無言の腹パン(遊戯王ARC-V)

登録日:2014/11/12 Wed 23:10:30
更新日:2025/10/21 Tue 00:25:02
所要時間:約 3 分で読めます





無言の腹パンとは、文字通り黙って腹にパンチを打ち込むことである。

腹パンという行為自体はボクシングの戦法*1やバイオレンスな作品などで度々散見されるが、
特にこの無言の腹パンは、相手が冷静さを失っている際に用いると効果的だと言われる。
更には、その対象が「るり」という名の人物を捜索していた場合はより有効であるという説も。

(該当する人物の一例)
ホシノ・ルリ
五更瑠璃
姫宮瑠璃
瑠璃=マツリ
マリルリ

読者諸君も、彼女たちあるいはそれに容姿が酷似した人物に迫る悪漢を発見した際には、
すかさず容赦無く無言の腹パンをお見舞いした上で、

「彼女は瑠璃ではない」

と言い聞かせるように注意してあげることで、きっと事態を鎮静化できるだろう。




この項目が面白かったなら……\瑠璃ィィィィ!/

沢渡さん、
マジ強すぎっすよ!!


























実際は、遊戯王ARC-Vの登場人物・ユート黒咲隼に対して劇中で放った腹パンのことを指す。
視聴者の間では(無言の腹パン)のように、セリフに続く形で括弧を付けて表現されることが多い。


概要

問題のシーン(?)が描かれたのは、第21話「ペンデュラムのその先に」。
同志であり親友のユートと共に、異なる次元から主人公・榊遊矢たちの暮らす舞網市に不審者スタイルで現れた黒咲。
彼は敵勢力に捕らわれた妹・黒咲瑠璃を取り戻すべく、敵の関係者と思しき人物を見つけては襲撃を繰り返していた。

LDSの生徒である光津真澄は敬愛するマルコ先生を襲い行方不明にしてしまった犯人を憎み、その行方を追っていた。
この時目星をつけていたのは黒マスクの少年=ユート。同じ場所に居合わせていた柊柚子に犯人の居場所を聞き出そうとしていた。
だが、当の柚子もユートの素性も目的も知らないため答えようがなく困惑。

それでも諦めきれない真澄は柚子にデュエルを挑む。
戸惑う柚子であったが、彼女は真澄へのリベンジのために紫雲院素良から融合召喚を習っており、そろそろ実践で試したいと思っていたのでそこまで悪い提案でもなかった。
そして素良も「LDSの融合召喚なんて大したことないよ」と軽口を叩く。
元々気が立っていた真澄はさらにヒートアップし、今にも真澄か柚子or素良のデュエルが始まりそうな雰囲気だった。
マルコ先生の姿を思い出しながら涙ながらに迫る真澄は「LDSこそ最強だ!それを思い知らせてやる!」と言い放つ。

その時だった

「お゛前゛も…LDSか……?」

「LDS」という言葉に反応したかのように突然サングラスとスカーフで顔を隠した不審者……もとい黒咲が出現。
柚子を突き飛ばして真澄の前に立ち、LDSの関係者とみなしてデュエルを挑んできたのだった。

呆気にとられる真澄だがその威圧感とただならぬ雰囲気から目の前の男が連続襲撃事件の犯人だと察知。
すると今後はユートが現れ、黒咲の無茶な行動を諫める。だが黒咲は「瑠璃を取り戻すためにはこの方法しかない」として頑として耳を貸さない。

真澄は襲撃犯を見つけたと仲間である北斗と刃に連絡。
それを聞いた柚子は、まだ黒咲が犯人と決まったわけではないと声をかけた。

その言葉に振り向いた黒咲は先ほど自分が突き飛ばした柊柚子の姿を目にする。すると態度が一変。

「瑠璃!?瑠璃が何故ここに……逃げたのか?自力で脱出を?瑠璃!」

「え…?」

サングラスを外し、大きく狼狽えながら柚子へと迫ろうとする黒咲。
どういう訳か柚子を「瑠璃」という人物と誤認している様子であった。
しかし次の瞬間、ユートが割って入り無言のまま黒咲に強烈な腹パンを見舞う

「ウァッ!……ア゛アッ……ア゛……瑠璃……!」

余程凄まじい威力だったようで黒咲もたまらず苦悶の声を上げよろめく。
そして意識を失う寸前、諭すような口調でユートが告げる。

「彼女は、瑠璃ではない……」

そして気絶したままユートに担がれる黒咲だったが、突然柚子のブレスレットが謎の反応を起こし、二人はその場から消え去るのだった…



この一連のやり取りは視聴者に絶大なインパクトを与え、瞬く間にテンプレとして定着。
多くのMAD動画も作られ、ARC-V以降も度々改変されながら擦られ続けるネタへと昇華された。
また、当時は比較的謎多きキャラとして描かれていた黒咲のネタキャラ化を決定付けた迷シーンでもある。

このシーンを紐解くと、元々暴走気味だった*2黒咲がここにいないはずの自分の妹・瑠璃と瓜二つの柚子を瑠璃だと勘違いしたため、
事を必要以上に荒立てたくないユートがやむを得ずパンチで黒咲を気絶させその場を収めた…という流れである。

だが常識的に考えるならば、普通は「彼女は瑠璃ではない、落ち着け」等とまず言葉で制止を試みた上で、
それでも尚狂乱して落ち着く気配が無い場合に止む無く腹パンで気絶させる、という順番が真っ当である。
にもかかわらず、同志であるユートが一言も発さずにさも当然の行為であるかのように強烈な腹パンを黒咲にかまし、
それを喰らった黒咲が特に怒りを顕わにするでもなくそのまま気絶し担がれる姿が、あまりにもシュール過ぎたのである。

また、ユートの行動以外にもこのシーンが印象的なものとなった背景としては、
  • 上述したように、黒咲隼というキャラクターを視聴者がまだ掴みかねている段階だった
  • 真澄、柚子、素良が話している最中に黒咲がいきなり現れた
  • その時の黒咲の見るからに怪しい不審者スタイル(サングラス+口元を覆うスカーフ)
  • 当時はまだ柚子と瑠璃の姿が瓜二つであるという設定はハッキリと明かされていなかった
  • それどころか、瑠璃の存在が視聴者に印象付けられておらず名前すら聞き馴染みのないものだった
  • 結果、「黒咲隼=知らない人物の名を連呼しながらヒロインに迫る不審者」という構図が出来上がった
という要因が積み重なっている。


また上でも少し触れたが、現在での用いられ方としては

(例) 「瑠璃ィィィィ!!!」 → 「彼女は瑠璃ではない」(無言の腹パン)

という定型文なのでやや分かりにくいが、前述の通り腹パン→セリフが正しい行動(?)である。

遊戯王デュエルリンクス

2023年、デュエルリンクスの世界に来訪した黒咲は、ユートと感動の再会を果たす。
……が、その直後、仕返しと言わんばかりにユートに無言の腹パンをかます。
まあ直後にユートも「いいパンチだ…隼…」とか言ってるのでアレだが
さらに、ユートとのデュエル開始時のセリフも「ユート、お前はパンチ一発で俺を制した」から始まり、敗北時の大立ち絵も苦悶の表情を浮かべて腹を抑えているなど、公式も(無言の腹パン)を擦り倒している。

余談

ユートと黒咲が柚子のブレスレットから放たれた光に包まれて消え去る直前、ユートは柚子が突き飛ばされた際に飛び散ったカードの中の1つである「融合」について「君に、このカードは似合わない」と告げている。この意味深なセリフは不審者コンビの境遇と密接にかかわる重要なものだが、(無言の腹パン)のインパクトが強すぎるために忘れられがちである。

「無言の腹パン」という言葉(ネタ)の発祥はARC-Vだが、
前シリーズである遊戯王5D'sにおいても主要キャラ同士が腹パンし合うシーンが存在し、
同じく前シリーズである遊戯王ZEXALには(無言の手刀)というネタが存在する。

また、「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」や「ジュエルペット サンシャイン」「仮面ライダーディケイド」といった別作品内にも無言の腹パンと言って差し支えないシーンががある。
吸血鬼すぐ死ぬ」では「グワー無言の腹パン」と叫びながら腹パンされるシーンが存在する。




追記・修正が何故ここに!?書いたのか?自力で加筆を?

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最終更新:2025年10月21日 00:25

*1 正確にはボディーブロー。

*2 このシーンの直前では、無関係の人間にまで敵意を向ける黒咲をユートが制止するも、黒咲は聞く耳を持っていなかった。