ガメラ対宇宙怪獣バイラス

登録日:2015/05/31 Sun 08:38:32
更新日:2025/01/12 Sun 19:26:18
所要時間:約 6 分で読めます




『ガメラ対宇宙怪獣バイラス』とは、1968年に公開された大映の特撮怪獣映画ガメラシリーズの4作目である。



【概要】
作風は前作『大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス』以上に子供向けになっていて、ドロドロした人間同士のもめ事は完全になくなっている。
また、本作からアメリカのバイヤーからの要望で、主要人物に白人の子供が起用されるようになった。
大映本社の経営難の影響で予算は前作の3分の1程度となり、撮影期間も非常に短く、わずか25日で撮ったらしい。
予算削減の手段として、
  • ガメラの新しい飛行法として、後脚のみジェット噴射をするスタイルが追加された*1
  • バイラス星人の円盤の内部はほとんど同じデザイン、という設定にして全て同じセットで撮影している
  • バイラス星人がガメラの記憶を覗き見るシーンは、対バルゴン戦と対ギャオス戦の映像を流用
  • 操られたガメラが暴れるシーンは、第1、2作目の映像を流用。(そのため急に白黒になったり、受信機がなかったりと話の接合性がおかしくなっている)
  • 物語の舞台がほとんど茅ヶ崎海岸
  • OP曲「ガメラマーチ」を歌った「大映児童合唱団」は、その辺にいた一般の子供達
製作陣は、これがガメラ映画の最終作になるだろうと考えていたが、子供達に大評判だったためその後もシリーズは継続する事となった。


あらすじ
地球侵略を企むバイラス星人の円盤が地球に接近。しかし、それを事前に察知したガメラによって、円盤は宇宙で破壊される。撃墜される間際の
通信からガメラの情報を受け取った2号機の円盤は、まずガメラを排除するため暗躍を開始する。
一方、茅ヶ崎海岸でキャンプ中のボーイスカウトのメンバー、正夫とジムは、密かに潜水艇で海中を探検中にガメラと遭遇。一緒に海中遊泳を楽しんでいた
二人だったが、バイラス星人がガメラを捕らえるため放ったスーパーキャッチ光線に巻き込まれ、身動きが取れなくなってしまう。
ガメラの弱点が子供である事を知ったバイラス星人は、正夫とジムを拉致、人質にする事でガメラの身動きを封じる。反撃できないガメラは、
後頭部に脳波コントロール受信機を取り付けられバイラス星人に操られてしまう。バイラス星人とガメラの襲撃を受け、人類は窮地に立たされる。


【登場人物】
◆中谷正夫
イタズラと機械いじりが得意なボーイスカウトの少年。
バイラス星人に拉致されてしまうが、持ち前の機転で脳波コントロール装置のコイルをあべこべに入れ替えガメラを正気に戻す。
さらに、スーパーキャッチ光線のコイルも入れ替え脱出に成功する。

◆ジム・モーガン
投げ縄が得意なボーイスカウトの少年。アメリカ人。投げ縄に使用したロープは壁に張付けにされた際の脱出にも使われた。
脱出後は、正夫と共にバイラスと戦うガメラに声援を送っている。

バイラス星人に反撃を試みるか、二人の命を尊重し降伏するか、国連で会議が行われている事を知ると、自分達の事を気にせず反撃してほしい、と伝えている。子供とは思えない自己犠牲精神である。

◆島田伸彦(演:本郷功次郎)
ボーイスカウトのリーダー。オパールを密輸しようとした飛行機乗り?工事現場の責任者?世の中には同じ顔の人間が三人はいるものだ!
ちなみに彼が率いるボーイスカウトのメンバーの中には、後にヒーロー役ゴジラ映画出演を経験する篠田三郎氏がいた。

◆中谷マリ子
正夫の姉でボーイスカウトの指導員。正夫と連絡する際に使用する通信機付コンパスは、正夫が思いつき、二人の父親が製品化したもの。


【登場怪獣、宇宙人
◆ガメラ
巨大な亀の怪獣。子供と海中遊泳を楽しんだり、子供を人質に取られ敵のいいなりになるなど、前作以上に[[ショタコン]]子供の味方化している。脳波コントロール受信機を付けられ、バイラス星人に操られてしまう。
使い回し映像のため暴れているガメラの頭に受信機が無かったり、黒部ダムをまた破壊したり、東京襲撃シーンが急にモノクロになったりするが、気にしないように!
本作から追加された後脚ジェット噴射飛行はかっこいいと好評で、その後の作品でも使用している。

◆バイラス星人
バイラスの司令部の命令で地球侵略を企む宇宙人。生存には窒素が必要なため、空気中に多量に窒素を含む地球を狙う。パッと見は人間と変わらないが、暗い場所では目が光り、身体の一部分を取り外す事ができる。
実は人間の身体を宇宙服のように着て寄生し、操っている。
自分達が宇宙一優秀と豪語する割に、正夫達の嘘にあっさり騙された。
目の光はアイマスクに電球を取り付けたものを顔に装着し再現したのだが、役者はもれなく瞼を火傷した。

◆宇宙怪獣バイラス
檻に閉じ込められていた6本脚のイカのような姿をした怪獣。目は人間に近い形で、口はクチバシ状になっている。生臭い。
このままでは解剖されるか、動物園に売られてしまう。カワイソス。

◆バルゴン、ギャオス
ガメラの記憶映像の中に登場した。


【バイラス円盤】
バイラス星人が使用する宇宙船。黒と黄色の縞模様の球体が5つ円状に連なった独特の形状をしている。緊急時は球体を切り離し、単独で飛行する事も可能。
内部は機械類の回路も含め、三角形のオブジェで形成されている。テレパシー実現装置という念じた物を一瞬で用意してくれる機能があるが、円盤や乗組員に危害を加える武器等を念じると警報が鳴る。
その他にも外部の映像を映し出すレーダースクリーンなど様々な機能があり、バイラス星人の科学力の高さをうかがわせる。
三角柱のコイルを入れ替えると逆に働く機能がある。
●レーザー光線
パラボラアンテナの中心から発射される光線。甲羅以外の場所に当てればガメラを弱らせる事ができる威力を持つ。
●消火ガス
突進してきたガメラのジェット噴射を消すために使用した黄色いガス。
●スーパーキャッチ光線
照射対象を強力なバリアで包み、身動きを取れなくする光線。円盤内に入るものならワープさせる事も可能。
バリアは制限時間があるものの、ガメラでも脱出不可能な程強力。また、下の方に強い力を加えるとめくれる
コイルを入れ替えると円盤の中のものを外に出す光線になる。
●思考解読機能
スーパーキャッチ光線で捕らえた生物の思考・記憶を覗き見る事ができる。
●脳波コントロール受信機
対象生物の後頭部に取り付ける事で操る事ができる。
コイルを入れ替えて攻撃命令を出すと攻撃対象が反対になる。

【余談】
バイラスの名前はイカの数え方の~杯から付けられたと思われがちだが、合体する事で倍々に巨大化するところから付けられている。

企画段階での敵怪獣の名前は「ゲッソー」だった。また、公開直前に発売された『週刊少年マガジン』では、出身地は「ドンガル星」となっていた。

ガメラが腹部を刺されるシーンは、監督の湯浅憲明氏曰く「前作で怪獣同士の戦いのアイデアは一通り出尽くしたのから、今度は刺すか」
「安い予算で作らせやがって、という製作陣の腹いせの気持ちもあったかもしれない」と語っている。このシーンを見た子供達が映画館で悲鳴をあげたらしい。

アメリカ版でバイラスは「イカのような生物」と呼ばれている。もうイカでいいだろう。

1980年公開の『宇宙怪獣ガメラ』にて、ガメラが宇宙怪獣になったため、バイラスの肩書きが「水中怪獣」に変更されてしまった。




      『コウモクサクジョ』
      


正夫「これとこれのコイルを入れ替えればいいんだ」
ジム「OK !」


     『ツイキ・シュウセイ』
      


正夫「よし!上手くいったぞ!」


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最終更新:2025年01月12日 19:26

*1 これ自体は前作から既にやってはいるが