裁判員制度

登録日:2011/10/17(月) 21:56:42
更新日:2024/06/17 Mon 04:27:19
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裁判員制度という言葉をおそらく皆さんはニュースなどで聞いたことがあるのではないだろうか。


これは決してアニヲタ民にとっても他人事ではなくこれから関わる人、もしかしたらもう関わっている人もいるかもしれない。

ここではそんな身近になりつつある裁判員制度について説明しよう。



【概要】



裁判員制度とは、広く国民に司法制度に関心をもたせることを主とした目的で導入された制度である。

裁判員制度が導入されるまでの刑事裁判は、司法の専門家、法曹三者(裁判官、検察官、弁護士)によってのみ審理されてきた。
これは、事件の全貌を細部まで明らかにするいわゆる「精密司法」と呼ばれるものである。

しかし、裁判が長引いたり、判決文が難しくてよく分からなかったりと、国民に司法が敬遠されてしまっていた現実があった。

さらに、警察や検察の違法な取り調べや自白で冤罪を生んでいたことが問題視されてもきていた。

そこで分かりやすく、迅速で国民の意見を反映させて冤罪のない裁判を行うために、三権の一つ・司法への国民参加が必要と認識されてきた。



【特徴】



よく、裁判員制度はアメリカやイギリスの陪審制と比較される。実際、当初は陪審制を導入する案もあった。戦前に一度導入したものの、

「つか陪審制って日本の気質に馴染まなくねwwwwww」

「は???そんなもん導入したら審理が雑になんだろks」

みたいな意見が結構多かったため廃止された過去もあったりした。
結果として、ドイツやフランスの参審制に近い裁判員制が提唱された。

そして2004年に裁判員法が制定され、2009年からスタートした。


具体的な裁判員制度の特徴としては、

  • 候補者は選挙人名簿に載っている20歳以上の人間の中からくじ引きで決まる

  • 各裁判を担当する裁判員もくじ引きで決める

  • 第一審のみ担当

  • 6人の裁判員と3人の裁判官で実施

  • 量刑まで決定する
(陪審制は有罪か無罪かのみ)

  • 重刑となりうる事件を扱う


などが挙げられる。
重刑になりうる事件とは殺人、傷害致死、強盗致傷、放火……等々。どれも死刑や無期懲役に相当する重大な刑事裁判。



【裁判員になれない人】



裁判員候補者は選挙人名簿から無作為に選ばれるが、なりたくてもなれない人も。

  • 国会議員
  • 国の行政機関の幹部職員
  • 法曹関係者(裁判官とか弁護士)
  • 法律学分野を専門とする研究者
  • 地方自治体の首長(市区町村長や都道府県知事のこと)
  • 自衛官や警察官
  • 被告人や被害者の親族
  • 禁固刑以上の刑に処せられた人

これらに当て嵌まる人は幸運にも裁判員になることが出来ない。
候補者のリストを作る段階で弾かれている。



【裁判員を辞退できる場合】



基本的には裁判員に選ばれたら辞退することはできない。しかし例外はある。

  • 70歳以上の人
  • 学生
  • 重いケガや病気を患っている人
  • 親族や同居人の介護や養育が必要な場合
  • 大企業の重役でその人の代わりを出来る人間がおらず、休むと大きな損害が出る場合
  • 父母の葬式などの重要な用務がある

などは認められれば裁判員を辞退することが可能である。

単なる会社員であれば辞退の理由にはならないが、裁判員のための休暇を企業は与えなければならない。
有給か無給かは企業によるが、無給でも裁判員として働いた報酬はもらえる。もちろん本来の有給を切る必要はない。
休んだことで昇進や査定に響かせるのもルール違反である。裁判員以外の理由にかこつけて響かせる企業はあるかもしれないが

「ゲ、ゲームの発売日が……」

「あ、その日お気に入りのアイドルとの握手会あるんでムリっす」

「声優さんのライブあるんじゃコラァァァァァァッ!」

「ハハッ、悪いね?その日は冬コミなんだよ。」

とかは理由として認められない。
あきらめましょう。
え?あきらめず無視してバックレる?
正当な理由なしに無断で欠席したら、10万円以下の過料が課せられるがそれでもよろしいか?

また、超偏った思想や危険思想の持ち主も参加できない。



【問題点】



裁判員制度が始まり、実に4000人以上がこの制度に参加した。
実際に裁判員を経験した人の大多数がよい経験だったと述べる。

判決では、性犯罪に対する刑が今までよりも重くなった一方で、介護殺人の刑が軽くなるなどといった判決は市民感情を反映しているだろう。


しかし、次のような問題点、批判もある。

「ド素人が審理に参加するとさぁ、裁判官の負担が増えんだよねー。ぶっちゃけ妥当な判決出にくくね?」

「裁判員の心証次第で量刑変わるとかいつからこの国は人治国家になったんすか?wwwwww」

「裁判早めるために公判前手続き導入されたけど、かえって慎重な審理できないって本末転倒なんじゃ……」

「性犯罪の被害者のプライバシーが心配なんですけど!!!」

「実物の死体写真を証拠として見せられてPTSDになった…」

なんて声も。


さらに裁判のいろはも知らない一般人の為、偏見も混じる。

「ブサメンはキモいから有罪で良いよね^^」

「こんなイケメンが犯罪者なわけが無いし絶対に無罪!」

とこんな具合。
ネタや誇張かと思うかもしれないが、表現はともかく実際審議の現場でこういう意見が出たりしている。


他にも、無断欠席をした場合は過料が課されるにもかかわらず、無断欠席が多さが問題視されている。
ちなみに無断欠席者に対して過料が課された例はなく、逃げ得になってしまっていることを危惧する声も少なくない。
もちろん、無断欠席は法律に反することであり、安易な考えで無断欠席していい訳でない。そこは勘違いしないように。
司法の判断によっては最初の例になってしまう可能性は充分にあるのだ。

このように、まだまだ課題は多いのだ。



【備考】



長い審議が終わって解放されても、裁判に携わった身としての終生の守秘義務を負う事になる。
そう、評議での意見の内容や関係者のプライバシーは人に話してはいけないのだ。
(法廷の出来事ならば大丈夫)

守秘義務違反は六ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられるのでご注意を。

裁判員に選ばれる確率は候補者リストに載る確率がおよそ300分の1、最終的に裁判へ出る確率が10分の1。



【裁判員を扱った作品】



SIMPLEシリーズ随一の骨太なアドベンチャーゲーム。
「誤った裁判に対する怨恨で成仏できずにいる幽霊」となって裁判員になった人たちに憑依し、裁判を正しい方向に導く。
この世界では双葉理保が裁判員制度のキャンペーンガールになっているらしい。

  • サマヨイザクラ~裁判員制度の光と闇~(漫画)
合間に簡単な解説が載っているので入門書としておすすめ。

舞台は2026年だが裁判員制度が導入されておらず、作中でテストケースが扱われる。
司法に民意を取り入れるという理念は同じだが、内容は現実のものと異なるため注意。
ゲームとしてはプレイヤーが裁判員のひとりとして最後に被告人の【有罪】か【無罪】かを選ぶだけ。
同シリーズの大逆転裁判では19世紀ロンドンを舞台として、陪審員制度がゲームシステムに関わる形で登場する。

  • 有罪×無罪

  • 魔女裁判(テレビドラマ)
裁判員の弱みを握って脅迫し、裁判員を思いのままに操ろうとする謎の組織が暗躍するドラマ。
決して荒唐無稽とは言えない…かも。

  • 裁判員制度~もしもあなたが選ばれたら~
2005年11月9日に公開された裁判員制度広報用ビデオ。広報用ビデオとは言えど、中村雅俊、西村雅彦、加藤夏希、金子貴俊などといった豪華なキャスティングとなっている。

  • 相棒
Season6 第1話 「複眼の法廷」

27巻「立証責任

アニメ第606話・第607話「法廷の対決IV 裁判員小林澄子





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