登録日:2009/07/31 Fri 00:38:58
更新日:2025/03/07 Fri 20:35:36
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『月光仮面』は川内康範原作のTV番組における特撮ヒーローの元祖。
1958年~1959年に東京放送(現TBSテレビ)系で武田薬品の
一社提供特撮ドラマとして放送され、後にキャストを総入れ替えしての映画化や
アニメ化もされた。
オリジナルとなるテレビドラマ版の作品内容は全5部作となっており、第1部は週6日放送の帯番組・初回と第2部以降は週一回の30分番組として放送。
そして第3部9話から最終回まではドラマ版『
サザエさん』(1955年)から始まる日曜日19時枠で放送され、後に
タケダアワーと称される放送枠のヒット作第1弾となった。
【登場人物】
職業は
私立探偵。明晰な頭脳や高い運動神経を持っており、依頼された事件を追っていく。
祝が姿を消すと入れ違いに月光仮面が現れ、月光仮面が姿を消すと祝が入れ違いに現れることが多く、どう考えても「月光仮面の正体=この人」にしか見えないが、本編では結局最後まで明言されることはなかった。
だからこそ
どこの誰かは知らないけれど(視聴者は)誰もがみんな知っている のだろう。
十郎の助手。力持ちだが、かなりのおっちょこちょい。
同じく、十郎の助手。
五郎八のボケのツッコミ役。
白いターバン、白いコスチューム、覆面、
サングラス、
マントを着けて、
悪人によって危機にさらされてる人達の前に、
オートバイ陸王に乗って現れるおじさ…、もとい、正義の使者。
額の三日月のマークが特徴。
拳銃を携帯しているが、敵の武器を撃ち落としたり牽制をしたり、あくまでも己の身を守る為にしか使用せず、
自らの正義の心と屈強な身体を武器とする。その正体は誰でしょう。
ちなみに、もし月光仮面の正体が祝だった場合、探偵である彼が銃を所持しているのは法律では銃刀法違反にあたる。
また最初のドラマ版の時点ではバイクにヘルメットの着用義務はなかったが、後述のアニメの時期には適用されたためアニメではヘルメットの仮面になった。
【特徴】
そのコンセプトは和製『スーパーマン』だったといわれており、月光仮面のモチーフは「人々の苦難を救済する」というイメージから薬師如来の脇に侍する『
月光菩薩』からきている。ネーミングもその月光菩薩に由来する。ちなみに額の三日月マークは旗本退屈男が元ネタ。
そのため、彼は
正義そのものではなく、主題歌でも歌われているように正義の『味方』であるというのがポイント。
月光仮面は正しい者の手助けをするためにこそ現れるのであり、彼自身が主導権を握ったりすることはないのである。
それを示す座右の銘として『
憎むな殺すな赦しましょう』という言葉があるが、言葉の通り、月光仮面はたとえ相手が悪人であろうとも懲らしめるだけで決して命を奪うことはせず、過剰に傷つけることもしない。
拳銃こそ持っているが、もっぱら威嚇や牽制、悪人の武器を打ち落とす以外には使用しない。
たとえ正義という建前の元であっても、それが行き過ぎて過剰になれば暴走して『悪』と同じようになってしてしまう事を戒めている。
また、月光仮面の眉間の三日月は月の満ち欠けを人の心になぞらえ、「今は欠けて(不完全)いても、やがて満ちる(完全体)ことを願う」という理想、「月光は善人のみでなく、悪人をも遍く照らす」との意味が込められており、罪を赦すことでいつか悪人が心を入れ替えてくれることへの願いが込められているのである。
現代ではいかなる事情があろうが罪を犯した者が100%悪い、という価値観も定着しつつあり「罪を犯すような人間及びその人間性が悪である」という考えが根強いが、この教えはある意味我々現代社会が失いつつある寛容的な考えに気づかせる、哲学的な教えだと言え、後の川内氏の
作品にも継承されている。
制作予算は当時としても低コストだったため、若手の新人俳優などが多く起用され、企画者の小林利雄の自宅がスタジオ代わりとなった。
【評価】
人気は、当時の子供からは非常に高く、平均視聴率は40%、最高で69%強という好視聴率を叩き上げだ。
しかし、月光仮面の真似をした子供達が高い所から飛び降り、怪我をしたという事件が多発したことから、
マスコミから多くの批判を受け、最終的には打ち切りとなってしまった。
なお宣弘社はその後も、本作主演の大瀬康一を再び起用した『豹の眼』『隠密剣士』等
日曜日19時枠武田薬品提供ドラマを数多く制作しており、特に『隠密剣士』は2年半続く大ヒット作となった。
*
【放送内容】
第1部 どくろ仮面篇
第2部 パラダイス王国の秘宝
サタンの爪一味が暗躍
第3部 マンモス・コング
怪獣マンモス・コングが登場
第4部 幽霊党の逆襲
第5部 その復讐に手を出すな
TV版、劇場版ともにソフト化されているが、TV版の方は、なにぶん古い作品ということもあってマスターフィルムの保存状態はお察しレベルであり、回によって画質はバラバラ、映像や音声が完全に壊れて部分的に欠落しているような回すらある。
また、フィルム自体を紛失したため欠番となったエピソードも。
肝心の第1話も、フィルム自体は現存しているが、ケースの中でフィルムがくっ付いて再起不能になってしまっていたとのことで、そのためDVDは第2話から始まる。
さすがにあんまりだと思ったのか、後年になって、当時のオリジナルキャストらの協力を経て第1話を再現・新撮するという試みが行われた。
幸い、第二部、三部は保存状態が良好なものが多かったため、積極的にDVDが発売されており、ワンコインで買える値段に設定されている。
1972年に『
チャージマン研!』でおなじみのナックにより『正義を愛する者 月光仮面』というタイトルでアニメ化した。
オープニングテーマは歌詞のみが原曲と同じで、メロディと伴奏が当世風に改変されたものとなっており、大変かっこいいアレンジに仕上がっている。
『チャー研』より2年前の作品だが知らずに見比べれば「こっちの方が後発でしょ?」と思うほどには出来が良く、
内容自体の評価も決して悪くない。
使えた予算が違うからしょうがない
1981年にリメイク映画が一本制作され、1999年にはコメディ風味のアニメ『ごぞんじ! 月光仮面くん』が制作されている。
コミックボンボンでは漫画版も掲載された。
サタンの爪が
焼き鳥屋を経営していたり、月光仮面のスクーターが生命体だったりと何故かすごいカオスな内容に。
ちなみに月光仮面くんの中の人がアスカから
ピカチュウになった。
永井豪のお色気アクション漫画『けっこう仮面』はこのパロディ作品。
当然川内先生から許可は取ってある。
また
仮面ライダーや
ウルトラマンより先に「偽ヒーロー」を出した作品でもある(って、日本初のテレビヒーローだから当たり前か)
東北新幹線が八戸まで延伸した際、新列車の愛称にちなんで『はやて弁当』が八戸駅etcで発売された。
その駅弁のイラストに(『はやて』だけに)月光仮面が登場したのだが……。
よくよく考えてみると、別に狙って低速運転してる訳じゃない。
それも東日本の新幹線最速コンビの片方であるE2系がスクーターと並走……。
近年では珍しくなったが、たまに国会議事堂などの公的施設に「月光仮面」を自称する者が乱入して騒ぎを起こす事件が発生することがあった。
が、疾風のように現われたはいいものの、大抵の場合、疾風のように警察に連れ去られていく。
おそらく、月光仮面の名を騙る偽者だったのだろう。
削るな、除くな、追記・編集しましょう。
- ジェネ天に出てたリアタイ世代のタレントさん曰く「月光仮面は神」。 -- 名無しさん (2014-05-11 07:17:48)
- 「パタリロ!」で月光仮面が千葉県で遭難したとかいう話が出てたけど、マジなのか? -- 名無しさん (2014-09-03 08:51:21)
- 月光仮面はお兄さんではなくおじさんなんだよな -- 名無しさん (2014-09-03 17:07:33)
- 81年に製作されたリメイク版って確か2代目バルイーグルが出ていたよね。 -- 名無しさん (2014-10-06 16:41:13)
- 現代風にアレンジされて復活しないかな -- 名無しさん (2014-11-30 13:45:56)
- むしろ今川鉄人みたいに戦後間もない時代であることを強調してもいいと思う -- 名無しさん (2014-11-30 14:21:02)
- ↑K20みたいになりそう -- 名無しさん (2014-12-19 17:44:17)
- カラオケの映像が、いろいろとヤバい。必見 -- 名無しさん (2018-12-05 10:30:24)
- ↑6 当時は大人というものが今よりもずっと尊敬されていて、「おじさん」は半ば敬称だったとか。 -- 名無しさん (2018-12-05 13:46:50)
- 川内センセの死後、息子さんが『週刊新潮』誌で告白(白状)したところによると、先生は例の「おふくろさん」の補作部分の存在を既に1970年代に把握しており、しかもその当時は「おお、よく出来とるなあ」と寧ろ感心していたらしい。それがなんであんな騒動になったかと言うと、晩年に認知症を患ってそのことをど忘れしていた…というのが真相らしく、森進一は完全に被害者ということになる。 -- 名無しさん (2020-08-02 17:14:26)
- 実際最後までわからなかったらしいね月光仮面の正体。だから本当に別人(祝いの親族とかクローンロボット的存在とか)の可能性もゼロじゃないっていう -- 名無しさん (2022-01-28 17:01:18)
- 月光仮面を始めとしたウルトラQ以前の特撮ヒーローのキャラの顔写真とか載せたムック本出ないかな。 -- 名無しさん (2022-03-17 11:00:12)
- 今の子供はライダーや戦隊など派手な必殺技で悪を爆殺するのに慣れ切っちゃってるから受けないかなあ。けどタローマンよりはるかに古い作品なのにフィルムがかなり現存してるのすごい -- 名無しさん (2023-11-16 10:22:35)
- ナック版アニメの主題歌の作曲は「神間奏」で有名な三沢郷だから名曲なのも当然。同じく三沢作曲のエンディングも歌詞は1958年の特撮版の挿入歌のもの。 -- 名無しさん (2023-11-16 21:59:24)
- チャンバラ作品しかない頃にこのアイデアって凄いよね -- 名無しさん (2023-11-17 12:27:36)
- 既にスーパーマンが日本で流行った後追いだからチャンバラしかないわけではない。悪人でも暴力を全肯定しないって要素を入れたのは新しいか -- 名無しさん (2023-11-17 13:31:33)
- 「ごぞんじ!月光仮面くん」が今日配信 -- 名無しさん (2025-02-24 13:41:29)
- 打ち切りではあるけど、それでも1年半全130話も放送したんだな。今の視点で見てもすごい。 -- 名無しさん (2025-02-24 14:13:23)
- ↑3 『仮面ライダークウガ』ですら「問題の解決を暴力によって滅ぼすことに頼った以上、五代さんはその咎として……」なんてガチで重い案があったらしいし、最終的には黒幕が受け入れてくれたことで戦いそのものがなかったことになったとはいえ『仮面ライダー龍騎』では「いかなる願いであっても、それを叶える手段として暴力に頼った以上はその咎を受けるしかない」で変身者達は皆死が描かれる展開になったというね…… -- 名無しさん (2025-03-04 19:43:54)
最終更新:2025年03月07日 20:35