ゲームを作ろう
個人制作~インディーに分類される自作ゲームでは無料~少額で使えるソフトウェアでPCのみをターゲットとして制作されることがほとんど。
作ってみたいと思い立ったが吉日、環境を整えて作ってみよう。
なにがしたい?
ゲームといってもジャンルは様々。以下に概ねの基礎的なジャンルと特徴を連ねる。
ノベル
ほぼ文と背景、音楽のみがコンテンツで、ゲーム的要素はセーブロードやバックログなどの栞的な位置付け。
シンプルなので制作ソフトも大小さまざまなものが存在する。
文だけであれば正直小説でも十分だが、それ以外の演出がくわえられることが利点だろう。
文書きが趣味の人が別のアプローチを掛けたいならばおすすめ。
アドベンチャー(ADV)
ノベルに選択肢やミニゲームなどが追加され、よりゲーム的要素が強まったジャンル。
選択肢によるフラグ分岐などが入ってくるので少し複雑になるがノベルゲーム用ソフトウェアでも十分に実現可能である。
文がある程度書けてよりゲームらしい作品が作りたい人と、ストーリー仕立てのゲームを作りたい人の習作におすすめ。
ロールプレイング(RPG)
原義的なコマンド選択式アドベンチャーに持ち物やスキルなどの要素が加わったものを指す。
ダンジョン&ドラゴンズのようなゲームシステムにストーリーが組み込まれていないものと、ドラゴンクエスト等のストーリー性を付与したものに分かれる。
持ち物、スキルの管理ができるようにしつつ、それぞれの要素のバランスを考慮していく必要がある(ベホマが皆使えたらハイポーションはいらないので魔法使いのロールでしか使えないようにする等)。
ドラゴンクエストやRPGツクールが有名なため下記アクション要素も含まれるイメージがあるが、戦闘だけ/軽いアドベンチャーパートだけでも成り立つのでフラグ分岐からより進歩したシステムが気になる場合におすすめ。
アクション(ACT)
選択などではなくリアルタイムかそれに近いペースで進行し瞬時の判断が試されるもの。
これまでと違いキャラを二次元/三次元的に動かす必要が出てくる。
アーケードゲーム(ドンキーコングなど)から派生したものも多いのでセーブができなくとも一応OK、ストーリーもなく動き回る系統のジャンルを作りたい場合におすすめ。
シューティング(STG)
アクションの一種で弾を飛ばして敵に当てる要素があるもの。
インベーダーのように固定画面でも、ゼビウスのようにスクロールしていても、スターフォックスのように三次元でも、Doomのように一人称視点でもシューティング。
ストラテジー
将棋、チェスなどに近い戦略的な要素のあるゲーム。
それらのシミュレーターに徹する(AI将棋等)のも独自のジャンルを開拓するのもよし。現実の戦略を再現することもできる。それらを作りたい人におすすめ。
シミュレーション
現実の要素を模擬体験するジャンル。実質的にアクション、ストラテジー、アドベンチャーの複合になることが多い。
飛行機のコックピットや原発の操作盤を模し、特定の人のみ楽しめる/そもそも学習、訓練用として制作されているものもある。より楽しさに割り振ろうとすると複合ジャンルの側面が強くなる(エースコンバット、リッジレーサーなど)。
特定ジャンルに精通し実際に模擬体験がしたいがそのシミュレーターが入手できない場合などにおすすめ。恋愛?しらんな。
パズル
謎解きなどに振り切ったジャンル。ゲームならではとしてはテトリスやぷよぷよなどの落ちものパズルが挙げられる。
単純ながら無限にゲームを続けられるのでアルゴリズムをがっつり組んだりする場合にはおすすめ。ミニゲームとしても入れやすい
何を用意すればいい?
まずはモチベーション。時間がかかる趣味となるので維持しやすい内容を吟味するか、時間を短縮できるように技能向上するかするのがベストであろう。
次に制作基盤となる環境がないといけない。基本的にはPCだが、コンシューマー機やスマートフォンアプリなどとして環境が用意されている場合がある。軽いものであれば低スペック環境でも作り上げられるのでまずは今見ている環境で制作できるか調べてみよう。Webで完結しているゲーム制作ツールもある。
ゲーム制作ソフトウェアも選ぼう。ノベルだけなら吉里吉里やティラノビルダーなどがあるし、RPGならツクールやWolf RPG Editerもあるが、ツール越しでは完全に自分の作りたいものに合致した作品ができるかどうかはわからない。
そこで踏み込んで高度なゲームエンジンを検討する。UnityとUnrealEngineが有名だが他にもいろいろ用意されている。ここからコーティング能力が要る場面が増えてくる。
もっと踏み込んで作りたい?それならコーディング特化もある。Visual Studio環境を整え、DXライブラリやSiv3D(C++のゲームライブラリ)を使ったりPygame(Pythonの2Dゲームライブラリ)、HotSoupProcessorなどを用いたりがあるだろう。
もっともっと踏み込めばDirectX直叩きなども視野に…そこまでできるならもうゲーム会社の中堅プログラマ以上の能力がある。
無論ライブラリやゲームエンジンは最新の/複雑な機能を簡単に扱えるようにしてくれていたり、プレイヤーの動作環境についてもかなり面倒を見てくれるので、一概にどちらが良いかというのは考え辛い。
また、ここに挙げたもののうちツクール(体験版除く)以外はすべて無料で扱える枠がある。導入のリスクをある程度考えなくてよいのは利点といえるだろう。
素材制作ソフトウェアについても考慮しよう。ドット絵程度ならWindows標準のペイントソフトにマウスでもよいがより高度となるとちゃんとしたソフトにペンタブまで用意すべきだろう。
無論3Dモデルは何かしらソフトを用意しないといけない。
アセットストアなどでほかの方が配布している素材を使う場合にも自環境に合うよう調整するためにあったほうが良い。
ここまで書いたが、最低限必要なのはモチベーションと制作環境だけ。まずは小さいものから作ってみてから、自身に必要なツールが何なのか吟味してみよう。
何から始める?
会社でのゲーム制作では、プロトタイプ→制作承認→α版→β版→リリース→修正パッチの順に作業する。それに倣っていくのが手堅いだろう。クリアまで2時間のアクションアドベンチャーを例に挙げよう。
プロトタイプではそのゲームがどんな楽しみ方ができるかをきちんと示す必要がある。ビジュアルがきれい、音楽が良いだけでは制作承認は基本おりない。
アクションとアドベンチャーパート1~2つをつなげてそれぞれを遊べる程度を目指せばよいだろう。であるため作るのはゲームシステム。
キャラの画像は仮どころか棒人間で良いので歩き回って剣の判定だけを振り回せてボッ立ちの敵を殴れる/テキストも仮で良いので数セリフ会話する/ボスっぽいでかい敵と戦う…これだけで良い。
うまく続けられるなと確認したら、次はα版。
操作キャラクターについてはほぼ完成しており、アクション/アドベンチャーシステムも双方ほぼ完成。敵は想定した通りに動き、シナリオも序盤が遊べるようになっている。場合によってはここでバグ取りをして体験版として世に出す可能性もあるだろう。
β版ではシナリオが完成し通しプレイができる状態に持っていく。バランスを調整したり、想定していなかったパターンなどによるバグ(姫に合うまで装備ロックされるフラグを立てた状態で死ぬと生き返っても永久にロックされる等…)をつぶしていくフェーズに入っていくだろう。
そうして自分が検知したバグをすべて取り切った状態でリリース。でも遊んでもらった人からバグ報告が来ることもあるのでそれを修正してアップデートする(Steamやitch.ioではファイルそのままアップするスタイルなので差分パッチなどを作る必要はない)。
…といった流れで取り組むが、これを遵守してできる時点でゲーム会社の新人プロマネ以上のスキルがあるといえる。
それにプレイまで2時間は十分な規模過ぎる。初めてなら9分でいい。
ここまで縛らずともモチベーションと相談しつつうまく完成させていこう。
ただし1点だけ。楽な作業やりたい作業を優先してしまうとあとあと苦労する、ということだけはゲーム制作に限らず共通の認識である。
素材をお借りしよう
個人の範疇では自作素材や外注では限度があるので、ツクールなどの標準素材やアセットストアを活用する機会は多いだろう。
その際は必ず先方の利用規約をよく見よう。大事なのは利用可能範囲とクレジット指定。
ゲームアセットでないもの(映像用途を前提としリソースフォルダとして間接的に再配布されたくないもの)を配布されていることもあるし、二次創作素材は商用利用NGの場合が多い。
クレジットも、表記しなくてよい場合を除けばきちんとどの人がどの素材を作っているかがきちんとわかるようにしよう。
お借りする立場である以上そこのケジメはしっかりと。
完成した!
公開しよう。お借りした素材に沿った範囲で公開は厳守。
ただし多くの人に見られず埋もれることがほとんど。多くの人に手に取ってもらいたい場合はSNSで宣伝するなどの広報的施策が必要となる。
R18作品や不適切なワードなどについてはきちんと自主規制か出す場所を選択しよう。
長々と書いたものの、結局のところ芸術などの手段のひとつ。目的は何であれ楽しく制作できることが一番であることを肝に銘じよう。