登録日:2015/6/15 (月) 18:10:48
更新日:2025/01/12 Sun 19:26:58
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『ガメラ対大悪獣ギロン』とは、1969年に公開された大映の特撮怪獣映画
ガメラシリーズの5作目である。
【概要】
前作『ガメラ対宇宙怪獣バイラス』が大ヒットとなったため、
監督の湯浅憲明は「また低予算で次回作を作らされるのではないか」と予想していたが、その予想は的中。
さらに大映は、年二本のガメラ映画製作を持ちかけたが、湯浅は準備期間の問題があるため断った。
湯浅は「映画がヒットして困ったなと思ったのは、これが初めてだった」と語っている。
当時アメリカで流行していた「宇宙映画」や1950年代に量産された「怪獣惑星もの」、
「キャンプ映画」の要素が取り入れられており、ガメラが初めて地球外の惑星で戦闘を繰り広げる。
また、前年の『メキシコシティオリンピック』にちなんだシーンもあり、
予告映像では「宇宙の果ての怪獣オリンピック!」とアオリ文句が入る。
【あらすじ】
世界各地の天文台で、宇宙から規則性のある電波を受信し世間を賑わしていた。
そんなある日、望遠鏡で星を見ていた明夫とトムは、円盤が近くに着陸するのを目撃する。
翌日、二人は裏山で円盤を発見し興味本位で乗り込んでしまう。
すると円盤は自動的に発進、宇宙へと飛び出してしまった。
二人を救出しようと現れたガメラを振り切り、円盤がたどり着いたのは地球によく似た環境を持つ「惑星テラ」だった。
【登場人物】
◆明夫
天体観測が好きな少年。宇宙には地球より科学が進んでいて、戦争の無い平和な星があると信じている。
大好物のドーナツに睡眠薬を盛られるは、頭を丸坊主にされるは、友達にグーパンされるは踏んだり蹴ったりである。
◆トム
明夫の友達で射的が得意。
睡眠薬入りの
ドーナツを食べて眠ってしまった明夫を、
頭へのグーパンで起こすワイルドボーイ。
◆友子
明夫の妹。
明夫とトムが円盤に乗って行方不明となった事を母親達に話すものの、なかなか信じてもらえなかった。
◆邦子
明夫と友子の母。
厳格な性格で、明夫とトムが円盤に連れ去られたという友子の証言に耳を貸さなかった。バイラス星人襲来の件を知らないのだろうか?
しかしラストで明夫とトムが帰ってきた際は「子供たちの言う事を信じてやらなきゃいけなかった」事に気づき、反省した。
◆エルガ
トムの母。邦子同様、友子の言う事をまともに取り合わなかった。バイラス星人襲来の(ry
◆志賀博士
天文台所長。冒頭で記者達に対し、太陽系外から知的生命体がやって来る事はまず無い、と語った。バイ(ry
◆近藤巡査
近所の派出所のおまわりさん。あだ名はこんちゃん。
明夫達には怖がられていたが、友子の言う事を親身に聞いてくれた唯一の大人。この人だけはバイラス星人の襲来を知っていたのだろうか。
◆バーベラ
テラに住む女性で、名前は「小鳥のように可愛いらしい」と言う意味。
始めは明夫とトムに対し優しく振る舞っていたが、実は二人をテラへ連れて来たのは地球の知識を得るためと、移動中の食料にするためだった。
ギロンに円盤がまっぷたつにされた際負傷し、フローベラに射殺された。
◆フローベラ
テラに住む女性で、名前は「花のように美しい」と言う意味。
バーベラを光線銃で射殺後、移動した建物にギロンが切断した
ミサイルの片割れが直撃し死亡した。
【登場怪獣】
◆ガメラ
巨大な亀の怪獣で子供の味方。今作では『座頭一』よろしくギロンの手裏剣をツララ型の細長い岩で防いだり、
鉄棒でウルトラCならぬウルトラGを決めたり、まっぷたつにされた円盤を
火炎放射で溶接するなど芸達者な一面を見せる。
◆大悪獣ギロン
色物が多いガメラ怪獣内でも1、2位を争うインパクトのある見た目をした敵怪獣。
「大悪獣」というとてつもなく悪者の肩書きだが、実際はコントロールされていただけの被害者である。
身長:85メートル
体重:110トン
テラの異常気象が原因で出現した怪獣の一体。
出刃包丁のような頭が特徴の四足歩行生物で、尻尾は無く足の裏には吸盤がある。
頭部の刃は強力で、ガメラを甲羅越しに斬りつけ出血させている。
頭部側面の十時手裏剣は脳波で自在にコントロール可能。手裏剣というかもはやビットである。
ちなみにこの手裏剣の原料は脳組織である。皮膚はガメラの火炎放射が直撃しても平気なほど頑丈。
跳躍力(一部書籍ではジェット噴射によるもの)も高く、上空後方から低空飛行で襲ってきた宇宙ギャオスを背面跳びで返り討ちにしている。また水中でも活動可能。
テラに出現した怪獣の中で唯一コントロールできたため、バーベラとフローベラに
用心棒として使役されていた。
しかし、決して大人しいわけではなく少年の手によりコントロール装置が破壊された際には二人の乗った円盤を撃墜、二人に致命傷を負わせた。
ガメラとは互角の闘いを演じ、頭が岩場に刺さりながらも手裏剣をガメラの顔面に命中させ昏倒させている。
しかし、ギロンも火炎放射と跳ね返された手裏剣でダメージを受け撤退。一戦目は痛み分けとなった。
コントロールから解放された二戦目では、ガメラの肘膝に手裏剣を打ち込みジェット噴射を封じて優位に立つ。
しかし、ガメラが水中で手裏剣を抜いた事で形勢が逆転。今度は地面に頭が刺さって身動きが取れなくなってしまう。
そこに、明夫達が発射したミサイルの片割れを手裏剣の射出口に打ち込まれ、
火炎放射によるミサイルの爆発で何故か胴体からまっぷたつになり絶命した。こいつに斬られた者たちの呪いかもしれない。
ギロンのデザインは、これまでガメラ怪獣を手がけてきた井上章が大阪万博の仕事で腰を痛めたため、矢野友久が担当し井上がまとめる形となった。
井上は「これまでの敵怪獣は生物的に、と念頭に置いてきた」、
ギロンはスタッフと「とにかく凄い怪獣にしようと話し合い、全身を武器にとの発想から刃物に身体を付けたら出来た」と語っている。
それ故作品含めて結構気に入っている様子。
ちなみに平成ガメラに出てくる
マザーレギオンは
こいつの代わりに登場した。
他方、『ガメラ2』を監督した金子修介によれば、ガメラ2の対戦怪獣としてギロンの名前が挙がったのは事実ではあるものの、
特技監督の
樋口真嗣を交えてアイデアを出し合い、脚本を担当した伊藤和典が設定考証をした結果生まれたのがレギオンであり、ギロンがレギオンのモデル
というわけではないと証言している。
また伊藤も、宇宙怪獣の着想はギロンの影響があった可能性は述べているものの、ギロンがレギオンのモデルであると明言してはいない。
◆宇宙ギャオス
かませ犬ならぬかませ鳥。
地球産のギャオスと異なり体皮は銀色で、また陽が出ていても活動可能。都市があった地区には複数生息している。
バーベラとフローベラのいるコントロールセンター地区に出現し、出動したギロンと対峙。
超音波メスを頭部の刃で跳ね返され右脚を失い、低空飛行で突っ込むも背面跳びカウンターで左翼を切られ墜落。その後はなす術も無く右翼と首を切断され絶命する。
さらに食べやすいサイズの輪切りにされるものの、臭くて食べられたものではなかったらしくそのまま放置された。
惑星テラがこいつが大量発生しているのに食糧難なのはこの臭さが原因だとか。
前々作でガメラを苦戦させたギャオスのこの扱いは子供達に不評だった。
もっとも、別個体のためガメラと戦ったギャオスより弱かったのかもしれない。あるいはテラの生物が
収斂進化した可能性もある。着ぐるみやミニチュアは『対ギャオス』のものを流用している。
◆ギャオス、バイラス
明夫の記憶映像内に登場した。
【惑星テラ】
太陽系第十番惑星で、太陽を挟んで地球の真逆に位置する地球の双子星。
天然現象を人工的にコントロールできるほどの地球よりはるかに高度な文明を築いていたが、環境をコントロールしていた電子頭脳が狂った事で、ギロンや宇宙ギャオスといった怪獣が出現。
さらに、食糧難によりバーベラとフローベラ以外の住人は全滅してしまった。
住人の容姿は地球人と変わらないものの、テープを早回しにしたような言葉でしゃべる。そのために明夫たちと話す際はウルトラスピーキングマシーンという万能翻訳機をのどに装着した。
実は食人種であり脳を食べる事で相手の知識を得る事ができるらしい。
役に立たなくなった時は死ぬ(殺す)、という掟がある。また、死亡すると肉体は服ごと消滅する。
【余談】
追記・修正は宇宙ギャオスのお肉を美味しく食べれるようになってからお願いします。
- 当時怪獣よりもフローベラ 、バーベラに夢中になってたわ -- 名無しさん (2015-06-15 18:26:15)
- ギロンがギャオス・ハイパーの大群と戦ったら面白そう -- 名無しさん (2015-06-15 19:08:50)
- ギロンの見た目のインパクトはガメラ怪獣でも指折り -- 名無しさん (2015-06-15 19:48:09)
- ギロンのデザインが最高 -- 名無しさん (2015-06-15 21:21:26)
- パッと見、デカい包丁だもんなwww -- 名無しさん (2015-06-15 22:07:45)
- バーベラとフローベラは、たったふたりの同性が生き残ったところでこの先なにができると思っていたんだろう -- 名無しさん (2015-06-16 03:41:28)
- 亀と蝙蝠とイカとサナダムシと包丁。地球の守護者に相応しい実力者は誰だ!? -- 名無しさん (2015-06-16 11:30:04)
- ↑2地球人と交配しようとしてたんじゃないの?バーベラはフローベラの指示待ち人間で自分の星の掟も知らない腐れ脳みそだから何も考えてなさそうだけど -- 名無しさん (2015-06-16 16:43:29)
- 後のナイフヘッドである -- 名無しさん (2015-06-16 20:32:16)
- 十字手裏剣を使う事から忍者モチーフで包丁のような頭部は日本刀の先端である可能性も。吸盤、ジャンプ力と水中活動からカエル(ギロン自身はテラ星の宇宙カエルだったかも)を思わせ、妖術で蝦蟇を使う自来也がモチーフかもしれない。 -- 名無しさん (2015-06-16 22:28:49)
- フローベラバーベラは子供の単純な策にひっかかったりガメラに復讐しようとしてもどんな手を使ってでもやっつけてやるだのかなりの無計画だったり死んだら消滅することからジュラル星人の知り合いかな?って思う -- 名無しさん (2015-10-10 17:35:34)
- 最初に「ギロン」って聞いたとき魔戒騎士なのかと思った -- 名無しさん (2016-05-25 13:43:38)
- 文明人を気取りながら子供を食料にって考えるあたり野蛮だよなあ。後、話を聞いただけでも切なかったギャオスの扱いに涙。当時の子供達も同じ思いでちょっと報われた印象。 -- 名無しさん (2016-11-25 14:13:53)
- 宇宙ギャオスも平成でリメイクされたら、古代アトランティス文明は他惑星への航行技術や惑星化初の技術を持っていて、植民惑星の反乱を抑えるために作り出したとか -- 名無しさん (2018-07-18 02:01:01)
- とにかく異世界感がすごくてガメラシリーズの中では一番好き。 -- 名無しさん (2020-05-08 22:53:03)
- 宇宙ギャオスとかいう平成にもいなかったレアキャラ。…まさか昭和ギャオスは宇宙怪獣? -- 名無しさん (2020-11-30 12:15:11)
- ガメラReBirthで一番変容しててビックリした怪獣。確かに元の作品でも宙返りとか決めてたけど、あんなにアクロバティックな動きするとは。 -- 名無しさん (2023-09-11 14:32:22)
- 名前の由来の割にはバーベラ、フローベラ物騒すぎる -- 名無しさん (2023-09-11 15:05:09)
最終更新:2025年01月12日 19:26