カカシ(牙狼-GARO-)

登録日:2016/04/30 Sat 19:08:20
更新日:2023/08/02 Wed 22:46:41
所要時間:約 8 分で読めます




注意!


ザルバ「おい、お前達!この項目には映画のネタバレが含まれているぞ。まだ映画を見てないヤツは、今すぐブラウザバックしな!」


















ありがとよ!名前を付けてくれてな!


カカシとは、雨宮慶太原作・監督の映画牙狼-GARO- 蒼哭ノ魔竜の登場人物。
演じるは久保田悠来氏。
MAKAISENKI』第9話で川崎麻世に喰われた棒読みアーティストを演じた方であり、
本作の公開から約7か月後に天・下・御・免!なメロン兄貴を演じる方である。


【概要】

ガジャリの一部たる『嘆きの牙』を持ち帰るため、冴島鋼牙が訪れた異世界『約束の地』
そこで名前と体を奪われ、廃材と枯れ木が一体化した残骸のごとく朽ち果てたモノたちが眠る『虚空の丘』にて、
今にも存在が消え、『ナナシ』という無の怪物になりかけていたが
鋼牙がその姿がそう見えたから案山子(カカシ)と呼ばれ、それが引き金となり光に包まれ、新たな姿を得る。
そして、活動拠点である『青ノ館』に帰還し愛犬のクロマルと共に、『緑の城』の女王たるジュダムへの復讐と魔竜を復活させるための『黒き鱗』の奪還に燃える。
その目的は『魔竜と融合しヒトになり、ヒトの世界に向かうこと』で、『綺麗なモノを作り出しながら、その存在を捨て忘れゆくヒトをヒトの世界もろとも滅ぼそうとする』ジュダムと敵対している。


【容姿・武器】

鋼牙が出会った時、シルクハットを被った木の顔を除き、ほぼ枯れ木と壊れたステッキといった廃材でできた案山子にも似た状態で野ざらしにされていた。
彼に『カカシ』の名と呼ばれると巨大な瞳が施されたストローハット、カラフルな刺繍が縫われた紺の上着と、道化を思わせる姿となる。
顔はなぜか切り傷の跡が刻まれているが、いかにしてついたものなのかは不明。
胸に手を当て、意識を集中させることで『ハート』という心臓の形をしたゼンマイが実体化。機械音と共に駆動する。

細長いキャンディケインが巨大化したような色とりどりのステッキを得物とし、
棒術のように巧みに突いて相手の動きを封じることもできれば、先端部を長剣に変えて真剣勝負に挑んだり、
真上にかざすことで大道芸人のごとく無数の毬と光の和傘を生成させ空を飛ぶこともできる。


カカシ「悪いけどヒト様よ、俺はかなり強いぜ?」

鋼牙「……本気か?」

カカシ「ああ。本気って書いて、マジってやつ

【性格】

常に飄々としているが、傍若無人にして子供っぽく負けず嫌いな性格から至福の大地に住むモノたちから嫌われている。
ジュダムもまた、ヒトに次いで彼を「うるさい、汚い、みすぼらしい。あなたのことよ」と毛嫌っており、
鋼牙がつけた名を「ヘンな名前ねえ。カッコ悪い」と辛辣な評価を下している。

ヒトに対しては強い憎しみを抱いており、至福の大地で鋼牙と決闘する中、彼の強さに感嘆しながらも
「俺、ヒト殺したことないけど……殺しちゃおうかな?と殺気に満ちた言葉を漏らすが、
決闘の最中、魔法衣が変化した白の鳥の乱入により中断。憤慨し鋼牙を追う最中、ジュダムに囚われた際鋼牙に救われた際に変化が起きる。

俺がヒトを好きなワケないだろ!?
ヒトっていうのは、弱虫で、泣き虫で、ずるくて、インチキで……薄情だ!!

と激しく否定しながらも、なぜか鋼牙に対しては「お前のことはなんか嫌いになれねえんだよなぁ…」と複雑な感情を抱いている。
鋼牙もまた、自身にちょっかいを出すカカシのことを鬱陶しく思いながらも「なぜかお前のことは嫌いになれない」と幾度も彼を救い出している。

好物はクロマルが淹れる紅茶。特に、至福の大地から湧き出る水で淹れたものを好んでいる。


カカシ「あのクソ女~!!クロマル!鱗を取り戻すぞ!!」

クロマル「クワァ~!クックガァピ~!」

【青ノ館】

カカシとクロマルの住む色とりどりな館であり、入口はピエロのマスクにも似た意匠となっている。
館内にはぬいぐるみ、ブリキの人形、電話、天体望遠鏡など、ヒトに捨てられたガラクタがおもちゃ箱のように散らばっている。
主が不在の中、明かりが消えたままクロマルが待ちぼうけていたが、カカシが帰還するや否や明かりがともされた。
部屋の奥には宝箱が置かれており、中には魔竜を復活させるために必要な『黒き鱗』が厳重に保管されていたが、カカシが帰還した時には既にジュダムに奪い去られ中身は空の状態だった。

カカシがおもちゃのピアノに手をかざすと音色が響き渡り、館内からパイプ、館外の四方からマジックハンドが伸び、タクトを振るかのような仕草と共にジャック・オ・ランタンに似た姿に変化、馬のシンボルが施された風見鶏をプロペラ代わりに回転させ空を舞い、入口部の下からは長い舌にも似たカタパルトを出しカカシらを収納する。

戦闘時にはマジックハンドから鉄球・ドリル・ペンチ・丸ノコを生成させて格闘戦を行う。風見鶏も簡易的にだが杭打ちとして使用できる。


【顛末】

自身がヒトになるために利用せんとする魔竜を倒すと宣言した鋼牙と別れ、青ノ館を駆り『緑の城』の決戦に挑むカカシとクロマル。
ジュダムの居城たるその圧倒的な力の前に館を壊され、『虚無の海』に落とされかけるカカシだが、赤鞘の魔戒剣と白い魔法衣を取り戻した鋼牙に救われる。

やがて、ジュダムが自身を生贄にし、復活した魔竜と牙狼の鎧を纏った鋼牙の闘いは熾烈さを増していく。

いい色だな……俺が見たかった色だぜ、クロマル。

その光景をクロマルと共に遠くから眺めるカカシは傷ついた身を顧みず、『ハート』を実体化させる。

まだ、飛べるかな……?

音を鳴らしながら回転を止めない『ハート』を見て、カカシは……


魔竜と牙狼の鎧を纏った鋼牙の戦いは『約束の地』から人界へと向かうゲートへと続いていく。
魔竜の魔力はすさまじく、愛馬たる魔導馬・轟天だけでなく、赤鞘の魔戒剣が変化した必殺の牙狼剣を消され、無防備となった鋼牙に追い打ちをかけるかの如く巨大な尾で金色の鎧を掴み上げ、口から漆黒の波動を放つ。
四肢はおろか、鎧の金色までも失われ、よもや消滅しかけるその瞬間……カカシが駆けつけた。

ヒトよ!!俺たちの想いだ!!受け取れぇぇぇぇぇっ!!

カカシの『ハート』を介し、虹の輝きにも似たいくつもの光が牙狼の鎧を包み込む。
漆黒の空間に眩いばかりの金色の光が迸り……牙狼に新たな力を与える。
鎧に再び金色を与え、消えたはずの轟天は竜にも似た姿に生まれ変わった。
轟天は無数の金輪を放ちながらゲートを突き進み、ドリルのように回転する黄金の槍で魔竜に突貫、内部にいるジュダムを牙狼剣で貫いた。

……許せ。ジュダム……

ジュダムを倒す瞬間、鋼牙はこの言葉でジュダムに謝罪する。
その哀しき表情を見て頷いた彼女は、何を思ったのか……?

戦いを終えた鋼牙は鎧を解除し、『虚無の海』の上に大の字で倒れ込んでいるカカシの元に歩み寄る。
すべてを思い出したカカシは彼を見て微笑む。

お前を嫌いじゃないワケがわかったぜ。
俺はかつて、小さな剣士を相手にしていた……
俺の体がボロボロになると、子どもたちは強くなる……それが嬉しかったなあ……

全てを思い出したカカシと鋼牙。
かつて、カカシは魔戒騎士を志す少年たちが訓練に用いた木人形だったのだ。
彼らの中に、の志を受け継ぎ魔戒騎士にならんと修行に励んでいた鋼牙の姿があった。
やがて、カカシの身体が左手がうっすらと透き通っていく。全てを思い出し、人界へと還っていく証だ。

そんな顔するな、クロマル。また誰か……ヒトが、俺をもっと作ってくれる……

驚きの奇声をあげるクロマルに対し、この言葉で慰めるカカシ。
消えゆくカカシを見据え、鋼牙は言う。

……俺を作ったのは誰だと、この地のモノたちに聞かれた。
お前も俺を作った一人だ!

赤鞘の魔戒剣、魔法衣、そして木人形…すべて『守りし者』たる鋼牙自身を造り上げたモノだ。
そして、いつかカカシと同じ木人形が作られ、かつての鋼牙のように誰よりも強い『守りし者』を育ててくれるだろう。
かつて小さな剣士だった男の顔を見るカカシの顔に、ヒトへの憎しみは既になかった。

じゃあな……

クロマル、そして鋼牙に別離の言葉を告げ、カカシと呼ばれたモノは姿を消す。
だがその魂は人界へと形を変えて、どこかで誰かの記憶に刻まれていくだろう。

鋼牙とクロマルの下に駆け寄るメルとキリヤ。
鋼牙を称えるキリヤに対し、鋼牙は自身の力ではなくモノたちのおかげで勝てたと言い、赤鞘の魔戒剣を見据える。

この世界を救ったのは、モノを創造したヒトの力だ。
この剣は、そんなヒトの想いを守るためにある。

鋼牙の脳裏に、モノを創造した職人の幾つもの姿が浮かび上がる。その中に、自身の帰還を待つ御月カオルの姿もあった。
やがて、カカシの消滅に泣きじゃくっていたクロマルも、人界で少女に拾われ、その愛しいぬくもりを抱きながら人界に還り、
キリヤもまた、人界のどこかの書斎で文を書く壮年の男性が思い出すのを知り、鋼牙に人界での再会を約束し去った。

魔竜の一部だった牙を魔戒剣で斬り裂く鋼牙は、ガジャリの一部たる『嘆きの牙』は自分自身のことだとザルバに告げ、天を仰ぎガジャリの名を呼ぶ。
天に浮かび上がる赤き髑髏にも似た思念体……ガジャリは言う。

―『嘆きの牙』とはヒトの想いが形になったモノ……そして、魔戒騎士もヒトの想いから生まれた形だ。―

魔戒騎士はヒトがガジャリと契約した時に『守りし者』として生まれた力……最高位たる黄金騎士・牙狼の称号を受け継いだ鋼牙もまた、その一部。
その答えを見つけた鋼牙は、メルの元の姿たる魔界竜の稚魚・カオルと共に人界へと帰還するのであった。



【余談】

  • 『蒼哭ノ魔竜』でもう一人の主人公といっていい立ち位置を見せたカカシ。
    映画のチラシ第一弾では、「もう一度 僕たちのことを思い出して―」というフレーズと共に、まっさらな青空の下、『虚無の海』でクロマルと共に立っており、
    表面での『約束の地』にひとり立つ鋼牙と対を成すポーズを取っている。
    本編でカカシの正体を知った者が再びその構図を見ると涙腺が緩むかもしれない。

  • 『蒼哭ノ魔竜』の冒頭部とラストでは練習用の木人形が登場している。
    ラストでは鋼牙と『本当の決勝戦』の立会人代わりとして海岸に打ち捨てられた木人形がクローズアップされており、スタッフロールもそのアップで〆ている。
    桃幻の笛』冒頭部でも、魔戒法師の里である閑岱にその木人形がさりげなく置かれていることにも注目してほしい。


追記・修正はかつて小さな剣士だった人がお願いします。

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最終更新:2023年08月02日 22:46