マトリックス/THE MATRIX(映画)

登録日:2011/12/29 Thu 20:22:45
更新日:2025/01/13 Mon 02:51:59
所要時間:約 6 分で読めます








なぜ 気づかない


―扉は自分で開け―


『マトリックス』とは1999年に公開されたアメリカ合衆国のSF映画。
監督はラリー&アンディ・ウォシャウスキー兄弟*1
CGを多用することで実現した、従来の映画を凌駕する革新的な映像美は21世紀のアクション映画の方向性を決定づけた。

特にワイヤーアクションやバレットタイムは本作以降の作品のほとんどで取り入れられ、一時期はどの映画も本作のオマージュと言っていい作品であふれることになる。

また、その伏線に満ちたサイバーパンクな世界観は21世の作品に大きな影響を与えた。……というよりは21世紀の作品には大なり小なり本作の影響が見て取れる。

日本ではPlayStation2の普及全盛期に本作のDVDがバカ売れしたため、本シリーズは「世界一売れたPS2のソフト」と皮肉られることもある。

また、日本語版の予告ナレーションには俳優の遠藤憲一氏が起用された。
当時氏はVシネのヤクザ役を中心に活動していたが、本作をきっかけにナレーションの仕事が急増、2000年代以降のブレイクに繋がることとなる。



■[STORY]■

1999年
大企業のプログラマーと天才ハッカー「ネオ」という二つの顔を持つ青年、トーマス・A・アンダーソンはこの世界に言いようのない疑問を持ちつつもそれを理解できないまま無気力な毎日を過ごしていた。
ある日、謎の人物モーフィアスの導きによって、彼はまるでウサギの穴を転げ落ちるかのようにこの世の真実を目撃する。


2199年
機械が支配する世界、人類は機械の動力源として発電所につながれマトリックスと呼ばれる仮想世界で共通の夢を見続けている世界。

夢から醒めたネオは人類抵抗軍のレジスタンスのリーダー、モーフィアスに自分が人類を救う救世主であると告げられ救世主の道を歩むことになる。


―「ネオ自身の」救世主の物語が始まった―



■[登場人物]■
吹替については、「地上波版/ソフト版」と表記

◆ネオ/トーマス・A・アンダーソン
演:キアヌ・リーブス
吹替:森川智之小山力也
「スプーンなんてない」

本作の主人公。マトリックスからの覚醒後はネオと名乗るようになる
目覚めていきなり救世主と告知されたDQみたいな主人公だが、次第に救世主としてその秘めたる能力「世界を書き換える力」を覚醒させていく。

元々はレオナルド・ディカプリオにオファーがあったが、レオナルド版マトリックスはインセプションで実現することになる。
ネオのマトリックス弾よけは男なら一度は通る道である。
もっとも、冷静に考えるとものすごく速いスピードで手をバタバタさせて後ろに倒れてるわけだが。*2


◆トリニティー
演:キャリー=アン・モス
吹替:戸田恵子/日野由利加
「避けてみて」

レジスタンスメンバーの女性。ネオをモーフィアスの元へと案内した
彼女も預言者によってある預言をされており…
ネオと行動を共にするうちに次第に彼に惹かれていくことになる。

冒頭のトリニティーポーズは誰でも一度は真似するはずである。


◆モーフィアス
演:ローレンス・フィッシュバーン
吹替:内海賢二玄田哲章
「入口までは案内した。扉は自分で開け」

レジスタンスのリーダー兼ネブカドネザル号船長。
威丈夫な黒人で強烈なカリスマ性を持つ。
預言者に救世主を見つける存在であると告げられて以来、救世主を探し求めネオが救世主であると確信するに至る。

レジスタンス1の戦闘力の持ち主であるが、エージェントには手も足も出なかった。


◆サイファー
演:ジョー・パントリアーノ
吹替:樋浦勉/金尾哲夫
「マトリックスこそが俺にとっては現実だ!」

レジスタンスのメンバー。
モーフィアスの言葉を信じておらず、過酷な現実を受け入れることができなかった彼はマトリックスへ戻るべくエージェントと内通し、最終的にモーフィアス達を裏切ることになる。

裏切り者ではあるが、現実世界での悲惨な生活を考えると彼の行動を一概に非難はできない。


◆タンク
演:マーカス・チョン
吹替:岩崎ひろし/坂東尚樹
「信じようと信じまいと…お前は地獄行きだ…!」

レジスタンスのメンバー。ネブカドネザル号のオペレーター。同じくオペレーターのドーザー(演:レイ・パーカー)は彼の兄。
兄弟共にマトリックスから解放されたのではなく、ザイオンで産まれた純粋な人間。それ故に彼自身はマトリックスに侵入出来ない。
裏切ったサイファーにドーザー共々撃たれてしまう。それによってドーザーは死亡してしまったが彼はなんとか一命を取り留め、サイファーをビーム銃で射殺。
その後もモーフィアス救出に向かったネオとトリニティーを外から援護した。

しかし、本作終了後から次回作『リローデッド』の間に戦死してしまった。*3



■預言者(オラクル)
演:グロリア・フォスター
吹替:片岡富枝/此島愛子

「このクッキーを食べ終わる頃にはあなたはすっかり元気になってる」
ネオやモーフィアスに預言を告げる謎の人物。
外見や言動は大阪のおばちゃんそのものであるが、その預言が外れることはなく、モーフィアスやネオ達を導いていくことになる。



■エージェント■

分かりやすく言えばマトリックスのノートンやウイルスバスター的存在。
システムに侵入する者や真実に気付いた者を排除する役割を持つ。
全員が同じ髪型、服装をしており、並んだ姿はとても不気味。
システムにつながっている全ての人間から変身可能であり、超人的な能力を持つ。しかし、プログラムゆえにマトリックスの物理法則を無視した行動はできない。
エージェントのEXILE弾よけは誰でも一度はやったはず。


◆エージェント・スミス
演:ヒューゴ・ウィーヴィング
吹替:大塚芳忠/中多和宏
「さよなら、アンダーソン君」

エージェントのリーダー。ネオやモーフィアスを追跡する。
他のエージェント同様、感情のないプログラムだったがネオと関わるうちに感情が芽生えその不快感から解放されるべくザイオンのアクセスコードを執拗に求める。

ネオの事を最後まで「アンダーソン君」と呼び続けている。



◆現実の世界◆

21世紀の初頭、人類はAIを完成させるが、やがて意志を持った機械は人類に反乱を起こす。
人類は機械の動力源であった太陽を遮るべく空を人工雲で覆ってしまうが最終的に敗北。
その後、機械は太陽に代わる新たな動力源として人間に着目。
人間を計画的に「畑」で栽培し、その生体エネルギーを発電所で電気に生成する技術を開発する。
しかし、人間の電気信号を活性化させ、長期にわたって延命させるためにはその精神を活性化させるための「受け皿」が必要であった。
そのために機械は人間のための「見せかけの楽園」マトリックスを創設することになる。

何故、機械が核ではなく人間と言う不確実で非効率な生産方法をとることになったのか。
その答えは次作『リローデッド』、外伝『アニマトリックス』で語られることになる。


◆センチネル
機械側勢力の大多数を占める戦闘機械。平時はパトロールや施設の保守点検も行っているらしい。
多数の触手と目を持つイカにも似た外見をしており、短射程のレーザーと爆雷で武装している。その他体内の反重力機構で飛行可能。
終盤、ネブカドネザル号を集団で襲撃し、その異容を観客に見せつけた。

外伝『アニマトリックス』でも登場。
人類との戦争が始まる以前から既に存在しており、当時は主に建築作業を担当していた模様。


◆ハーベスター
「畑」での人間の栽培と収穫を担当する大型機械。
ボディ下部から脚部兼用のチューブ状の触手を多数伸ばし、これで胎児の入ったポッドを掴んで移動させる。
劇中の出番は少ないが、「人間を栽培する」という衝撃的な話の中で登場したためインパクトは十分。

外伝『アニマトリックス』では、やや小型で戦闘に特化した初期型と思しき機体が登場。
こちらは頭部にレーザー砲を装備している。


◆ドクボット
発電所で人間の生態維持を行う機械。
宙に浮かぶ蜘蛛のような外観をしており、4本の鉤爪が付いた脚と注射器付きのアームを持つ。
またマトリックスから切り離された人間を排除する役目も担っており、ゆえに現実世界に目覚めたネオが初めて見たのもこいつである。

外伝『アニマトリックス』では、捕えた人間で研究や実験を行う様子が描かれていた。
ただこの頃の発電所の維持管理はセンチネルが行っており、マトリックスの本格稼働に伴って役割が移行した模様。


■マトリックス■

全ての人間が見続ける共通の夢の世界。
マトリックスを構成するプログラム言語と同じ緑がかった世界になっている。
発電所につながれた人類は脳に接続されたプラグを介してこの世界に精神を幽閉されている。
人間の文明が絶頂期であった世界を模しており、この世界で人は真実に気付くことなく一生を送ることになる。
しかし、時たまこの世界の違和感に気付き現実に目覚める者もおり、彼等は現実世界に敷設されたケーブルからプラグを介してマトリックスに侵入。
現実とは携帯電話で交信、侵入と撤収には電話機を介して行われる。これは20世紀がADSLの時代だったためか?
ただし、通話はエージェントに監視されており長電話はできない。
また、マトリックス内で傷を負ったりすると現実の肉体にも影響を及ぼす。故にマトリックス内で死亡すると現実でも死んでしまう。
上述の通り、脱出する際には電話機を使うのだが、そういった正規の手続きなしで侵入者に接続しているプラグを抜いたりしても侵入者は死亡してしまう。

どれほど精巧に作られていても所詮はプログラム上の「存在しない世界」であり、そのルールを理解すれば常軌を逸した身体能力を得ることができる。







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最終更新:2025年01月13日 02:51

*1 その後兄は2008年・弟は2016年に性転換手術を受けて「女性」となったため、現在英語版ウィキペディアではこの2人を男女区別のない「The Wachowskis」と呼んでいる。

*2 ついでに回避しきれておらず被弾してしまっていたりする

*3 一応本編中でサイファーに撃たれた傷が原因とも考えられる。メタ的な言い方をすると、タンク役のマーカス氏がギャラの話でトラブルになり、スタッフともめてしまったためだそうだが。