TVチャンピオン 全国ミニ四駆王選手権 小学生の部

登録日:2012/03/23(金) 23:00:32
更新日:2025/03/16 Sun 15:24:27
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シグナルが青に変わる時、
少年は狼になる!

TVチャンピオン 全国ミニ四駆王選手権』とは、その昔名を馳せたテレビ東京系列の名番組『TVチャンピオン』の一テーマ。
部門は純粋にミニ四駆やそれにまつわる知識のみで勝敗を決した「小学生の部」と、ミニ四駆の腕のみならずモデラーとしての技量も試された「プロの部」の2つに分けられていたが、この項目では前者について紹介する。

なお、以下で述べる氏名や年齢等は全て放送当時のもの。


概要

模型メーカーである田宮模型の全面協力の下、同社が手掛けるミニ四駆の真の日本一を決めるべく開催。
放映日は1996年10月3日で、2020年代現在では既に四半世紀以上も経過している……が、今なお本番組が印象に残っている人は少なくないだろう。
当時はサイクロンマグナム一般発売直前と、まさに第二次ミニ四駆ブーム絶頂期。
通常『TVチャンピオン』は1時間放送のところを2時間スペシャルとして放映され、以降この「ミニ四駆王」は何度か同番組で行われることとなる。

ミニ四駆にさほど興味のないモデラーや、小学生など出場選手と同年代の幼年層からの視聴も見込んだ作りとなっていたほか、視聴者プレゼントとして50名にビークスパイダーのグリーンメッキボディが当選する企画も同時に行われた。


小学生の部

番組収録直前に行われた、当時全国で30万人が参加した一大イベント、
スーパーグレートジャパンカップ'96の地区毎の覇者達が一同に集い、3種類のコースを用いたレースと、ミニ四駆の知識を競うカルトクイズの合計得点によって「真の日本一」を決定した。

  • 中井良典選手
神戸のハーバーランドで行われた関西大会チャンピオン。青に塗装したアストロブーメランで参戦。
絶妙なパーツチョイスが終始光った……が、緊張のあまりか、組み立てている最中で「あっ、超速ギヤーや!」「あ、中空ハードシャフト忘れた!」などとかなりうっかりさんな面を見せていた。

  • 帯刀(たてわき)大吾郎選手
横浜そごうが舞台となった南関東大会チャンピオン。
フルカウル全盛期である事を思わせるように、大径仕様に変更したスピンアックスで勝負に挑んだ。
ちなみになぜか他の選手と違い、大会で使用したボディと今回使用したボディが違う(SGJCではポリカボディを白に塗装した物を使用していたのを、この番組では通常ボディをグラデーションカラーに塗装していた)が、理由は今なお不明。

  • 放出(ほうで)拓也選手
東急グランプリチャンピオン。同じ名前の駅もあるけどその読みの「はなてん」じゃないよ。
なぜか彼だけジャパンカップの優勝者ではないが出場している。マシンはクリアボディのウイニングバードフォーミュラを使用。なお、説明書では赤に塗るところをシルバーに塗装していた。
改造中に上手くパーツがはまらず「もうやだ!」とぼやいたシーンは全国の視聴者の共感を呼んだ……と思う。

  • 石塚厚巳選手
なんと12歳にして9年ものミニ四駆暦を誇る、超ベテランにして新潟・伊勢丹の信越大会チャンピオン。
当然、他の選手からも警戒されまくりだったが……?
マシンはスーパーアスチュートJr.のブラックバージョンを赤に塗装した物を、スーパーTZシャーシに乗せ変えて使用。

  • 岸田朋子選手
広島そごうで開かれた西中国大会の王者。いや女王
紅一点だが、スタビポールを曲げるなどの改造のテクニックは他の選手に劣らない。
使用マシンは大径換装を施したネオトライダガーZMC。
また他の選手と違い塗装はしていなかったが、『コロコロコミック』の付録と思われるラメシールでドレスアップをしていた。


内容

レースは5周で
  • 200以上のカーブをクリアしなければならないテクニカルコース
  • 25mの直線のみで勝敗を競うストレートコース
  • 5つのレーンを4分毎に交替しながら、計20分間マシンを走らせて合計周回数で競う耐久レース
の3つ。
ピット作業は最後の耐久レースのみ認められ、また耐久レースのみバッテリーの交換が2度まで許されるルールであった。


テクニカルコース


ボディ以外は番組が支給したシャーシとシャーシのパーツ類、
そして番組が用意したパーツの中から好きなものを選んで30分以内にテクニカルコース用のマシンを作れ、と言うレース。
時間が非常に短いにも関わらず、誰もマシントラブルを起こさずに見事に完走しきったのは流石の一言と言えよう。

余談だが、番組が用意したパーツ類はまさにミニ四駆の品揃え豊富な店のラック棚そのもので、
そこから金額を気にせずに自由にあれこれパーツを取っている様子を見て当時全国のレーサーが羨ましがっていた。

スタート直後にいきなりトップに躍り出たのは中井のアストロブーメラン。
しかし、2周目に入り、中井がレーンチェンジに差し掛かった段階で帯刀のスピンアックスが逆転。
そのままファイナルラップまで帯刀の独走が続くも、最後にアウトレーンとなってしまった事が災いし、インコースを走っていた中井が再度逆転し僅差で勝利した。

リザルトは中井帯刀放出石塚岸田の順であった。
ちなみに、流石と言うべきか、4選手が大径タイヤ(石塚だけ小径)に超速ギヤー、トルクチューンモーターという選択をしていた。

ストレートコース

なんとテクニカルコースからたった15分で、ストレート一本のコースにマシンをセッティングしろという番組のムチャ振り。
ちなみにテクニカルコースは当時のタミヤ公式レギュレーション準拠だったが、このレース以降ダッシュ系モーターの使用が解禁された。

その為中井帯刀の2名がウルトラダッシュモーターに、
石塚がハイパーダッシュ、岸田がジェットダッシュに換装。
なぜか放出のみモーターに言及される事は無かった。

スタートダッシュでトップに着いたのは、極端なまでに軽量化を重視した放出
25mなのでそのままゴールできるかと思いきや、同じように超軽量改造を施した帯刀が追い上げゴール直前で逆転。そのまま勝負を決めた。

リザルトは帯刀(03:685)、放出(03:731)、石塚(04:095)、中井(04:254)、岸田(4:727)。

加えて、この後に行われたカルトクイズの結果、ポイント数は帯刀(12P)、石塚(9P)、中井(8P)、放出(8P)、岸田(3P)となり、ラストレースを前にして岸田の優勝は消えた。

そして、2位に3Pも水をあけている帯刀の圧倒的有利のまま最終レースに突入したが……?


耐久レース

またも15分、という非常に短い時間の中で耐久用の補強やコーナリング用セッティングに対応しなければならない選手達。
殆どの選手がテクニカルコースでのセッティングにプラスアルファを施したセッティングで対処しようとしたが、暫定1位の帯刀のみ大幅な改造に着手した結果改造を終えないまま制限時間を迎え、不完全なマシンで耐久レースに臨むことに……。

レース開始早々、帯刀石塚放出の3名が続々とピットインし、それぞれパーツ交換に勤しむなど序盤から幸先の悪いスタートとなってしまう。

一方、暫定3位タイの中井、最下位の岸田の2名は絶好調で、
特に岸田はレース中のピットイン理由がなんとバッテリー交換のみ、と見事にセッティングがマッチしていた。

レースは終始中井岸田の両選手のぶっちぎりで、
帯刀が3位に付く事ができれば獲得ポイント数で彼の優勝が決定したものの、途中でセッティングが完璧に煮詰まった石塚に追いすがる事ができず、そのままレースは終了。 

リザルトは中井(127周)、岸田(110周)、石塚(70周)、帯刀(60周)、放出(60周)。
最初からセッティングが固まっていたか否か、がそのまま勝敗を分ける結果となった。

最終結果はは中井帯刀石塚放出岸田の順。
何の因果か、スタートダッシュで調子付いた中井帯刀が追い抜き、そのまま終盤まで首位を守り続けるも、最後の最後で中井に逆転を許す、という、最初のテクニカルレースの展開と全く同じ展開であった。


表彰式では悔し涙を流す帯刀選手中井選手が握手を交わし、
司会のデビット伊東氏による中井選手へのインタビューで幕を閉じたのだった。


デビット伊東氏、問うていわく。

「良典君にとって、ミニ四駆とは?」

チャンピオン、答えていわく。

「最高の……遊びで、
みんなと仲良く遊べる、楽しい……遊び」


追記・修正は『TVチャンピオン』に出演してからお願いします。

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最終更新:2025年03月16日 15:24