親和(MtG)

登録日:2011/01/22(土) 23:39:19
更新日:2020/11/26 Thu 07:37:18
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親和とは、マジック:ザ・ギャザリング(MtG)のキーワード能力の1つ。
及び、それを由来としたデッキタイプの1つ。

概要

親和([文章]) / Affinity for [テキスト]
「この呪文を唱えるためのコストは、あなたがコントロールする[文章]1つにつき(1)少なくなる。」
ルール上、[文章]にはカード・タイプやサブタイプなどパーマネントの特性指定が入る。
つまり、そういう特性のパーマネントが並ぶ事で共鳴っぽい事が起こり、環境に適応して扱いやすくなる、的なフレーバーである。たぶん。

「金属次元」ミラディンの初お披露目と共に登場し、その世界観を反映して、多くが親和の軽減要員にアーティファクトを指定している。
この親和、もとい親和(アーティファクト)によって一貫性を持たせたデッキ構築が、そのままキーワード名を冠したデッキタイプの1つにもなっている。



この「親和デッキ」が、 MtG自体を死に至らしめかねなかったほどの史上最悪のデッキの1つ として暴威を振るう事となる。



Frogmite / 金属ガエル
(4)
アーティファクト・クリーチャー ― カエル(Frog)
親和(アーティファクト)(この呪文を唱えるためのコストは、あなたがコントロールするアーティファクト1つにつき(1)少なくなる。)
2/2

Myr Enforcer / マイアの処罰者
(7)
アーティファクト・クリーチャー ― マイア(Myr)
親和(アーティファクト)(この呪文を唱えるためのコストは、あなたがコントロールするアーティファクト1つにつき(1)少なくなる。)
4/4
主戦力群。
戦場に出てしまえばバニラなのだが、後述のように親和のせいで異常な速度で出てくるため相対的に強力。

Ornithopter / 羽ばたき飛行機械
(0)
アーティファクト・クリーチャー ― 飛行機械(Thopter)
飛行
0/2
親和の種の1つ。右上に(0)と書いてあるアーティファクトの選択肢なら、当時のスタンダード構築環境に限ってさえ他にも幾つかある。
こいつはその中でも数少ないクリーチャーであり、飛行を持っているのでパワーを上げれば殴りに行ける。

Seat of the Synod / 教議会の座席
アーティファクト・土地
(教議会の座席は呪文ではない。)
(T):あなたのマナ・プールに(青)を加える。
禁忌・アーティファクトランド。 単体では《島》と大して変わらない、何も知らなきゃひたすら地味な普通の土地。
タイプ行の見落としやすさも含め、一見すると設計意図が分かりにくいので、元カードからして「アーティファクト・土地はどうプレイするか」の注釈説明が入っている。


アンティキティー以来久しくアーティファクトをテーマにしたブロック「ミラディン」にて登場したこの能力は、環境に多大な影響を及ぼした。
余談だが、ウルザブロックはあの壺とかそのアカデミーとか修繕とか云々で勘違いされやすいものの、テーマ的にはアーティファクト推しではなくエンチャントブロックである。《怨恨/Rancor》や《対立/Opposition》が出身といえば分かるだろう。まあ壊れか使えないかに別れてしまったが。


非常に画期的な能力だったが、マジックにおいてマナに強く影響するカードは危険であることは過去の環境でも証明されていた。
もちろんその予防策もマナ面でやらかしたイニシャル「M・R」の人が関わっているというただし書きが付くがカードデザイナー達によってきちんと配慮されている。

例えば上記《金属ガエル》等の例を見ていただければ分かるように、親和を持つアーティファクトは基本コストが重めに設定されている。
コスト軽減能力によって実際は額面より軽くなるのだから、そこまでは当然と言えば当然。
例えの《金属ガエル》の場合、出た後の2/2バニラという性能は「(3)で出せば結構損、(2)で出せればちょっと得」くらいの水準。
恐らく「上手く回れば効率よくカードを回せるが、逆に上手く回らないとカードを上手く回せなくなるコンボデッキ」として想定して設計されたのであろう。

だが、同時に多数の0マナアーティファクトやアーティファクト土地が登場したことで、その配慮も浅かったことが露呈してしまう。



暴力例


1ターン目

アーティファクト・土地《教議会の座席》をセット。(アーティファクト1つ)

0マナアーティファクト《羽ばたき飛行機械》をプレイ。(アーティファクト2つ)

0マナアーティファクト《溶接の壺》をプレイ。(アーティファクト3つ)

アーティファクトを3つコントロールしているので親和により《金属ガエル》のコストが(3)軽減され、(1)でプレイ。《協議会の座席》からの(青)で支払う。

アーティファクトを4つコントロールしているので親和により《金属ガエル》のコストが(4)軽減され、(0)でプレイ。

あれ、1ターン目に2/2が二体いるのって怖くね?


毎回これに近い驚異的なスピードでクリーチャーを展開できるのが親和デッキである。
「(2)で出して標準以上」というレベルのクリーチャーが 当たり前のように(0)近辺で出てくる のだから尋常ではない。
2ターン目に4/4の《マイアの処罰者》が戦場に出ることすら珍しくない。ストンピィ顔負けの圧倒的な展開力だった。

特にこの《金属ガエル》《マイアの処罰者》、その他《チス=ゴリアの歯》と言った「親和(アーティファクト)を持つアーティファクト」が大問題で、
これらが重なる事により、盤上に存在するアーティファクトの実質的なコスト軽減力が1ターンだけで2マナ分にも3マナ分にも膨れ上がる。
コストを軽減されて出てきたアーティファクトが後続のアーティファクトのコストを減らす。そいつも更に後続のコストを減らすという悪夢のようなスパイラルの状況である。



ここまで見ると一気に手札を放出するので息切れが早いように思えるが、残念。そうは問屋が卸さない。

Thoughtcast / 物読み
(4)(青)
ソーサリー
親和(アーティファクト)(この呪文を唱えるためのコストは、あなたがコントロールするアーティファクト1つにつき(1)少なくなる。)
カードを2枚引く。
要するに1マナ2ドローである。 アンリコよりゃマシだがそれでもマナ効率は異常に高い。実際現在もアンリコと同居していたりする。

Thirst for Knowledge / 知識の渇望
(2)(青)
インスタント
カードを3枚引き、その後、アーティファクト・カードを1枚捨てない限り、カードを2枚捨てる。
親和がないので少々重いものの、3マナインスタントで3枚ドローしつつ手札が増える。
言うまでもなく捨てるアーティファクトには全く困らないデッキなのでまず間違いなく手札が増える。ちょっとでも動きがぎこちなくなるタイミングがあれば綺麗に働いてくれるナイス潤滑油。

こういった優秀なドローカードがミラディンには存在していたため、手札の補充には困らなかった。
実の所、アーティファクト・土地は5色すべてに1枚ずつ存在するのだが、敢えて青担当の《協議会の座席》だけ例に挙げた最たる理由の1つがこいつらである。


もう一つ言うと。

Shrapnel Blast / 爆片破
(1)(赤)
インスタント
爆片破を唱えるための追加コストとして、アーティファクトを1つ生け贄に捧げる。
クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。爆片破はそれに5点のダメージを与える。
要は2マナ5点インスタント。何かがおかしい超火力。
タフネス5は除去範囲内だし、酷い時は4ターン目に2発飛んできて初期ライフの半分が消し飛ぶ。

Disciple of the Vault / 大霊堂の信奉者
(黒)
クリーチャー ― 人間(Human)・クレリック(Cleric)
アーティファクトが1つ戦場からいずれかの墓地に置かれるたび、対戦相手1人を対象とする。あなたは「そのプレイヤーは1点のライフを失う」ことを選んでもよい。
1/1
アーティファクト環境をメタったクリーチャー……のような何か。基本的にアーティファクト使う側が使った方が便利なバーンカード。
誰のアーティファクトが落ちようが一方的に相手のライフだけ失わせる凶悪さで悪評を集める。防ぐ手段の多いダメージではなく防ぎにくいライフロスなのも地味に嫌な点。
親和デッキは後述の鉄喰い虫どものせいで自分のアーティファクトを根こそぎ戦場から墓地にぶち込めるような状態も簡単に出来上がるので、
たかだか1マナのコモンクリーチャーのくせに 5点とか7点とか、上記《爆片破》も含めれば10点以上稼いで相手の息の根を止められる。 「相手のアーティファクトが」という表記をしなかったばっかりに・・・


アーティファクト・土地や《羽ばたき飛行機械》といった置物が前ぶりになしに突如こんな方法で防御無視して飛んでくる事があるため、耐えるのも相当厳しい。
これらの手口は更に激しい消耗を伴うものの、結局のところ場がなくなろうが手札が尽きようがライフ焼き切っちまえば終わりである。
多角的に攻めることが出来るため、防御が難しい事は言うまでもない。


更に、親和を構成するカードの大半はコモン~アンコモンであり、比較的安価でパーツを揃えることができる。
というか雛型となるデッキが構築デッキとして売られていた。

そのため、親和は一気に蔓延。環境は親和一色となった……



が、 それがまだ甘かったことを思い知ることになる。



Bah-roken(ぶ っ 壊 れ)

最初期の親和は、手札補充があるとは言えかなり前のめりに自分の親和(アーティファクト)をアーティファクト土地ありきで殺しに行くため、除去などでの妨害に弱く、
また上記優秀カードの色が散っていて多色になるため、安定性が疑問視されていた。

例えば、こいつ。
Atog / エイトグ
(1)(赤)
クリーチャー ― エイトグ(Atog)
アーティファクトを1つ生け贄に捧げる:エイトグは、ターン終了時まで+2/+2の修整を受ける。
1/2
アンティキティーにも収録されていたクリーチャーの再録であり、当時の親和のサブフィニッシャーの一角。

盤面にアーティファクトが土地含め5つも6つも並んでいれば、こいつを一瞬でも通す事は死に繋がる。先述の通り、ライフ潰してしまえば場は要らないのだ。
能力が噛み合った《大霊堂の信奉者》や同色の《爆片破》と組んで、見た目以上の爆発力で相手本体を抉り取る。


……と言いたい所だが、ザクザク鉄食った所を狙われて《恐怖》辺りでも撃たれりゃ打点が通る事もなくいろんなものを失って終わりである。
また上記の通りアーティファクト土地ならなんでも突っ込んでいる上に、青・黒・赤と多色にならざるを得なかったため、フィニッシャーのエイトグが出せないどころか「色事故を起こして1体の《金属ガエル》しか出せない。」なんてこともあり得たのだ*1
こういった所に初期型親和の脆さはちらついており、「強いには強いが、まあメタりようはあるし、まだやり取りに付き合ってくれてる代物」で済んでいた。
のだが…。


ミラディン・ブロックの第2エキスパンション「ダークスティール」の登場から、事情は変わる。





Skullclamp / 頭蓋骨絞め
(1)
アーティファクト ― 装備品(Equipment)
装備しているクリーチャーは+1/-1の修整を受ける。
装備しているクリーチャーが死亡するたび、カードを2枚引く。
装備(1)((1):あなたがコントロールするクリーチャー1体を対象とし、それにつける。装備はソーサリーとしてのみ行う。このカードはつけられていない状態で戦場に出て、クリーチャーが戦場を離れても戦場に残る。)
論外。
詳細は当該項目にて。ちょっとだけ触れておくと、打点が増えるし殺してもアドが増えるし自分のクリーチャーを自ら捧げてもアドが増える。理解不能。
公式プレビューで「ダークスティールで一番の壊れカードはこれ?」と言われた逸話が有名だが、 じゃあなぜ刷ったのか。

Arcbound Ravager / 電結の荒廃者
(2)
アーティファクト・クリーチャー ― ビースト(Beast)
アーティファクトを1つ生け贄に捧げる:電結の荒廃者の上に+1/+1カウンターを1個置く。
接合1(これはその上に+1/+1カウンターが1個置かれた状態で戦場に出る。それが墓地に置かれたとき、アーティファクト・クリーチャー1体を対象とする。あなたは「その上にそれらの+1/+1カウンターを置く」ことを選んでもよい)
0/0
無色でありながら《エイトグ》の上位互換に近い化け物。瞬間爆発力は劣るが、安定性の面ではこちらの圧勝。
《エイトグ》と違って恒久的な強化になるため、「除去に狙われた等の理由でどうしたって壊れる」アーティファクトを無駄なく打撃力に変換できる。
加えて、ほぼ常時起動できることと「対象不適正のルール」により、殆どの「アーティファクトデッキ自体に痛手を与える対策」を「ただ除去するだけの平凡な除去」以下にしてしまう。
こいつ自身もアーティファクトなのでその庇護下にあり、《大霊堂の信奉者》共々「戦場から墓地に置かれたとき」能力を持つにも関わらず、その能力を追放などで防ぐことができない。
おまけに接合能力で打点を移すことが出来る。飛行持ちの《羽ばたき飛行機械》や《ちらつき蛾の生息地》なんかに乗ろうもんなら……
って言うか、自身の能力で自爆して乗せに来る事さえある。
また上記の頭蓋骨絞めとの相性も抜群で、絞めを装備したクリーチャーをこいつでサクれば 2枚引いた上にカウンターが乗る。
こいつと上記の頭蓋骨絞めのせいで「単体除去を唱えると、なぜか唱えた側が損をする」という意味不明な事態になった。
そして無色2マナのアーティファクト・クリーチャーなので《エイトグ》とは違いマナ事故はもちろん色事故とは無縁である。これはひどい。

AEther Vial / 霊気の薬瓶 (1)
アーティファクト
あなたのアップキープの開始時に、あなたは霊気の薬瓶の上に蓄積(charge)カウンターを1個置いてもよい。
(T):あなたの手札にある、点数で見たマナ・コストが霊気の薬瓶の上に置かれている蓄積カウンターの数に等しいクリーチャー・カードを1枚、戦場に出してもよい。
クリーチャー専用の踏み倒しができるアーティファクト。
設置してから1ターン後じゃないとカウンターが乗らず、1度カウンターを増やしてしまえばより小さなマナコストのクリーチャーは出せなくなってしまう等弱点はあるがそんなものデメリットになってないほど強い。
これ自体が1マナと軽いため1ターン目に出すことができ、直接戦場に出すため打ち消しをかいくぐることが出来、そもそも親和デッキの親和を持たないクリーチャーなんて大抵1マナか2マナなので殆ど問題にならない。
また出す時に参照するのは点数で見たマナコストだけなが大問題で、黒マナが一切でない状況で《大霊堂の信奉者》を出すなんてことも可能。
つまり クリーチャーの色事故をこのカードだけでほぼ克服 してしまったのだ。
本当にカウンターを置く暇が無くたって、こいつも例によってアーティファクトなので最悪《電結の荒廃者》や《爆片破》の餌になるくらいは出来る。

これらの登場により、超高速アグロデッキである親和は、生半可なアグロ対策(攻め手への除去等)を片っ端から克服し、
妨害耐性、色マナ供給の両方において安定性に欠けるという問題を殆ど解決してしまった。
《電結の荒廃者》の名から電結親和と称されるようになった親和デッキは、当然の如く瞬く間に環境を荒廃させ、
ブロック構築は言うまでもなく、エクステンデッドやレガシーでも猛威を振るった。


あまりにぶっ壊れていたためか、2004年6月20日に《頭蓋骨絞め》はスタンダード及びブロック構築で禁止カード指定を受ける。
MtGの原則、禁止カードはそもそも刷らないスタンスのスタンダード構築で禁止カードが出るのだから相当な事態である。

これにより歯止めが掛かるかと思われたが……その数日前に、新エキスパンションのミラディンブロック第3エキスパンションであるフィフス・ドーンから追撃の刺客が来ていた。



Cranial Plating / 頭蓋囲い
(2)
アーティファクト ― 装備品(Equipment)
装備しているクリーチャーは、あなたがコントロールするアーティファクト1つにつき+1/+0の修整を受ける。
(黒)(黒):あなたがコントロールするクリーチャー1体を対象とし、それに頭蓋囲いをつける。
装備(1)
上記暴力例でも見せたように、親和デッキは普通にアーティファクトが4つ以上出る。それを踏まえて、実際どの程度の修整が乗るのか軽く想像してみよう。
具体的な値は分からなくても、2マナで置いて1マナで装備しちゃいけない殺意が追加される事は何となく分かる筈。

この《頭蓋囲い》が、禁止された《頭蓋骨絞め》の枠にすっぽり収まった。
これにより本来パワー1以下の《羽ばたき飛行機械》や《ちらつき蛾の生息地》が パワー6以上の大型フライヤーにしてフィニッシャー となって2、3ターン目から殴りかかる事態に。

《頭蓋骨絞め》のドロー能力による継戦能力を失ったものの、親和には元々先述のドローカードがあるため致命的ではなく、
元々長期戦とは無縁なアグレッシブだったデッキの性質もあって、圧倒的な暴力を得たメリットは他デッキを蹂躙するに充分過ぎた。
頭蓋骨絞めの禁止カード指定など、全く歯止めにならなかったのである。



メタゲームと環境

そんな親和ではあるが、当然ながら弱点も存在する。

一つは、マナ基盤が貧弱な点。
親和による軽量化も含め、デッキ全体が極めて軽いため、土地は20枚前後しか入らないことが多い。
さらに土地の多くが壊されやすいアーティファクト・土地であり、色の統一は二の次、
結果、相手の除去にせよ偶然にせよ色事故が起こりやすい。
最序盤ならここが攻め所になる(ただし薬瓶親和というタイプは耐性がある)。

もう一つは、親和の対策となりうるカードがある点。
当時のスタンダードだけでも《減衰のマトリックス》や《機械の行進》という出されるだけで致命的なカードがあった。
Damping Matrix / 減衰のマトリックス
(3)
アーティファクト
アーティファクトとクリーチャーの起動型能力は、それらがマナ能力でないかぎり起動できない。
起動型能力で装備しなきゃ始まらない装備品が概ね死ぬ。《電結の荒廃者》も相当縛れるし、一応《エイトグ》も同様。
残念な事にアーティファクトランドの能力はマナ能力なので、すでに場に出ているアーティファクト・クリーチャーによる攻撃は記述通り止まらないが。

それでも親和が蔓延る環境においては活躍が約束されているため 「《頭蓋骨絞め》か《減衰のマトリックス》が入ってないデッキはデッキじゃない」 という名言(迷言?)が残る逸品。

March of the Machines / 機械の行進
(3)(青)
エンチャント
クリーチャーでない各アーティファクトは、パワーとタフネスがそれぞれ点数で見たマナ・コストに等しいアーティファクト・クリーチャーである。(クリーチャーである装備品(Equipment)をクリーチャーに装備することはできない。)
装備品は注釈の通り装備不可能になるし、 アーティファクトランドを含む0マナアーティファクト勢は0/0クリーチャーと化して即死する。
本来はもっと能動的に変態コンボするための典型的なコンボカードなのだが、まあそれはそれとして親和もブッ刺せる。

フォーマットが変われば《無のロッド》《石のような静寂》と更に増える。後者はかなり後の時代になるが。

いずれにせよ「装備や土地を恒久的に機能不全にしつつ、アーティファクトである他パーマネントも迫害」という対策が主となる。
元はと言えば、アーティファクト・土地なんてアイデアが通ってしまった事自体、このように土地が脆くなるデメリットを考慮したからこそ。適正には機能しなかった訳だが。


もっとも、ではそういう対策をすれば親和を倒せるのかと言うと、特にスタンダードではそのまま「はいそうです」とは言えなかった。
何せ超高速ビートダウンデッキである。運が悪いと 先攻4ターン目辺りに《爆片破》等の追撃で殺されてしまう くらいにはライフを削る能力が高い。
置くだけで3~4マナかかり、既に展開された《マイアの処罰者》等には直接対応できない《減衰のマトリックス》等は、単体では充分な対策足りえないのだ。

よって、致命的メタカードを叩きつけるまでの時間稼ぎにさえ軽いメタカードが必要となり、
デッキ全体で一瞬の隙も見せる事なく銀色の軍勢を捌くため、普通なら腐る可能性のあるアーティファクト対策カードが多くのデッキでメインから投入されるのを強制され、
緑に至ってはメインに《酸化》、《ヴィリジアンのシャーマン》、赤では《爆破》や《炉のドラゴン》が投入され、サイドには更なるアーティファクト破壊・親和対策、というのがザラだった。
これでようやく五分 とかそんなんである。もはやメタゲームを半分放棄している気さえする。



ところで。
「ようやく五分」であり、「半分放棄」なのだ。
MtG史上最凶の狂人の時間遊びのような、 「もう全部諦めて同デッキで張り合うしかねえ」「ミラーマッチに強い同デッキが最強」と言う程の絶望レベルには至ってないのである。

《頭蓋骨絞め》があった最盛期ですら、プロレベルの大会では当然のようにガンメタされて「親和要素を持たない親和対策デッキ」が上位を取りに行ける事が多く、
後の時代のどっかの32人だの69%だののような使用率・支配率など夢のまた夢、寧ろ禁止がなかったスタンダードでこれより酷い時期もあった、程度の大人しさではある。
プロがガチでやり合う環境に限って言えば。

だが、ちょっと待ってほしい。
その親和対策デッキ、 組むのに幾らかかる?



先述の通り、親和デッキはベースとしては構築済み1個買えば半分くらい出来上がっちゃう、コモンアンコ大量の超安価デッキである。同じデッキ4つ買えば古いタイプではあるが環境級のデッキが組めてしまう。
(もちろんガチ組みすれば相当量のトップレアを積むので結構な値になるが、カジュアルでプレイする程度ならそこまでする必要はない。)
で、先述の通り、やりたい事の何割かを諦めるほどに親和メタることしかできない、普通はつまらないと感じるデッキは「ようやく五分」なのである。
安価親和相手ならもう少し上かも知れんが、それでも対策が間に合わず瞬殺されることも度々ある。
そのガチ対策には結構な量のレアカードも含まれる。当然ガチで通じるレベルなので値が張る。




……

正直、草の根カジュアルMtG環境とかで、親和殺すためだけのデッキに数万積んで、5000円しないような貧乏親和に瞬殺の恐怖に怯えながら相手して楽しいかというと……

ましてや、カジュアルでの友達とのわいわいプレイで対策を適切に活かすためにサイドボードまで使って容赦なくガンメタまでしたいかと言うと……



同じ五分前後ならコスト数千円でミラーマッチした方がマシですわ。



そんな訳で、この環境は大量のライトプレイヤーに「今(当時)のMtGはつまらない」と思わせ引退させつつ、
残りも殆どが費用対効果的に一番マシな親和で辛うじて食いつなぐように遊ぶ状態に陥り――
MoMaの冬以来の惨状、 親和の冬 が訪れたのであった。

無論、いくらマシとはいえいつまでも同じデッキで同系デッキ同士と遊んで何度も何度も同じ面子に遭遇し続ければ飽きるプレイヤーやうんざりするプレイヤーも当然出続ける。
にも関わらず、勝つために全力なプロ同士の大会では(親和vsアンチ親和とはいえ)何とかまともなゲームやってるように見える。
つまり こんだけ客が苦しんでいるのに、WotCから見ると決定的な対策を取るほどでもないように見えてしまう のだ。



この惨事の最中にミラディン・ブロックの次――神河ブロックが始まっているのだが、
(ここまで見てきた方々なら何となくニュアンスは分かると思うが)親和デッキというものは 極端なシナジーデッキ でもあり、
ミラディンの世界観に後押しされた軽いアーティファクト及びアーティファクトシナジーカード以外が入る余地は 皆無に等しい。

加えて、反動でも出たのか神河のカードの多くは異常にカードパワー水準が低く、
「カジュアルで勝ちたいなら親和使い続ければOK、神河なんか要らね」という判断を下される事に。結果環境はほとんど変化しなかった。
そんなもんだから尚更飽きるプレイヤー、うんざりするプレイヤー、 WotCに絶望するプレイヤー も増える。



結果、MtGのその時期の売上は壊滅的に減少したという。
WotCの経営が傾いた とまで言われる。
…神河ブロックで登場した「伝説」とか「反転カード」がプッシュされていた割に肝心のメカニズムが良くなかったり、フレイバー的に神河が意味不明だったり、他にも原因はあるんだけどね。
プレイヤー数の減少は深刻で、神河や更にその次のラヴニカのカードは流通量が少なく、結果今になって値段が高騰してるとかなんとか…



後始末

経営に直接響くというあまりの大惨事に、流石のWotCもようやく事態の深刻さに気付き、2005年3月20日、DCIは親和の主要パーツとなるカードをスタンダード構築で片っ端から禁止した。
爆発力の実質的な主要因になっている青・赤・黒のアーティファクト・土地、対処を困難にしていた《電結の荒廃者》《大霊堂の信奉者》に加え、
親和で全く使われていなかった緑マナ用のアーティファクト・土地《伝承の樹》、白マナ用の《古えの居住地》、破壊不能持ちで除去されにくいものの無色マナしか出ない《ダークスティールの城砦》まで、
もはや代理・妥協で使われ、環境に顔を出す事すら認めない、親和を殺すことこそが禊だとでも言わんばかりに、かなり念入りな禁止措置が下されている。

《頭蓋骨絞め》も合わせれば、本件におけるスタンダード禁止カード総枚数は 9枚 にものぼる。
この枚数は、かつてスタンダードで大量の禁止カードを輩出したウルザブロック期をも超える。

さすがに、これにより親和は息の根を止め……

なかった。

アーティファクト・土地からの異常な親和カード展開などは崩壊したが、《羽ばたき飛行機械》が禁止された訳でも、《金属ガエル》が禁止された訳でもなかった。《頭蓋囲い》も健在だった。
強力なパーツこそ失ったものの、それでもトーナメントで優勝したという(マナバーンvol.7より)。
禁止カードの施行により「もうメインから親和対策しなくて大丈夫だな」と考えたプレイヤーに奇襲を決めたのだ。ここに来てまさかの(まさに?)メタゲームである。

とは言え残念ながら再びスタンダードの第一線に返り咲くことは出来なかったが、
もう少し力が残っていれば、MoMaのように再び環境を席巻したことだろう。
まあ、そんな事にならないための徹底的禁止であって、力が残る余地があったらそっちも一緒に禁止喰らってただけの話だろうけど。



ちなみに、いよいよもって親和もといミラディン・ブロックのスタンダード落ちを迎えようとする頃に、神河ブロック3つ目の神河救済でようやく来たのがこいつ。
Kataki, War's Wage / 戦争の報い、禍汰奇
(1)(白)
伝説のクリーチャー — スピリット(Spirit)
すべてのアーティファクトは「あなたのアップキープの開始時に、あなたが(1)を支払わないかぎりこのアーティファクトを生け贄に捧げる。」を持つ。
2/1
……うん、まあ、性能的にはまあまあ文句なく効くけどね?
でもさ、親和は既に大量禁止で衰弱・激減してるし、程なくしてスタンダードから落ちるし、今更スタンダード環境で対策追加する必要があるかというと……


ミラディンで親和の大暴れを目の当たりにして、禁止での即時処刑は渋っていたWotCも、対策カードなら慌てて作ってはいたのだが、
開発・出荷工程の関係上、 実際に世に出られたのは殺すべき相手が寿命を迎える間近になってしまった のであった。
もっとも、下環境でこの手のアーティファクトデッキを懲らしめるために大活躍できるカードなので、「刷った事が無駄」とか言う程でもないが。その後再びミラディンを訪れた時に刷られたダメージカードで採用率が減ったのは何の因果だろうか。





スタンダードを終えて、現代そして今後

以上、ここまでだいたい当時スタンダードの昔話。

現在、親和は活躍の場をモダンに移している。
かつてのキーパーツが軒並み規制されている事もあり、既に「親和」と書かれているカードが《物読み》ぐらいしか無いため、青茶単タッチ赤アグロ【Robots】と呼ばれる事も多い。
青は確定だが《バネ葉の太鼓/Springleaf Drum》や《オパールのモックス/Mox Opal》のお陰で何色でも出せるので、タッチでもう1色追加することも可能。
かのミラディンを再訪した「ミラディンの傷跡ブロック」で大量の新規戦力を手に入れており、「メイン最強デッキ」の称号もある。
モダンのデッキを考える時はまず「【親和】の序盤に耐えられるか」「サイド後に【親和】への対抗手段を仕込めるか」から始まるとか。
そしてそれ以上に「次の大会に【親和】がいるのか」を考えるのが最大の対策。メタゲームの変遷で定期的に増えたり減ったりするので上手く波を掴んで対処したい。
逆に親和が来ないと考えられる時に使えれば大会上位も夢じゃない。
幸いモダンではアーティファクト対策が豊富だったり、安定した異常な速度の即死デッキではない事から、【親和】もなんとか存在を許されているようだ。
2016年のモダンでは【エルドラージ・アグロ】とまさかの2強を形成。プロツアー・ゲートウォッチの誓いではTOP8に2人を送り込んだりもしている(ただし残り6人が【エルドラージ・アグロ】)
2017年も環境の変わり目で対策が薄くなった時を狙ってグランプリで優勝していたりもする。
環境の抑止力として長らく居座ってはいたが、まず2019年に灯争大戦において、対戦相手だけ《無のロッド》にする《大いなる創造者、カーン/Karn, the Great Creator》が登場。これが3ターン目辺りに出てくるデッキが増えたものだから大幅に弱体化する。
そして2020年1月には、《オパールのモックス》が2020年に禁止指定を喰らってほぼ壊滅してしまう。カーンは相方が禁止されて本人生き残ってるのに…
【ウルザ】系デッキが幅を効かせたとばっちりではあるが。

レガシーやヴィンテージにも、系譜を引き継いだものが独特の進化・適応を遂げて地道に生きている。
レガシーでは《バネ葉の太鼓》等を利用して展開速度を上げ、「2ターン目から《頭蓋囲い》で殴り飛ばす」「《エイトグ》を《投げ飛ばし》する」等の速攻・爆発力特化型が主。
《電結の荒廃者》は禁止されてないのだが、戦線維持・防御力にスペックを割り振っていて若干遅いため使われないケースも。
しかし親和より早いコンボデッキとそれに対抗するコントロール・クロックパーミッションが存在し、アーティファクト対策カードも豊富なためあまり結果は残せていない。
ヴィンテージでは《頭蓋骨絞め》が無制限。ほぼ最盛期の親和を再現しつつ、Mox等の極悪0マナアーティファクトや《上位の空民、エラヨウ》を取り入れ、
元から軽いヴィンテージの禁忌級呪文や親和で軽量化した呪文を連発して《エラヨウの本質》を開き、相手の抵抗に蓋をする形が多い。
とは言え親和抜きにしてもアーティファクトの溢れる環境ゆえに、アーティファクト対策カードも溢れていて、ついでで機能不全を起こされることもあり、あまり数は見かけない。

また、レアリティが低いカードが多い事から、コモン限定構築環境Pauperにも存在する。
こちらでは素で0マナのアーティファクトが皆無に近くコモンといっても《頭蓋囲い》は禁止ではあるものの、アーティファクト・土地が禁止されていない。
これにより2、3ターン目に《金属ガエル》、その後《マイアの処罰者》と展開し、最後は《エイトグ》を投げ飛ばすというタイプが主流。減ったカードは《物読み》で補充、とスタンダードの【親和】に近い。
また親和(アーティファクト)のカードを大量に使用するため、【Robots】と呼ばれるモダンの【親和】などとは違い「正真正銘の【親和】」という人もいるとか。
その展開力・継戦能力の高さから2017年現在でもトップメタの1つに数えられている。このデッキのためだけに《ゴリラのシャーマン》がサイドに投入され、そのために《ゴリラのシャーマン》の高騰が続いているとも。

果たして、今後親和がどのような進化を遂げていくか、まったく予断を許さない状況が続いていくだろう。



余談

  • こんな事態を招いた主犯の大半が、かつてウルザ・ブロックでやらかして社長室に呼ばれた連中である。
    • 主要デザイナーであるMark Rosewater氏は、ウルザ・ブロックでの失態を振り返り、「カードデザイナーは過去を尊重することを学ばなければいけない。以前に壊れたシステムがあれば、それはまた作っても高確率で壊れている。」という教訓を述べた事がある。 学べや (マナ軽減に関するところとか)
  • 後の時代には、このデッキおよびメカニズムの反省が現れているものが多数存在する。
    • ミラディンへの再訪となる「ミラディンの傷跡」では、この能力の雰囲気を残しつつ、コスト軽減といった邪悪なメカニズムを排した「金属術」という能力語が採用されている。もっとも、これはこれで軽量カードに特盛性能を与えるなど親和とは違った凶悪性を発揮したが。
    • また、ミラディンの傷跡ブロックでは、このようなメカニズムが万一暴走した時のために《忍び寄る腐食》というアーティファクト全破壊カードがサイド用の保険として作られている。他ブロックでも、この手の「一推しテーマを推し過ぎての環境破壊を防ぐ安全弁」デザインが見られる。*2
      ただし、同ブロック最終セットである「新たなるファイレクシア」では、アーティファクトとあまり関係の無い新要素 ファイレクシア・マナ で盛大にやらかしており、様々なフォーマットに大きな爪痕を残してしまった。もうミラディンへの再訪をやめろ。
    • 同様に置物タイプであるエンチャントを世界観に反映したテーロス・ブロックでは、エンチャント・土地は 微塵も考慮されなかった。 要するに没になる以前の段階で切られる論外。
  • 部族をテーマにしたローウィンブロックでは案はあったがアーティファクト土地の再来を恐れて断念したという。
    • 《カルニのハイドラ》《歯車襲いの海蛇》など、メカニズムレベルにならない少量・散発的デザインであれば、同様の能力は許容される。特に《歯車襲いの海蛇》は親和(アーティファクト)そのものと言っていい能力を持つ。
    • 「霊気紛争」では「アーティファクトを1つタップするごとにコスト(1)の支払いに当てられる」キーワード能力「即席」が登場。「親和(アーティファクト)」を1ターンで連続して展開できないように調整された形であるが、結果として「召集」のアーティファクト版とでも言うべき形になったのは面白い(色マナ部分の支払いには当てられないが)。
    • デュエル・マスターズにはシンパシーという構造上同種の能力が登場しているが、参照する軽減要員に並べにくいものが多いなど、土地枠を数えない事を考慮しても壮絶に扱いにくくなっている。サザン・ルネッサンスなんていう親和めいた動きを可能にする奴もいるっちゃいるけど。
  • ダークスティールには親和(平地)など「基本土地タイプを参照する親和」を持ったゴーレム・アーティファクト・クリーチャーのサイクルが登場しており、そちらは普通の強さで結構好意的な評価を得ている。が、いかんせん親和(アーティファクト)に比べると地味。
    • 単純にMtG界隈で「親和」とだけ言うと、概ね「親和(アーティファクト)」の事(もしくはそれを使用するデッキ)としてしか通じない。ルール上の能力の外形自体はアーティファクトに全く関係なく、上記のように優良設計になる余地もあるにも関わらず、台無しにしてしまった形。
  • 親和(アーティファクト)を持つカードは、1枚の例外を除いて青かアーティファクトである。
    • ちなみにその例外は「戦場に出たとき(中略)すべてのアーティファクトを追放する」という物騒な能力を持っているため、単純に親和を活用するほど得なデザインではなく、親和としては異端感がある。ただし同じくミラディンで登場したマナ加速カードと併用して親和対策デッキに採用されたりした。
  • 自身も親和(アーティファクト)を持ちつつ、あなたが唱えるアーティファクト・クリーチャー呪文に親和(アーティファクト)を付与できる手段があるが、 そいつ自身の右上に(11)とか書いてある。 流石の親和能力をもってしてもこれは重過ぎ。
  • 背景設定上、アーティファクト・土地の殆どは固有名と唯一性を有した場所であり、本来なら「伝説の」がついて然るべき存在なのだが、ゲームプレイ上で伝説だと非常につまらなく・扱いにくくなると考えられたため、デベロップの意向で非伝説に設定されたらしい。 しかし結果的に暴れっぷりを見るに伝説ならばマシだったのかも…?
  • 上記に書いたように、遠く離れた「カラデシュ」に収録された《歯車襲いの海蛇/Gearseeker Serpent》は、書いてある事が全く一緒ながら「親和(アーティファクト)」を持っていない。親和自体がキーワード処理なので文字数が増えるだけ+エキスパンションにこの能力を持っているのがこれだけ。というのが親和と書かれなかった理由だが、昔のトラウマから、親和と書きたくなかったと邪推してしまう。
  • そして2019年。「灯争大戦」にてついに親和(アーティファクト)と書かれたカードがスタンダードに帰ってきた。その名も《橋の主、テゼレット/Tezzeret, Master of the Bridge》。しかし、同居するセットでアーティファクトテーマのものが1度もなく、ドミナリアの「歴史的」、エルドレインの王権の「食物」「伝説の有色アーティファクト」などの有力なアーティファクトがらみの能力やカードは軒並み自己完結していてアーティファクト全体をサポートするカードを必要としていなかったため、まったく活躍しなかった。*3

追記・修正はメインにアーティファクト対策を入れながらお願いします。

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最終更新:2020年11月26日 07:37