明日、ママがいない

登録日:2014/01/24 Fri 12:30:45
更新日:2025/02/17 Mon 22:50:16
所要時間:約 6 分で読めます




捨てられたんじゃない、わたしたちが捨てたんだ。


日本テレビで2014年1月から3月にかけて放送されたテレビドラマ。
「愛すること」「愛されること」をテーマに、児童養護施設の子供たちや職員の境遇と生き方を描く。
日テレの同じ枠で放送された『Mother』『Woman』の流れを汲んでいる。
脚本は新人女性の松田沙也だが、数々の問題作ドラマを手掛けた野島伸司が脚本監修に名を連ねる。

初回放送後はその衝撃的かつ差別的ともとれる過酷な内容から大きな反響を呼び、Twitterなどで打ち切り要望、クレームに対する批判を含む賛否両論の感想が飛び交った。それに対し関係者は「最後まで見てほしい」としているが、一方でこの一連の騒ぎを炎上商法と非難する声も少なくない。
また、その影響か3話目を前にして全スポンサー降板という事態に発展、その後1つだけスポンサーを名乗り出た某整形外科があったものの何故か断られ、
3話は全てのCMが公共広告に差し替えられる事となった。
さらに、当時ソチオリンピックが他のテレビ局で放送されていたという運の悪さにより、ここまで騒がれたのにもかかわらず、全九話の平均視聴率は12%とあまり伸びることは無く、DVDもクレームの多さから発売未定となってしまった。
ただし、後年にDVDボックスが発売されている。

◼︎あらすじ(第1話)
母親の傷害事件が原因で児童養護施設「コガモの家」に預けられることになった真希
そこで出会ったのは子供たちをペットと称する厳しい施設長。それからそれぞれの事情で両親と離れて暮らす、名前を捨てあだ名で呼び合う子どもたちだった。
リーダー格の少女ポストをはじめ、子供たちの願いはいい里親のもとで幸せになること。そのために日々泣く演技の練習をしたり里親候補の情報を見たりしていた。
母親が戻ってくると信じている真希は施設の在り方に反発する。
そんなある日母親がやってきた。その目的は彼氏と結婚するため真希と別れる挨拶をすることだった。
真希は母親と自分の名前から決別し、ドンキとして施設で生活することになる。


◼︎登場人物
カッコ内は役者名。

ポスト/キララ(芦田愛菜)
コガモの家に住む9歳の女の子。あだ名の由来は赤ちゃんポストに入れられていたから。
子供たちのリーダー格。
唯一残された名前を捨てることで顔も知らぬ母親と決別した。
クールで歯に衣着せぬ言動をとるが里親候補の前では外面がいい。
一方で面倒見はよく、特にパチとは母子のような間柄。仲間を傷つけられると時に暴力任せになる一面も。

一時期担任の朝倉家で子供を亡くした女性のために娘を演じるも、最終的にそれをよしとしなかった佐々木にコガモの家の子ではなく佐々木友則の娘として引き取られた。


ドンキ/真希(鈴木梨央)
新しくコガモの家にやってきた9歳の女の子。あだ名の由来は母親が彼氏を鈍器(灰皿)で殴り逮捕されたから。
入所当初は母親の迎えを待ち施設に反抗的な態度をとっていた。
後に母親本人から捨てられたと知り、ポストが諭したことから名前を捨てる。
その事情ゆえか暴力行為には強い嫌悪感を示す。また心に傷を負っていることが発覚、他人の評価を下げることで自分が幸せになろうとする。

第8話で母親が再び迎えに来たが、本当に自分を愛している川島夫婦の養子になった。


ピア美/直美(桜田ひより)
コガモの家に住む9歳の(ry
あだ名の由来はピアノが得意だから。
オシャレが好きでませた言動をする元お嬢様。
ピアノを弾かせてもらえる家の養子になれることを望んでいる。
同級生の蓮に好意を抱くが彼の家柄と性格からライバルも多い様子。
蓮本人には意中の相手(ポスト)がおり、第3話で失恋を経験した。ポストはピア美の方が大事なため付き合う気はない。

第8話で貧しくても父親と一緒にいたい本音を吐露、それを聞いた父親とようやく再会した。


ボンビ/優衣子(渡邊このみ)
本作の数少ないコメディリリーフ。
コガモの(ry
あだ名の由来は実家が貧乏だったから……だったが実は災害で両親を亡くしたから。
特に「いい家の養子になりたい」願望が強いらしく、アンジェリーナ・ジョリーとブラッド・ピットの夫婦(通称ジョリピー)を理想の両親として掲げる。
部屋に彼らのポスターを貼るだけにとどまらず妄想を膨らませては叫びだすことも。
近所でジョリピーそっくりの東條夫婦を見かけるが……?

ジョリピーー!!

話が進むごとに現実を見るようになり両親の死にもある程度決着をつけている。
それでも東條を諦めきれず一時は男子のふりをしていた。
東條もボンビの熱意に心を動かされ養子として引き取る決意をする。


パチ(五十嵐陽向)
コガモの家に住む幼稚園児。ポストの「息子」。
あだ名の由来は母親がパチンコ中毒だったから。
夏の暑い日に1人で家にいたところを保護された。
母親の匂いの残るシャンプーのボトルを常に持ち歩き、取り上げられると怒る。
ただし彼にとっての母親の匂いはシャンプーそのものの匂いを指し、ボトル自体は新しい物でも問題ないらしい。

第5話で飴細工の店に縁組が決定、前後してシャンプーボトルの執着から脱却した。


オツボネ(大後寿々花)
コガモの家に住む17歳の少女。本名は不明。以前は「ウサタン」と呼ばれていた。
あだ名の由来は「お局」から。
母親はスナックのママ。
幼い頃母親の虐待に巻き込まれ怪我をした左目に眼帯をしていてウサギのぬいぐるみを持ち歩いている。
手術のお金が必要な上、現状のまま18歳になると独立しなくてはならないため里親探しに焦っていた。
最終的な卒業後の進路は寮のある看護学校希望。施設長権限で18歳になってもコガモの家にいられることに。


魔王/佐々木 友則(三上博史)
コガモの家の施設長。ぶっきらぼうな性格から子供たちからは「魔王」と呼ばれている。
杖をつき足を引きずって歩くのが特徴。
子供たちを里親のペットと称し、可愛げのない子供は誰にも引き取られないとしている。
過去に子供を亡くし険悪となった妻に対する贖罪のため、108人の子供を送り出すのを目標としている。
第2話で唐突にデレたのはただ単に野島脚本にありがちな展開であって日和ったわけではない。いいね?
……と思われたが単に非情な人物というわけでもない様子。

以前は刑事で、昔ロッカーの母親が起こした殺人事件に関わっていた。

第6話で子供たちに語った長台詞(以下に引用)は、冒頭で述べた騒動の批判者に対する製作側の意趣返しともとれる。

「臭いものに蓋をして自分とは関係ない、それで終わらせるつもりか?
大人なら分かる。大人の中には価値観が固定され、自分が受け入れられないものをすべて否定し、自分が正しいと声を荒げて攻撃してくる者もいる。
それは胸にクッションを持たないからだ。
分かるか、そんな大人になったらお終いだぞ。話し合いすらできないモンスターになる。
だがお前たちは子供だ。まだ間に合うんだ。
一度心に受け止めるクッションを、情緒を、持ちなさい。
この世界には残念だが目を背けたくなるようなひどい事件や、つらい出来事が実際に起こる。
だがそれを、自分とは関係ない、関わりたくないと、シャッターを閉めてはいけない。
歯を食いしばって一度心に受け止め、何が酷いのか、何が悲しいのか、なぜこんなことになってしまうのか。そう考えることが必要なんだ。
(中略)
つまらん偽善者になるな。つまらん大人になるな。つまらん人間になるな。
(中略)
一度、心に受け止めるクッションを、その胸に持ちなさい。
世界に存在する、あらゆる汚れや醜さから目を背けず、一度受け止めてみなさい。
それができる人間は、一方で、この世界の美しさ、愛しさを知ることができるだろう。
お前たちは傷つけられたんじゃない。磨かれたんだ。」


ロッカー(三浦翔平)
コガモの家卒業生で職員。あだ名の由来はコインロッカーベイビーだったから。
目が隠れるほど長い前髪が特徴。背中には火傷のあとがある。
全く喋らず表情も乏しいため考えが読みづらい。
意外にも周囲からは心を許せる存在として見られている。
子供たちの助けになることは佐々木の意向を無視してまで実行する面も。またノートに子供たちのことを細かく書いている。

10年ほど前DVの被害に遭った母親を庇うべく父親を突き飛ばし、その後母親が殺してしまった過去を持つ。
その時生じた誤解が原因で口を閉ざしてしまった。


アイスドール/水沢 叶(木村文乃)
児童相談所職員。無表情なことから子供たちから「アイスドール」と呼ばれる。
里親と子供たちを繋ぐ役割を持つ。
子供たちにも里親を選ぶ権利があるという考えのもと、本来規則違反だが佐々木に里親候補の情報を持ち込んでいる。
一見クールだが決して美しくない現実に悩んでもいる。
幼い頃のトラウマで手を繋げなかったが第6話で克服した。


ニッパチ(寺田 心)
パチが出た後にコガモの家へ入った幼稚園児。
あだ名の由来は「二代目パチ(本人談)」から。過去の経緯もそっくり。
比較的すぐに母親が改心したため元の家に戻った。

ナレーター(窪田 等)
芦田愛菜が中央に映ってるにもかかわらず、「芦田愛菜がいない」という空耳を残した。


◼︎舞台
コガモの家
この物語の主な舞台。
子供たちは自分で候補の中から里親の家を選び、お試し期間を経た上で養子になるかどうか選ぶ。
この特殊なシステムは佐々木の「コウノトリが間違えて運んだ赤ちゃんに本当の親を選び直してほしい」という理念に基づいている。


横浜市立川浜小学校
ポストたちの通う小学校。


きよみ幼稚園
パチ(ニッパチ)の通う幼稚園。
モンスターペアレント対策に苦慮している様子。




今、君の隣にママはいますか―?

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最終更新:2025年02月17日 22:50