レギオン/草体

登録日:2010/03/12(金) 15:25:31
更新日:2019/09/23 Mon 02:24:12
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主が「おまえの名は何か」とお尋ねになると、それは答えた。


我が名はレギオン。


我々は大勢であるが故に―…



マルコによる福音書第5章9節


ガメラ2 レギオン襲来』に登場する怪獣。

ガメラギャオスの戦いから数年後、隕石と共に地球に飛来した宇宙生物。
ガメラを攻撃する夥しい数の小型種を見た花谷一等陸尉に命名された。
珪素化合物で形成されている節足動物型の生命体で、炭素化合物から成る地球上の生物とは根本的に異なる。






巨大レギオン


全高:140m(最大成長時)
全長:160m
体重:600t(最大成長時)
飛行速度:マッハ1(亜生体時)
地中進行速度:50km/h

作中では「巨大レギオン」或いは単に「レギオン」と呼称されているが、正式名称は「マザーレギオン」。
作中で草体と名付けられた巨大植物「レギオンプラント」と共生関係にあり、これを中心として小型種「ソルジャーレギオン」による真社会性の群れを形成する。

外甲殻は白銀に輝く未知の絶縁物質で構成されている。
これは各種電磁波を反射する特性を持ち、戦車隊による攻撃ですら効果がないほど非常に強固である。
しかし「生身」にあたる黒い箇所は衝撃に対して非常に脆い。

外殻周辺にパラボラ状に生えた「干渉波クロー」からは各種電磁波を放射。
ミサイルの誘導システムの破壊や、プラズマ状態の火球を気体化して無効化するなどの能力を持つ。
巨大な槍のような前脚や鎌のような後ろ脚も強力な武器で、ガメラの肉を簡単に引きちぎるほど。

最大の武器は頭部外殻を展開し、放たれる「マイクロ波シェル」と呼ばれる高出力指向性高周波。
命中した物体は一瞬にして分子レベルで急激に加熱され、爆発現象を引き起こされる。
その破壊力たるや、ガメラの右肩と甲羅の一部を瞬時に蒸発させ、自衛隊の戦車部隊を一撃で半壊させる程。

怒ると目が「青」から「赤」に変わり、レッドロッド(赤熱鞭、レギオンビュート、マイクロ波ビュート)という「光の触手」を放つ。
超高熱の鞭であり、ガメラの体をいとも簡単に貫通した。




ソルジャーレギオン

マザーレギオンにより生み出される体長1~2mの小型種。働きアリのような役割を果たす存在。
作中では「小型レギオン」、「羽レギオン」などと呼称された。

マザー及びソルジャーレギオンには筋肉に相当する器官は存在せず、体内の高圧酸素でのガス圧によって動作する。
レギオンは土やガラス製品を分解することでシリコンを摂取。その過程で酸素が発生し、これが草体の成長や種子の打ち上げを助けていると推察された。

非常に攻撃的な形態、性格をしており、鋭利な爪を使って人間など簡単に惨殺してしまう。
巨大レギオンのマイクロ波シェルのような光線状攻撃は出来ないが、対象を群れで取り囲みマイクロ波で一斉加熱攻撃が可能。
個体間の交信に固有の電磁波を用いていることもあって、レギオンの体組織は半導体に酷似しており、その肉体を維持するためにシリコンを餌にしている。
そのため、他の電磁波を放つものに対しては『群れの会話を阻害する敵』として積極的に襲い掛かる習性がある。
特定のパターンの電磁波はソルジャーレギオンにとって強力なフェロモンの様な効果を発揮し、探知すると巨大レギオンの命令すら無視して、自らの死も厭わずに電磁波の発生源に群がってしまう。
劇中ではこの性質を利用して、ソルジャーレギオンの誘導に成功している。

一方で人間の可視領域(光)に対する反応は鈍く、電磁波を発する物を持っていたり直接危害を加えたりしない限り、襲ってくることはない。
体も爪や甲殻を除けば極端に頑丈でもなく、劇中では変圧器やネオンサインに群がって感電死している他、至近距離からの拳銃連射で射殺されている。

分裂した群衆が一斉に敵に攻撃を仕掛けるのはウルトラマンバルタン星人(二代目)のミニバルタンがウルトラマンを襲う未撮影のアイディアを再起用したものである。



レギオンプラント(レギオンフラワー)

レギオンが繁殖のために共生する、全高100mにも及ぶ巨大な植物状の生物。『草体』と名付けられた。

草体は成長の為に「大量の酸素」を必要とし、レギオンは土を分解して自身の栄養源として「ケイ素(シリコン)」を摂取。
その分解過程で発生した「大量の酸素」で草体を育てるという共生関係にある。
草体の活性時には特殊な電磁波を放ち、緑色のオーロラが確認されている。
また、高濃度酸素の環境下は地球生物の大部分にとっては毒であり、渡良瀬二佐も「共存の可能性は皆無」として殲滅戦を推奨した。

草体は、強力な爆発を引き起こす事で種子を宇宙に打ち上げ、惑星から惑星へと種子を飛ばし、宇宙規模で生息域を広げるというダイナミック(というか傍迷惑)な繁殖方法をとる。
レギオンはこれに新たなマザーの「卵」を植えつけることで繁殖する。
帯津によるシミュレーションでは、札幌市中心部半径6km四方は間違いなく壊滅するという結果が出ており、種子の発射にこそ失敗したものの、爆発で仙台市を消滅させている。




□劇中の活躍

支笏湖の南西約1km、恵庭岳近くに落下した隕石に乗って地球に飛来。

隕石落下三日後にアサヒビール工場に侵入、一万ダース分のビール瓶ガラスを化学分解して捕食。
NTTの光ファイバーケーブルを食い荒らしながら札幌へ向かって北上する。

落下五日後には、札幌市地下鉄南北線内に「小型レギオン」が侵入。
真駒内行きの始発列車を襲撃して乗員乗客を虐殺。救出に来た機動隊にも襲い掛かり返り討ちにしてしまう。
直後に巨大な「草体」がすすきのの百貨店を突き破って出現し、翌日には巨大な花を開花させた。

この異常事態の終息のため、北海道知事の要請により自衛隊が出動。地下鉄構内に生存者がいるのを発見し、救出する。
その後、自衛隊はレギオン及び草体の殲滅を決定。レギオンの巣くう地下鉄構内と草体の爆破準備を開始した。

ところが、草体が種子発射のために活性化し、周囲に大量の重酸素を噴出し始める。
もし爆破して重酸素に引火すれば周囲へ誘爆する危険があるため、爆破の是非が議論されるが、放置しても状況の好転が見込まれないことから、自衛隊は草体の活性化停止を目論んで地下鉄構内のみの爆破を決定。
爆破は実行され、目論見通り草体の活性化を止めることに成功した。

爆破直後に、なんと三陸沖からガメラが飛来。
ガメラは草体の周囲に充満した重酸素を、全て吸い込むという力業で無効化。
体内に取り込んだ重酸素をエネルギーに変換して威力を増した「ハイ・プラズマ火球」で草体を焼き払う。
さらに草体を力尽くで引き倒し、ダメ押しとばかりに二回目の火球攻撃を浴びせ、完全に爆砕した。

草体を破壊したガメラの前に地下から小型レギオンの群れが出現。ガメラの全身にまとわりついて苛烈な攻撃を加え、ダウンさせてしまう。
しかし、一部の小型レギオンが近くにあった変圧器の発する電磁波に惹かれて離れてしまい、その隙をついたガメラは強行飛翔を敢行。
回転飛行で体中についた小型レギオンを振り落としながら札幌を飛び去り、そのまま石狩湾へと消えた。

その後、札幌の地下から「巨大レギオン」が出現し、本州に向けて飛翔する。
津軽海峡で空自戦闘機のミサイル攻撃を受けるも、巨大な羽だけを海上に残して行方を眩まし、本州上陸を果たす。

今度は宮城県仙台近郊のパチンコ屋に小型レギオンが飛来。パチンコ屋の看板に群がって感電死する事件が発生する。
翌日には仙台中心部に「草体」が発芽。避難命令が出され、仙台周辺の市民の避難活動が開始される。
自衛隊による草体の破壊作戦も開始されるが、札幌より温暖なせいで草体の成長が早く、撤退を余儀なくされてしまう。

ガメラが草体の撃破に向かうため松島湾から飛翔し、避難民が集まっていた仙台・霞目飛行場の上空に現れるが、察知した巨大レギオンが突如として地中から出現。
巨大レギオンは種子発射までの時間を稼ぐためガメラに襲い掛かり、ガメラも避難民を守るための盾となって巨大レギオンと戦う。
避難民はガメラのおかげで全員無事に移動出来たが、レギオンはガメラが火球攻撃のために距離を取った隙をついて、必殺の「マイクロ波シェル」をガメラに浴びせ、ダウンさせてしまう。
ガメラを行動不能にしたと確信したレギオンは再び地中に姿を消した。

しかしガメラは再び立ち上がり、満身創痍の身体を引きずりながらも草体を引き倒すことに成功するが、今度は間に合わず大爆発が発生。
ガメラがその身をもって種子を受け止めたため、種子発射自体は食い止められたものの、爆心地にいたガメラは炭化。仙台市は壊滅し巨大なクレーターになってしまう。

その後、レギオンは次の営巣地として東京を目指すが、すでに二度も種子発射に失敗して後がない状況であるため、今度は総力をもって妨害する敵を粉砕してから草体を植え付ける方針に転換。
栃木県足利市北部の赤雪山から巨大レギオンが出現し、東京都へ向かい侵攻を開始した。
すでにレギオンの侵攻を予測して待ち構えていた自衛隊戦車大隊や航空隊の迎撃をものともせず、マイクロ波シェルで戦車部隊の50パーセントを一瞬で壊滅させてしまう。
先陣として大量の小型レギオンを飛翔させ、そのまま第一次防衛線を突破する。

ところが、仙台市跡で子どもたちの祈りによってなんとガメラが復活。そのまま足利市へと飛来し、巨大レギオンと戦闘を開始する。
ガメラは出会い頭に初戦で撃てなかったプラズマ火球を3発も放つが、巨大レギオンは「干渉波クロー」からの電磁波で全ての火球を中和し無効化してしまった。
殲滅したはずの敵の登場に驚愕した巨大レギオンは、先に飛翔させていた小型レギオンの群れを呼び戻し、加勢させようとする。
飛翔能力をもつ小型レギオンの群れをガメラに取り付かせれば、レギオンの勝利は確実。
ガメラの「エルボークロー」で「胸部エッグチャンパー」をズタズタにされ、小型レギオンを生み出せなくなった巨大レギオンにとって、群れの帰還だけが頼みの綱であった。
しかし、小型レギオンはNTT名崎送信所の電磁波に誘導されてしまい、なんとガメラを目の前にしながら方向転換して電磁波の発生源に飛び去ってしまった。
こうして孤軍奮闘を余儀なくされた巨大レギオンであったが、その巨体とパワーで、侵攻を阻止しようとするガメラを圧倒。
ゴリ押しで群馬県県境の第二次防衛線をも突破する。

それでもなお立ち向かってくるガメラを目障りに感じた巨大レギオンは、巨体でガメラを圧し潰すように拘束し、マイクロ波シェルのゼロ距離発射で一気に決着を図ろうとする。
絶体絶命のガメラはジェット噴射で巨大レギオンの拘束を無理矢理はずし、九死に一生を得る。
ガメラにとって非常に綱渡りな戦いを強いながら侵攻を続ける巨大レギオンであったが、侵攻阻止という利害の一致した自衛隊がガメラを援護する方針をとり、ガメラとの戦闘中に対戦車ミサイルによる攻撃を受ける。
第一波攻撃は干渉波クローからの電磁波でミサイルの誘導システムを破壊し防ぐも、間髪入れずに放たれた第二波を防ぐ事ができず、クローを破壊されてしまう。
すかざずガメラからプラズマ火球を放たれるが、破損したクローでは火球を蒸発させきることができず、直撃こそ避けるも弱体化は明らか。
焦った巨大レギオンは必死のマイクロ波シェルで周囲を薙ぎ払うが、隙をついて接近したガメラにマイクロ波シェルの発射口である頭部外殻を力づくでもぎとられて、ダウンしてしまう。

決着かと思いきや、巨大レギオンはすぐに起き上がると、怒り狂って「レッドロッド」を展開。
灼熱の触手を鞭のように扱い、ガメラを串刺しにするなど苛烈な攻撃で圧倒する。
自衛隊も援護に手間取る中、とうとう最終防衛ラインを突破してしまう。

ところが、NTT名崎送信所に誘導され、アンテナに群がっていた小型レギオンが自衛隊攻撃ヘリのミサイルによって殲滅されてしまい、残ったレギオンは巨大レギオンのみとなってしまう。

最早、ガメラもレギオンも満身創痍の状態であったが、それでもなお戦闘を有利に進めるレギオンに対し、
ガメラは地球の『マナ』を集積し、その膨大なエネルギーをプラズマエネルギーに変換して放つ究極の必殺奥義「ウルティメイト・プラズマ」を使用。
その圧倒的な威力を真正面から受けた巨大レギオンは断末魔の叫びとともに粉砕。完全に消滅した。



この攻撃はガメラにとってギリギリ最後の選択であったらしく、
地球環境を維持する『マナ』を大量消費してしまったので、後のギャオス大量発生の要因となる。





シリコン即ち「ケイ素」を餌とするレギオンが、土の多い地域ではなくわざわざ電波の過密な地域を繁殖地にしたのは「敵地を占領し自分の陣地を広げることが目的では」と推察されていた。
つまり、占領した上で最終的にを草体で吹っ飛ばすことで周囲の敵対勢力ごと壊滅させるという中々にえげつない生存戦略である。

また、地球への飛来は偶然のものと考えられていたが、『ガメラ3』では「地球、特に日本周辺のマナの減少が何かしら影響していた可能性」が語られていた。

ソルジャーレギオンに襲撃された地下鉄の乗員乗客の生死を分けたのは、電波を発する電子機器(ポケベル、携帯電話、ラジオ等)を持ってるか否かであった。
携帯電話の普及がそこまで進んではいなかった当時だからこそであり、普及が進んだ現代ならば全滅していた可能性も……。
ソルジャーレギオンがゲスト出演した『巨影都市』ではそんな彼らが現代に現れた場合の恐ろしさが体感できる。

当初、平成ガメラシリーズ2作目の敵怪獣候補には大悪獣ギロンや大型バルゴンが挙がっていたが没になり、自由な発想ができるよう新たな宇宙怪獣に決まった。
レギオンのデザインには「宇宙大怪獣ギララ」のイメージが投影されており、巨大レギオンのモチーフはヘラクレスオオカブトやバッタ、蟹などの節足動物。
登場が没になったギロンとは共通点も多く、ファンからは魔改造とも。

宇宙植物である草体のデザインは、宇宙生物らしさを出しながらも一目で植物だと理解できるものでなければならなかったため、むしろレギオンよりもデザインに苦労したとか。
因みに草体は、金子監督がマンモスフラワーを登場させようとしていた『ウルトラQ』の映画化企画が中止にされたことに対するリベンジ。

レギオンの着ぐるみは着ぐるみの限界に挑戦したと言っても過言ではない程のモンスタースーツであり、全身をフル稼働させるには2人のスーツアクターが中に入って動かす(1人が頭部と前脚を担当し、もう1人が寝っ転がる形で後部の4本2対の後脚を担当する)。

特撮リボルテックでも発売された。
色に不満の声はあるものの、かなりの出来映えである。



地下鉄にトラウマを持った方、追記・編集よろしくお願いします。

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