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裁判員制度

登録日:2011/10/17 Mon 21:56:42
更新日:2026/08/03 Mon 17:15:38
所要時間:約 8 分で読めます




裁判員制度(さいばんいんせいど)」という言葉を、おそらく皆はニュースなどで聞いたことがあるのではないだろうか。


これは決してアニヲタ民やWiki篭りにとっても他人事ではなく、これから関わる人、もしかしたらもう関わっている人もいるかもしれない。

ここではそんな身近になりつつある裁判員制度について説明しよう。


目次


【概要】



裁判員制度とは、広く国民に司法制度に関心をもたせることを主とした目的で導入された制度である。

裁判員制度が導入されるまでの刑事裁判は、司法の専門家である法曹三者(裁判官・検察官・弁護士)によってのみ審理されてきた。
これは、事件の全貌を細部まで明らかにする、いわゆる「精密司法」と呼ばれるものである。

しかし、裁判が長引いたり、判決文が難しくてよく分からなかったりと、国民に司法が敬遠されてしまっていた現実があった。
さらに、警察や検察の違法な取り調べや自白強要で、冤罪を生んでいたことが問題視されてもきていた。

そこで分かりやすく、迅速に国民の意見を反映させて冤罪のない裁判を行うために、三権の一つ・司法への国民参加が必要と認識されてきた。


【特徴】



よく、裁判員制度はアメリカイギリスの陪審制と比較される。
実際に、当初は陪審制を導入する案もあった。戦前に一度導入したものの、

「つか陪審制って日本の気質に馴染まなくねwwwwww」

「は???そんなもん導入したら審理が雑になんだろks」

みたいな意見が結構多かったため、廃止された過去もあったりした。
結果として、ドイツやフランスの参審制に近い裁判員制が提唱された。

そして2004年に裁判員法が制定され、2009年からスタートした。

具体的な裁判員制度の特徴としては、
  • 候補者は選挙人名簿に載っている20歳以上の人間の中からくじ引きで決まる
  • 各裁判を担当する裁判員もくじ引きで決める
  • 第一審のみ担当
  • 6人の裁判員と3人の裁判官で実施*1。有罪判決は多数決だが、必ず裁判員と裁判官双方から賛成の人が出なければ行けない。
  • 有罪の場合は量刑まで決定する(陪審制は有罪か無罪かのみ)
  • 一定の重大犯罪を扱う
などが挙げられる。
一定の重大犯罪とは
  • 死刑または無期懲役が法定刑に含まれている犯罪
  • 故意の犯罪行為により被害者を死亡させた犯罪*2
となる。


【裁判員になれない人】



裁判員候補者は選挙人名簿から無作為に選ばれるが、なりたくてもなれない人も。
  • 国会議員
  • 国の行政機関の幹部職員
  • 法曹関係者(裁判官とか弁護士、経験者も含む)
  • 法律学分野を専門とする研究者
  • 地方自治体の首長(市区町村長や都道府県知事のこと)
  • 自衛官や警察官
  • 被告人や被害者の親族*3
  • 禁固刑以上の刑に処せられた人
  • 逮捕または勾留を受けている人
他にも色々いるが、これらに当て嵌まる人は幸運にも裁判員になることが出来ない。
候補者のリストを作る段階で弾かれているし、万一うっかり弾かれずリストに載って声がかかってしまっても判明次第弾かれることとなる。


【裁判員を辞退できる場合】


裁判員候補者になったら指定された日時に「選任手続」で裁判所に呼び出されるので、行かなければいけない。
呼び出された先で事件や裁判員裁判などについて大まかな説明を受け、くじで選任するかどうかが決められる。

基本的には裁判員に選ばれたら辞退することはできない。しかし例外はある。
  • 70歳以上の人
  • 学生
  • 重いケガや病気を患っている人
  • 親族や同居人の介護や養育が必要な場合
  • 大企業の重役でその人の代わりを出来る人間がおらず、休むと大きな損害が出る場合
  • 父母の葬式などの重要な用務がある場合
  • 直近5年以内に裁判員をやったことがある場合
などの事情を申し出て認められれば、裁判員を辞退することが可能である。

単なる会社員であれば辞退の理由にはならないが、裁判員のための休暇を企業は与えなければならない。
有給か無給かは企業によるが、無給でも裁判員として働いた報酬はもらえる。もちろん本来の有給を切る必要はない。
休んだことで昇進や査定に響かせるのもルール違反である。裁判員以外の理由にかこつけて響かせる企業はあるかもしれないが

「ゲ、ゲームの発売日が……」
「あ、その日お気に入りのアイドルとの握手会あるんでムリっす」
「声優さんのライブあるんじゃコラァァァァァァッ!」
「ハハッ、悪いね?その日は冬コミなんだよ。」
とかは理由として認められない。*4あきらめましょう。

……え?あきらめず無視して選任手続をバックレる?正当な理由なしに無断で欠席したら、10万円以下の過料が課せられても文句は言えない。
もっとも、出席者だけで裁判員は足りるため、選任手続をばっくれたことで実際に過料が課せられた事例は今の所ないようである。「嫌がってるならいいか」ということで、検察官や弁護人が「不選任にしてください」と言ってくれることもなくはない


【問題点】



裁判員制度が始まって以来、実に132,000人以上(2025年6月現在)がこの制度に参加した。
実際に裁判員を経験した人の大多数がよい経験だったと述べる。

判決では、性犯罪に対する刑が今までよりも重くなった一方で、介護殺人の刑が軽くなるなどといった判決は市民感情を反映しているだろう。


しかし、次のような問題点・批判もある。
  • 「ド素人が審理に参加するとさぁ、裁判官の負担が増えんだよねー。」
  • 「弁護士や検察官も、裁判官相手なら法律分かってるの前提に色々言えるけど、裁判員いると一からわかりやすく説明しなきゃ行けなくて大変なんだよ…」
  • 「ぶっちゃけ妥当な判決出にくくね?」
  • 「裁判員の心証次第で量刑変わるとかいつからこの国は人治国家になったんすか?wwwwww」
  • 「裁判早めるために公判前手続導入されたけど、短期集中過ぎて審理経過に応じて証拠の追加とかがしづらい。かえって慎重な審理できないって本末転倒なんじゃ……」
  • 「性犯罪の被害者のプライバシーが心配なんですけど!!!」
  • 「実物の死体写真を証拠として見せられてPTSDになった…」
  • 「変な人たちに特定されて『被害者を踏みにじるフトウハンケツを出した無罪病裁判員!』とか晒されるんじゃ…」
  • 暴力団みたいな犯罪組織に仲間を死刑にした裁判員として特定されてお礼参りされるかも…」*5
なんて声も。

さらに裁判のいろはも知らない一般人の為、偏見も混じる。
  • 「ブサメンはキモいから有罪で良いよね^^」
  • 「こんなイケメンが犯罪者なわけが無いし絶対に無罪!」
  • 「障害者を世間に受け入れるのが難しい中で犯罪歴ありとなると市民感情として共存は不可能。その一般市民のためには法廷上最大の量刑を課すしかない」*6
  • 「犯罪者は皆殺しにしろ!!情状酌量したい?何であれ犯罪者は死刑!!」
とこんな具合。
ネタや誇張かと思うかもしれないが、表現はともかく実際審議の現場でこういう意見が出たりしている。
もちろん、特に有罪判決を言い渡す場合には裁判官の賛成も必要なので、あまりに極端な意見には歯止めがかかる。
しかし、裁判官による歯止めも行きすぎれば市民感覚を反映する裁判員制度の趣旨が台無しになるので、あまり強く抑制はしていないようである。

他にも、無断欠席をした場合は過料が課されるにもかかわらず、無断欠席の多さが問題視されている。
ところが上記の通り、無断欠席者に対して過料が課された例は今の所ない。過料を取っても手続コストがバカにならず、とても払えない立場の人*7も多いと推測されているのと、裁判員制度に無用な反感を持たれにくくするためと言われている。
一方で単なる逃げ得になってしまっていることを危惧する声も少なくない。
もちろん、無断欠席は法律に反することであり、安易な考えで無断欠席していい訳でない。そこは勘違いしないように。司法の判断によっては最初の例になってしまう可能性は充分にあるのだ。

このように、まだまだ課題は多いのだ。


【備考】



長い審議が終わって解放されても、裁判に携わった身としての一生の守秘義務を負う事になる。
そう、評議での意見の内容や関係者のプライバシーは人に話してはいけないのだ。(法廷の出来事ならば大丈夫)
守秘義務違反は6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられるのでご注意を。*8
とはいえ裁判員バックレと同様、守秘義務違反の罰則が下された裁判員の事例も今の所ないが。

裁判員に選ばれる確率は候補者リストに載る確率がおよそ300分の1、最終的に裁判へ出る確率はそこから10分の1である。


【裁判員を扱った作品】



SIMPLEシリーズ随一の骨太なアドベンチャーゲーム。
「誤った裁判に対する怨恨で成仏できずにいる幽霊」となって裁判員になった人たちに憑依し、裁判を正しい方向に導く。
この世界では双葉理保が裁判員制度のキャンペーンガールになっているらしい。

  • サマヨイザクラ~裁判員制度の光と闇~(漫画)
合間に簡単な解説が載っているので入門書としておすすめ。

舞台は2026年だが裁判員制度が導入されておらず、作中でテストケースが扱われる。
司法に民意を取り入れるという理念は同じだが、内容は現実のものと異なるため注意*9
もともと裁判員制度の運用開始直前に発売ということで、それを前提に要素を組み込んだとのこと。一方で「急遽裁判員制度の要素を組み込んだためにミステリとしてシナリオが破綻したのではないか」という否定的意見も結構見られた*10ため、想定通りに受け取られたかと書けるかと言われると困るところも…。
ゲームとしては、話の最後に視点が裁判員のひとりに移り、被告人の【有罪】か【無罪】かを選ぶだけ。裁判自体は主人公達が進めてくれるので、裁判員としてのゲーム性はない。
同シリーズの大逆転裁判では19世紀ロンドンを舞台として、陪審員制度がゲームシステムとして登場する。

  • 有罪×無罪(ゲーム)
2009年……というか、日本でまさに裁判員制度が始まった2009年5月21日当日に発売された、ニンテンドーDS用ゲーム作品。
現実で裁判員に選任されるのを待つことなく、裁判員を疑似体験できる。

  • 魔女裁判(テレビドラマ)
裁判員の弱みを握って脅迫し、裁判員を思いのままに操ろうとする謎の組織が暗躍するドラマ。
決して荒唐無稽とは言えない……かも。

  • 裁判員制度~もしもあなたが選ばれたら~
2005年11月9日に公開された裁判員制度広報用ビデオ。
広報用ビデオとは言えど、中村雅俊、西村雅彦、加藤夏希、金子貴俊などといった豪華なキャスティングとなっている。

  • 古墳ギャルのコフィー ~12人と怒れる古墳たち~
秘密結社鷹の爪』でお馴染みの蛙男商会制作の短編フラッシュアニメ。同社が手掛ける『古墳ギャルのコフィー』の短編劇場版で、『秘密結社 鷹の爪 THE MOVIE II~私を愛した黒烏龍茶~』と同時上映された*11
陪審制度を題材にしたテレビドラマ「12人の怒れる男」のパロディ作品であり、こちらは当時発令を前にした裁判員制度を題材にしている。
地味に陪審員制度と裁判員制度の違いの説明が分かりやすいと評判。
だが、ギャグ作品なうえにいつものFROGMANなので、裁判にかけられたダニエルは器物損壊罪*12死刑判決が出た

Season6 第1話「複眼の法廷」

27巻「立証責任」

アニメ第606話・第607話「法廷の対決IV 裁判員小林澄子」



追記・修正は裁判員制度について考えてみてからお願いします。

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最終更新:2026年08月03日 17:15

*1 制度上、争いのない事件は裁判員4人、裁判官1人で実施することも可能だが、実施された例は今の所ない。

*2 傷害致死罪などは最高でも無期懲役にはならないが、こちらにあてはまるので裁判員裁判となる。

*3 被害者親族については、後にではあるが、まったく別の制度・条文により当該裁判における意見表明が認められたため、条文の話に限ってもそちらの枠で参加した方が望ましいという事情もある

*4 冬コミに関しては一般頒布サークルではなく準備会のスタッフであれば立場次第で「その人の代わりを出来る人間が(職場に)おらず、休むと大きな損害が出る場合」が認められる可能性はある。

*5 一応、裁判員に危害が加えられる恐れがある事件の場合、裁判員裁判でない裁判を実施することができる。

*6 障害者の受刑囚たちの実態・統計がどうであれ裁判所は障害者福祉施設ではない。これもかなり問題あり

*7 極端なケースだが、税徴収の一部が免除されるレベルの貧困家庭の場合、過料に限らず「裁判所に納めるべきお金」全般がそもそも払わせようのないことはありうる。こういった場合に無理に徴収しない内規や法解釈が「原告相当の人物による自力制裁」という最悪の事態に繋がったのが高田馬場配信者殺人事件。

*8 ただしこれについても、同じく裁判に関わる裁判官に比べて義務の内容が不当に重いという批判意見が存在する。裁判官はというと、情報漏洩しても刑事罰自体は課されないし、退官すれば守秘義務が消滅するという違いがある。またもう一つの批判として「全部アウトだと『有益な経験談』も差し止めることになってしまい、かえって制度の定着や、本来の導入趣旨である「一般人に裁判システムへの理解を促したい」に対して悪影響になりかねない」というものもあるにはある。

*9 もっともこれについては『逆裁1』の時点でゲーム進行上現実から離さざるを得なくなった部分を「現実とは法規やその運用が異なる」として説明をつけていた

*10 第3話以降の一部シナリオを指しての「裁判員制度の要素を入れるためにやむなく真犯人を本来提出された脚本から変更した(ために推理ゲームとしても読み物としても解決されずに終わるムジュンが発生している)」という都市伝説が著名

*11 TV放映時もセットになっていることが多いため、厳密には『私を愛した黒烏龍茶』の前座オマケパートが『怒れる古墳たち』という扱いの様子

*12 ただし実質的には「工場に対するテロ未遂」