アラーの使者

登録日:2016/02/29 Mon 08:58:50
更新日:2023/07/09 Sun 00:52:12
所要時間:約 5 分で読めます






「神出鬼没! このアラーの使者は、正しき人たちを救うためには世界中のどこにでも現れるのだ」



『アラーの使者』とは、東映とNETテレビ(現:テレビ朝日)が製作、1960年に放送した特撮テレビ番組である。モノクロ作品、全26話。


【概要】

月光仮面』『七色仮面』『新 七色仮面』にも携わった川内康範原作の変身ヒーロー活劇で、主演俳優も『新 七色仮面』から千葉真一が引き続き担当。
イスラム教の神を名に関したヒーローの名称、中近東の王国に秘められた財宝の在処を巡る物語と、過去2作と比べても異国情緒を彷彿とさせるテーマが散りばめられているのが特徴といえる。
また放送当時の番組スポンサーが「カバヤ食品」だった縁で、作中の人物名や用語には社名や商品などをもじったものが一部使用されている。

上記の通り、1950年代東映特撮のビッグタイトルから連なる系譜の由緒ある作品だが、一部欠番ながらも一通りソフト化された前番組と異なり、2016年時点で現存フィルムが初回第1話のみという状況にあり、最終話までの残りエピソードの復刻が物理的にほぼ絶望的な惜しい作品。
更に言うと物語の構成上、主役ヒーローのアラーの使者は初回には登場せず話が終わってしまっているため、その活躍を見ることすら非常に困難である。

ただし、80年代に発売されたVHS『東映100大ヒーロー スーパーファイト』にて僅かながらアラーの使者の戦闘シーンが収録されているため、一応それでアラーの使者の動く映像を拝むことが可能。
OP映像だけなら『東映特撮主題歌集』(VHS、後にDVD化)に収録されている。
2020年1月8日には『往年の傑作テレビ映画 第1話特集』と題し、同じく第1話分のエピソードのみが現存している『丸出だめ夫』『アタック拳』と共に、『アラーの使者』第1話もDVD収録された。
また、(少なくとも80年代の時点では)最終回のフィルムも残っていたようで、80年代のバラエティー番組で紹介されたとの目撃談がある。

放送当時に「冒険王」誌で連載された漫画版(著者:九里一平)は2010年にマンガショップより単行本が刊行されているため、現在はそちらでストーリーラインをある程度追う事は可能。
他にはトキワ荘のメンバーとしても知られる水野英子の漫画版もあるが、そちらは未単行本化。

以下、本項の登場人物やストーリーに纏わる記述は、主に九里一平の漫画を主な参考とする。


【あらすじ】

かつてカシミール地方に栄えながらも、わずか50年前に衰退の運命を辿ったカバヤン王国。
その王位後継者であるココナツ殿下と妹・マミイは亡命先の日本で、神への信仰と誇りを胸に生きていたが、彼らが持つ王国の財宝の在処を示した秘図を狙い、紅トカゲ団のトンガレン、ダラマンら悪党どもが次々と日本に入国する。
絶体絶命の危機に陥った兄妹の前に、正義の味方「アラーの使者」が現れた!


【登場人物】

担当キャストは判明しているもののみ掲載。

◆鳴海五郎/アラーの使者(演:千葉真一)
本作の主人公。二丁拳銃を獲物とする正義感溢れる私立探偵で、跳梁跋扈する悪党の前に「アラーの使者」として立ち塞がる。

「アラーの使者」としての武器は変身前に引き続き、月光仮面さながらの二丁拳銃を用いる他、シミターを用いての白兵戦も得意とする。
また「悪は滅び、正しきものが勝利を収めるその証拠を見せてやる!」の掛け声と同時に煙幕らしきものを発生させる能力を持つ。
漫画版ではこの攻撃は「ロケット光線」と呼ばれ、文字通り眩い閃光と共に電撃を放ち、敵を痺れさせるという強烈な技として描かれている。

ビジュアルは白ターバンに白覆面*1と『月光仮面』を彷彿とさせながらも、全体的に中近東らしい異国情緒を醸し出したデザインとなっている。
どちらかと言えばイスラムよりもシーク教なビジュアルだが気にしないように。
現在ではイスラム教の唯一神の名を冠した名称が指摘されることもあるが、あくまでアラーの「使者」であって、神そのものではないから問題ないはず。
ちなみに作中では略されて「アラー」と呼ばれることも。アウト!

◆ココナツ殿下(演:金子昭雄)&マミイ(演:一条由美)
内戦状態のカバヤン王国から日本に亡命した、王族の直系の兄妹。王族に伝わる財宝の在処を示した秘図の一つを持っていたため、紅トカゲ団らに狙われる。

◆八束根竜助(演:松山浩二)
鳴海探偵とともに紅トカゲ団の引き起こす事件に挑む名探偵。
その正体は王国の秘宝を狙う悪人ダラマン。

◆トンガレン(演:大久保達也)
王国の秘宝を狙う紅トカゲ団の幹部。カシミール地方を我が物顔に暴れまわるシュガール族出身で、アフガニスタンより日本に密入国してきた。
非常に身軽で、白兵戦に暗殺と何でもこなし、シュガール蛮族に伝わる邪教プラマの魔術で他者に催眠術をかける能力も持つ。

◆ダラマン
紅トカゲ団とは別に、財宝の秘図を狙う悪人。かつてカバヤン王国に反乱を起こし、衰退の原因を作った軍務大臣マダラカーンの孫。
溶解液や電撃を放つステッキが武器。過去に反乱軍がココナツらの父母の従者から奪った秘図の一枚を持っている。
八束根探偵の正体であり、またサラセン教日本総本部の司祭・テトラ神父としての顔も持つ。

◆アルマン陛下&ミミィ王女
第2部より登場。インドとチベットの国境付近に位置する小国・プレトリヤ王国からの亡命者。王国の三つの秘宝を犯罪者たちに狙われる。

◆マランカン
プレトリヤ王国の秘宝を狙う犯罪組織「吸血鬼」の幹部。アルマン陛下らの命を狙って暗躍する。剣の腕前はプレトリヤ王国一と言われている。
王国を転覆して「トルフヤン共和国」を建設し、その元首になることが目的。

◆死神博士
骸骨を思わせる覆面を被った謎の怪人。プレトリヤ王国の秘宝を巡ってアラーの使者や「吸血鬼」と対立する。杖の先より「地獄の炎」を放つ能力を持つ。日本剣道六段の腕前。
その正体は探偵作家の蘭堂竜之助。



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最終更新:2023年07月09日 00:52

*1 放送当時のメンコなどでは黄色いカラーリングで塗られていたこともある。