Tier

登録日:2018/04/15 Sun 20:13:25
更新日:2024/09/25 Wed 02:56:16
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ここでは、Tier(ティア)という言葉について解説する。


■原義


Tierとは英語で「階層」を示す言葉である。

■ネットワーク業界のTier


ネットワーク業界では、「世界規模の情報通信網を持ち、相互通信できる」十数社のプロバイダ(ISP)を指して
「Tier1プロバイダ(ISP)」と呼ぶ。
これに対して、このTier1プロバイダから経路情報を購入して顧客に提供するのが「Tier2プロバイダ」になる。

日本だとNTTコミュニケーションズがTier1プロバイダである。

■自動車業界のTier


自動車業界では、下請け構造のうち、元請けに近い会社がTier1である。
例えばデンソーはトヨタに直接部品を納入するポジションにいるのでTier1である。
ちなみにデンソーは元々トヨタの開発部門であったが、現在はトヨタに次ぐ二位の海外勤務社数を誇る大会社だったりする。
トヨタグループといいながらほぼ半独立状態。

そのデンソーに部品を納入する会社がTier2、Tier2に納入する会社がTier3となっていくことになる。
つまりTier2は孫請け、Tier3は曾孫請けということになる。

■ラグビーのTier


ラグビー界においては、各国ごとに実力と伝統・格式もろもろが合算された評価として、Tier1から3の区別が存在している。

伝統・格式とは言ったが実力だけでも十分厳然たる差があり、
大雑把に言うと、ワールドカップで上位を争えるのがTier1。
ワールドカップには出られるけど優勝など夢のまた夢なのがTier2。
ワールドカップに出ることもままならないその他大勢がTier3。
国際試合では基本的に同Tier同士としか対戦できず、協会の投票における票数や収益分配といった格差が与えられる。
しかも、一度定義されたTierが変更される事例は歴史上極めて稀である。

このような明確な格差が成立しているのは、そもそもラグビーというスポーツが
Tierをまたいだ対戦ではワンサイドゲームが当たり前になるほど、実力差が勝敗に直結するものであるため。
そのTier差を覆したブライトンの奇跡などは伝説の1戦として語られるに至っている。

■ゲームのTier


特に西洋のゲームでは、装備などの強さの階級を表す、いわゆる「強化ツリー」の第一階層をTier1、その上がTier2というように続くようになっている。
Tier1が最弱で、Tier2、Tier3…と数字が上がるにつれて強くなっていく。
World of Tanksなんかのプレイヤーとか良く見てるやつだと思います。

日本ではこういう系の強化は「グレード」と表しやすいが海外ではTierのほうが一般的な語彙のようである。

数字以外にも、一定の基準に応じて「高Tier」「中Tier」「低Tier」と大別されることがある。

TCGのTier


TCGにおいては、Magic the Gatheringをはじめ、デュエル・マスターズなどで見かける「デッキの流行度」を表す用語。

ビデオゲームとは逆に、Tier1の方が上で、Tier1は環境での使用率の高いデッキになる。
Tier2はやや落ちるがそれなりに人気のあるデッキで、Tier3になると使用率はそこそこなデッキになる。
Tier4以降が出てくることはほぼ稀で、そういうデッキは十把一絡げに「地雷」と呼ばれる。

基本的にTier1は「強くて且つ安定しているデッキ」が当てはまることが多い。
強くても事故要素を孕むデッキは安定して勝てないので、人気が落ちてしまうからである。
しかし、いくら安定しているといえど、Tier1になるくらいなので、それだけ仮想敵としてメタられやすい。
このため、Tier2のデッキがTier1をメタるカードを入れて入賞を果たすことがあり、
それによって次のTier1になることも。

ただし人気ということなので、完全に強さに比例して数字が下がるわけではない。
例えば、それまで注目されていなかったデッキを持ち込んで活躍させちゃうヤソみたいなバケモノがいるとして、
そういうデッキはTier3にすら入らない地雷であるが、逆に活躍しちゃったことで、
次の人気を得て一気にTier1になるかもしれない。ヤソコンは無理だろって?俺もそう思う

でもそういうデッキは正直使い手の腕でカバーしちゃってる部分も高く、他プレイヤーが握っても対してうまく使えない場面も出てくる。
この場合、Tier1〜2なのに強くないという事態にもなってしまったりする。

MtG以外ではDMで出てくるといったが、こちらではGPなどでデッドマンが流行デッキ予想という形で
「この辺がTier1で、これがTier2で、これがTier3くらいに来るのではないか」という形で推測を立てている。
そしてこれが結構当たる。

遊戯王OCGでは海外でTierリストが出されており、大会入賞のポイントで分類されるなどTierに理由をもたせている。
Tier0なる指標まであるが、征竜やインゼクみたいなぶっ壊れが出てこない限りはTier0は出ないようにしているようだ。


早い話がTier1〜2あたりは「ガチデッキ」と呼ばれやすいことになるが、Tier3にしろ大会に持ち込んでいる時点で
当人視点ではガチデッキであると思われる。

DCGのTier


DCGはTCGから多数の用語を取り入れるため、これも当然取り入れられたのだが、
なぜか意味が「流行度」ではなくなった。

Hearthstoneでは主に各レビューサイトが決めた「強さ」でTier Listが公開されている。
一時期、ドルイド系5デッキがおしなべて「Tier S」なるTier1の上のランクにされていたサイトがあり、話題となった。

Shadowverseでは流行度…のはずなのだが、レビューサイトでは「流行度に強さを加味した指標」としている。
使用率は高いけど勝率は低い、というデッキだとTier1にはされないらしい。
これは恐らくはHSの影響と思われるが、SVの指標もまたTCGからするとやや乖離している。

ちなみにWAR OF BRAINSはHSやSVと異なりこの手の指標は気にされる傾向が薄い。


従来のTCG同様、Tier上位ともなれば非常にメタられやすくなるが、そんな中でもデッキパワーの高さにより対策されにくい、カードプールが充実しており環境への対応力が高いものがTier1に残っていくことになる。
こちらはネットワーク対戦が主となるため、大会だけでなくランクマッチにおいてもTier Listの把握が要求される。



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最終更新:2024年09月25日 02:56