大年寺三郎太

登録日:2010/07/14(水) 14:16:45
更新日:2024/09/15 Sun 11:25:27
所要時間:約 3 分で読めます





【概要】



週刊少年マガジンで連載されていた料理漫画「将太の寿司」に登場する人物。
流れの寿司職人であり、主人公である関口将太のライバルキャラとして全国新人寿司コンクールでしのぎを削る。

年齢は実はまだ27歳。意外と若い。
出る漫画を間違えているとしか思えない鍛え上げられた肉体と27歳とは思えない老け顔でいまなお愛される人気キャラクター。

「東北の竜」「孤高のハイパー寿司職人」「幻の寿司職人」など、どう考えても新人寿司職人に付けられるはずが無い異名も持ち味。
それでいて作る寿司そのものは非常に全うかつ正統派な寿司であり、余計な小細工等は一切使わない。
だが、それは彼の唯一にして最大の弱点であり、寿司の概念に囚われない将太のアイディアの前には屈する事もある。
だが、本人は敗れても悔しがる様子は一切ない懐の深い漢。
英語や古代史にも長けるインテリな面もある。

というより、厳密には「新人」ではなく、あるルールの盲点をついて将太との勝負を期待して出場していた。



【劇中の活躍】



・仙台寿司コンテスト

将太が親方・鳳征五郎の頼みで知人の店の助っ人に行った時に登場。
当初は将太の宿敵、笹寿司に雇われ所属していたが将太を潰すためには手段を選ばないやり方に不満を持ち絶縁。
寿司コンテストで将太と同時優勝を飾った後、コンクールに出席していた料理評論家の武藤鶴栄が2人の決着の為に個人的に用意した
「山の幸・川の幸・海の幸」の自然の幸を使った三番勝負で「川の幸」で引き分けたのみの2勝1分けで将太に圧勝した。

しかしこの戦いを通して大年寺は関口をライバルと認め、再戦する事を誓った。
この時の強烈な個性で笹寿司やら佐治安人やらのライバルの存在を読者の中から消し去った。


その後、新人寿司職人コンクール全国大会に挑む将太に対して親方の口から何と大年寺が宮城県代表として出場する事が告げられる。
当然これには読者も将太も驚いた。
親方曰く「意外と店で働いている期間は短いから出場可」だとか。
普段は山にでも籠っていたのだろうか?
まあ、5歳のころから修行してた清川流也とかいたから今更と言えば今更だが、もーちょいルール考えようぜ日本寿司協会。


・全国大会編

前述の通り、新人寿司職人コンクール宮城県代表として登場。
1回戦では制限時間内での早握り勝負では、あまりにも早く正確な動きから腕が複数に見える「千手握り」なる絶技を披露。
脂の強すぎるマンダイを大鉈で脂に関係なく叩き切って捌くなど、そこらの県代表と格が違うことを見せつけながら勝ち進む。

後に笹寿司四包丁の一人、武市との対戦前に罠に嵌められ電車にはねられる。
しかし翌日には病院から抜け出し、アンキモのソーセージ*1で寿司を握り「外国人向けの寿司」対決に勝利する。
この時、デモンストレーションでアンコウを捌く様はあまりの迫力から日本人客から「鬼神」と言われ、外国人客も「ジーザス!」と唖然としていた。 
ついでに英語もめっちゃ話せる教養深さも披露。
前述の鬼神の様から一転して美しい英語で寿司を進める様は外国人客の心をつかんだ。


そしていよい全国大会四回戦で将太と対戦。
負傷も完治し、仙台からの縁もある武藤鶴栄を審査員として、複数の課題で二連勝した方が勝ち上がり、初戦を除いて課題設定は勝者が行うという幾らでも話を引き延ばせそうなルールで対戦。

第一の課題、「ネタを剥がしたシャリでのネタ当て」では知識と嗅覚の差で「ボラ」を当てて勝利。

第二の課題、大年寺が設定した「タイ」ではタイのしゃぶしゃぶの寿司を作り、審査員から絶賛されたが、将太の奇策「タイ尽くし」(タイのトロ、鯛皮、そしてタイのミンチ*2の寿司)の前に敗北した。

第三の課題、将太が設定した「牛肉」ではビールの麦芽を食べさせた牛を使って寿司を作った将太に対し、リンゴを食べた牛の肉とシャリを発酵させ「熟れ寿司(なれずし)」を完成させるためにギリギリのタイミングで会場入り。
その際三田から明石までの35kmをマラソン。車道を。歩道使え。
そして登場時には会場の隣、プラネタリウムの屋根の上から



「大年寺三郎太、見参!!!」



と特撮みたいな登場をし、そこから飛び降りる人外っぷりを披露し勝利した。



第四の課題として大年寺が設定した「タコ」では12月の海に褌一つでダイブ。しかも刑事ドラマで出てきそうな切り立った崖から。
数分に渡ってワタリダコと格闘し見事に10kgの大物をとったどー!捕獲*3
しかも陸上へ戻った大年寺はタオルを使うことなく、闘気で身体を乾かす…

もうこいつ人間じゃねえ…

試合ではタコの伝通煮*4の寿司でかつて将太が東京予選で作ったタコの桜煮*5にも匹敵しうる高評価を得、
審査員の武藤にも「これ以上のタコの寿司はない」とまで言わしめたが、将太のイイダコの卵+干し蛸のダシの寿司の前に「まさに兜を脱いだ」と敗れた。


迎えた第五の課題で、将太は大年寺に「島の幸」勝負…要は、無人島を舞台にした自由食材勝負を仕掛ける。
アウトドアの達人である大年寺だが、「逃げない」と腹を決めた将太はかつての敗北の返上の意も含め、あえて大年寺の得意土俵に乗ったのだ。
将太の意を察知した大年寺も改めて全力での応戦を決意、この時も大年寺は褌一つで海に潜り、某芸人のライバルであるウツボをとったどー!捕獲。
その某芸人のように銛やシュノーケルやウェットスーツなど使わず褌一つの徒手空拳。自殺志願者か

そのウツボをメインディッシュにした「海」のウツボのタタキの寿司、「川」の川エビの巻物の寿司に加え、「正倉院文書」にも記載されていると言う野草「ギシギシ*6」を「山」の押し寿司に使い、インテリな一面をアピールしつつ将太に対抗する。
が、将太が「山」のノビルとミズナのトロロの寿司、「川」のシジミの甘辛煮とメカブトロロの巻き寿司に加え、かつての島の開拓者の妻である老女の思い出の為に作った「海」の「アワビのトロロ*7」の寿司の前に晴々とした表情で敗北を認める。
二人の長い戦いに終止符が打たれた。


そしてその後、廃棄場となる無人島でかつての住民らが行う送別会に自ら協力を申し出る男気を披露。
寒桜が咲くのを見越して宴席の場を用意。
将太と共に作った島の幸でここがただの何のうまみも無い荒れ果てた島ではないことを教え、更に最初の開拓者が植えた寒桜の美しさで現在の島の所持者の心を動かし、島が産廃施設となることを防いだ。*8
そしてこの時初めて「やったな…将太」と彼のことを「少年」ではなく名前で呼んでいる。

その後もちょくちょく将太の応援などに登場。
特に鹿児島では、海が荒れ目当ての食材が採れない将太を小舟に乗せてこぎ出し、将太に釣りをさせるという命の危険もある行為に出た。
将太も大年寺に強い信頼を置いており、より危険な海域に入り込んでまで、見事目当ての素材を釣り上げた。
この時の将太に大年寺は「何故自分が将太に負けたのか分かった」と感嘆している。

最終回でも将太が実家の巴寿司の再開記念の日に、他のライバルたちと共に駆けつけていた。



余談

『ミスター味っ子2』にもゲストとして出演。
かつて「ミスター味っ子」味吉陽一に土をつけた微妙にキャラが被ってる出張料理人久島建男と即興コンビを組み、陽一や「味仙人」劉虎峰と三つ巴対決。
普遍性を売りにする虎峰の中華料理に対し、自然と一体となった料理で対抗する料理哲学論争も行っていた。
哲学でも実力でも一歩も劣らず、引き分けに持ち込んでいる。

本編から20数年後を描いた『将太の寿司2』では鳳征五朗会長の後を継ぎ、寿司協会会長に就任。
もう50歳前後の筈だが、ちっとも老け込んでいなかった。

『ミスター味っ子幕末編』には明治天皇の側近として実在の人物である山岡鉄太郎が登場したが、外見人格膂力とも大年寺そのものであり明言こそされていないが先祖か前世は確実と考えられる。
全くの余談だが、史実の山岡鉄太郎も狙ってたんじゃないかってぐらいに大年寺さんそっくりである。
木村屋のあんパンを推挙し明治天皇が初めて召し上がった逸話も外伝として読みたかったものである


追記・修正では冬の海からマダコとウツボを素手で獲ってきてからお願いします。


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最終更新:2024年09月15日 11:25

*1 ソーセージにする事で旨味を凝縮させ、同時に細かく空けたラップの穴から余分な脂を出す事で、外国人が嫌う生臭さをも解消した。

*2 残ったタイのアラ・内臓などを全て圧力釜で煮込み、肉挽き機でミンチにしてしまったもの。トロ・皮の時点では総合的な出来は大年寺の方が僅かに上であり、このミンチの寿司が決定的な勝負を分けた。

*3 大物のタコとの水中での格闘は引きずり込まれる可能性があり、非常に危険。

*4 一度煮たタコをそのまま一晩放置し、自身のダシを吸わせてから次の日にもう一度煮る技法。意外と簡単なのでやってみた読者もいるのではなかろうか。

*5 タコを大根で叩いて酵素のジアスターゼを染み込ませると同時に筋繊維をほぐし、臭い消し+色出しの番茶と煮込んだ技法。

*6 タデ科の多年草。シノネ、ウマスカンポ、オカジュンサイ等とも。

*7 アワビ(本作の場合は黒アワビ)をおろし金で削ってトロロ状にしたもの。見た目はヤマイモのトロロそっくりなので、審査員にもトビオにもただのトロロと勘違いされ、老女からは「やっぱりダメだった」と勝手に絶望された。もう少し将太を信じろよ。

*8 なお、武藤はこうなる事を予測していたような素振りを見せていた。かつて自身の故郷が工場排水で環境破壊されきってしまった様を見てきていたので、この島が故郷と重なり、放っておけなかったのだろう。