クラウディア・イェルザレム

登録日:2016/04/10 (日) 00:07:25
更新日:2018/05/01 Tue 03:49:39
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「たとえどんなに立場が違っても、私たちが目指している場所はきっと同じ」

「善き処に行きたい。そうなのでしょう?」


『Dies irae ~Interview with Kaziklu Bey~』のヒロイン。
CV.能登麻美子


ワルシャワ蜂起戦でヴィルヘルムが出会った少女。

ヴィルヘルムと同じくアルビノであるが、それ故に光を疎んじているヴィルヘルムと違い、太陽を好んでいる。
その為日中でも平気で外を出歩くが、当然その肌は太陽に焼かれて火傷を負う。
そんな生活を子供のころから続けているため、現在では末期癌に冒され、その命はもう長くない。

クラウディア本人は太陽に焼かれる痛みや、死への恐怖を強く感じない自分を半分の世界しか生きられない自分は心も半分で乏しいと考えているが、実際のところは光への憧れが他の感情全てより強いだけ。
つまりは不足ではなく過剰。渇望とも言い換えられるか。

蒼穹に誰より祝福される翼持つ者でありたい。それが彼女の願い。
そして翼持つ太陽の使徒の名で呼ばれた一人の女性の誓詞を胸に、「天使とは美しい花を撒くものでなく、苦悩する誰かのために戦うもの」、彼女のその言葉の通り、誰かを救う事で満たされたいと願っていたのだ。
その時初めて自分は半分ではなくなると信じたが故に。


そしてワルシャワ蜂起戦に看護団の一員として参加していたクラウディアは、その戦場でヴィルヘルムに命を救われる。
それはただの偶然だったが、初めて出会った自分以外のアルビノに二人は運命を感じた。

当時、自身の器の限界を悟り、現状を打破する何かを求めていたヴィルヘルムはクラウディアこそが自分にとって至高となり得る魂であると直感し、
クラウディアは自分と同じ半分でありながら強く感情を持ち、眩しく輝くヴィルヘルムこそ、自分が救うべき相手であると確信した。

ヴィルヘルムは彼女の魂が最も光り輝く時にそれを食らう為に、
クラウディアはヴィルヘルムに欠けたものを与えるために、互いに相手に恋をさせる事を目指した。

しかしヴィルヘルムへの呪いになる事を恐れて一方的に恋をさせようとしているクラウディアに対し、ヴィルヘルムは主導権の問題としてクラウディアを先に惚れさせるつもりではあるが、そうなったら自分の心をくれてやるつもりでいる。
それは誰より強欲なくせに、それを罪深いとか考えている頓馬は双方向の関係でなければ満足しないだろうと考えた結果であった。
ぶっちゃけそんな事を考えてる時点でとっくに惚れているようなものだと思うが、それを認められるような奴ではないのである。


そしてヴィルヘルムはクラウディアを攫って自分の傍に置き、いずれその時が来れば喰らう腹積もりだった。

しかし実際はクラウディアにペースを握られっ放しで、ルサルカにからかわれたりベアトリスに怒られたり、ジャガイモを買いにパしらされたりしていた。
本編のベイからは予想もつかない姿だが、これには理由がある。詳細は後述。


この生活の中でヴィルヘルムは幾つかの教訓をクラウディアから教わった。

例えば俗である事を捨てない事。
この頃のヴィルヘルムはまだ歳相応の外見だったが、当然これ以降彼の外見は老化する事はなく、本編の頃には年齢的に立派な爺である。
にも関わらずあんなチンピラのような感じなのは、偏にこの教訓のため。
心が瑞々しさを失ってしまえば、いずれ自死衝動に飲み込まれる。
不滅である事を願うヴィルヘルムにとっては身につまされる話であった。



そしてその輝く魂を愛したもう一人の男との激戦を制し、限界を迎えて倒れたヴィルヘルムを温めながらクラウディアは


「あなたが好きです、ヴィルヘルム」


「私にこの気持ちを与えるため、戦ってくれた天使(あなた)をクラウディアは愛しています」



天使とは、美しい花を撒くものでなく、苦悩する誰かのために戦うもの。
その言葉を胸に生きるクラウディアにとって、どんな形であれ自分を全力で救おうとしていたヴィルヘルムは天使だった。

そしてヴィルヘルムも嫌々ながらも自分の気持ちを認め、その愛は双方向のものへと――――――なった瞬間の事だった。





In principio creavit Deus caelum et terram.(初めに神は天と地を創造された)


「Briah――」


Date et dabitur vobis.(与えよ、されば与えられん)




突如として創造を発動。

実はクラウディアは聖遺物であるロザリオを身に付けており、魂が輝いた瞬間、即ち渇望が最高潮に達した事で創造が発動したのである。

ちなみにこのロザリオがクラウディアの手に渡ったのは当然水銀の仕込みである。何なんだあいつは本当に。



  • Date et dabitur vobis

クラウディア・イェルザレムの創造。

「愛するヴィルヘルムの天使になりたい」という渇望を具現化した覇道型の創造。

ありとあらゆる面で死森の薔薇騎士と対を成す創造であり、あちらがヴィルヘルムの「不滅の吸血鬼になりたい」という渇望を具現化してヴィルヘルムを吸血鬼に変える求道と吸血鬼が不滅となる夜を生み出す覇道を同時に内包しているように、この創造はクラウディアの「光に相応しい天使になりたい」という渇望によってクラウディアを天使に変える求道と、天使に相応しき太陽の輝きを生み出す覇道を内包している。

この創造の光は、「光は尊く、そして焼くものである」というクラウディアの認識によってあらゆるものを焼き尽くす灼熱と化しており、その影響は術者であるクラウディア自身にも及ぶ。
太陽の祝福をクラウディア自身が最も尊んでいるが故に、その光は全てに祝福を与え、焼き尽くしてしまうのだ。


そして暴走した創造はクラウディア自身にも止める事は出来ず、ルートヴィヒとの戦いで全ての魂を消費し尽くしていたヴィルヘルムは自身の魂を燃料とし、創造を発動させる。

が、夜の創造と昼の創造では相性が悪すぎ、ヴィルヘルムはクラウディアの元まで届かない。
それを理解したクラウディアは、ヴィルヘルムを救う為にある決断をする。

クラウディアは確信していた。
ここでヴィルヘルムが自分の身を削ってまで戦った結果が失敗に終われば、彼の魂がその行いを馬鹿な真似だったと貶めてしまえば、取り返しがつかなくなると。
いずれ血染花から生じる可能性を守るために、新しい世界でも戦い続ける不滅の戦士を救いたい。

貴方が好きだから。


そしてクラウディアのその強い祈りによってロザリオは器の限界を迎え、砕かれた。そして最後の力を使って光をヴィルヘルムへと送り、その魂に食らいついていた茨を吹き飛ばした。
しかし、魂と一体化していた聖遺物が砕ける事は、術者自身の死を意味する。


「ふざけるな!ふざけんなよ!誰がこんな真似をしろっつった!いつ俺が、おまえに助けてくれと頼んだってんだ!」

「こんなん有りかよ?結局俺は何一つだって――」

「得られなかった。なんて悲しい事は言わないで」

「私はあなたの欠片を抱いて逝くんだから」

「確かに私はここで貴方に奪われる事が出来なかったけど」

「失敗じゃない。負けじゃない。あなたは何も失っていない。そのことだけは覚えていて。私はあなたを救えて幸せだったし…」

「決して離れ離れになるわけじゃない。一緒だから、一緒だからね。どうかお願い、ヴィルヘルム」

「泣かないで。大好きよ」

「ふざけんな、待て―――」

「私は貴方を抱いて善き処へ…今はまだ分からなくても、きっとこれが未来を照らす光になると信じてる」

「生きてね、ずっと…世界が終っても生き続けてね。私のメトシェラ。私の愛しい…」

「大切な人、ヴィルヘルム」


「――――――クラウディアァァァァッ!」


そしてクラウディアはヴィルヘルムが捧げてしまった魂の半分と共に神の元へと消えた。


そしてベイに残ったのは何も得られなかったという後悔と、「望んだものこそ取り逃がす」というメルクリウスの呪いだけった。


「―――――泣いてねえ!」


それが強がりだったのかももう彼には分からない。クラウディアへの気持ちも、全て彼の中から消えてしまった。


しかしそれは、ヴィルヘルムの魂はクラウディアによって守られたという事だ。

その魂はいずれ女神の手に抱かれるだろう。

例え女神が消え去ろうとも、刹那の守護ある限りその魂が消え去る事はない。

そして、いつか、必ず。その初恋(はじまり)は、新しき世界を照らす光になる。






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