秋葉流(うしおととら)

登録日:2015/09/04 (金) 4:30:00
更新日:2022/08/21 Sun 10:14:32
所要時間:約 5 分で読めます








なあ、うしお、おまえ体内に行く時いったよなあ。

男って、一生のうちに何人の女の子の涙をとめてやれるんだろってな……



おめえならきっと…望んだ数だけな。




秋葉流とは、うしおととらの登場人物。


CV:細谷佳正(TVアニメ版)




◆概要

初登場は「第十八章・其ノ四秋葉流①―――バイクに乗った伝承者」。

関守日輪に続いて登場した二人目の獣の槍伝承者候補。
飄々とした性格で伝承者候補でありながら獣の槍に執着はなく、むしろ潮やとらに興味を持つ。





◆武器・能力

武器として用いるのは錫杖と独鈷(どっこ)。近接格闘に錫杖、結界の形成に独鈷を四方に打ち込み敵を捕縛する戦法を好んで用いる。また五行思想に通じ、とらの火や雷をそれに剋する気を使い受け流す技能も持つ。

その実力は伝承者候補筆頭、杜綱悟(もりつなさとる)に次ぐ№2とされるが、柔軟な思考と強靭な身体から繰り出す法力による総合力は彼をも上回るとも称される。

「あの人たち(杜綱、流)ぼくより弱いけど」と評したキリオ、法力だけは光覇明宗最強と言われた破戒僧凶羅、凶羅も直接対決を避ける紫暮、彼らを含めたそれぞれの力関係は正確には不明である。








◆劇中の活躍

うしおとは彼が北海道旭川に向かう最中、えりも岬で遭遇。流は封印が解けてから人間とともに行動し協力して戦っている(過去の凶悪な記録と印象が食い違う)とらに不審と興味を抱き戦いを挑む。
一度は捕縛に成功するものの敗れ、「あいつといると退屈しねえ」という言葉で一旦決着。
その後は婢妖との戦い、婢妖に頭を乗っ取られた杜綱の体内潜航、それにより魂を槍に吸い取られてしまったうしおを巡る防衛戦などに協力。うしおにとっての頼れる兄貴分として強い信頼関係を築いていく。


キリオと斗和子よる光覇明宗の二分、及び獣の槍破壊計画では彼らの本拠である「囁く者たちの家」にとらと共に侵入。そこで自分の胸の内、その一端をとらに対して語った。
流曰く、自分は昔から大抵のことはそこそこできる人間で、気づいたら自分の面白いと思うものが無くなってしまった。
だから法力僧になって妖怪と戦い、獣の槍を持ち最強の妖怪である白面の者と戦えたら面白いと思っていたが、今はもっと面白いもの、「うしおととら」に興味が向いたという。
九印のプロトタイプ、ヴィタエ―418とヴィタエ―427に対してとらと協力して応戦。戦いを放棄して逃げ回っていたように見せて周囲に独鈷を打ち込み、結界によって足場を崩して二体を撃破した。









◆以下、作品終盤のネタバレ
























私の主はなんでも知っておるのでございます。

あなたの御心に吹く風も…あなたが一番戦いたい者も…


ほォォ。そいつは?





雷と炎の化生――― とら…








婢妖によってうしおととらを関わりを持つ人妖全てが記憶を失い、伝聞と記録でのみ彼らを知る守矢克美に連れられ「ある人物ら」の元へ案内されようとする道中、突如単独で襲撃をかけてきた腕利きの法力僧…
その正体はあろうことかうしおが強い信頼を寄せていた秋葉流その人であった。

つまり、彼はうしおを裏切り白面の側に寝返ったのだ。




後日、沖縄の海で実行される自衛隊による白面を封じた岩柱への攻撃(ジエメイを騙った白面による工作)を阻止するためうしおととらは沖縄に向かうも、それを妨害するため港にて待ち構える流。刻一刻を争う中、うしおは流の相手をとらに任せ、一人司令部に向かい虚偽の情報による攻撃命令を撤回させようとする。

「もし流兄ちゃんを…殺したら…おれァ…おめえを…許さねえからな。」










また、聞こえてきやがる…


いつも耳の奥で聞こえる風の―――音……





◆海に吹く風

とらとの決戦がはじまり、流は過去を回想する。いつの日か聞こえていたという、虚無の風の音を。

実は流は、幼少の頃からやれば勉強運動問わず何でもできてしまう、誰がどんなに努力しようと勝ってしまうとんでもない天才だった。
その反面、彼はその才能と上手く付き合って生きていく処世術に疎く、その恵まれた才能を発揮すればするほど、彼は周りから妬まれ疎まれ、社会から孤立していった(そういった周りから家に罵詈雑言の落書きをされたことで母親の精神も病んでしまったらしい)。
一般社会から離れ、妖怪を狩る退魔組織に入ったところでそれは変わらず、そんな人生でいつしか流が辿り着いたのは…


自分は本気を出しちゃいけねえ。

何でもできる自分は…


人生ってヤツを― 楽しんじゃいけねえんだ

という歪んだ結論だった。

戦いの中でシャツの腕部分がちぎれ、凄絶な笑みと共に丸太のような腕を披露。
なんでもできるから鍛えたら鍛えた分だけこうなるらしい。それまで長袖シャツの中に普通に収まってただろっつーか腕だけ太いから身体とのバランス悪くてキモい見かけだけではなく殴られたとらが「凶羅の馬鹿力より強い」と評価する筋力である。



流はうしおの良き兄貴分として振舞っていたように見えて、次第にうしおに信頼されることが重荷になっていった。
それをとらに看破され…



おめえはうしおの目に耐えられなかっただけじゃねえか。けけけっ。

そんな目で見るな。俺はそんなにイイヤツじゃねえ。そんなんじゃねえ…ってな。けけっけっけっ。



笑わせるぜ。天才とやらのくせによォ。




だまれええ!!


だまれだまれだまれだまれだまれ――――――っ。





真っ向勝負の末に流が倒れ決着は着いたかのように見えたが、半死に体の流は戦いを続行。
本当の全力を懸けた最後の技「光覇明宗最強単独降魔捨法・月輪」を放ち、とらもそれを迎え撃つ。


流よ。やっぱり…

おめぇの負けだ!!

結果は流の戦闘不能。
致命傷を負った流は、絶命までのわずかな時間に彼はその心の内を語る。
流は、うしおに対しては本気で接していた。
彼に投げかけた言葉も、彼に対しての行動も、決して演技でも、嘘偽りでもなかった。
うしおが流に憧れたように、流もまた、うしおが眩しくて憧れた。
しかし、うしおの光があまりに眩しくてまともに見れなくなっていったこと、こうでもしなければ自分が自分でなくなっていく恐怖。
そして、ちっぽけな人間の世界で力を出し惜しんだ狭量な自分を嘲笑い、とらが一切の手加減なく自分を叩きのめしてくれたことを聞いた流は―――











ああ…なんだ…

風が…やんだじゃねえか…




風が… なんだって?

…おいナガレ!おい!!


それっきり…流は二度と動かなくなった…。


ちくしょう…




だから弱っちくてキレエなんだよ…

人間は…





流はとらが劇中で明確に「殺した」最初にして最後の人間である。
500年ぶりに解放され、人間の心、愛情を学んだあとのとらの胸中は張り裂けんばかりであっただろう。

そして更にこの時には、
とらは自身の正体が元・人間である事を知っている。
最後の流につぶやいた言葉は、流だけでなくうしおとの約束を守れなかった自分自身に向けたものだったのかもしれない…。


流の死、否さ、とらによる彼の殺害はうしおに大きな衝撃を与え、白面の者を前にしてうしおととらが決別する決定的な要因となってしまった。

悲しみを振り切るように飛翔したとらの衝撃波で飛び散った硝子は、まるで流の死を弔う桜吹雪のように静かに舞い散っていったのだった…





◆余談

劇中ではこんなにかっこいい流兄ちゃんだが、作者の悪ふざけ大全開の巻末おまけコーナーの三択クイズにて、
かっこいいバイクでの登場シーンに加えて、全裸でボディボードのようにまたがる姿が描かれてしまった(もう一つは酔っ払い姿)。
そのあまりにもシュールなインパクトと、憤怒の泣き顔でツッコミを入れる潮との合わせ芸のせいで読者の記憶に強烈に焼きついてしまい、
うしとらを読んだことがある読者なら、このバイクの乗り方が「秋葉流」で通用してしまったり、
「秋葉流」でググると真っ先にこの全裸バイクの画像が出てしまうほどサジェスト汚染されてしまったりと最大級の被害を受けている。フジタのせいで。

















◆そして…


白面の者との最終決戦。
とらの口から、ようやく流の「本心」を知ったうしお。
「本心」を聞いたうしおは、自分のせいだと責め立てる。

そこに…!!




(流兄ちゃん… ごめんよ…)
(オレの…オレのせいで…!!)


ククッ、ちがうさ、うしお。


(え… 流兄ちゃん…!?)





流はヒョウ、徳野、さとりと共に、『冥界の門』を通って現世に帰還。
うしお達を援護し、白面の『刃の尾』を粉砕した。

そして、うしおに激励の言葉を贈る。





ヒョウさん…

“うしお…。敵に惑わされるな。冷静にな…”

徳野さん…

“まっすぐ…立てよ…”

さとり…

“心を閉ざした者は、暴かれた時、もろいよ…”


流…兄ちゃん…

“お前のせいじゃねえさ… 俺はお前らと会えてやっと自分が取り戻せたんだ”

“ちっと 遅かったがな…”


流も、他のみんなも、晴れやかで優しい表情だった。

その面子は、それぞれ1度は闇に堕ちた者同士。
本来ならば、そのまま闇に消えていた者達であった。

だが、うしおとの出会いで変われた。
肉体は朽ちても、魂は救われた。
うしおの戦いは、心は、決して無駄ではなかったのである。

闇を見た者でないと、光の素晴らしさは分からない。

彼らは紛れもなく、『陽の心』の象徴…光の勇者達であった。



さァ、ぶっ倒そうぜ!




追記修正はうしおの真っ直ぐな目をまともに見られなくなってしまった人にお願いします


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最終更新:2022年08月21日 10:14