佐藤十兵衛

登録日:2010/09/11(土) 06:41:58
更新日:2025/01/30 Thu 21:43:58
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俺には「諦める」という能力が欠如している


木多康明原作の喧嘩商売 / 喧嘩稼業の主人公

原作冒頭に東京都から宇都宮に引っ越して来た喧嘩がめっぽう強い高校生。
17歳にも関わらず身長は推定190cm以上、体重は100kg以上と作中でもかなりの巨漢。
極度のナルシストで自信をパーフェクトと自称する一方、転校前日に挨拶の練習をする、女性経験を偽るなど見栄っ張りな所がある。
父親はキャリアの官僚の変態、母親は栃木県知事であるためか、性格とは裏腹に仕草に育ちの良さが垣間見える。
萌というそこそこ可愛い妹がおり、父譲りの変態性から妹相手にセクハラ紛いの言動を繰り返すが、萌が暴行を受けて妊娠したと誤解した際には土下座して無力を詫びるなど兄としての責任感も持ち併せている。
嫌いな物は春菊とピーナッツ。過去の経験による刷り込みから糸田木数子似の女性を見ると反射的に勃起するという奇妙な性癖を持つ哀れな一面もある。
趣味は喧嘩。日頃から不良やヤクザ相手に喧嘩三昧の毎日を送っており、宇都宮への転校初日に学校に乗り込んできたヤクザを圧倒する所から喧嘩商売の物語は始まる。
意外にも同級生の友人たちとの関係は良好で、特にダーマス(増田)とは勉強を教えたり夕陽を眺めるなど共に青春を謳歌している……
一方で、まるで鬼や悪魔のように畏怖されている。
彼らが恐れているのは十兵衛の体格ではなく…




「こんな卑怯なヤツ初めてだぜ」

「そんなに褒められると照れるんだけど」




不意打ち・騙し討ちは基本戦術、目潰し上等、人を平気で2階の窓から投げ落とし、挙句の果てには格闘漫画なのに平気で防犯スプレーなどの武器を使用してしまう、詐欺師やヤクザも真っ青の卑怯で冷酷な卑劣漢
それが佐藤十兵衛の正体である。
偏差値75に達する十兵衛の知能は時には相手の策を見破り弱点を見抜く洞察力として、時にはピンチを誤魔化し相手を疑心暗鬼に陥れる会話術として発揮される。{性的知識で女性経験を偽る時にも発揮される。)
十兵衛にとって喧嘩で勝利するために事前に策を講じたり相手を欺くことはごく当たり前の行為であり、むしろ十兵衛は卑怯さと容赦の無さこそが強さの本質であると捉えている節がある。
佐藤十兵衛にとって卑怯とはもはや美学とも言えるだろう。
あまりの卑劣さから友人から不本意にもロシアの工作員扱いされている。

190センチを超える身長だけでも十分に喧嘩で優位に立てるはずだが、十兵衛はどんな相手でもこの卑怯者の戦闘スタイルを貫く。

彼がここまでの卑怯者に成り果てた理由を説明するには十兵衛の中学時代に遡って話をする必要がある。


先述の通り両親が官僚と栃木県知事であることから十兵衛は幼い頃から転校を繰り返し、多くの学校で殴られたり財布代わりにされるなどの過酷ないじめを受けていた。
生来のナルシストが卑屈ないじめられっ子になる程心に深い傷を残すことになる。
5年前に偶然通り掛かった高野照久から助けられた事により、いじめられっ子から抜け出す事を決意。
経緯は不明だが、無名の古武術家・入江文学に師事を仰ぎ、喧嘩の戦い方を教えられる。

「汚ぇよ!!目を狙うなんて!!」

「喧嘩に綺麗も汚いもあるかよ」
「喧嘩は先手を取る事と手加減をしない事 二つだけ」

この入江文学の教えが佐藤十兵衛の喧嘩術を作り出すことになる。
いじめてきた上級生に馬乗りになり、号泣しながら気絶するまで殴り続けることから十兵衛の喧嘩人生が始まったのだった。


以降は入江文学とは距離を置き、各地域を転々としながら喧嘩三昧の日を過ごした十兵衛が宇都宮に引っ越して来た頃には17歳。
そして宇都宮にはかつて自分を助けた高野照久がいた。

深夜の体育館で高野に喧嘩を仕掛けた十兵衛は照明の点灯と視線誘導を駆使しながら高野に猛攻を仕掛ける。
三半規管や眼球に攻撃を仕掛け高野のペースを崩す十兵衛だったが、高野もまたただの高校生ではなかった。
空手団体「進道塾」の中でも若くして指折りの実力である高野は間合いゼロからの回し蹴り「近接回し蹴り」を放ち一撃で十兵衛を斃す。
勝利を確信し立ち去ろうとする高野だが、十兵衛は大量の鼻血を流しながら立ち上がる。



「なぜだかわからないけど・・・」

「なぜだかわからないけど」

「涙が出た」

死闘の末高野に勝利した十兵衛だったが、床に横たわる高野を見て思わず号泣する。
虐められて卑屈になっていたあの頃、あの時、あの瞬間から自分が自分でなくなった。あの時自分が高野のように強ければ。
いつしか高野に理想の自分を重ねるようになった十兵衛は高野に勝つ事でいじめを受ける前の自分を取り戻したのだった。


「俺は俺にやっと戻ることができた」







しかし…








「燃えるぜ」


前述で述べた喧嘩三昧の日々の中に暴力団「板垣組」とトラブルを起こしていた事が災いし、
板垣組に雇われた最強の喧嘩屋工藤優作に喧嘩を仕掛けられる。

数回に渡る不意打ち攻撃に加え高野を真似た近接回し蹴りを浴びせるも、常人を超えた耐久力と怪力を持つ工藤は平然と立ち上がる。
形勢不利とまた十兵衛は工藤をビルに誘い込み、催涙スプレーで視界を奪い、右肩を脱臼させた末に最終的にはビルから突き落とす。
頭脳をフル回転させ考えうるあらゆる作戦でもって工藤を倒した十兵衛。その戦いはもはや喧嘩と言うより殺し合いのような壮絶な様相であった。
しかし、規格外の強者を相手に奇跡的に難を逃れ、逃げ込んだ先の川から上がろうとする十兵衛の目の前に現れたのは
ビルから突き落としたはずの工藤だった。

規格外の馬鹿力の前に脱出することもままならず、顔が原型を留めない程タコ殴りにされついには殺される寸前まで追いつめられる。
とどめを刺さんと一撃を振りかぶった際、小便を漏らしながら命乞いをした挙句最終的には親の地位に命を拾うという
彼の心に深く深く刻まれる程の屈辱と恥辱を味あわされる程の敗北を喫してしまう。
そんな殺される寸前まで追いつめられた彼だが、次こそは工藤を打ち倒すべく入江文学の富田流へ正式に入門。
肉体改造の毎日を送り、富田流の技を会得する。


格闘技漫画の主人公には珍しく(?)頭脳派で、凄まじいまでの洞察力、知力、頭の回転の速さを持つ。
自分が有利な環境を構築する能力に長け、相手の心理をコントロールして罠に嵌めるのが戦闘スタイル。
当初は打撃がそこそこできる程度の強さだったが、富田流に正式入門してからは奥義を会得する他、肉体的にも技術的にも飛躍的に強くなった。
ただし他の闘技者も軒並みフィジカル面で怪物的だったり技術面で異常だったりするため、基本的には「一歩及ばない」といったところ。



  • 富田流の技

・金剛
相手の心臓を思い切り殴る事により反射的に失神させ、意識を奪う技。ハートブレイクショット。
コツはただ殴るのではなく、重たい物で押すイメージ。
十兵衛は対メタルスライム(ヤクザ)戦にて習得。
基本的には拳で殴ることで発動させるが、心臓を押すのが目的の打撃なら足や肘でのそれも金剛になる。
欠点としては強く殴る必要があるためどうしても打撃が大振りになること。

・煉獄
ガード不可の連打。分かり易く言えば格ゲーの永久コンボ。
その正体は相手の姿勢に応じて5×7×2通りの型を繰り出す事で反撃の隙を与えず、攻撃を連続ヒットさせる技。
元々は進道塾の秘技だったがパクった。そして秘技をいいことに富田流オリジナル技という事にしてしまった。
一度喰らえば抜け出せない事もも自分の意志で倒れる事も出来ないとされる、まさに相手を焼き尽くすまで消えない「煉獄」
最初の一撃を強く打ち込む必要があり、極めればどの攻撃からでも煉獄に繋げられるが、
富田流ではまだ特定の攻撃からしか繋げられないため、不完全なものと言える。
また連打を打ち込む関係上体力の消耗が激しく、しのぎ切られると使用者側が消耗してしまうという弱点もある。
以上のことから煉獄中の描写はどれも熱く、緊迫感のある名シーンが多い。

余談だが、この技を放てる程の者にはある程度クリーンヒットが入ればその時点で勝敗を決するだけの力量が既に備わっている。
そのため、「勝敗が決しても無意味に攻撃を続ける、オーバーキルの無駄な技」に限りなく近く、作中でもそうした評価を下す者も居る。
事実、この技を編み出した進道塾の山本陸自身、「進道塾に敵対した人間を煉獄に叩き落す為の、制裁目的の技」
と断言しており、勝利を呼び込む為の必殺技ではない。
そのため十兵衛は不完全な部分も含めて運用でカバーし、より格上の相手にも必殺技となるよう発展させているため、
ある意味これが彼と文学が自称する「富田流の煉獄」たる部分と言えるだろう。


・無極
強いイメージによって自らの脳を騙す(自己暗示をかける)事で、痛みを抑えたり力を増大させる技。
応用としてダメージを受けたときの気付けや、闘いの直前にボルテージを上げる、ダメージを錯覚させるなどの使い方も。
十兵衛は工藤に完全に負かされた時に受けた屈辱と恥辱そして彼への復讐心を、文学は親との暖かい思い出をトリガーに発動させる。
全体的に応用の利きやすい技術であり頭脳派の十兵衛との相性は良い。
「富田流は爆笑した直後に人を殺せる」のセリフはこの技法の骨子を端的に示したものである。

  • 高山
鉄槌打ちで金的を決めた直後に入る"必殺"の投げ技。
相手の懐に潜り込み、片手を相手の股に差して上体を肩の上に担いで、その後跳躍しながら相手を落とす。
他の競技にも似通った技は存在するが、こちらの技では持ち上げた際にキンタマを握り潰す動作が入り、
相手を反射的に仰け反らせる事で受け身を取らせず、頭蓋骨を粉砕する殺人技。



上記の三つの技で工藤にリベンジしたかったところだが、工藤は十兵衛との戦闘で入院中らしく行方を眩ませていた。
よってプロレスの試合に飛び入りで乱入し、プロレスラー達を圧倒。自分の名前を全国のテレビの前で広め、工藤の代役として非道の柔道金メダリストにして総合格闘家の金田との戦いに臨む。
梶原さんによって金剛のタネが割れていた事や、技術力の差、ドーピング、メリケンサック持ち込み等のインチキ合戦となり一時は窮地に追い込まれるも、様々な策略を用い、満身創痍ながらも勝利する。

その戦いの報酬であり、目標だった工藤へのリベンジは彼が最強の格闘技「陰陽トーナメント」に参加するためヤクザに保護されていた事で叶わない
…かと思ったがトーナメント参加者であるマゾボクサー・石橋強を襲ってその座を奪う事により参加を目論む。

……という所で作品そのものが3年間の休載に入り木多の復帰が待たれたが、無事「喧嘩稼業」とタイトルを変えて連載再開。

様々な事柄を利用して無事石橋強を撃破し、陰陽トーナメント参戦後は楽に勝ち上がるべく暗躍。トーナメントの主催者と渡り合い、
参加者同士を潰し合わせる事を計画するに飽き足らず、対戦相手を毒殺、相手の弱味を独自リサーチで握って20分間隔で嫌がらせ、毒ガス(麻酔薬)で邪魔者を抹殺、麻薬を調達、主催者の目を潰させようとする、武器の仕込み、ドラゴン召喚など、日頃殺人ショーを見て楽しむアンダー・グラウンドの観客もをドン引きさせる所業を繰り返す。
いつしか"最強高校生"から"黒い瞳のダミアン・ソーン"、今では"東洋のハエの王"、"悪魔" といったあだ名がついた。
何気に忍術と"屍"を使いこなす様は立派に梶原柳剛流の門弟である。

最強の格闘技は何か!?


「ついに…殺っちまったな 十兵衛」
「薬の副作用で死んだって言ってただろ!」

「十兵衛……毒を仕込むなんてもうロシアの工作員レベルじゃないか……」
「違う!コーナーポストに仕込んであったんだよ!」

「佐藤十兵衛は自分の部屋に毒ガスを充満させていたようです」
「!?」「うっ」「なんてヤツだ…」

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