ライジャー(ZOIDS)

登録日:2012/03/10 Sat 03:50:59
更新日:2024/04/06 Sat 20:54:36
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速く、速く、常に速く…


惑星Ziにおける長きに渡る戦いの中、ゼネバス帝国軍は史上初の高速戦闘用ゾイドヘルキャットを開発する。
ヘルキャットは予想以上の戦果を挙げ、高速戦闘用ゾイドの有用性は直ちに認めらた。
更に帝国軍は、ヘルキャットそれを大型化したゾイド、サーベルタイガーを開発。強化型のグレートサーベルも運用された。
サーベルタイガーは惑星Zi大異変後もガイロス帝国にて強化され、セイバータイガーとして運用された。
そしてガイロス帝国はヘルキャットの後継機兼上位機種として、ライトニングサイクスを開発した。


…だが、これらヘルキャットの系譜に当たるゾイドの中には、歴史の影に埋もれてしまった悲劇の名機がいることを…皆は知っているだろうか……。


ライジャー



EHI-09 LIDIER
ライオン型
全長:20.2m
全高:6.5m
全幅:5.8m
重量:40t
最高速度:320km/h

武装:3連電粒子砲
ビーム砲(背部)
ビーム砲(尾部)
連射キャノン
レーザーサーベル×2


【開発経緯】

旧中央大陸戦争時代末期、デスザウラーの活躍によりヘリック共和国首都を陥落させたゼネバス帝国だったが、首都奪還を目指し戦力を増強させつつある共和国軍の新鋭ゾイドに苦戦を余儀なくされていた。
旧式化しつつあったヘルキャットに代わる、新型高速戦闘用ゾイドが必要だ。
装備更新のために新たな高速戦闘用ゾイドの開発がスタートしたが、軍上層部の求めた条件は恐ろしく過酷なものであった。
とんだ無茶振りである。

1.巡航、戦闘の双方を高速で行えること。

ゼネバス帝国のゾイド開発は情勢の安定した大陸西部で行われており、敵の攻撃を受けにくい反面戦線からは遠い。
ヘルキャットの後継機には、生産後に自らの脚で直ちに戦線へと走り、すぐさま戦闘に就くことができる能力が求められた。

2.大型ゾイドに匹敵する攻撃力を持つこと。

両軍の主力が小型ゾイドから中型ゾイドへと移っていき重武装化が進む中、これは当然満たさなければならない項目ではあった。
しかし機体の空力特性から、過多の武装化はできない。


3.高い生産性の中型ゾイドであること。

ヘルキャットの後継機であるからには、ヘルキャット譲りの生産性は必要だ。
しかし、上2つの条件がゾイドの高性能化を推し進めるものであるため、生産性は最後まで懸念材料となっていた。


まず1の高速化については、通常のゾイドがジェネレーターやスラスターの追加で機動力を高めるのに対し、ボディのデザインを徹底的に見直すことで空気抵抗をさげ、さらに走行時に外気を効率的に取り込み機体を冷却する、というシステムを採用。
ジェットプロテクターと名付けられた新型高速機のボディは、ボディそのものが冷却システムを兼ねることとなり、その結果中型クラスのサイズのまま高出力ジェネレーターの搭載に成功。
最高速度は実に320km/hをマークした。
この記録は、当時の陸戦機でも最速であり、現在ですらこれを上回る最高速度を持つ陸戦機は数える程しかいない。

2については、腹部に連射キャノンを搭載。これは様々な大火力砲を、連射性の低さを補うために集合させたガンポッドである。
腰には3連電粒子砲、背部と尾部にはマウント位置を変更できる連射式ビーム砲。
そして格闘用の牙・レーザーサーベル。
これらにより新型高速機は、そのふつくしい流線型のフォルムからは想像できないような、大型機並みの攻撃力を得た。

3の生産性については、機体の高速化のために導入されたジェットプロテクターにより、冷却システムとボディが一体化したため、部品数の大幅減に成功。

軍上層部の要求を満たした新型高速機は「ライジャー」と命名され、すぐさま生産が開始された。


【活躍】

ライジャーの量産が進む中、帝国軍は共和国軍の切り札、対デスザウラー用巨大ゾイド「マッドサンダー」の出現を確認。
これを迎撃すべく、デスザウラーを中心とした大隊の編成を決定した。
そしてそのデスザウラー大隊に編入される新型機として、ライジャーに白羽の矢が立った。
デスザウラー大隊に編入されたライジャーの評価は非常に高かった。
マシントラブルも特に無く、扱いやすい上、強い。
機体クラスゆえマッドサンダーの撃破は成し得なかったものの、その随伴機を圧倒。時には強行偵察からマッドサンダーの開発データ奪取と、大活躍であった。

…のだが…。

大隊の中核、肝心のデスザウラーがマッドサンダーに勝てなかったため、結局帝国軍は敗北してしまう…。

それによりライジャーはゼネバス帝国の最終ゾイドとなってしまったのだが、高性能ゆえに期待され、デスザウラー大隊に優先的に配備されたことが原因で活躍の場が狭まり、名だたる戦果を挙げることは遂に無かった。

直後の旧大陸間戦争時には、野生体の入手難と生産数の少なさから、ほとんど運用されていない。

惑星Zi大異変によりすべてのライジャーは野生体含め損失してしまったと言われ、以後公式での生存確認情報は無い…。


【バリエーション】
  • 暗黒ライジャー
暗黒軍に接収された後に強化されたライジャー。
ダークホーンや暗黒デスザウラーと同様にボディーが黒くなっている。
僚機のジークドーベルと共に共和国軍の基地を襲撃しディバイソンを瞬殺。
基地内に侵入するがガンブラスターに倒された。


【余談】

ライジャーはライオン型であるが、ベースとなったライジャー野生体は共和国のライガー種とは別種。
その特徴的な外観は野生体に由来するとか。
また、地球の幻獣「雷獣」に酷似しているためライジャーと名付けられたそうな…。
…雷獣は獅子の妖怪じゃないはずだが。

ちなみにヘルキャットの後継機である超高速機というポジションは、ライトニングサイクスに受け継がれている。
…同伴のデススティンガーが暴走するわ、ライガーゼロにボコられるわ、シャドーフォックスの奇襲には対応できないわ、ライガーゼロ イクスに血祭りにあげられるわ、ネオゼネバス反乱で以後出番はないわ、という散々な扱いも受け継がれているが…。

なお、コマンドウルフライバル機は、開発時期的にもクラス的にも、ヘルキャットではなくこのライジャーである。
性能差はかなりデカいが…。


【現実世界で】

1980年代に発売された旧ゾイドシリーズのハイパワーユニット(大型ゼンマイ)機は、ゾイドジェネシスにてカノンフォートがラインナップされたことで、限定品も含めれば平成シリーズにて全機が復刻された…ライジャー以外は…。

…その後、月刊ゾイドグラフィックス最終刊にてなんとか復刻した。
なまじ主役級と同じライオン型であるため、下手に復刻はさせにくかったのかもしれない。

口を開閉しながらリアルに歩行する…脚の装甲が一体整形なのだが実際はどう可動するのか非常に気になる。
ちなみにゾイドグラフィックス版はパイロットが邪魔でコックピットがうまく閉まらない。


PSのゲーム、「ZOIDS メカ生体の遺伝子」では、旧中央大陸戦争が舞台なのにハブられる。
続編ZOIDS2 〜ヘリック共和国VSガイロス帝国〜では帝国側隠しゾイドとして一応登場。





追記、修正、常にお願いします…

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最終更新:2024年04月06日 20:54