メン・イン・ブラック(MIB)

登録日:2016/2/9 (火) 18:18:30
更新日:2023/01/05 Thu 01:31:06
所要時間:約 5 分で読めます



メン・イン・ブラック(MIB)とは、都市伝説の一つである。
巷間語られるところでは、UFOや異星人、あるいは妖怪などに接触したり撮影したりした人物のもとに現われて脅迫を行い、時には実際に消してしまうこともあるとされる、全身黒づくめの男たちである。


主なパターンとして、

  • UFOや異星人を目撃・接触した人物や、UFO研究者の元に現われる
  • 全身黒づくめであり、言動もしばしば常軌を逸している
  • 「他言するな」「見たものを忘れろ」「さもないと痛い目に遭うぞ」などと脅迫を行う
  • 警告を無視したり、MIBと会ったことを他人に漏らすと消される
  • 所属と名前を名乗る場合もあるが、後で調べてみたらそんな人物はいないことが判明する

といったものがある。

その正体は異星人、政府の隠蔽工作員、異星人が使うロボット、マインドコントロールされた地球人などと言われている。


現実世界で報告されたMIB


MIBはただの都市伝説というわけではなく、実際に出現した日時や場所、証言者が特定されているケースも報告されている。
……上の「MIBのことを話すと消される」という話からすると、この時点で何かがおかしい気がするが、
実際の彼らはどんな存在なのか、最も有名なハーバード・ホプキンズ博士の遭遇例を見てみよう。


ホプキンズ博士はアメリカの著名なUFO研究者であり、1976年9月24日のその日もとあるUFO事件の調査顧問という立場にいた。
そこに「ニュージャージーのUFO研究機構の副会長」を名乗る男が訪ねてきた。

その男は全身黒づくめだっただけでなく、髪も眉毛もまつげもなく(剃っていたのかは不明)、おまけに口紅をつけていた
この時点で通報されてもおかしくない。

この男、体全体は動くのに、体の各部位を個別に動かすことはできず、顎を動かさずにしゃべったという
(それでどうやって後述の手品をやったのかは不明)。

そしてしばらく話をした後、おもむろふいに博士のポケットの中にあったコインを取り出して、
手の中で消してみせるという小学生でもできる手品をやって見せた後、

「エネルギーが切れかけてきたようだ。そろそろ失礼する」

などと言い残して立ち去って行った。


……以上
まあ、確かにこんなコスプレイヤーが訪ねてきて奇行を見せつけて帰って行ったらある意味怖いが。


他の目撃報告もだいたいこんな感じであり、


  • 胃が痛くて仕方ないと言うからゼリーを振舞ってあげたら、食べ方がわからなかったようで丸のみにしようとした
  • 夫婦の家に訪ねてきて、妻のヌード写真がないかどうかを尋ねた
  • 「自分と家族の命が大事なら、これ以上目撃について話すな」と脅しをかけたが、その後普通にテレビで喋っても何もしてこなかった


などなど、もういったい何がしたいのかわからない。

都市伝説では「MIBのことを他人に話すと消される」と言われるが、ここまでお読みになればわかるように、
みんな思いっきり喋ってる上にその後危害を加えられてもいない

しかし、こんな怪しい人物にゼリーをふるまってあげたり、脅迫をガン無視したりする目撃者たちも相当な強者ぞろいである。


その正体は不明としか言いようがないが、少なくとも異星人や政府の工作員が本気で隠蔽工作をしているとは、とても思えない
もし異星人が、こんな地球についての常識もなく、わざわざ目立つ格好で出歩き、
「エネルギーが切れる」とか自分の正体につながる重要なことをポロっと言い、
B級映画みたいな陳腐な脅し文句で口封じをしようとするような連中を地球人を脅すために派遣しているんだとしたら、
はっきり言って地球人は相当に舐められている

また、「UFO研究者の家を監視しているMIBを撮影した写真」なるものも書籍やネット上で流布されているが、
その全身黒づくめという目立つ格好で堂々と街中で監視している姿は爆笑ものである。
というか、任務中に写真を撮影されているのに気が付かない時点でもうどうかと思う。

しかし、物好きによる悪戯にしてはあまりに手が込みすぎているのも事実である。

特筆すべきこととして、アメリカではアマチュア研究者やマニアがFBIや空軍士官だと名乗って目撃者と接触するケースが相次ぎ、
UFO研究界が混乱したことが挙げられる。
その中には度を越した悪ふざけをする者がいたのかもしれない。
特に「○○空軍基地の○○と名乗ったが、後で調べたらその基地にそんな人はいなかった」というケースは、
このような事例が元になっているのかもしれない。

また、変わったケースでは、目撃者を取材したUFO研究者が他のUFO研究者によってMIBだとみなされたという場合もある。

実在の存在という仮定を取り払って、
「UFOについていくら研究しても真相が見えてこないことに苛立った研究者たちが、自分たちを妨害する存在を仮定した結果生まれた共同幻想」
と指摘する人もいる。

いずれにしても、その実在を信じる信じないを別として、非常に興味を引く存在であるのに変わりはない。
彼らは異星人や政府絡みというよりは、「現代の妖怪」とでもいうべき存在なのかもしれない。


都市伝説としてのMIB


都市伝説の中で語られるMIBは、上記のような現実世界に登場したMIBとは実は微妙に異なる部分がある。
まず、現実世界で出現したMIBは単独のことも多いのだが、都市伝説では2人組、あるいはそれ以上のグループだと語られることが多い。
また、都市伝説ではその外見は東洋人もしくは外国人風だとされることが多い。
その一方で、現実のMIBがしたような奇妙な言動については取らない場合が多いようである。
ある意味、「事実は小説よりも奇なり」を地で行っている。

そしてフィクションの中のMIBは、これらの都市伝説のMIBの要素を継承している。

フィクションの中のMIB


MIBはUFO絡みの作品内では、しばしば特殊エージェントとして登場する。
MIBそのものを扱った作品としては、何よりもまずハリウッド映画の「メン・イン・ブラック」シリーズが挙げられるだろう。
この中ではMIBは黒人と白人のコンビであり、地球に潜伏している異星人の監視をしているという設定である。
有名な都市伝説内の存在であったMIBの正体がただの公務員であるというのがコメディ要素なのだが、日本ではその辺はあまりピンとこないようだ。

また、UFOが直接関わらない作品においても、しばしばMIBをモチーフにしたと思われるキャラクターや組織が登場する。
そもそもフィクションによくいる「全身黒づくめで、脅迫や暴行などの犯罪を行う悪漢」のイメージは、
実在のギャングに加えて都市伝説のMIBからの影響も大きいだろう。

中でも名探偵コナンの「黒の組織」は、その不気味さや冷酷さに加えて、「人目についたら不味いことをしているのにわざわざ目立つ黒づくめの格好で行動する」というところが、ある意味MIBを連想させる。


MIBをモチーフにしたと思われる組織・キャラが登場する主な作品


メン・イン・ブラックシリーズ(映画)
名探偵コナン
新耳袋
run for money 逃走中
練馬大根ブラザーズ
「カイジ」シリーズ
あの夏で待ってる
マトリックスシリーズ
Xファイル




追記・修正はゼリーを飲み干してからお願いします。


この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • MIB
  • メン・イン・ブラック
  • オカルト
  • コスプレイヤー
  • 都市伝説
  • 工作員
  • 異星人
  • 黒の組織
  • 現実世界ではただの変人
  • 非常識
  • おもむろ=ゆっくり
最終更新:2023年01月05日 01:31