム類は重量0に設定されている。

  • 相談
マップ上でも戦闘中でも、いつでもトーテムや仲間と相談することができる。
戦闘中では敵の強さを分析してくれたり、マップ上ではイベントのアドバイスや攻略に関係ない小話が聞けたりする。

  • 戦闘
基本的にはいわゆるターン性の戦闘であるが二つ変わった点がある。

■一ターンに複数回行動できる
戦闘ではターン開始時に行動回数の分だけ行動を設定し、それが順に実行される。
最初は基本スキルである攻撃、道具、集中くらいしかなく行動回数も1回だが、主人公はスキル・フォースを合計4つ(スケイルを選んだ場合5つ)覚えることができ、
行動回数もイベントやS.EXP消費で最大4回まで増やせるため戦略性が広がって行く。(例:覚醒→封印→増幅→衝撃)
ちなみにフォース・スキル名は全て漢字二文字の熟語である。

■Willシステム
このコマンドを使用すると、行動速度の上昇、スキルの威力増加、集中が不要等の利点が得られる。
そのため、うまく立ち回れば自分より格上の相手でも倒すことが可能になる。
一日に5回(ハードでは3回)使える。
持ち越しはできないので余らせるくらいならガンガン使おう。

  • S.EXP(特殊経験値)
敵を倒すたびに手に入れられる経験値。全滅時にも多めに獲得する。
これを割り振ることによって、スキルの習得、戦闘時の行動回数の増加、ステータスの強化ができる。
得意分野にガン振りするもよし、短所を補う育成をしても良し、スキル習得のため貯めるのも良し。


ツクール2000で作ったとは思えない完成度の高さ、作りこまれたストーリー、システム、自由度の高さから知名度はフリーゲーム随一である。

ちなみにツクール2000は作品の暗号化ができず、ソフトさえ持っていれば配布作品の中身を見ることが可能であるが、このゲームその事を逆手に取り色んなところにネタが仕組まれているのがわかる。
特に行けないところに長時間いるとトーテムが話さなくなるというドきついペナルティすらもある。ズルしてデータをいじるのも程々に。

以下ネタバレ























  • スケイル(人間)
「ゴンベエ様にさわってて思うんですが、生き物ってこんなに温かいものなんですね……」
湖底神殿にいる初代魔王を倒し、願いの水晶を手に入れることで人の姿となったスケイル。
微妙にセクシーな発言が目立つ。変身するときには一瞬服が見えなくなるらしい。
高い意志、全体回復持ちであるため戦闘では比較的使いやすい。
ひれ耳、ないすばでぃと高い人気を誇る。
後の作品での正史となってる事柄から、実質メインヒロイン。

  • サリム
50年前の戦いで魔王を倒した英雄。
だが"魔王を倒すと倒した者が魔王になる"という呪いのせいで体が魔王になりつつある。
人としての理性が保てなくなってきたため、封印の神殿の奥底に自らを幽閉する。

  • 真なる魔王
「……たった二人で、何かできるとでも思っているのか?……殺せ。」
大きな翼と鎧をもつ、巨体の竜人。
人間の王に化けて優秀な人材を殺したり、シイルの町を兵を率いて壊滅させたりするなど、大胆かつ緻密な行動をとる。
特に繊密さと慎重さにおいては作中どころかシリーズ随一であり、 裏設定 でも語られてるが
王に化けてる時にも定期的にお手洗いに行く振りをして人間らしさを感じさようとするなど徹底的。
そして、お手洗いに行く時間も正確無比に徹底していたがため王が定期的にいなくなると逆に怪しまれたが
城の人間も定期的にいなくなる王の行動を怪しんでいたが
最後まで王が魔王だったと知られる事はなかった。
戦闘面でもクリティカル以外の物理攻撃を無効化する結界を常時張っており、かなりの強敵。
彼と戦える場所は三か所ほどあり、いずれにせよ準備を怠ると普通に負ける。

…というわけでもなく、二周目だと一撃で倒せる。

「……私は人間を憎み続けた、昔も、今も、ずっと。」
竜人たちを統べる竜の神。
目覚めたとき、夢の中で思い描いた竜人が戦いの中で人間に殺される様を見て、人間を憎むようになる。
憎しみの果てに人間を消し去ることを決めた神は500年の時をかけ人間を消し去る術を発動させる。

戦闘においても常時結界を張る強敵で、体力も多く初見では死ぬかもしれない。
ただし、戦闘で敗北しても神の体力は減ったままなので生命の結晶が尽きない限りゾンビアタックし続ければ何時か勝てる。
スケイルかセタを仲間にした状態だと神が本気を出した後のターンで
問答が発生してその後に神を倒すとグッドエンドとなる。
(問答前に倒しちゃったり、セタを連れて問答が発生した後に全滅してセタが死亡するとノーマルエンドになる)




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最終更新:2025年05月18日 16:52

*1 ただ、武器の位置を記したもの自体は中盤で訪れる場所にあるので序盤で取るにはボタン連打してたとかの偶然でない限り一周目では実質不可能。

*2 その仲間は全滅で死亡しないため気軽に使えるのと一緒に水に潜る事ができるので、まずラスボス戦まで連れ回している事がほとんど。捻くれたプレイをしない限りは自然とグッドエンドの条件を満たせる作りになっている